星花女子プロジェクト 作:煉音
次回はもう少し早くあげられることを祈るにゃ......。
「ようやく見つけたぞ!終焉を報せし奏者よ!」
言葉を遮り華麗に登場したそれはビシッとうちを指差し言い放った。一瞬のことに葎も驚いたのか目を見開いて振り返ってる。
葎が連れてきた人は、確かにあの時うちが叩いた人や。やけど今はそんなことどうでもええわ。二度もうちの勇気を出した行動を遮ったこの人には、もう一回ガツンとやってやらんと気がおさまらん。込み上げた怒りに勢いよく立ち上がり、大股で先輩に詰め寄る。
「きみは!なにやったんかわかってんのか!」
「え、あ、ちょ待って待ってさすがにそれは痛いから!」
咄嗟に肩を抑えられて振り上げかけた腕が止まる。うちとしたことが、怒りで我を忘れるなんて……き、きをつけな。
「あ……す、すまん。うちとしたことが……」
「き、きにしないでいいわ。まだ殴られてないし……」
「……」
「……」
また危害を加えそうになった事に気まずくなり、無意識に顔を下げてしまう。怒ってはないみたいやけど上げづらい……。
「ね、ねぇ?怒ってないからさ、ほら落ち着いて、ね?深呼吸深呼吸……」
そう言って大げさに息を吸って吐く動作をする。どっちが落ち着いてないのかいまいちわからんな。
「落ち着くのはきみの方や。堂々と出てきておきながら、なに今になってテンパってんねん」
バタバタとした一瞬のやりとりに呆れ、顔を上げると少し焦った顔の先輩と、その後ろで笑いを堪えているのかプックリと膨れている葎が目に入る。うちの目線に気がつき、微笑み直して「ごゆっくりー」と言わんばかりにゆっくりと去っていった。
結局葎にはお礼の言葉は言えんかった。しかもあん時の人に見つかった。まぁ、見つかるんも時間の問題やったか。なにより葎がくれた機会やあの娘の親切を無下にしたあかんな。
肺に溜まったうっとうしい息を吐き、件の人の顔に目線を移す。右目に泣きぼくろのある二重の美人さんやな。この間は焦っとったから気付かんかったけど、あんまり背変わらんのか。ちょい親近感湧くな。
「この間といい、殴ったり怒鳴ったり悪いことしたな。ごめん」
素直な言葉が出た事に内心驚きつつ先輩から一歩下がる。ポーズまでしっかり決めとったんに、うちが詰めただけで縮こまるとこ見ると、近い距離感には慣れてないのかもな。
「この前のはあたしに非があるんだし気にしないでいいわ!あ、それよりこれ返しておくわ。ジュースありがとう」
そう言いつつ数枚の硬貨を渡される。
「あぁ……どういたしまして?やな」
感謝の言葉も感謝に対する対応の言葉も、久しぶりなせいで少しぎこちない。ちょっともどかしい。
「えっと……なんて呼べばいい?」
「……?……あ、そやったな。うちの名前は淀巳鮮花や。まぁ、君の好きなように呼び。きみは?」
「あたしは城ヶ崎い……」
名前を言いかけて固まった先輩に自然と首を傾げる。少し胸を張ってシャキッとした顔のまま固まってるのはなんというか少し面白いもんがあるな。
「どうしたんや?」
「ごめん、名前聞いても笑わないでね?」
「はぁ……」
また少し縮こまって心配そうに言う。笑えてしまう名前なんか?
「城ヶ崎依衣子……」
笑える名前?なんか?別に変でもないし……まぁ本人が気にしてんねんやったら一応気をつけとくか。
「わかった。よろしくな城ヶ崎先輩?」
「……あ、えっと……よろしく淀巳さん?」
予想していた反応と違ったのか、怪訝そうな顔を浮かべたままそう言ったのだった。