星花女子プロジェクト   作:煉音

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前回投稿からだいぶ時間が空いてしまいましたが、
すぐに速度が戻るかはわかりませんが、
可能なかぎりまた投稿していきます。

今回は星花女子5期の改定版となります。
前回の投稿分もしばらく残しますが、
メインストーリーについて大幅に改定いれてます。
よろしくお願いします。


改1

 授業が終わって少し経った放課後の教室、先ほどまでの喧噪は消え、響くは声援や楽器の音色だけだ。そんなどこにでもある教室の一角、二つの影が揺れ動いていた。

 そのうちの小さな影がピョコピョコと飛び跳ねながら可愛らしい声をあげる。

 

「ねぇねぇ、そろそろ話そ?そしてりっちゃんに相談しよーよぉ」

 

 机に身を乗り出し相手にそう迫る高校生にしては小さい女の子は、この星花女子学園高等部の一年生で最も低い身長の持ち主、榛東葎だ。

 

「何度聞いてもおんなじよ、いても言わへんよ」

 

 そんな彼女に絶賛構われ中なのは、方言の混じる言葉遣いに一本結びの少し長い髪の切れ長の目の女性。その手にはキラキラと夕日を反射して輝くホルンを持つ、淀巳鮮花だ。少し眠たげに細めた目で葎を見据え毅然とした態度を保っている。

 西の訛りある言葉は慣れない者が聞けば黙ってしまうが、入学間もないころから今のように放課後構いに来ている葎は慣れない者ではなかった。

 

「…」

「…」

 

 葎は鮮花に期待の笑顔で眼差しを向け見つめる。現在鮮花は葎に『気になる人がいそうです!今日はそんな顔をしている気がします!』という謎の疑問を一方的に吹っかけられ、あの手この手で聞きだそうとされている最中だ。

 ただ鮮花も最近ようやく彼女の扱いがわかってきていた。一度ゆっくりとまばたきをすると、少し息を吸い鮮花は言った。

 

「自分、最近よう来てはるけど、部活どーしたん?」

 

 その言葉に葎は明らかなほどに目をそらした。鮮花は内心で予想通りと悪い笑顔を作る。

 

「ちょ、ちょっと、やることがあるからいいんだもん」

「ほぉ、ほな部長あたりにうちんとこで駄弁ってることが知れてもええねんな」

「ちょ、タンマタンマ!!わか、わかったからもう聞かないから、ね?告げ口とかやめよ?ね?ね?」

 

 ぎこちない笑顔で早口に葎は答えた。その後下唇を軽く噛む。

 葎が放課後鮮花の練習部屋としている教室に来るのは、すでに慣れたものだ。ただその頻度は以前は1週間に1、2回程度だったものが、ここ最近は4、5回程度絶対来ている。いつもなら隣で時々喋りながら音を聞いているだけなのだが、ここ最近は少し離れたところで紙に図形や矢印を書いたり、どこを見つめるべもなく何か考え事に没頭していたりして、鮮花としては葎の行動は少し心配ものだ。

 ただ、鮮花には彼女が何に悩んでいるのか、確証はないがなんとなくアテがある。

 

「葎、何に悩んどるかわからんけど、難しかったら頼ってよ?」

 

 その言葉に葎は目を見開いて鮮花を見つめた。葎の表情に一瞬鮮花は戸惑ったが、自身の発した言葉を反芻し何か変だっただろうかと思いながらも、首をかしげて葎に、何?と問う。

 

「あ、いや。優しいこと言ってくれるんだって意外に思っちゃって」

「ぷっ」

 

 葎の返事に鮮花は少し吹き出した。葎が笑顔になるのにつられて鮮花も口角をあげる。自然と右手で隠そうとしてしまうのは癖だからか。

 

「うちのことなんやおもてんねん。……ほんま」

 

 手でくぐもる声の音が上がる。葎の評価は鮮花にとっては嬉しかったからだ。

 

「せんちゃんのことまた少し知れたなぁって。ありがとう。まだ話せないけど、話せるようになったらその時はお願いする」

 

 葎は立ち上がりつつ、鮮花に笑顔を送る。鮮花はその笑顔が今まで見たものの中で最も自然だと感じた。期待の顔から困った顔そして笑顔と、二転三転するその表情の柔軟さに鮮花は正直感動していた。それは自身ができないと確信していることの一つだからだ。

 

「じゃ、もう行くね」

「ん」

「気になる人のこと、話したくなったら教えてねー」

「いればやなぁ」

 

 扉に隠れて見えなくなる葎の背中は楽しそうで、ここ最近感じていた心配を感じさせなかった。葎の姿が見えなくなり、静かになった教室には外から聞こえる運動部の声援と薄く響く金管楽器の音だけが残った。鮮花はいつものように譜面に視線を落とし練習へと切り替えようとする。しかしうまくいかない。

 葎の予想は当たっていた。とある人物のことが頭から離れず、練習に身が入りきらない状態が続くようになっている。しかもその意識は葎が鋭いこともあって一層強くなっていた。

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