星花女子プロジェクト 作:煉音
よろしければお読みくださいな!
今期お借りした娘様の作者は小説家になろうでご執筆されています
黒鹿月 木綿稀様(http://mypage.syosetu.com/831896/)です。
不思議な出会い
私には従姉妹がいる。クラスは違うけど同じ星花女子高等部に通っている。
正直言って、私はずっと彼女が羨ましく嫉妬の対象にしている。
いつだってその周囲を誰かが囲い、周りの人の孤独を許さない優しい従姉妹だ。
それに比べて私と言えば……
お昼休み、教室の隅っこに席がありその周りは比較的静かだから一人で本を読んでいる。冬休み前ということもあってか今日はいつもより部屋がにぎやかだ。しかも私の所属する1年4組の人は他のクラスと交流のある人が多いから、他と比べればかなりにぎやかだろう。
中でも騒がしい人を紹介しよう。まず一人、相葉汐音だ。後ろの扉付近でたむろしているイケメン女子が相方なのだが、相葉さんは彼女が教室に来るだけで騒がしくなる。まぁ大方イケメン女子の普段の態度のせいなのだけど。次に、教室の真ん中で大きな輪を作る黒咲凛だ。とても器用で料理が美味しいらしく、その性格もあってか彼女がお弁当などを持ってきた時はもらいにくる人が後を絶たない。彼女自身は静かなだけれど、やはり人が集まればなんとやらで騒がしくなる。
誰一人として私の隣にはいない。羨ましいと自覚していながら、自分が孤独でなくなるための動きはしない。かといって下手に出て変なやつと思われてしまうのは嫌だ。まぁでも……これくらいが似合ってるのかもね。
何回目の読み返しかわからぬロシア語の本に目を落とす。小学生のとき一人でいた私に両親が買ってくれたものだ。退屈潰しにはなったけど、正直かなり苦労した。
集中しようとしたそのときだった。
「まぁーりぃーかぁーー!!」
相葉さんの声、またあのイケメン女子がなにかやらかしたのだろう。余計に騒がしくなって集中が乱れる。どうやら今日ばかりはここにいるのは居心地が良くないみたいだ。仕方ない、ちょっと寒いかもしれないけど気分転換に中庭に移動しよう。
本を懐に入れ、教室を出る。廊下は少し肌寒いが、割と廊下で過ごしている学生もいる。窓から見える中庭の日向にあるベンチは嬉しいことに空席だ。時々ぼーっとするために行くのだが、今日はついてるみたいだ。
5組を通り過ぎる時に、横目に従姉妹の葎の席を確認する。そこに葎はいなかった、だけど少し後ろの方でつり目の髪の長い子を構っているのが見えた。普段からオシャレっ気がないのは知っているけど、今日は珍しいことにヘアピンを留めていた。何かいいことでもあったのだろうか。私もあんな対人能力欲しいものだ。
中庭につき、自分の定位置であるベンチに腰掛け懐から本を取り出す。少し冷たい風が肌を撫ぜるが、当たる陽の光がとても暖かく気にするほどの寒さではなかった。
「ひゃっ」
ベンチに落ち着いてほんの数秒、不意に後ろからした鳴き声に驚いて、変な声をあげながら振り向く。よく見るとベンチの後ろに何匹かの猫と、それに埋もれた学生が一人横になっている。残念ながら顔は猫に乗っかられていて見えないが、制服に刺繍された校章は紫色だ。確か紫色は一つ上の学年だったはずだ。一つ上の先輩にこんな方がいらっしゃるとは……というかこれ、息できてるのか。
どちらにしろ、こんなところで寝ていると体調を崩しかねない。一応確認はとってあとは自己責任だ。
「あのぉ……大丈夫ですか」
顔に乗っかっている猫を抱き離し、その顔に日光を当てる。目元の丸いおっとりした顔つきの先輩だ。発育の良い体には猫が3匹乗っていて、きれいに谷間の部分に1匹居座りコンパクトに収まっている。
「んぁ……ぁぅ……おもいぃ……」
眠気眼で起きたその人は胸元に居座る猫の顔を少し見た後、あきらめたように頭を落とした。少し目をこすった後、相変わらず眠たそうな眼で私を見上げる。
「お昼寝ですよぉ……とっても気持ちいいんでぇ……あなたも、どうですかぁ」
ついでに今なら猫もつくよぉ、と付け加えてまた目をつぶろうとしている。
「風邪を引いても知らないですよ」
星花女子学園に変わり者が多いのは知っているけど、この時期で中庭でお昼寝というのはどうなのだろうか。確かに今日は日光がいい感じに当たるから暖かく感じるけども……まぁ……騒がしいよりはいいか。
「んぁ……」
持ち上げた猫を先輩の顔に置きなおし、ベンチに戻ったのだった。