地獄ノ星ノ使者   作:地獄星バロー

9 / 10
この物語のタイトルがなんでこんなのか、正直俺にもよく分かってない。ぶっちゃけ適当につけたからな。そして、ぶっちゃけネタ切れし始めた。だからタイトル回収してみようと思う。完全にフィクションになるけど。


ソノ九・地獄ノ星ノ使者

誰だよ、お前。

 

 

ソイツは、俺の肩に手を置いてこう言った。

 

 

「……嫌ですねぇ。私達、ずっとずっと一緒にいたじゃないですか」

 

 

知るもんか。俺はアンタの本当の顔なんて今まで一度も見たこと無い。重ねて言うが、今まで一度もな。

 

 

「はぁ……いい加減認めたらどうです?私は18年前からずっとあなたを見てきた。そして私は、あなたのことが好きだ。それはあなたも同じでしょう?」

 

うるせぇ。お前なんかから告白されても嬉しくねぇんだよ。俺は童貞でもラノベ主人公でも日常に退屈している馬鹿でも無い、只のナウでヤングな大学生さんだ。こんなことなど求めたことすらねえぜ。

 

「相変わらずあなたは素直じゃ無いですね。これをツンデレと言うのでしたっけ。ふふっ、いい加減交じりましょうよ、1つに」

 

この物語がR-15指定だからって思い出しかのようにそっちのネタを連発するんじゃねぇ。そもそも俺は彼女もいるしお前なんかとは初めから脈無しだ。とっとと消え失せてくれ。

 

「全く……、相変わらずですね。あなたって人は。だからまた陥れたくなっちゃいますよ。コワイめに」

 

 

そこまでソイツは言って。俺のカラダを素早く奪いとり、我がものにしようと激しく襲いかかってくる。必死に抵抗するが、すぐに意識が薄れていく。くそっ。こんな奴に目をつけられたのが辛い。しかもここまでめんどくさい奴だと知ってさえいれば、あの時の俺もそんなことはしなかっただろうよ。そして何より一番辛かったのは、この犯されるような感覚にかすかな快感を覚え始めてしまったとこだ。

 

 

 

 

 

 

 

あれから何年か経った俺はシャボン玉が割れる早さの高校生活をおくり、世界で一人だけのありきたりな彼女も出来て、いよいよ社会人という階級へと昇格する。就職活動にご無沙汰しており、就活生として数ヶ月間走り回っていた。無論、俺の社蓄前夜祭ライフにも貴重な私生活にも、霊感や怪奇現象どもが焼きもちして恐怖をギフトしに来ることもなくなった。実はあれは幽霊の正体見たり枯れ尾花なんだと思うようにまであったし、そんなことよりも今は面接、夜も試験勉強、朝もバイト……、そんな感じに思考回路がまともに働かなくなるほど内定に飢えている日々を過ごしている。とは言え、流石に癒しって奴は必要だから最低でも週一は彼女さんとは会って癒されている訳だが。

 

 

最近、俺の私生活に何かおかしい。

 

 

 

例えば、俺は家に帰り明日の面接支度してフカフカベッドにダイブした七時間後。

 

 

朝起きたら、俺は椅子で寝ていた。

 

LINEで彼女や両親に訪ねてみても心当たり無し。無論彼等が入った様子は微塵もないし、扉はしっかりと鍵かけていた。

夢遊病なんかかかった覚えもないし、幽体離脱とは状況が違う。

 

にも関わらずだ、開いていたパソコンには俺が全くもって興味の無い代物を調べていたり何かを制作していたりした形跡があった。

 

 

これだけじゃ無い。

 

俺がサークル仲間達と共に飲みに帰る時だって、酔っ払ってもないのに、俺は普段とは性格が全然違うと証言しているのだ。俺は酒に強く、意識はぼやけても飛んでもいないはずだ。だから何も変わって無いと思うんだが。

 

 

 

 

 

とまぁ、何やら不思議なことになっているのだが、1つや2つぐらい分からないことがあっても良いだろ。俺はそう思って今日もマンションの扉を開けて面接に向かおうとした。

 

 

 

 

「やっと……会えましたね。この姿で会うのはあの日以来でしょうか」

 

目の前には訳の分からないことを言ってきた赤い靴を履いた少女がいた。

 

俺のことじゃないだろ。俺はソイツをスラリと避けて見なかったことにしようとした。

 

 

「酷いですね、無視するなんて。輝道(きどう)さん」

 

その瞬間、俺は膠着した。何故なら輝道とは、俺の苗字だからだ。

 

いや待て、コイツが俺の表札かポストを見ただけかもしれねぇ。

 

だが俺に何か聞きたいことがあるのは事実らしいな。

 

「ど、どうしたのお嬢ちゃん……僕に何か用かな?」

 

「輝道さん。私達、ようやくなれるんですね。私は嬉しいです」

 

「はぁ?何のことを」

 

「やっぱり忘れてるんですね。私のことを」

 

「だから、何のことを言っているのか……良いから君は早く学校に行ったほうが……!?」

 

俺はこの少女を管理人に連れてってやろうと手を繋ごうとした。

 

しかし繋げなかった。彼女は透けている。

 

 

彼女は透明だったのだ。

 

すり抜けて転びかけたことに動揺し、俺は彼女の方を振り向く。

 

「ゆっ……幽霊!?」

 

「多分違いますよ。私はずっとずっとあなたと共にいました」

 

「知らねぇよ、お前なんか……」

 

「それもそうでしょう。何故なら私はあなたの中にいるからです。それも初めて会った時からあなたの記憶を消して、ね?」

 

何を話しているんだ。訳がわからない。

 

それに……。

 

「悪いが帰ってからにしてくれ。俺は会社があるんだ」

 

「仕方ないですね……じゃあ、よろしくお願いしますよ。出ないとあなたをまた乗っ取っちゃいますからね? 輝道…央義(おうぎ)くん」

 

乗っ取った? まさかコイツが俺をおかしくした元凶か?

