ざっつなオーバーロードIF展開   作:sognathus

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前話からの流れでまた大虐殺より前の話です。
表現は間接的にしてますが、割と性的だと思える描写があります。


月夜の森で

クレマンティーヌを確保した直後、アインズは何となく今自分と離れて活動している仲間のことが気になった。

離れていると言っても自分の目が常に届くナザリックにいる仲間の事ではなく、完全に別働隊として活動している仲間の事だ。

クレマンティーヌより前に配下にしたニグンから得た情報から察するに、この世界にユグドラシルの最高位のレアアイテムであるワールドアイテムが在る可能性は低くないと思えた。

故にワールドアイテムを装備していない自分から離れている仲間の事が、同じくナザリックから離れて活動していた事もあってふと心配になったのだ。

 

(何やっているんだ自分は。今更心配するなんて警戒の意識が低いぞ)

 

アインズは自分の迂闊さに反省と苛立ちを覚えながら努めて冷静を装った声で早速アルベドに連絡を取り、今最も自分の管理から遠いところで働いている者の確認をした。

 

 

 

「アインズ様に叱られるぅゥゥ!!」

 

「誰に叱られるだって?」

 

「あ、アインズ様?!」

 

木の上から遠方を眺めていたシャルティアは、自分の下方から予想だにしない愛しい声を聴いて仰天した。

おかげで発動していた血の狂乱も治まり、落ち着きを取り戻した彼女は、敬愛する主を頭上より高い所から見下ろすという非礼を一刻も早くやめてそれを詫びる為に即座に地面へと降りた。

 

自分が地面に降り立った時には既に彼女の護衛役として従えていたヴァンパイアブライドの二人がアインズの前方、左右に別れて膝を突いて迎えていた。

用意されていた中央の位置にシャルティアは直ぐに着くと、彼女も部下の二人と同じように膝を突いて主を迎え、そして先程の自分の非礼も詫びた。

するとアインズは慈悲深くも全く気にした様子もなく、軽く片手を上げるだけで応えるのだった。

 

「大変失礼致しんした!」

 

「ん? まぁ良い。ところでシャルティア」

 

「は、何でありんしょう!」

 

「うん、まぁ先ずお前の疑問に答えておこう」

 

「いえ、そんな! アインズ様が私に会い(愛)に来て下さいんしたのに態々理由など!」

 

「ん? なんか今……まぁいいか。いやそれはお前……そうもいかんだろ。考えようによってはお前の任務遂行能力を私が疑問に思っているとも取れるわけだし」

 

「なるほど、その為の査察でありんすね!」

 

「いや、だから違うと……まぁ血の狂乱は抑えて欲しかったが」

 

「……っ、も、申し訳……」

 

「まぁ良い。大事にはなっていないようだしお前も油断をしないように努める良い機会になっただろう」

 

「は、はい!」

 

「うん、でだ。私は単にお前の事が心配になって来ただけだ。別にお前の事を信用していないわけではないぞ? 本当に、単純に、純粋に、お前が心配でだな」

 

「あ、アインズ様ぁ……」

 

望外の、あまりにも有り難い言葉にシャルティアは身体を震わせながら目を潤ませ、頬を染めて喜びの感情を露わにした。

その時に身体の一部分に関しては『悦び』にすら達してしまい、既に『ソコ』から溢れた愛情は、密かにシャルティアの足元まで伝い、彼女が履いていたソックスに物理的な変化をもたらしていた。

 

「で、本題に入るが、さっきの私に叱られるというのはどういう事だ?」

 

「あ……」

 

シャルティアは自分の失態を苦々しく思いながらもアインズに事の顛末を包み隠さずに正直に話した。

 

「なるほどな……お前の名前を知った人間一人と存在だけを知るグループを、か」

 

「は、はい……」

 

「その、野盗のアジトで会った男の名はブレイン・アングラウス、だったか?」

 

「はい」

 

「そいつの事は一先ず放っておいて良い」

 

「え?」

 

意外な主人の判断にシャルティアは思わず驚きの声を漏らした。

そして直ぐに主人の判断に僅かでも疑問の感情が混じった反応をしてしまった事を口元を抑えて反省して謝った。

 

「も、申し訳……!」

 

「良い良い。目撃者は居ない方が良いというのは間違いではないのだ。その上でそいつを消さなくて良いのはな。そのアングラウスという男は野盗に加担していたのだろう?」

 

「え? ええ……」

 

「対してお前は人間の社会において反社会的な存在を害したわけだ」

 

「そ、そうでありんす……ね?」

 

「そんなやつらに加担していたアングラスがそうそうお前の事を一般市民に話すと思うか? もし話したとしても信じてもらえると思うか? 恐らく自分の行いに後ろめたさを感じる真っ当な価値観を持っていれば、余程仲が良くて信用ができる極限られた者にしか話さないだろう。そんな規模の話が噂としてどれほど広まるか知れた事とは思わないか?」

 

「な、なるほど」

 

主人の聡明さにシャルティアは感銘に輝く目を向ける。

アインズはその視線にまんざらでもなさそうな反応で軽く咳払いをすると話を続けた。

 

「それにその男は少なくともお前の部下と同等かそれ以上の強さみたいだしな。この世界では強者かもしれない。だとしたらレアだ。偶然の運命で死ぬ事がない限りは自分の目で品定めをして可能なら手に入れたい」

 

「お望みでしたら直ぐにでも!」

 

