ケルベロスがキングケルベロスに勝利しキングケルベロスに生まれ変わって数分、その変化をムンドゥスの所に続く階段を登るダンテとティアも感じ取った。
「二つの力が消えたと思ったらまた新たな力が現れた…ダンテ、これはもしかして…」
「どうやらケルベロスのやつがやったみてぇだな。でもキングケルベロスの力が入り混じった様に感じるな…融合でもしたのか?」
「とにかく、幹部を一体倒したことに変わりは無い。我々にとっては有利な筈だ。さぁダンテ!私達も急ごう!」
「あぁ、おそらくリアス達の所にも幹部クラスがいるだろうが、あいつらを信じて俺達は進むぞ!」
ダンテとティアはバラバラになった仲間達を信じてゴールが見えない階段を登り続けた。
▽
一方、バラバラになり白音と二人きりになった黒歌は城の中を進んでいた。途中に雑魚悪魔が数体現れたが二人は焦ることなく蹴散らしていった。
「あぁもう!いきなりダンテとはぐれるなんてもう最悪にゃ!」
黒歌は腕を組んでほぼ八つ当たりで悪魔をぐりぐり踏みつけていた。
「…まぁまぁ姉様、バラバラになっても全員無事だったから良かったではありませんか?」
「ま、まぁ…それはそうだけど、戦いが終わるまでダンテの顔が見られないのがちょっとね…」
「…なら姉様、早く敵を倒してダンテ兄様と合流しましょう?この扉の先から強大な魔力を感じますし、おそらくここがゴールです」
白音の言う通り二人の前に豹のレリーフが刻まれた巨大な扉があった。中から感じる魔力からおそらく幹部悪魔!黒歌は白音の顔を見て頷くとノブに手を掛けた。
「そうにゃね白音!あたし達もダンテを信じて進むしかないにゃ!さぁいくよ白音!どんな奴が出て来てもあたし達は負けない‼︎」
「はい!姉様‼︎」
黒歌は勢いよく扉を開いた。室内は少し広めの大部屋で壁や天井には魔法陣みたいな模様や壁画が描かれており、蝋燭や松明が燃えていた。そして前方には座った姿の獅子の像が二体設置されていた。黒歌と白音は警戒構え周りに目を向けていた。
「白音、油断しないで!何処から来るかわからないにゃ!」
「はい姉様!まるで周りから見られている様な感覚です」
グルルル…
警戒していたその時!唸り声が聞こえ前方の獅子の像を見ると獅子の目が赤く光り獅子の足元から黒い影が這い出てくると二つの赤い光が灯りゆっくり盛り上がると体中に模様が刻まれた黒豹が二体現れ黒歌と白音に威嚇してきた!獣型の上級悪魔のシャドウだ!
「…豹?」
「…みたいですね、しかも黒豹です」
「コイツらが魔力の元みたいね、力的に幹部じゃないみたいだけど油断しない様にいくよ白音!」
「はい!コイツらを倒して早くダンテ兄様達と合流しましょう!」
黒歌と白音は魔力を解放すると獣悪魔…シャドウと戦闘を開始した!
黒歌と白音は手に魔力を纏ってシャドウに向かっていったが、二体のシャドウは飛び上がると頭を巨大なブレード状に変化させると回転しながら振り下ろしてきた!
「⁉︎ッ!危な⁉︎」
「頭が刃の形になるなんて…!」
シャドウの攻撃をなんとか避けた黒歌と白音はシャドウの予想を超える攻撃パターンに驚いた。黒歌はこの隙にシャドウに攻撃しようとしたがシャドウは素早く振り返ると頭を鞭の形に変化させ激しく打ち付けてきた!
「くっ!なんてむちゃくちゃな攻撃をする奴にゃ⁉︎」
「姉様!危ないです!!」
白音が叫ぶと黒歌の後方にいたもう一体のシャドウが背中から素早く一本の針を槍の如く伸ばして射出してきた!避けきれない‼︎黒歌は身構えたが寸前で白音がタックルで突き飛ばし直撃は避けた!
「ぐっ‼︎」
しかし針は白音を少し掠めていた。黒歌は白音を抱えるとシャドウから急いで離れた。
「白音!大丈夫にゃ⁉︎ごめんにゃ…あたしのせいで」
「…い、いえ、大丈夫です、擦り傷です。でも姉様、出し惜しみはしない方がよさそうです。あのスピードとあの予想外の攻撃です、本気を出して一気にケリをつけた方がよさそうです」
「わかったにゃ。獣に勝つには獣になった方がいいってことね!それじゃいくにゃ白音‼︎」
「はい!姉様‼︎」
本気を出すことにした黒歌と白音は魔力を纏うと叫んだ!
