記念パレードまで、あと1週間となった頃、オレンジ農園にとある男が訪ねてきた。
「久しぶり。こうして直接会うのは1年ぶりだね、ルルーシュ、C.C.」
訪ねてきた男……スザクが、ルルーシュとC.C.に挨拶をした。
「あぁ、久しぶりだな、スザク。ナナリーはいいのか?」
「ナナリーはカレンに任せてきたから大丈夫だよ。それにしても、君たち本当に変わらないね」
「私たちはコードを持っているんだ、変わるわけないだろ」
「そりゃそうだ。君も相変わらず元気だね」
「当然だ。私はC.C.だからな」
「…便利だね、その言葉。それより聞いたよ。君たち夫婦になったんだってね?おめでとう2人とも」
「「ありがとう…」」
スザクから祝福の言葉をもらい、ルルーシュとC.C.は、少し照れながらお礼の言葉を返した。
「それで?それを言いに、俺たちに会いに来たわけじゃないだろ?」
「まぁ、目的の1つではあったけど、これだけを言いに来たわけじゃないのは確かだね。ジェレミア卿とアーニャに、機体を届けに来たのも目的の1つだし」
「…どこに置いておくつもりだ?」
「なんか、地下に専用のスペースがあるから、そこに置くとか言ってたよ」
「……C.C.、聞いていたか?」
「…いや、何も聞いてないし、地下にそんな専用スペースがある事も知らない」
まぁ、あとでジェレミア達に聞けばいいか。と、ルルーシュとC.C.は思った。そのジェレミアとアーニャは、機体を地下へ運んでいる最中である。
「それで、君たちには大事な話があるんだ」
真剣な表情で言うスザクに、何かあったのか?と、疑問に思うルルーシュとC.C.だが、とりあえず話を聞こうと考えた。
「大事な話ってなんだ?」
「…前、君たちに扇がギアスを調べて、C.C.を探してる目的を話したね?」
「あぁ。日本の復興が遅いのを、俺たちのせいにするつもりなんだろ?」
「僕もそうだと思ってたんだけど、あれからよく考えてみたら、そもそも、扇がその理由でギアスを調べる必要がないんだ」
「…なんだと?」
「思い出してみてくれ。当時、ゼロだった君を、なんで黒の騎士団が裏切ったのか」
「それは、ルルーシュがブリタニアの元皇子だった事を知ったのと、起こしてきた奇跡がギアスを使っていたという情報を手に入れたからd………ん?」
「……おい、スザク」
「そう。……扇は、君が使っていたギアスとC.C.に関しては''既に情報を持っている''んだ。だから、扇はC.C.を探すだけで良くて、嚮団跡地を調べる必要はないんだ」
「じゃあ、なんで嚮団跡地を調べていたんだ?」
「…これは僕の予想になるが、嚮団はコードと人工ギアスを研究してきたんだろ?なら、扇はその研究データを求めているんだと思う」
「は?何故?」
「…おそらく、扇はギアスを欲している。C.C.を探していたのは、契約するためじゃないかな?」
そう言うスザクに、ルルーシュとC.C.は驚愕する。
「扇はギアスを憎んでいる筈だろう?それに、C.C.が契約すると思っt……そうか、だから嚮団跡地を調べていたのか」
「どういう事だ?ルルーシュ?」
「扇は、C.C.を確保しても契約してくれる可能性は低いと思っている。だから人工ギアスを求めているんだ」
「なるほど。でも、あり得るのか?ギアスの事を憎んでいるんだろ?」
「……C.C.、もし、初めから扇がギアスを憎んでいないとすると、どうだ?」
「…は?」
「扇が憎んでいたのは、俺が使っていた''ギアス''じゃなくて、ギアスを使っていた''俺''だったら、どうだ?」
「……憎んでいたのはギアスじゃなく、お前だというのか」
「あぁ。こうすると話が噛み合うんだ。…もしかして」
「なんだ?」
「そもそも、C.C.を探しているのは、契約するためじゃないのかもしれない」
「どういうこと?ルルーシュ?」
「スザク、まず、扇が日本の復興が進まないのを、俺とC.C.のせいにするのも、目的の1つだと思う。たが、そこで終わりじゃない。本当の目的は、C.C.のコードを奪う事じゃないかと思う」
そう言うルルーシュに対して、スザクとC.C.は言葉を失う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何故、私のコードを奪おうとするんだ?今は思っていないが、孤独という、永遠の地獄を味わう事になるんだぞ?」
「それを扇は知らないんだろうな。実際、俺にはお前が隣に居てくれているから、孤独という、永遠の地獄を知らないんだ。お前のコードを狙う理由は、日本を永遠と自分の支配下に置くためじゃないか?」
「…そして、扇はたぶん、自分の事を神の使いだから死ぬ事は無いとでも言うつもりじゃないかな?…アホらしいけど」
「日本の復興が進まない原因を私に押し付け、処刑することによって、コードを継承するつもりか」
「C.C.、仮にだが、扇はお前と契約する事は出来るのか?」
「出来ないと思う。あいつは素質がないからな。人工ギアスはしらないが」
「なるほど。では、人工ギアスでもコードを継承することは出来るのか?」
「…それはわからない。私はコードとギアスの研究には被検体としてでしか関わっていなかったからな。情報を知っている人物は、V.V.かシャルルぐらいしか、いなかっただろう」
「そうか…」
「……すまない、何も知らなくて」
「別に謝る事でもないだろ。俺だって何も知らないんだ。……ふむ。可能性はあるが…。なら、覚悟を決めるか…」
そう独り言を言うルルーシュに、C.C.とスザクは首を傾げる。
「どうした?ルルーシュ?」
「いや、覚悟を決めただけだ」
「なんの覚悟を決めたの?」
「…シャルルに会う覚悟だ」
「……いや、待て。シャルルはもう死んだんだぞ?どうやって会うつもりだ?」
「黄昏の間に行って、集合無意識体に語りかける。あと、俺の予想ではあの男は死んでいない」
その言葉に驚愕するC.C.とスザクだったが、すぐにC.C.が否定する。
「それは有り得ない。シャルルとマリアンヌが、Cの世界に飲み込まれるところをお前も見ただろ?それに、お前にコードが継承されている。それは、前コード所有者が死なないと継承されないんだ」
「あの男と母さんが飲み込まれるところは俺も見た。だが''死んだところ''は見ていないんだ。そして、俺にコードが継承されたのは、あの男がCの世界に飲み込まれた事によって、死んだと誤認したからだろう」
「…仮に、会いに行くとしても、何処から行くつもりだ?」
「神根島だ。コードがあれば中に入れるだろ?」
「確かに入れるが…」
「心配するな。お前を置いてCの世界に逝く事はない。2人で一緒に生きると誓っただろ?」
そう言ってルルーシュは、不安そうに見つめるC.C.の頭を撫でた。
「スザク、頼めるか?」
「…流石に、すぐには無理だ。最低でも半年は待ってほしい。僕にもやる事があるから」
「…黒の騎士団の再編か?」
「うん。記念パレードが終わって落ち着いたら、藤堂を黒の騎士団から除名して捕まえる。そして、新たな総司令にカレンを任命する予定だ」
「カレンを?」
「他に適任者がいないからね。本人に伝えたら、渋々だけど了承してくれたよ」
「わかった。なら、半年後に頼む」
「了解」
そうして、3人の話し合いが終わり、スザクは、ジェレミアとアーニャに帰りの挨拶をして帰っていった。
扇…お前はいい奴だったよ…。