たとえ咲かない花だとしても   作:北間 ユウリ

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 続きです。ちょっとおかしなので、後々改稿するかもです。かもかも。

 ちょっとツンデレしてるかも?


File.2

 

 久し振りに重症を負った。

 

 私の武器は、名前と同じワルサーWA2000というセミオートマチック式のライフルだ。いや、私の名前がライフルと同じなのか。

 ライフル、つまり狙撃銃は、その名の通り狙撃に適した銃である。つまり、部隊の後方から味方の支援、及び敵部隊のリーダー格の狙撃を行う事が多い。そのため、負傷する事は前衛に比べれば遥かに少ない。だが、絶対が無いのが戦場であり、負傷する時はするのだ。

 

 今回の負傷は、敵ライフルに狙撃されて負ったものだ。前衛の援護に気を回し過ぎて、敵にもスナイパーが居ることを見逃していた。ただ、その結果真っ先に私が狙われ、前衛が狙撃される前に存在を知れたのは不幸中の幸運だろう。

 狙撃によって左腕を破壊された私は、スナイパーの存在と潜伏予想位置を隊員に伝え、皆に先立って撤退した。片腕での狙撃は精度が落ち、味方を撃つ可能性が高くなるからだ。狙撃できないライフルはただの足手まといでしかない。

 占領した飛行場に到着したとき、敵部隊の殲滅と、敵司令部制圧の報告が入った。無事に作戦が成功したことを知り、安堵の息を吐いた。その後、合流した味方と共にヘリで帰還した。

 問題は、帰還後に起きた。

 

 私は、損傷を修復する許可を貰うために、司令室へと向かっていた。隊長が先に報告をしているはずなので、すぐに許可が貰えると思っていた。

 だから、司令室に居るはずの指揮官がこちらに向かって走ってきたのを見て、驚いた。隊長の報告はいいのかとか、そんな事が頭に浮かんだ。

 

「ワルサー、大丈夫!?」

 

 額に汗を浮かべ、息を切らしているので、司令室から全速力で走ってきたらしい。

 大丈夫、と返事をする間もなく、彼女は捲し立てるように、痛くないかとか変に感じる場所はないかとか、そういったことを聞いてきた。

 マシンガンのように繰り出される言葉にロクに返事をすることも出来ず、涙を浮かべ私の指揮がなんちゃらと言い始めた辺りで、右腕で彼女を押し退けた。

 

「あのね、そう一気に聞かれても答えられるわけないでしょ!? 腕なら応急処置はしてあるし、修復すれば元通りよ。その許可を貰いたいのに喋らせて貰えないってどういうことよ!」

「あ、ご、ごめん……」

 

 途端に消沈する指揮官。言い過ぎたか、と思ったが、ここで言っておかないと後々更に酷いことが起きるかもしれないからと、心を鬼にして言葉を重ねる。

 

「それにね、"たかが"人形一つが腕無くしたくらいでピーピー騒ぐんじゃないわよ! 今回は私が油断したからだけど、戦闘がもっと激しくなれば損傷する人形だって多くなるわ。その度に貴女が騒いでたら、戦場に出てる人形にもっと被害が出ることになるのよ!?」

「ごめん、なさい……」

 

 でも。

 俯く彼女の口から、そんな言葉が溢れた。

 

「でも、またワルサーが寝たきりになったらって考えたら、私は、私のせいで、また、ワルサーが……」

 

 ごめんなさい、ごめんなさい。

 

 頬を濡らしながら謝り始めた指揮官をどうしたら良いのか分からず、助けを求めるように辺りを見回しても、誰も居なかった。

 だから、一度押し退けた彼女を右腕で抱き寄せた。涙が左肩を濡らした。

 

「……その、言い過ぎたわ。ごめんなさい。それと、この怪我は私の油断が招いたものよ。指揮官のせいじゃないわ。……その、」

 

 言葉が詰まる。これを言っていいのか、今言うべきなのか。そんな迷いが頭を駆け巡る。ただ、今言わないと、いつまでも言わないだろう。だからと、思い切ってその言葉を口に出した。

 

「……前に、貴女は私が強いって言ったけど、それは貴女の指揮が良いからよ。指揮が良いから、私は実力を発揮できる。だから、私が強く見えるの。私が強いのは、貴女が居るからよ」

 

 ピクリと、腕の中の指揮官が反応した。そのまま、少しの間だけ沈黙が続いて、

 

「……ありがとう」

 

 と、小さな声が聞こえた。

 

「わ、分かったならいいわ! そ、それじゃあ私は修復に行ってくるから、あ、貴女はちゃんと報告書を作っておくのよ!?」

 

 バッと指揮官を解放し、赤くなった顔を彼女から背ける。行ってらっしゃい、という声を背に受けながら、リペアルームへと足早に向かった。

 

 だから、彼女がどんな表情をしていたのか、私には見えなかった。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます。

 次話は未定です、書きたいです。
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