 

だが一番俺が驚いたのは、秘密主義を徹底し、身内と彼女と親友を除く、今まで出会ってきた殆どが知らないだろう俺の下の名前をコイツが知っていたことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。……おい、いるんだろ」

 

 

「はい、待っていました」

 

そう言うとどこからかガラスが割れる逆再生のように赤い靴の少女が目の前に現れる。

 

俺は読者達の知っての通り、沢山の怪奇現象を味わってきたおかげなのか、不思議と驚きはしなかった。

 

「……説明してもらおうか。幽霊ちゃん」

 

「一応私、幽霊では無いと言ったのですがね……私のことは、こう呼んでください、『地獄ノ星ノ使者』と」

 

「地獄ノ星ノ使者?……じゃあお前は宇宙人だってう言うのか?」

 

まずいな。急にジャンルがホラーからSFに変わりやがった。

 

「そうかもしれませんし、違うかもしれません」

 

「はぁ?」

 

「だってほらぁ、八百万の神かもしれませんし、はたまた輝道君の言う通り幽霊だったりするかもしれません。はたまとりあえず話を進めましょう。全ての出会いは、今から18年前。即ち央義くんが幼稚園児の年長さんの頃ですね」

 

てか、彼女じゃねえんだから下で呼ぶのはやめろ。

 

「私にはかつての記憶がございません。分かることは私が『地獄ノ星ノ使者』であることと、気が付いた時、とにかく命が枯れ果てそうだったこと。瀕死の重症だった私を救ってくれたのは、誰であろう央義くんです」

 

いや待て、俺にはそんな覚えは微塵も無いぜ。

 

「話は最後まで聞いてください、央義くんはその時、私を体の中に入れて、私と同化が始まったんです」

 

おいおい、昔の俺はアグレッシブだな。で、ドッキリ大成功はまだか?

 

「残念ながらドッキリではありません。記憶上、私の種族法律では、文明が発展途上の知的生命体には、その文明を遥かに凌駕するデータや物質、そして我々の存在を下手に確認させてはいけない……そういう決まりがあるんです」

 

決まり。

 

「そう、その決まりを私は守らなけれなならない。だから私は央義くんの体の中で、私との出会いの記憶を消した。だけど、それによって央義くんの体内は無自覚に私という存在との同化を拒否したのです」

 

はぁ。それで、俺がお前との出会いを覚えていないと。

 

「その結果、央義くんには悲劇が訪れてしまいました。私が体内に入ってしまった以上、私は抜け出す事も出来ませんし、私の心は助けてくれた頃からずっと央義くんに奪われたのと同じ。けれどもあなたは無自覚にそれを拒否し、悪しきウイルスを体内の白血球やらキラーT細胞やらが外に追い出そうと戦った結果、人間が高熱を出すように、私を追い出そうとした結果、不可思議な事件に次々と遭遇するようになりました」

 

 

おい……、それって。

 

忘れはしない。

 

夜の公園伝説。

 

呪われた女の住む神社。

 

炎の夢。

 

花子さんの逆鱗。

 

ピンポンダッシュ回避。

 

雪山に潜み続ける少年。

 

宿場の人形。

 

終わりなきエンドゲーム。

 

 

「それら全てがお前を受け入れなかった俺の仕業ってことなのか!?」

 

「最後のはちょっと違うと思いますが……。そういう事です。全ては繋がっていた。私を受け入れようとしなかったから。でも、私と今こうして再開することが出来た」

 

それで最近俺が知らない間におかしくなり始めてた訳か。

待てよ、もしこいつが言う通りなら、俺はコイツを受け入れたことになる。

 

そうか、高一のあの日の時のせいでか。

 

「そう、央義くんはあの悲しい命の物語を通して、怪奇現象への価値観を変えた。それは即ち私という怪異を受け入れたということ。拒否ではなく、私の同化に。あなたの細胞は、ようやく私の存在を仲間だと判断してしまった。そして、長い間、同化をし続けて、ようやく一つになった」

 

つまり……今のお前は……。

 

「これから長く、よろしくお願いしますよ? ここまで来たのは、あなたのせいなんですから」

 

おいおい、待ってくれよ。今更こんなこと言われても。

じゃあ俺は、お前と一生くっついてなきゃいけないのかよ?

 

「安心してください。私の意識があなたが寝ている時にあなたを乗っ取るぐらいしかしません。私だって地球に18年間もいました。考えはいくらでも変わります。私はこの文明でやりたいことが沢山出来たんですから。それに、私と同化してるってことは、私のウルトラミステリアスパワーも使えますよ?」

 

そういう問題じゃねぇ。俺はもうただの人間じゃ無いってことなんだろ? ふざけんな! さっさと出てけ!

 

「‪――‬嫌ですねぇ。私達、ずっとずっと一緒にいたじゃないですか」

 

 

 

こうして俺は、この日から地獄ノ星ノ使者と名乗る謎の存在に体を貸して暮らしていくことになった。

 

全ての怪奇現象の謎が解き明かされたはずなのに、何かモヤモヤするぜ。

 

でも、実はこんな変な生活は正直嫌いじゃなかった。

 

きっとこれから死ぬまでずっと、大変な生活が待ち受けているだろう。

だけど、俺は乗り越えられると信じたい。

 




いかがだっただろうか。
これが全ての真実だ。世の中、不思議なこともあるもんだな。
実質これが最終回だが、まだ一つ語っていないことがある。

俺が怪奇現象を受け入れるようになった高一のあの日。
それでは、また会いましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。