ハイスクールD×dmc   作:プラサミット

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原作とは違う展開になります


第10話 予想もしなかった初依頼

◇デビルメイクライ B1階トレーニングルーム

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

「にゃああぁぁぁぁ!!」

 

室内に二人の声が響く。

一人は身体中の至るところに蒼い鱗が形成された龍の様な外見の女性、もう一人は長い黒髪と猫の耳と脚と尻尾の女性…そう、ティアと黒歌がデビルトリガーの鍛錬をしていた。

二人はここ数日、時間を見つけてはデビルトリガーの鍛錬をしていた、そのおかげで最初の頃と比べて体力と魔力の消費を抑えられるようになっていた。

黒歌はデビルトリガーによって身体がよりスリムになり、変身前の魔力や仙術に加え新たに体術も使えるようになった。

ティアは修行によって背後にいる龍王の分身体を自由に出したり消したり、大きさを変えたり命令である程度動かせるようになっていた。

そして今、二人は組み手をしていた。

二人は広い部屋の中を素早く動き回り、突きや蹴り、魔弾を放ち攻防を繰り広げていた。

二人が互いの手を掴み押し合いスクラムを組んだ状態になり、その余波で部屋全体が揺れた!

 

「フフフ…やるじゃないか黒歌!ここまで熱くなったのは久しぶりだ!」

 

「にゃはは!あたしもまさか自分が体術で熱くなるとは思わなかったにゃ!」

 

しばらく組み合って二人は距離を置いた。ティアが口から蒼いブレスを放ち、黒歌がそれを魔力で形成した黒い爪で引き裂き相殺させた!その衝撃で再び部屋が大きく揺れた。

 

 

◇デビルメイクライ 1階

 

〜♪〜〜♪〜♪〜〜♪〜

 

ジュークボックスからゆったりとした音楽が流れている。

 

「〜♪〜〜♪〜♪〜〜♪〜」トントン

 

ソファーに寝そべりながらダンテは鼻歌と足でリズムを取っていた。

 

「ん〜いいねぇ、やっぱこういう時が一番落ち着くぜ。気分も良いし少し寝るか…」

 

ダンテはとても気分が良かったのでこのままひと眠りしようと思っていたが…

 

…ズーン… みしみし…ぐらぐら…

 

地震でもないのに部屋が揺れている…まぁ考えられる原因は一つしかないが…

 

「ったく、あいつらもう少し静かにやれねぇのか?ちっとも眠りゃしねぇ…ふあぁ〜ぁ…」

 

ダンテは頭を掻きながら起き上がった。

一応あの部屋は魔王クラスの衝撃にも耐えられるし、自己修復機能もあるので大丈夫なんだが、あの二人はそれ以上なのかそれに匹敵するのか毎回揺れていた。

その影響をジュークボックスが受け、流れている音楽のテンポが変わっていた。

 

「…おいおい、せっかくのバラードがラップになっちまったじゃねぇか…ズン‼︎…うお⁉︎」

 

溜め息を吐いたその時、下の階からほとんど爆発に近い突き上げるような大きな揺れが発生した!

その衝撃でジュークボックスが少し跳ね上がり倒れた。

 

「あ〜あ…」

 

ジュークボックスを起き上がらせると状態を確認した。再生ボタンを押しても反応が無かった、周りを見ると部品が散乱しているし、どうやら壊れてしまったようだ。

 

「はぁ〜…ったく、どうすんだよこれ」

 

『おぉ!よくぞ参られた!』

 

『其方ならば警戒することは無い』

 

『さぁ入るがよい』

 

どうするか悩んでいると外から警備中のケルベロスとアグニ&ルドラの声が聞こえ事務所のドアが開いた。

 

「…こんにちはダンテ兄様」

 

来客が来たので見るとそこには黒歌の妹の白音がいた。

 

「おぅ白音、どうしたんだ?」

 

「…遊びに来ました…どうしたんですかそれ?」

 

ジュークボックスの前に座っているダンテに嬉しそうな顔をしながら近づき尋ねた。

 

「あぁ、ちょっと壊れちまってな、参ったぜ」

 

「…そうですか。ところで黒歌姉様は?」

 

「黒歌なら今ティアと修行中だ。もうすぐ来るんじゃないか?」

 

「…わかりました、じゃあ待ってます」

 

そう言い座っているダンテの膝の中に座った…何でわざわざここに座る?

