星花女子プロジェクト   作:煉音

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星花女子プロジェクト5期 初参加作品になります。

よろしければ読んでってください!

まだお名前を出していませんが、お借りいたします娘様は小説家になろうで執筆されていますベニカ様のものです!
https://mypage.syosetu.com/670365/ ←ベニカ様のなろうページです。


まだ知らない君の音
禁断の果実完売


 高等部に入ってから変なんに絡まれるようになった。

 

「ねぇねぇ、そろそろ教えてよぉ。そしてりっちゃんに相談しおーよぉ」

 

 一人、このちっこいのや。名前は榛東葎っちゅう5組の子で、誰とでも話せるちょっちしつこいやつやけど、なかなかに友達思いな憎めへんやつや。

 

「なんべん聞いても答えへんで、そんなんより君、最近ここに来すぎちゃうか?部活はどうしたんや」

 

 横目に少し睨みつけて聞くとちびっ子はプイっとそっぽを向いた。

 

「ちょ、ちょっとやることがあるからいいんだもん」

 

 近頃このちびっ子のお尋ね度合いが増えてる。ある時はいつものお喋りさんはどこ行ったんか、と聞きたくなるぐらい黙って考えとるときもある。そういえば最近うちのルームメイトの一ノ瀬によぉ絡んでるの見かけるな。まぁちびっ子のことやさかいそうなんやろな。

 

「ほぉそうけ。やったらうちんとこでだべってるって部長あたりにチクったろか」

「ちょ、タンマ!タンマ!わかった、わかったからもう聞かないから、ね?告げ口とかやめよ?ね?ね?」

 

 うちの一言ですぐに焦った笑顔で答えた。

 

「はぁ.......君が他人のために頭使うんはええことや思うけど、あんまり干渉しすぎんのはよぉないと思うで?辛くなるんは自分も他人も一緒なんやからな」

「ありゃ、せんちゃんにはかなわないなぁ。でも、これは私のことだから気にしないでね」

 

 葎は笑顔を緩めて少し微笑みながら、ありがとうっと付け足す。いつもよりちょっとぎこちない笑顔なんに気づけたんは今回が初めてやな。

 

「あはは、気になる人のこと、話したくなったら言ってねー」

 

 肩をポンとたたいて葎はトテトテと部屋を出て行ってしまった。

 

「ほんま変なやつやな」

 

 楽器を構え直し、ゆっくりと息を吸った。葎の言う通り、気になってる人はおる。正直なんであんなんを気にしとんのかようわからへん。

 

 最近の楽しみの一つにパックジュースを買うんにはまっとって、あの日も練習帰りにジュースを買ったときやったかな。ちょうどアップルジュースがうちで売り切れた。まぁ、そんなんよぉあることやし気にせず帰ろうとしたわけやけど、少し帰路を進んだときにドンと音が響いたんやな。

 

 振り返れば自販機前でうずくまる人が一人。まだ初夏の夕方やし明るいこともあって姿もよう見えたから覚えとる。真っ黒なマントを羽織った黒い髪の長いやっちゃ。

 

 正直気色悪い気もしたけど、体調不良とかやったら放っとくんは悪いし声だけかけたわけやけど.......。

 

「なぁあんた?大丈「エデンの果実がぁぁぁぁ!!」」

 

 なんやこの人。

 

「痛い!?」

「心配して損しよったわ」

 

 その頭に一発だけお見舞いしたった。そんな力入ってないから痛ないと思うねんけど。

 

「い、いきなり殴るなんて!?」

「もう一発いれよか」

「ま、待って待って謝るから、驚かせてごめんって!」

 

 立ち上がったその人をよう見ると、紫色の校章の刺繍が入っとる。一つ上の学年かいな。しかも二重の目立つ美人さんや。それより、演劇部か?にしても部活動中でもないのに役やっとるんかいな。

 

「ほれ」

「え?いいの?」

「殴ったんは悪かったわ」

「あ、ありがと!あ、おかね」

 

 アップルジュースを押し付けそのまま走り去った。さすがに先輩なんはわからんかったし、いきなり殴ったんもあるし顔も合わせづらい。あんまりいざこざは好きとちゃうねん。黙って受け取っといてくれや。

 

 一瞬の出来事やったけどアレからなぜかあの先輩のこと考えとる。うちの思い過ごしやったらええんやけど、もし役者としてあそこにおったんならうちもあれくらい入れ込んで音楽をしてみたいわ。

 

「はぁ.......」

 

 また音がハズれ楽器を下ろす。ここ最近の調子は最悪や。数少ない友人である葎の助けも断って何してんねんやろ。

 

「せんちゃん」

「......なんや」

 

 耳元で囁かれた声に内心ドキッとしてもうたわ。

 

「もうちょい前置きを置いて出てきてくれるか?」

「ごめんごめん。それよりお客さんだよ?せんちゃんくらい髪が長いおっきな二重の人!」

「なんやて?」

 

 その一言に心臓が高鳴ったんは否定できんかった。

 

ーー

 

「なんやて?」

「だぁかぁらぁー二重で泣きぼくろのある髪の長い2年生が探してるんだってば!てか、前で待たせてるし!」

 

 三回目の聞き返しに葎は頬を膨らませて、大振りに身振りしながら言った。さすがに、葎がいくら悪戯好きでちびっ子でも、ここまで詳細な情報持っての嘘は言わんやろし。葎の言っていることが本当だとすれば、おそらくあの先輩しかおらんはずや。

 

「なぁ君、ほんまにそれうちに用ある人なんか?ここが女子高やっての忘れとらんよな?」

 

 一瞬キョトンとして目を丸くした葎は、うちを上から下に吟味し目を見開いたまま首をかしげる。

 

「つり目で強い口調に容赦なく手を出せる楽器ケースを持った一年生って他にいるの?」

「......」

 

その情報は確かに、ここやとうちが最有力候補か。あんの先輩はそこまでしっかり覚えとるんか。少なくとも手と口が出やすいのは1人おるけど、楽器ケースまではいかんな。失敗したな。

 

「そ、そうけ。確かにうちなのかもしれんけど、うちは心覚えないわ。悪いけどその人には人違いって伝えてもらえんか?」

「イ・ヤ・ダ」

「なんやと?」

 

楽器を構えたまま葎を横目で見れば、夕日に照らされたその顔は今までに見たことがないくらい楽しそうで......そして何よりも......いたずらっぽかった。

 

 

 

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