IS Ω ~インフィニット・ストラトス オメガ~   作:僧正

5 / 7
訓練模様、あまりうまく書けた自信がないです。


4話 訓練

ISΩ

 

4話 訓練

 

 

 勇気は久々の自宅だからなのか、それとも今までの出来事のせいか、自室に戻るとすぐに眠りについた。

 そして翌日。久々の学校である。一応検査入院という口実があったため、友人たちには心配されたものの、感謝しつつものらりくらりと話を合わせる。さすがに先日の出来事を語ることはできない。勇気の首にある待機状態のオメガを見た友人たちは“これは何なのか”と尋ねるも“検査のためにちょっとね”と言って誤魔化すしかなかった。

 勉強については特に問題なかった。研究所で研究員の人たちに教えてもらうことができたからである。悪いと思った勇気ではあるが、彼らは頭の休憩にもなるしちょうどいい、といいながら笑ってくれた。

 学校も滞りなく終わり、勇気は自身が通う空手道場に足を動かした。歩くこと十数分、道場に着いた勇気はいつも通り大声で挨拶しながら入る。そこで待っていたのは、胴着を身に纏った老齢の男性である。歳で仕事を退職し、町の子供たちに空手を教える厳しくも優しい人である。勇気自身、幼いころから通っており、尊敬する人の一人である。

 

「お久しぶりというほどではないですが、こちらの都合で休ませてすみません、先生」

 

「ふむ。検査入院とお前の父親から聞いていたが、大事ないようで安心した」

 

 優しそうな顔を浮かべる先生。そんな様子に勇気自身も笑みを浮かべるも、真剣な表情になり、話しを続ける。

 

「先生。これからの事ですが、度々空手を休ませてもらうことになります。本当に勝手なことだと思いますがお願いします」

 

「―――それは今回の検査と何か、いやいい。それはどうしてもお前に必要な事なのだな?」

 

「はい、どうしてもやらなければならない事です。俺自身のためにも」

 

 一瞬の沈黙。勇気をじっと見つめる先生。勇気も視線をそらさず、ぐっと知らないうちに目に力を入れ、先生の目を見る。

 

「………わかった。ならばそのことに全力を尽くすことだ。儂からはもう何も言わんよ」

 

 あまりにも簡単な一言であった。だがそこから何かを感じ取ったのか勇気は深々と一礼した。

 

 

 

 日は変わり学校が連休の土日。勇気にとって初の訓練日である。用意されたISスーツを着用しわくわく感を抑えられないのか、ダッシュで訓練場へ向かう。

 勇気が着いたのはドーム状に覆われた広いグラウンド。研究所で開発されたISの試験運用のための敷地である。広さはIS学園のドームほどではないものの、しっかりと飛行できるだけのスペースは存在した。そして、そこにはすでに楓が待っていた。

 

「お待たせして申し訳ありません」

 

「ふふ、いいのよ。私の方が早く来すぎてしまったみたいだから」

 

 そんなデートの挨拶のような会話を交わす。もっともお互い付き合っているわけでも、意識したものでもないのだが。

 

「それじゃあ、さっそく始めましょうか。ではISを展開してみましょう。展開の仕方はわかるでしょう?」

 

「はい。検査では数度かやらされましたから」

 

 そう苦笑しながら勇気はオメガを展開する。その間、2秒と少し。熟練したIS操縦者ならば1秒とかからず展開するのだが、まともな展開は数えるほどでしかない勇気にそれを求めるのは酷であろう。楓もそのことをわかっているのか、勇気にアドバイスする。

 

「そうね、ISはその操縦者のイメージによるところが大きいの。展開にこれだけ時間がかかっているということはまだ勇気君がオメガのイメージを完全につかみ切れていないことにあるわ。暇な時でいいから、オメガを纏った自分のイメージを明確にすること。それが一番の近道ね」

 

 勇気自身休みの間、イメージトレーニングはしていた。もっとも、空を自由に飛んで敵を倒すといった妄想に近いものではあるが。

 ある程度自信をもっていた勇気だが遅いといわれ、少々ショックを受ける。そんな様子を見かねた楓は勇気に喝を入れる。

 

「はい!そんなことで落ち込まない!勇気君はまだまだ経験が少ないんだからできなくて当たり前。時間がかかっても展開できるだけましよ。中にはそこで躓いて展開できなかった子もいるんだから、大丈夫、自信を持ちなさい」

 

 少し厳しくもするも、事例を出し勇気に自信を持たせる。他人と比べても仕方のないことだが、ISは精神状態も影響する。飴と鞭のうまい具合の使い分けである。

 ある程度状態が整ったところで、楓は勇気に訓練内容を伝える。

 

「それでは、記念すべき第一回の訓練と行きましょうか」

 

 喉を鳴らす音がする。当然勇気である。どんな訓練なのか内心わくわくしながら楓の言葉を待つ。

 