 

 

再び B1階

 

ティアと黒歌は未だに激しい攻防を続けていた。お互い傷だらけで息が上がり二人は肩で息をしていた。

 

「はぁ!はぁ!そろそろお互い限界のようだ…これで最後にしよう!」

 

「そ、そうにゃね、はぁ!はぁ!」

 

二人は構えると同時に地を蹴り距離を詰めた。

ティアは背後に出現させた龍王の分身で黒歌に一撃を与え、黒歌は籠手をクロスしてその一撃を防いだ。その隙を逃さずティアは追撃で突きを放ち、黒歌の顔の前で止めた。

 

「フッ、私の勝ちだ黒歌」

 

「それはどうかにゃ?残念ながら相討ちにゃ」

 

「何⁉︎!こ、これは!」

 

黒歌の尻尾が魔法陣で転移してティアの首筋に巻き付き先端が刃状に変わっていた。二人は目を合わせるとフッと笑いそれと同時に二人のデビルトリガーが解除された。

 

「まさかこの私を相討ちに持ち込むとはな、強くなったな黒歌」

 

「ありがとにゃティア姉。あたしも自分でびっくりにゃ」

 

「いい汗かいたな!」

 

「おつかれにゃ!」

 

二人は握手し組み手は終わった。

 

「ねぇ、あたし達ってどれくらい強くなったかにゃ?」

 

「そうだなぁ…まぁ、少なくともその辺の奴らには簡単には負けないだろ。相当な猛者が現れてもいい勝負が出来るのではないか?」

 

黒歌は顎に手を当てコクコク頷きながら聞いていた。そしてティアと目が合うとニヤッと笑った。

 

「それはいいにゃ。…フゥ〜流石に疲れたにゃ、ティア姉お風呂入ろうにゃ。背中流してあげるにゃ」

 

「おぉありがとう!よし、私も流してやろう」

 

二人は笑いながら肩を貸し合い1階に向かった。

 

 

 

その頃1階ではダンテと白音が一緒に壊れたジュークボックスを直そうと見ていた。

 

「ん〜…どうすりゃいいんだこりゃ?」

 

「…この部品はそこじゃないですか?」

 

「「う〜〜ん……??」」

 

機械に強くない二人が?マークが浮かびそうな難しい顔をして、まるでジグソーパズルをしている様な状態になっていると、地下室からティアと黒歌が上がってきた。

 

「お風呂♪お風呂♪…にゃ?何してるのダンテ? …って白音⁉︎」

 

「ハハハ黒歌、そんなにはしゃがんでも風呂は逃げんぞ?…ん?白音じゃないか、来てたのか?」

 

「…あ、黒歌姉様、ティア姉様、おじゃましてます」

 

黒歌は白音に駆け寄ると抱き上げて頬ずりし嬉しそうにくるくる回った。

 

「どうしたの白音ぇ?お姉ちゃんに会いに来てくれたの〜?嬉しいにゃ〜〜♡」

 

「…はい、暇だったので遊びに来ました…って姉様、傷だらけですね?それに…汗臭いです」

 

汗臭い黒歌に白音は少し嫌そうな顔をしていた。

 

「あ、ごめんにゃ。ちょっと修行に夢中になり過ぎたにゃ。これからティア姉とお風呂に入るんだけど白音も入るにゃ?」

 

「…いえ、いいです。待ってます」

 

「じゃ、ちょっと入ってくるにゃ。…ところでダンテ、それどうしたのにゃ?」

 

