まず何を話そうか…そうだな、この話にしよう。かつて俺がガキだった頃、放課後にいつもT公園に行って友達と遊んでたんだよ。あそこにはとっても多くの思い出が詰まってる場所なんだぜ。怖い思い出がな。(ガキ大将とその一味に目をつけられて水をぶっかけらけまくったこととか沢山の羽が散り、カラスに負けた鳩の無残な死骸を見てしまったとかなっ……。)
まずは、俺がダチから聞いた、いやここで遊ぶ連中全員に流れていた噂だったな、その都市伝説とも呼べる話を一つ。
T公園には幽霊が存在する。果たして何故いるのか分からない。だがソイツは明らかに出会った人々に恐怖を間違いなく与えるだろう。
ある晩、パトロールも兼ねて交番の警官がたまたまT公園を見回っていたのだ。
真っ暗な夜に一人、警官は若干の恐怖と引き替えに狭いようで広い、まるで森のような公園を彼は歩き続けた。静寂な荒野、と言ってもいいだろう。深夜の公園には誰一人いない……いない____いない、いない,いない,いない,いない,いない,いない,いない,いない,いないっ………。
警官はただひたすらこの恐怖の空間の見回りを終わらせようと唱文を解くかのように心に唱え続けた。一歩、また一歩、出口のゴールに近づく度、何かがここにいるかのように感じた。怖いと思えば例え木の揺れも背後霊の足音に聞こえるかのように感じた。よくあることだろう、そういう時に限って敏感になる。だが、偶にそういう勘違いだけじゃない者が混じることもある。
ポンッポンッポンッポンッ……。
「!?」
何かが飛んだり跳んだりしてるような音がした。あわてて後ろ振り返る。いや、こっちからはしてないな…奥の遊具があるところが……。怖いけど…万一のこともある。行ってみなければ。
ポンッポンッポンッポンッ……。
ゆっくりと近づく度、その音は徐々に大きくなっていった。まぁ当然か。
遊具のところに着いた。多々ある遊具のど真ん中に10歳少年がいた。暗くてよく分からないが、ナニかを蹴っているようだ。ボールか?一人で自主練とは律儀なことだな。だが流石に親も心配するだろう。やはり俺の勘は当たっていたようだ、とりあえず話を聞いて、早く家に帰ってもらわなければ。トランシーバーを手に取って少年に声をかけようとした。しかしその判断は甘すぎた。
「ねぇ、君。夜遅くまでリフティングとは偉いな!」
「本当?ありがとう!僕、いつも練習してるんだけど…上手く出来なくて、それに家、貧乏だし…」
「それで夜中に、か」
「うん!そうなんだ!お巡りさんもやる?」
こんな良い少年もいるもんなんだな。
「確かにお巡りさんもやってみたいけど…もう遅いだろ?だから早く帰りぃ……!?」
彼は驚愕した。暗闇にも慣れてだんだん見えるようになってきた。彼の顔を見る。あるはずのモノがない。もう一度見る。やっぱりだ、なにかおかしい。
その時、彼の蹴っていたボールが警官の体に当たった。生暖かい。嘘、だろ……。
握っていたトランシーバーを離し、目の前に落ちたボールに向けてライトをつけた。
人の顔だ。しかも男の子の。おいおい、やけにリアルじゃないか……。
震えながらライトを少年の頭に向けた。
ない。首の上が…その先が…
「うぅっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
追うはずの警察が逃げるのもおかしくない。
真夜中に自分の生首でリフティングの練習をする少年に出会ったら。
二つ目だ。これは噂じゃなく、半分事実らしいから気をつけて読んでくれ。つっても一つ目程長い話じゃないがな。
ここのT公園に生首リフティング野郎がでた、という噂が広まったのは俺が小2の頃。クソガキな俺、小学校最初の親友である信頼できるOくん、無駄にうるさいSくん、それに引っ込み思案ながらゲーム好きなNくんの良くありそうな三馬鹿と共にこのT公園について調べていた。
それで結局、驚くべき発見が……ある筈もなく、結果的にショボいおもちゃぐらいしか見つからなかった。まぁ当然ながらなことで、それで普通は冷めるもんだけど…
なんか調べてるときって、なんとなくググってみたくなるよな。まぁ、この時代にググるやつがまだ無かった様な記憶があるが……。まぁそんなことはどうでもいい。
【T公園 歴史.検索】っと。
正直、安易に調べてはいけないものだなと学んだよ。
そこには、幽霊が出てきた証拠があった。かつて、ここ、T公園は昔、刑務所だったのだ。しかも、そこでそのまま一生を過ごした犯罪者もいるらしい。深い未練を持って。これがリフティング少年と何か関係があるかは当時の俺の脳では理解出来なかった。だが今でも、前者の噂より、後者の記録の方が恐怖を覚えるのは確かだ。供養されているとは言え、公園のすぐ近くには墓場もあるし。
だからそれ以降、俺は定期的にT公園で張り込んだ時に限って怨念のようなものを背後に感じたことが多々あった。嘘じゃないぜ?門限という怨念がな。
いかがだっただろうか。俺の少年時代の名スポット、T公園に伝わる噂と、とある事実は。
ぶっちゃけ、言うほどでは無かったな。
だが、こういうところも含めて俺はこのT公園はい良い思い出ばっかだ。悪くない。
まっ、本当に洒落にならないことが起こったのは、もう少し先の話だがな。
その件についてはまた今度話そうと思う。
また今度、久しぶりにT公園に行ってみようかな。
おっと、失敬失敬。では、次のお話でまたお会いしましょう。