「第一の訓練。それは歩行訓練よ」

 

「歩行、訓練ですか?」

 

少し予想外の内容に少し戸惑う勇気。

 

「そう、ただISを纏って歩く。ただそれだけの訓練よ。でも想像以上に難しいと思うわよ、これ」

 

 そう言って笑う楓。そんな馬鹿な、と勇気は思いつつも一歩踏み出す。何だ簡単じゃないか、と思いながらもう一歩進む。

 

「―――え、うわ!」

 

 バランスを崩し倒れそうになる勇気。だが何とか踏みとどまることに成功する。

 

「どう?意外と難しいものでしょう。何故か解る?」

 

 何故歩くだけが困難なのか。自身の状況を改めて確認する勇気。いつも以上に高い視点。体を纏う鎧。数瞬考えて勇気ははっとする。

 

「いつもと違う体躯に、脳が慣れていないためついていかず、バランスが取れなくなる。っといった感じですか?」

 

「ええ、その通り。ふふ、なかなか優秀ね、勇気君。教える手間が省けて、お姉さん、嬉しいわ」

 

 頭を掻き少し照れる勇気。だがいつまでも照れているわけにもいかず、歩行を続ける。ゆっくりとバランスを取りながらグラウンドを歩いていく。イメージとしてはバランスが取れた竹馬に乗っている感覚が近いだろうか。次第に速度を上げ、違和感がなくなるのを勇気は感じる。そして数分、問題なく歩けるように成長した。

 

「うん。歩行は問題なしね。それじゃあ、今度は走ってみましょうか」

 

 またもや地味な訓練である。しかしこれらがいかに重要なのか勇気は理解していた。ISは基本どんな状況でも対応できる兵器である。そして多くは空での活動であろう。そんな人間の活動から離れた空での操縦。人間の活動内である地上での操縦ができなくては空での操縦などもってのほかである。

 走る動作は歩行よりも当然スピードがある。そのため、いくらか覚束ない様子であり、途中で転ぶこともあったが、いつの間にか普段のように走れるようになっていた。

 

「よしっ、地上での基本動作はとりあえずオーケーかな。次は取り敢えず体を動かしましょう。勇気君は空手をやっているわよね?その動作でいいからやってみて」

 

 言われた通り、勇気は空手の基本である突きや蹴りといった動作から型まで様々な動きをする。歩行の時とは比べ物にならないほど様になった動きである。勇気自身慣れてきたこともあるがはたしてそれだけなのだろうか。

 そこから指導は続き、楓は勇気の動作から反応の鈍い箇所や変な癖がつかないよう指摘していった。

 

「次はオメガの武装について説明していきましょうか。両腕についている爪、ドラゴンキラー。特殊合金を使用しているため攻守両面において高い性能を発揮するわ。そして背中のブレイブシールド。今は両別れして羽みたいな形をしているけど、取り外して合わせれば盾として機能するわ。限度はあるけれど実弾からエネルギー弾まであらゆるものから防御できる。基本武装についてはこのくらいかしらね」

 

 それを聞いた勇気は自身の武装を確認する。あらゆるものを引き裂いてしまいそうなクロー、ドラゴンキラー。これならば、自身の空手の突きも問題なく打てるし、威力も増すことだろう。斬り裂くことも可能だがこれは用練習といったところだろう。次にブレイブシールド。実際に取出し防御の構えを取る。この大きさならば防御には申し分なく、うまく使えば武器にもできるだろう。

 武装を確認し終え、勇気は改めて、いける!と確信する。これならば自身の得意な格闘戦を生かすことができる。さらには遠距離型と当たってもシールドを用いれば近づくことも可能であると。

 それらの確認動作をすることで初日の訓練は終了した。

 

「はい!じゃあ今日はここまで、しっかり内容を復習して明日の訓練に備えるように」

 

「ありがとうございましたー!」

 

 

 訓練を終えピットに戻る勇気。そこで待っていたのは源内であった。

 

「お疲れ。初めてのIS訓練はどうだったかな?」

 

「最初の事で戸惑いもあったけど、まあ何とかって感じかな。こいつも想像以上に俺にあっているみたい」

 

「そうか。だがまだオメガ自身には隠された能力が存在する。まあ、それがなんなのかはお前自身が確認することだ。お前がオメガを信じればきっとそれに応えてくれるだろう。こちらはそれを、気長に期待しながら待つとしよう」

 

 そう意味深な言葉を言いながら勇気にスポーツ飲料を渡して去って行った。

 

「オメガの隠された能力………か」

 

 そうつぶやき勇気自身もオメガの点検のため整備室へと足を運ぶのだった。

 




本来はドラモンキラーですが、デジモンがいるわけではないのでドラゴンキラーとさせていただきました。

感想ご指摘等あればよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。