壊れたジュークボックスを指差しながら聞いてきたが、壊した元凶の人物に言われダンテは溜め息を吐きながら少し怒気を込めて答えた。

 

「…ったく、お前らがドンパチやり過ぎたおかげでぶっ壊れたんだよ」

 

「あ〜…」

 

「流石にやり過ぎたか……すまん」

 

二人はタラ〜っと汗を流してそそくさとバスルームに去っていった。やれやれしょうがねぇな。今度サーゼクスに衝撃の方も強化してもらうか。

 

『にゃははは♪』『ハハハハ!』

 

『にゃあぁぁん♡』『あぁぁん///こ、こら⁉︎あん♡』

 

入浴中のティアと黒歌、楽しそうな笑い声と喘ぎ声が聞こえた、何やってんだか…その間も白音とジュークボックスを見ていたがやはりわからずついにギブアップした。白音は買い直した方がいいと言っていたが、今時ジュークボックスはかなりレア物だろ。

数十分後、ティアと黒歌が風呂から上がり、飲み物を飲みながら白音と雑談した。

一応今日は休日だが、何故か白音は学校の制服を着ていた、理由を聞くといつリアスに呼び出されるかわからないからということらしい。

それからしばらく白音と話をし、気付けば外は夕方になっていた。すると白音の耳元に小型の魔法陣が現れた。どうやら呼び出しのようだ。

 

「…すみません、呼び出しのようなので私はこれで失礼します」

 

「おぅ、ご苦労なこったな」

 

「またいつでも来るといい」

 

「白音、また来てにゃ〜(^з^)-☆」

 

白音はお辞儀をすると帰っていった。

 

 

◇オカルト研究部

 

「…戻りました」

 

「二度と教会へ近づいてはダメよ!」

 

白音が部室に戻るとイッセーがリアスに怒られていた。白音は近くにいた祐斗に聞いた。

 

「…どうかしたんですか?」

 

「イッセー君が昼間、道に迷っていたシスターを教会まで送ってあげたらしいんだ、それでね」

 

あぁなるほど、それなら怒られて当然ですね。

 

「教会は私達悪魔にとっては敵地、踏み込めばそれだけで神側と悪魔側の間で問題になるわ。いつ光の槍が飛んできてもおかしくなかったのよ?」

 

「えっ…マ、マジですか…」

 

「教会の関係者にも近づいてはダメよ。特に悪魔祓い(エクソシスト)は我々の仇敵。神の祝福を受けた彼らの力は私たちを滅ぼせるほどよ。悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する…無に帰すのよ。それがどれだけの事かあなたにはわかる?」

 

イッセーは何も言えずただ黙って顔を伏せて聞いていた。

 

「ごめんなさい、熱くなりすぎたわ。とにかく今後は気をつけてちょうだいね?」

 

「あらあら、お説教は済みましたか?」

 

突然朱乃の声が聞こえてイッセーはビクッとした。

 

「あら朱乃、どうかしたの?」

 

「大公から討伐の依頼が来ましたわ」

 

「わかったわ。イッセー、いい機会だから悪魔の戦いをしっかり見ておきなさい、ついでにその時下僕の特性も説明するわ。じゃみんな行くわよ」

 

リアス達は討伐対象がいる場所へ出発した。しかしリアス達はこの時大公がとんでもないミスをしていたことに全く気づいていなかった。

 

 

 

一方、デビルメイクライ

 

「黒歌、ピザまだか?」

 

「もうちょっと待ってにゃ〜、後1分にゃ」

 

ダンテは夕食に黒歌にピザを作ってもらっていた。材料を買ってもしばらくは黒歌の手料理を食べていたので、そろそろ食べたいと思い頼んだのである。

 

チーン♪

 

ベルの音が聞こえてピザが焼き上がりキッチンからチーズのいい匂いがしてきてダンテはおもわず喉を鳴らした。

 