「はは、そんなに急ぐことはない。王国の周辺で活動しているなら強さが本物ならまた見つけることもあるだろう。その時は私のこの判断が正解か誤りか判るかもな」

 

「アインズ様に間違いなどありんせん!」

 

「ありがとうシャルティア。だがお前の私に対する今のその態度は盲信だと知れ」

 

「え……」

 

「根拠なく何でも信じるな決めるな。それは時に油断へと繋がり最悪の事態すら招くかも知れない。別に私は私を信じるなとか慕われるのが迷惑だなどと言うつもりは無いぞ? 私はただ、自分の力で考え行動し、その上で私の力になって助けてくれるお前たちが好きなんだ。早くそうなって欲しい。それだけだ」

 

「アインズ様……畏まりんした! 妾頑張りんす! 精一杯努力しんしてアインズ様のご期待に常に添えられるよう立派な下僕になってお見せするでありんす!」

 

「うむ、それでこそ我がナザリックの守護者だ」

 

「はい! 今後の私に是非ご期待くんなまし! ……それで、でありんすがアインズ様」

 

「ああ、この女か」

 

「はい、この女は処分しんすか?」

 

アインズに向けていた温かい感情に満ちた声とは正反対の冷たい声で、自分が一瞬冷静さを取り戻すきっかけを作った人間の女、ブリタを見据えながらシャルティアは彼女の処遇をアインズに問うた。

アインズはその質問には即答せずに少し考えるように顎に手をやった。

 

(どうするかな。真っ当な冒険者だからさっきのアングラウスという男を逃がすのとはわけが違う。こいつは王国の社会の一員だから変に噂が広まると困るけど……)

 

アインズは自分が渡したポーションのおかげでシャルティアが一時的に我に返り、更にそれが自分が彼女と問題なく合流出来たことに繋がった事を考えた。

 

「……私が初期にまともに交流した数少ない王国の人間というのもあるしな。それにこいつ一人なら……シャルティア」

 

「はっ」

 

「こいつはお前の下僕にしろ。その上で平時は王国に潜伏して情報を提供する情報源とするのだ」

 

「畏まりんした。あの、では夜は……」

 

「ん?」

 

「夜は、こいつは私の好きにしても宜しいでありんすか?」

 

シャルティアの欲情に光る眼にアインズはやや呆れた声で返した。

 

「壊すなよ?」

 

「はい! 私なしでは生きられない身体にするだけでありんす!」

 

「そうか……。まぁ程々にな?」

 

「有り難うございます!」

 

「では、残りの、確かここで死んでる奴ら以外のグループは森に逃げたんだったな?」

 

「は、恐らく」

 

「ではそいつらに関しては速やかに処分しろ。眷属を放て」

 

「畏まりんした。では……」

 

「?」

 

アインズは何故か申し訳なさそうな目で自分を見るシャルティアに首を傾げた。

 

「どうした?」

 

「あの……ご命令とはいえ、再びアインズ様を高所から見下ろすことになるのは気が……」

 

「ああ、そういう事か。確かに、俯瞰した方が反応が地上より判り易いからな」

 

「で、では宜しければご一緒に……」

 

顔を赤らめながら手を差し出し来たシャルティアを見てアインズはそこで自分でも大胆だと思うことをした。

それは単なる思いつきで、シャルティアが喜ぶ顔を見たいという純粋な親心みたいなものだったのだが、その行為を受けたシャルティアからしたら正にアンデッドであるにも関わらず天にも昇るような気持ちになるものだった。

 

「あ、アインズ様?!」

 

シャルティアは自分の手を握ってくれたかと思うと、不意にそこから更に抱き上げたアインズに激しく動揺した。

そんなシャルティアにアインズは優しく言うのだった。

 

「これでも眷属は呼べるだろう?」

 

「は、はい! お前達! お前達も呼んだ眷属と一緒に行くのよ!」(訳:速やかに私とアインズ様の二人っきりにしなさい!)

 

正に以心伝心、シャルティアの言葉に含まれた真意を理解したヴァンパイアブライドの二人は頷くと、彼女が眷属を召喚するのに合わせて行動できるように臨戦態勢を取った。

 

「よし、行くか」

 

アインズはシャルティアを抱き上げてフライの魔法で森を見下ろす位置にまで上がるとシャルティアに顔を向けて頷いた。

 

「眷属よ! この森にいる人間を一人残らず殺してその死体をここまで持って来い!」

 

アインズの了解を得て発動した彼女が命令を発した直後森の木々から影のような黒く蠢くモノが複数現れ、ヴァンパイアブライド達一緒に彼方の方角へと颯爽と駆けて行った。

 

「あ、アインズ様……二人きり……でありんす……ね」

 

「あ? ああ、そうだな」

 

夜空に輝く月の光を浴びて、アンデッドの男に抱かれたアンデッドの女は再び幸福と先程から感じ続けている快感に頬を赤らめる。

アインズはそんなシャルティアを見て――――

 

(ん? なんかシャルティアの足を支えている方の腕の辺りだけ冷たい?)

 

と思うのだった。




久しぶりです。
ブリタはシャルティアの性dになりました。
カレイお婆ちゃんと漆黒聖典がナザリック御一行の手によって被害に遭う話まで作りたかったのですが、あまり長い文を作るのは苦手なので途中で切ることにしました。
今年最後の更新にはしたくないですね。
できるならもう一話(続きを)出したいです。

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