桜の一太刀 作:あおぞら
この前、あんなことを先生に言ってしまったからだろうか、
「おい、早く買いに行くぞ。」
朝っぱらから怒鳴り声で起こされ、まるで子供のように僕にだだこねる先生。
眠いのに、容赦なく動かしにかかる。そう、今日があの SAO の発売日なのだ。
先生は楽しみにしていたらしく、るんるん気分でゲームやさんに行く。
だがしかし、現実は非情である。
「買えなかった・・・・。」
チョボーンとなる先生。
「1個買えたじゃないですか。」
「どちらかしかできんだろうが・・・。」
「まぁ、そうっすねぇ。
先生、やっていいですよ。」
ククッと笑いながら先生はこう言う。
「だが、弟子に気を遣われるのも癪だ。
そう、これも流れだと受け入れよう。仕方が無い。あー、やっぱやりたいなぁ・・・・。
まぁ、なんだ・・・たまたまおまえが行った店にそのゲームがあり、しかもゴミ置き場に置いてあったときたもんだ。
もしこれが流れだとしたら間違いなくそのゲーム、かなり業が深いぞ。」
流れは流れである。
「はぁ、分かりましたよ先生。
精一杯楽しみますね?」
だが、と先生が
「おい、私にも貸せよな。」
と言ってくる。
そうですね。と笑いながら家に帰る。
そして、翌日
「あと2分かぁ」
12:58
ソードアートオンラインは13:00からサービスが開始されるらしい。
「先生」
「あぁ、時雨。おまえは桜一刀流20代目である、この刀条八重の一人弟子である。
一切の負けを認めん。だが存分に楽しんでこい。
あ、終わったらすぐに私に貸せよな。私も結構楽しみなんだよ、それ。」
これは、なにか新しいことを始めるときの儀式みたいなものだ。先生は負けず嫌いだからこんなことを言う。
「はい、ちょっと遊んできますね。」
先生はすでに別室に行ってしまっていた。
そして
13:00と同時に
「リンク・スタート」
その瞬間家のチャイムが鳴り、誰かが来たらしいが関係ない。
僕は仮想世界へ飛び立ったのだった。
設定を済まして、アバター作成に移る。
まぁ、現実のままでいいかって思い、そのままで作成した。
そして、
「うぁ」
と、一言。
すげー、めっちゃリアルじゃん。
世界観最高じゃないですか!
30分くらい走り回り、はしゃぎまくった。
続いて、武器屋に寄り曲刀と防具一式を購入した。
刀が無かったことが少し悲しかったかが致し方ない。
さっそくフィールドへ行ってみよう。
ところで、僕が使う桜一刀流は対人用の剣技だ。インターネットで調べたが、モンスターは人の形をしていないやつが多いらしい。
だから、これから使えない技が出てくると思う。
ということで、先生と考えに考え、新しく技も極めて来ました。
フィールドにて、青い豚こと ボアさん がいっぱいいる。
あ、あそこで赤髪のやつが吹っ飛ばされてる・・・。
気をつけよーっと。
おぉ、こっちにも来たぞ。
結構怖いな。
何回か突進を躱し、動きを見極めていく。
そして、曲刀を一振りし
プギィィィ!!
という声と同時に ボアさん はポリゴン片になって散っていった。
ククッ
あ、ついつい笑ってしまった。やはり殺すのは楽しい。
ということで、僕は容赦なく ボアさん を狩りまくっていた。
ピロンッという音がして、Lvアップの通知が来る。
ぶっちゃけ力は必要ないので3ポイントのうち2ポイントを俊敏に、残り1を筋力に振っておいた。
そうして、うれしさに浸っていると
少しずつ周りがうるさくなってきた。
そして、数分後
広場に集められた僕たちプレイヤー。
少ししてゲームマスターが現れ、ゲームから出られないことやここで死んだら現実でも死ぬと言われた。
そうして僕たちはこのゲームに閉じ込められてしまった。
そんな中、僕の考えていたことと言えば
あぁ、 ボアさん になんの技も使ってなかった。
あいつ、豚だし。下段からの五月雨が効く気がするな。
その後、下段からの五月雨を撃ったところ。
ボアさん の頭部はポリゴンになりながらお空へ飛んでいきました。
だが、
「え、飛んじゃうの?
駄目だよそれじゃあ。下に落ちてくれないと。」
満足しないやつがここにいた。
彼はその後も技を改良していき
[桜花七式 一の太刀 “無月”五月雨]
自然体で音もなく振るわれたそれは、死神のように ボアさん の命を刈り取った。
「ふぅ、やっとできたー、ひいじいちゃんの技。現実でいっぱい練習をしたのに改良が必要とか泣けてくる。」
こうして、ソードスキルを一回も使わずに一日が過ぎていった。
夜遅く。
人を斬りたいなぁと寝言を放つ主人公であった。