「は〜いお待たせにゃ〜!黒歌特製ピザにゃ〜、召し上がれ〜♪」

 

Lサイズ級の大きなピザが運ばれてきた、具材はトマトベースのチーズピザだ。

 

「おぉ、美味そうだな」

 

「初めて作ったけど、上手く出来たと思うにゃ!熱いから気をつけてね」

 

笑顔で鼻を掻く黒歌の顔やエプロンには小麦粉が付いて白くなっており、一生懸命作ったことがわかった。

 

「そうか、じゃ早速いただくぜ」

 

「おいダンテ!サーゼクスから依頼が届いたぞ!」

 

切り分け食べようとしたその時、ティアが依頼書を片手に部屋に入ってきた。ダンテはガクッとし…

 

「…何だよ、タイミング悪りぃな」

 

「おっとすまない、食事中だったか、まぁいい、討伐対象は上級はぐれ悪魔『バイサー』。ここから少し離れた廃坑に潜伏してるらしい、見つけ次第討伐せよとのことだ」

 

ティアが依頼書を読み上げるとダンテは溜め息を吐き、ピザを皿に戻し立ち上がった。

 

「チッ、わかったよ。そんじゃさっさと片付けに行くか」

 

「ダンテ、ピザどうするのにゃ?食べないの?」

 

「何言ってんだ?もちろん食べるぞ?」

 

ダンテはコートを着てリベリオンを背に刺すと皿を持って歩き出した。

 

「食べながら行く」

 

「え〜、だらしないにゃ」

 

「細かいこと気にすんな、それに冷めちまうだろ」

 

ダンテ達デビルメイクライ一行は(食べながら)初任務に出発した。

 

 

 

廃坑に到着したグレモリー眷属。リアスは下僕の特性についてイッセーに説明を始めた。

 

「悪魔、天使、堕天使の三つ巴の関係は前にも説明したわね?

長い戦いの中でどの勢力も疲弊し、やがて戦争は勝者を生まず終結した。悪魔も多くの純血を失い軍団を率いることが出来なくなったの。そこで始まったのが少数精鋭の制度、悪魔の駒(イーヴィルピース)」

 

廃坑の扉を開けながらリアスはイッセーに尋ねた。

 

「イッセーはチェスを知ってるかしら?」

 

「はい、名前くらいは」

 

対象がいる場所を探しながらリアスは続けた。

 

「チェスの駒には、王、女王、騎士、戦車、僧侶、兵士とあってそれぞれ特性が異なるの。これと同じように下僕悪魔にそれぞれ特性を授ける事で少数でもより強大な力を発揮できるようにしたの。今では悪魔の駒を使ってその強さを競う“レーティングゲーム”が爵位持ちの間で流行しているくらいよ」

 

「レーティングゲーム?」

 

聞き慣れない用語にイッセーは首をかしげた。

 

「簡単に言えば下僕を駒にして実際に戦う大掛かりなチェスね。でもこれが地位や爵位に影響するようになっていったの」

 

気配を感じ、ある扉の前でリアスが止まった。

 

「じゃあ俺もそのうちそのゲームにかり出されて戦うんですか?」

 

「私はまだ成熟した悪魔ではないから公式の大会には出場できないの」

 

「僕たちもまだ出た事は無いんだよ」

 

祐斗がそう言い白音も頷いた。

 

「出場するにはいろいろと条件があるから。まぁしばらくはゲームする事はないって事ね」

 

リアスが扉を開け眷属達は続いた。

 

「駒の特性とかよくわからないけど…結局俺は何の駒なんです?」

 

「イッセー、あなたは…」ピクッ

 

イッセーの駒を教えようとしたリアスが何かに気づいた。

 

「ヒヒヒヒ、うまそうな匂いがするなぁ、マズそうな臭いもするなぁ……ひゃははは」

 

奥から不気味な声が聞こえてきて、次の瞬間突風と共に強烈な死臭が漂ってきた!

