時は進み中学一年生の頃。俺達は●●県にて修学旅行でスキー合宿に参加したのだが……。
どうやらこのスキー場、どうやら洒落にならない曰く付きだったみたいだ。
その日、俺たちは貸切バスに乗って合宿場へと向かっていた。
事件は、この時点で既に始まっていた。
俺がいた中学のクラスはみんな体が強く、健康体そのものなクラスであり、他クラスがインフルで行けなくなっても俺達全員は平然として合宿に行けたんだ。
俺の隣の席の一名を除いて。
そいつ、Iは、俺と同じ部活で、嫌味をよく言うが、何だかんだ言って共に同行してくれる俺の親友の一人でもあった。
そんなIがまさか欠席するとは夢にでも思ったことは無かった。
なんせ前日まで学校で楽しく話してたんだぜ?そりゃあ誰だってビビるわ。
後から分かった話になるのだが、Iは誰からかもらってきたのか、インフルエンザにかかっていやがった。
馬鹿どもがスキーすらもまだ始まっていないのに揃いに揃ってどんちゃん騒ぎをしている中、俺は微かに嫌な空気を感じていた。隣が隣だっただけに、ちょいとばかりいやーな予感がしてたんだ。
まぁ結果的には行きは何も起こらずに無事に宿泊先についたのだが、問題はまだ山積みのままだった。スキーのグループ班に分かれて、専属コーチどもと共に愉快なスキーをするのだが、なにかがおかしい。
俺の知らない奴が一人いる。
確かにここで初めて出会った輩もいたが、そんなんじゃねぇ。最初はそこにいなかった筈なんだが…。
「都市伝説?」
「ああ、ほら、最近さー物騒な地震に放射線と寒い地方は色々あるだろ?
この雪山にもワンチャンなんかあるかも知れねぇって、どーゆー山かググってたんだけどよぉ、コイツがヤベェもんなんだよ」
「おいマジかよ!」
俺はスキーのリフトで移動の最中に、同じ班で友人になったK(小学校編にいた奴ではない……筈)と都市伝説やらなんらで盛り上がっていた。最初は某モンスターコレクトゲーム、それがやがてリアリティを増してこの話題になったのだ。
一方、ボロけたアナウンス音からは鯉ダンスやらなんやらで話題になった奴が引っ張りだこなのか、そいつの歌が意味ワカンねぇほど流れていたが、俺らの話題には一切流れなかったって訳さ。
Kがその全貌を語り出す。
「少し昔の話なんだが、この雪山で遭難して行方不明になった少年がいた。そのガキを探そうとレスキュー隊と村の人々は躍起になったがその行為も虚しく結局は見つからなかった。だがしかし、行方不明になってから2年、とうとうそいつの親は病気でくたばり、人々も徐々に捜索を諦め始めて、とうとうガキが今も生存している確率は完全に死んだ。奴に好かれた人間の集団の中に混じってひっそりと元の家に辿り付こうって話だ。」
「いかにも、って感じだな。まっ、俺らにソレがつかねぇことを祈るばかりだな」
「そうだな。おっ、そろそろ降りるぞ、しくじるなよ」
リフトの降り場が見えてきた。小さなスキー場の為、スタッフの一手は足りんようだからな、しっかり降りなければ。
その時だった。
動けねぇ。
体が誰かに引っ張られてるみたいだ。
まさか、まさかな……足がすくんでるだけだろ。
くっそぉおおお!!
体よ動けぇぇぇえええ!!!
「痛てっ!!」
「おーい……ミスんなって言ったろ……俺までズッコケタじゃねぇか……」
「悪りぃ悪りぃ……ははは」
ギリギリのところで身体が動いたことで、K共々ぶっ転びを犠牲に、なんとか帰りのリフトを乗らずに済んだ。
立ち上がって背後を見る。
まさか、まさかな………。
その後、なにかがいるような気配がしつつも、なにも起きずに本日のスキーが終了し、部屋に帰ってきた時である。
「なん………だと………」
俺の部屋内には8人がいたんだが、5人に減っていた。
聞けばIからもらったインフルエンザが発症しちまったようだ。。
しかも恐ろしいことに、保健部屋行きを宣告された3人は、バスで騒いでいたトップ3だ。
こいつはぁ帰りが怖いな。
一応他の班も確認したが、それなりに脱落者が続出しつつも、他クラスは一切インフルで激減したような様子は微塵もなく、どうやら俺らのクラスで突然インフルエンザが流行りだしたみたいだ。タイミング悪過ぎだな。
翌日、スキー二日目。
やはり奴はそこにいた。
目では見えなくても、感じる。
きっと都市伝説のガキだ。
奴は俺の背後にいる。都市伝説通りに元の場所に帰るために俺らを利用しようそしてるのか、はたまた俺の背後霊になりたいのか知らんが、どっちにしろ俺にとってメリットは無い。
だが後ろを見ては行けない気がする。
奴にも気付かれないようにしなければ。
このスキー場で最も高い雪山。
「いぇえええええい!!」
皆爽快に滑りながら、俺だけは背後霊のお陰で重量オーバーとなって板がスノーブーツが外れる寸前でとても楽しめているとは言えなかった。
これは割とやばい。
やばいって………言ってんだろうがあああああ!!!!
俺は後ろを見てしまった。
そこには、筋肉と血でも吸い取られたのかの如くガリ痩せた人とは思えないちんちくりんな物体がボヤけながら俺の板にのっかっていた。
「ソレ」と目が合ってしまう。
「おい!大丈夫か!?」
「なんとか……な」
そいつ気付かれた俺は凄い勢いで突き落とされた。
板が外れ何十回も回転しながら下落し、転びに転び、身体中に雪がまとわりつくのを体で覚えながら、舗装されてないルートのところに落ちる寸前のところで止まった。それに気付いた班員とコーチが気付いて駆けつけてくれたことにより事なきを得た。
これ以降、奴はもう現れなかった。
帰り道。バス内にいたクラスのメンバーは半分以上も減っていた。
なんとそいつら全員インフルエンザにかかり、保護者と共に先に帰っていったのだ。
事が事だけに重い空気の中で、何故か担任が持っていたDVD「映画ドラ●もんの●太の海底鬼岩城」をバス内で見ることになった。しかしこれが割と面白く、最終的には涙あり笑いありの応援上映と化してある意味盛り上がったので良い合宿になったってことにするか。
いかがだったろうが。皆さんも、スキー場に行き、何か気配を感じたら、何があっても決して後ろを見ないようにしていただきたい。え、何故かって?だっせ、少年はまだ雪山に潜み続けているからな。
それではまたお会いしましょう。