いつだろう。うんと昔のことだからな。おぼろげな記憶だが、恐らく奈々似神社の後に見た記憶がある。
気が付いたら俺はあのT公園にいた。とりあえず前に一歩進んでみる。
しかし体が動かない。
このトリックは簡単なことで、夢を見ているということなのだが、この時はご覧の通りフィクションを信じる小学生な俺なので、残念ながら夢だと気付けなかった。
もしここで夢だと気付ければ事態はなんとかなったかもしれないだろうよ……
T公園の様子は、これはまぁ溜息がつくほどいつもの連中が遊んでいて、当然ながら俺の友達も遊んでいたよ。
しかしその数分後、何事も無かったかのように思われていたT公園から、いつの間にかここは燃え盛る火の森林と化してしまっていたのだ…。
ヤバイ…死ぬ…俺は一目散に逃げた。逃げに逃げ、やっとのことさで公園の外に出た。ふぅと一安心…出来るわけがなかった。俺の周りにも逃げ切った人が安心しながら様子を見ているが、そこには俺の二人の友達だけはいなかった。
自分だけ一人逃げた罪悪感から、俺は逃げた道を戻り、その二人、前回も登場したK君と小学校に入学した時、一番最初に親友となった心の優しいO君を助ける為にがむしゃらに走った。
しかし、それこそが最大の罪悪だったのだ。
二人を助けに来て見た光景…それは、なんと心優しいはずのO君が、K君を盾にして炎から逃れ、一人公園から逃げ切っていたのだ。
Oが友達を犠牲に…?
嘘だろ…?
おい、K!
大丈夫か!!
早く立って逃げっ……
その時間帯は突然消失し、気がつくと俺は何事も無く、小学校に登校している最中だった。
夢ってのは、直ぐに忘れるものだ、俺はさっきまでの事をすっかり忘れていた。
学校に着く。今日もまた友達と会って一杯遊ぼう。靴を上履きに履き替え、校舎をダッシュで駆け抜け教室に着く。
俺のいつもの座席。横のフックにランドセルをかける。隣の席を見るが、なにかおかしい。そこにはあるはずの親友・K君の机が無かった。
「おい、なんでKの机が無いんだよ!」
すると一人が児童の答える。
「忘れたの?昨日の火事のこと。Kは火事に逃げ遅れて亡くなったんだよ。」
Kが死んだ…?
記憶を必死に辿る。そんなわけ…そんなわけ…しかし、あの時のO君の行動が無情にも脳裡をよぎる。そう、だったな…。T公園、燃えたんだっけ……………
目を開ける。暗いな。しかも横になっている。寝てるのか?俺も火事の犠牲に?いや、ここは病院じゃねぇ、家の寝室か?そうか、ここは俺の家。ってあれは夢かぁ!?
翌日、夢で安心したような、しかしなんかモヤモヤしながらいつも通り、朝御飯を食べる。そして今日の新聞を確認したが、やはりというか当然というか、公園が火事になったという記事らしい記事は何一つ無かった。
安心しながら登校をし、いつも通り、学校に着く。今日もまた友達と会って一杯遊ぼう。靴を上履きに履き替え、校舎をダッシュで駆け抜け教室に着く。
俺のいつもの座席。横のフックにランドセルをかける。隣の席を見るが、なにかおかしい。そこにはいつも俺より先に登校しているはずの親友・K君の姿は無かった。
「おい…、なんでKがまだ来てねんだよ…」
すると一人が児童の答える。
「あー今日K君休みだって。隣のクラスの子が連絡しに来てた。急に高熱に侵されてるんだってさ」
高熱………?熱い……?火……?炎………?火事………?
心のもやが理解できた。これ、50%は正夢じゃんかよ……。
その日の放課後の出来事である。T公園で、ガキ大将気取りのお調子者、Rが新聞や木の枝を地面にばら撒き、親からパクったライターを使って、燃やしまくった為に、ある意味公園は火事になった。小さな火事だったが。すぐに大人が駆けつけて消火してくれて本当に良かったもんだ。
それから3年以上後のこと。小学校の連中全員が揃いに揃って近くの中学校に入学した。
その日から心優しいO君の性格は他人を盾にして自分だけがいい思いをするような、自己中心的な人間へと変貌していた。
Oは入学してすぐさま俺やK君らとは縁を切り、ずっと仲直りする事が叶わぬまま、俺達は大人へとなってしまった。
たった一つの夢で、後戻りすることが出来なくなる事態へと発展してしまった。そこには善意も悪意も無い。では、一体どうすれば良かったんだろう?今からどうすれば良いのだろう?もう今ではあまり笑えない思い出となっている。そこで聞きたい、そうお前だよ。
夢を見るって良いことか?
俺にはそんなもん見て現実逃避する暇会ったらさっさと寝て脳を休めてやれって話だと思うが、今の読者には共感出来るだろうね。
それではまた次のお話でお会いしましょう。