 

「うっ!血生臭い!」

 

その時、イッセーの側に人間の上半身のみの死体が飛んできた!初めて見る死体にイッセーは激しい嘔吐感に襲われた!

 

「はぐれ悪魔バイサー、あなたを消滅しにきたわ‼︎」

 

「…いい匂いだなぁ、その髪のように肉も新鮮な紅い色なのかなぁ、喰いてぇなあ…」

 

暗がりから姿を現したのは…上半身は裸の女性、下半身は巨大な獣の体だった!形容のしがたい異形の存在がそこにいた。両手には槍らしきものを一本ずつ所持している。バケモノの下半身は四足ですべて太く爪も鋭い!尾は蛇であった!

 

「主の元を逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!!」

 

「ふん、こざかしい小娘が…その紅の髪のごとく鮮血で染め上げてやるわ!」

 

「雑魚ほど洒落た台詞を吐くものね」

 

「貴様ぁ!!」

 

バイサーは激昂して槍を振り上げた!リアスはすぐに指示を出した。

 

「祐斗!」

 

「はい!!」

 

祐斗が素早く飛び出していった。リアスは説明を再開した。

 

「イッセー、さっきの続きをレクチャーするわ。祐斗の役割は…ドゴン!!……えっ?」

 

その時、リアスとイッセーの間をなにかが勢いよくすり抜けて壁に激突した!煙が収まるとそこにいたのはバイサーに向かっていった祐斗だった!

 

「な⁉︎祐斗⁉︎」

 

祐斗は壁にめり込み口から血を流し気絶していた。

 

「…よくも祐斗先輩を!」

 

次に白音がバイサーに向かっていったが、バイサーは足を振り上げると白音を踏み潰してしまった!

 

「小猫ちゃぁぁん!!」

 

「大丈夫よイッセー、小猫は戦車だからこれくらいでは死なないわ」

 

祐斗の元に行き、介抱しながら白音の無事をイッセーに説明したが、白音はバイサーに踏みつけられたままピクリとも動かなかった。かろうじて戦車の特性のおかげで潰れずに済んだが。

 

「な⁉︎小猫⁉︎」

 

予想外のことにリアスは驚愕した。

 

「ヒヒヒ、おい、何だこの雑魚どもは?この程度で私を倒せると思っているのか⁉︎ひゃははは」

 

バイサーは倒れている白音を蹴飛ばしながら笑っていたが次の瞬間バイサーを落雷が襲った!

 

「うふふふふ、油断大敵ですわ。イッセー君!小猫ちゃんをお願いしますわ!二人の仇は私が取ります!」

 

「は、はい!!」

 

イッセーが白音を避難させたのを確認すると朱乃はバイサーにさらに落雷を落とした!落雷は数秒間続いた、朱乃は相手の様子を確認する為に落雷を止め近づいたが、その時煙の中から蛇が飛び出してきて朱乃の首に巻きついた!

 

「ククク、その程度か?マッサージに丁度いいくらいだな。お前に本当の雷というものを教えてやるぅぅぅ!!」

 

バイサーは蛇の尾から雷を発生させ朱乃を感電させた!

 

「!アアアアァァァ!??!」

 

朱乃の悲鳴が辺りに響く。

 

「朱乃ぉぉぉ!!」

 

雷が止まると朱乃は蛇に捕まったままぐったりしてしまった。

 

「そ、そんな…祐斗…小猫…朱乃……」

 

イッセー以外の眷属が全滅してしまいリアスは唖然としていた。

その時バイサーの腕が巨大化して伸びてきてリアスの体を捕まえた!

 

「いつまでもボーっとしてんじゃないよぉ!!」

 

「っ!部長!!」

 

「くっ!イッセー!逃げなさい!!」

 

「いやです!逃げるくらいなら俺も戦います!!」

 

リアスはイッセーに逃げるように言ったがイッセーは拒否し、リアスが捕まっているバイサーの手を攻撃し始めた。

 

「ふん、こざかしいわ小僧!!」

 

バイサーが腕をもう一本伸ばしイッセーを弾き飛ばした。

 

「イッセー!!」

 

リアスは叫んだが運良くイッセーが飛ばされた先には木箱があったので壁に激突せずに済みダメージは少なかった。

 

「待ってな!この小娘を喰ったら次はお前を喰ってやるわ!ケケケケ」

 

バイサーの口が変形し牙が大量に生えた口に変わった!そしてそのままリアスを喰おうと大きく口を開けた!リアスは死を覚悟し目を閉じた。

 

ヒュ……パリーン!

 

牙がリアスに触れようとしたその時、バイサーの顔に一枚の皿が飛んできて割れた!

 

「ッ!誰だい!?」

 

バイサーは皿を投げた廃坑の入り口にいる人物を睨みながら尋ねた。

 

「う〜ん、初めてにしては美味いピザだったぜ、黒歌、また作ってくれ」

 

皿を投げた人物ーーダンテは指を舐めながらピザの感想を黒歌に伝えた。

 

「ふ、ふざけるんじゃないよぉ!!」

 

バイサーは魔法陣を出現させ腕を潜り込ませると、ダンテの頭上に同様の魔法陣を出現させそこから現れた腕でダンテを仰向けに押し潰した!

 

「ずいぶんと派手な握手だな?」

 

ズガガガガガガガ!!

 

次の瞬間、マシンガンのような銃声が響き渡りダンテを押し潰していたバイサーの腕が一瞬で蜂の巣になりちぎれ飛んだ!

 

「!!ぎゃああああっ!?? くっ!!」

 

腕を破壊されたバイサーはリアスを放り投げ、ダンテにもう片方の腕を伸ばしてきたがそれよりも素早く飛び出してきたティアの飛び蹴りによって阻止された。

 

「ナイスだティア」

 

ダンテはティアにサムズアップしリアスを空中で受け止め着地した。リアスはダンテを見て驚いた。

 

「ど、どうしてあなたがここに…」

 

「詳しい話は後だ、今は休んでな」

 

ダンテの言葉にリアスは安心したのかそのまま気を失った。

 

「ダ、ダンテさん!」

 

「よぅイッセー。リアスを頼む」

 

立ち上がっていたイッセーにリアスを任せ、バイサーに向き直ろうした時、後ろから黒歌の悲鳴が聞こえた。

 

「し、白音ぇ!しっかりするにゃ!!目を開けるにゃ!!」

 

黒歌が白音を抱きしめて泣いていた。

 

「大丈夫だ黒歌、白音は戦車の駒の特性のおかげで外傷は無い、気絶しているだけだ」

 

ティアがフォローし黒歌を落ち着かせた。白音は大丈夫そうだな。一応ダンテも白音を妹分と考えているので内心安心していた。

ダンテはバイサーに向き直ると尋ねた。

 

「よぅ、お前が『上級』はぐれ悪魔バイサーだな?」

 

「ぐっ!き、貴様ァ…よくも私の腕を!はぁ、はぁ!貴様も喰ってやる!」

 

バイサーは血が噴き出る傷口を抑えながら牙を剥き出しダンテを威嚇した。

 

「フッ、喰えるもんならな………よし」

 

鼻で笑うと何かを思いつきイッセーの方を向いた。

 

「そう言えばイッセー?お前はリアスからの悪魔の駒の特性の説明がまだ途中だったな?」

 

「えっ?…は、はい」

 

「じゃ俺が説明の続きをしてやるよ」

 

イッセーはきょとんとしていたが、ダンテは説明を始めた。

 

「まずは騎士。騎士の特性はスピードだ」

 

ダンテは騎士のスピードをトリックスターと魔具の中で一番早く動けるケルベロスで再現した。ダンテは一瞬でバイサーとの距離を詰めるとケルベロスを高速回転させ反対側の腕を切り落とした。

 

「ぎゃああああ!!」

 

「次に戦車。戦車の特性も単純だ、馬鹿げたパワーと防御力」

 

ベオウルフを装備しバイサーの懐に飛び込むと腹にビーストアッパー(溜めなし)を放った!バイサーは激しく吐血して吹き飛んだが、その際蛇の尾に捕まっていた朱乃が落ちてきたのでダンテは受け止めた。

 

「…う…ん…ダンテ…さん?」

 

「あぁ、お前も今は休め」

 

「ッ/// …はい///」

 

朱乃は頬を赤く染め頷くとリアス同様気を失った。ダンテはイッセーの側に着地すると朱乃を床に下ろし再びバイサーに向かった。

 

「最後に女王だ。女王は王以外のすべての駒の特性を兼ね備えた最強の駒だ」

 

流石に女王の能力を再現するのは難しいのでダンテは朱乃が得意とする雷による攻撃をする為にネヴァンを装備した。

ダウンしているバイサーに近づくと蝙蝠と電撃の嵐ジャムセッションを発動させた。

 

♪♪♪♪⚡️♪♪♪〜⚡️⚡️

 

「アババババばばば!??!」

 

「サンキュー!」☆

 

ダンテは決めポーズをしネヴァンを体に戻した。

バイサーは煙を上げ黒こげになると倒れた、もうほとんど虫の息だ。

 

「これで一応、駒の特性については以上だ。まだ説明してない駒もあるが後はリアスに聞いてくれ。さて…何か言い残すことはあるか?」

 

ダンテはぐったりしているバイサーの前に膝立ちするとバイサーの返事を待った。

 

「…こ、殺せ…」

 

バイサーの返事を聞いたダンテは話しながら溜めていたリベリオンのドライブを最大出力で放ちバイサーを跡形も無く消滅させた。

 

「フッ、討伐完了」

 

 

 

その後、知らせを聞いたサーゼクスとリアス達と同じ駒王学園の制服を着た眼鏡のショートヘアの女性が現れ、リアス達を介抱した。

リアス達はフェニックスの涙というどんな傷でもたちまち治る秘薬を使用し事なきを得た。

確認の結果、リアスの元に届いた依頼書は本来ダンテの元のみに届くはずの依頼書で大公が発注ミスをしていたことがわかった。

するとリアス達を介抱していた眼鏡の女性がダンテに話しかけてきた。

 

「あなたがダンテさんですね?話はリアスから聞いていました。私は駒王学園生徒会会長、支取蒼那です。リアスと同じ上級悪魔で本名はソーナ・シトリーです。あなたのおかげで親友を失わずに済みました、心より感謝します」

 

ソーナは頭を下げてお礼を言い感謝した、するとソーナに続いてサーゼクスがダンテに近づきお礼を言ってきた。

 

「ダンテ、リアスとその眷属達を助けてくれてありがとう。私はもう少しで最愛の妹を失ってしまうところだった。だから君には感謝してもしきれない、本当にありがとう」

 

サーゼクスは深々と頭を下げてお礼を言い感謝した。

 

「おいおい、魔王様がそんなに頭を下げるもんじゃないぜ。それに俺達はただ依頼をこなしに来ただけだぜ?」

 

「それでもありがとう」

 

サーゼクスは再び頭を下げた。

 

「まぁいいや。それよりもそいつらが目を覚ましたらよろしく伝えといてくれ」

 

「ああ、必ず伝えよう」

 

「フッ、じゃあ俺達は帰るぜ。ティア、黒歌、帰るぞ」

 

サーゼクスとソーナはダンテ達の後ろ姿を見送るともう一度頭を下げた。

そしてイッセーはダンテの姿を見て必ず自分も強くなると胸に刻むのであった。

 

 

 




バイサーを上級はぐれ悪魔に変更しました

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