「「デビルトリガー!!」」
デビルトリガーを発動させ、それぞれ黒い猫人間と白い猫人間の獣人の姿になった黒歌と白音は騎士に匹敵するスピードでそれぞれシャドウに突撃した!
「これでもくらうにゃ!」
黒歌はシャドウに拳を放ったがシャドウは影の中に潜り込み避けると影から鋭い針を連続で伸ばしてきた!黒歌は飛び退いてかわすと舌打ちした。
「チッ!影に入るなんてずるいにゃ!」
「姉様‼︎」
その時、黒歌の背後にもう一体のシャドウが急接近し姿を巨大なトラバサミの形にして挟み込んできた!そこへ白音が割って入り両手両足でトラバサミを受け止めた!
「ぐっ!ぐぬぬぬぬぬぬっ!!」
「白音!今助けるにゃ!」
黒歌は飛び蹴りをシャドウに繰り出し白音を助けたが、今の攻撃に手応えを感じていなかった。二人はシャドウから離れると一旦デビルトリガーを解除して呼吸を整えた。
「すみません姉様、ありがとうございます」
「いいにゃ。それより…アイツに蹴りを当てても手応えが無かったにゃ」
「姉様も感じましたか?私も変だと思っていたんです。今みたいにあっちからの攻撃を受け止めた時は触った感覚はあるんですが、こちらから攻撃すると触れてる感覚が無いんです」
確かにさっきの針といいブレードやトラバサミといい、あっちの攻撃は当たってもこっちの攻撃はすり抜けた様に無効化される…これはどういうことだ?すると黒歌はシャドウの足元の影を見てあることに気づいた。
「影…アイツ、もしかして黒豹の体は偽物であの影が本体なのかもしれないにゃ!だからあたし達の攻撃は効かないのかも!」
「影が…?でも姉様、そうは言ってもどうやって攻撃すれば?」
「アイツが攻撃して来た時はあたし達でも触れることができるにゃ、だったらそれを狙ってカウンター攻撃を仕掛けるのにゃ!そうすればその内本体が出てくるかもしれないにゃ!」
「…なるほど、確かに。やってみましょう姉様!」
カウンター攻撃を当て本体を燻り出す作戦にした黒歌と白音は再びデビルトリガーを発動させ魔力を纏った。しかし作戦はシャドウにも聞こえていたのでシャドウはさっきよりも素早く攻撃を繰り出してきた!
「くっ、早いにゃ!これじゃカウンターどころじゃないにゃ!ッ!痛っ⁉︎」
隙を狙っていた黒歌の腹に少しシャドウの針が突き刺さった!
「姉様!ハァ!!」
白音が蹴りで針をへし折った!黒歌は急いで針を引き抜いた。
「姉様!大丈夫ですか⁉︎」
「う、うん…なんとか…痛たた……よくもやってくれたわね…!赤ちゃんが産めない体になったらどうしてくれるのにゃ!!」
黒歌は引き抜いた針をシャドウの黒豹の体に投げつけた!すると針が直撃したシャドウは怯んだ声を上げた!
「怯んだ⁉︎もしかしてアイツ、遠距離攻撃は効くのかも!」
「だったら姉様、魔弾なら!」
シャドウに遠距離攻撃…飛び道具が効くことに気づいた二人は魔力を使った攻撃に徹底し始めた!さらに魔弾の魔力を纏った拳なら通じることに気づき攻めを開始した。二人の読み通りシャドウの攻撃後に魔弾や魔力を纏った拳を当てるとさっきまで感じていなかった手応えを感じる様になっていた。
「よし効いてるにゃ!やれるよ白音!」
「はい!私達だって同じネコ科の動物なんですから負けられません!」
攻撃が当たる様になってきてシャドウも攻撃パターンが増えてきた!白音の拳をかわすと影からブレード状になって飛び出してきたり、魔力の拳を同時に放ってきた二人にハリネズミの様に全身棘だらけになって吹き飛ばしたりしてきた!お互い激しい攻防が続いたが、黒歌と白音の体は傷が増えてきていた。
「ハァ…ハァ…コイツら、なんてしぶといのにゃ!」
「ハァ…ハァ…このままだと私達が先に倒れてしまいます」
「こうなったら…重い一撃をアイツに叩き込むしかないにゃ。せめて一体だけでも倒せれば」
悩んでいるとシャドウは二体同時にブレードの形になり叩きつけてきた!
「わかりました、では私がアイツを引きつけますから姉様はその間に魔力を溜めてください!」
「わかったにゃ!」
白音は魔力で巨大化させた爪を構えて二体のシャドウに向かった!黒歌は魔力を纏うと魔力を溜め始めた。二体同時は白音だけでは厳し過ぎる!早くしなければ!
「耐えてにゃ白音…!」
黒歌が魔力を溜めている間、白音はシャドウ二体からの攻撃を必死に避けていた。ブレードの叩きつけをかわしトラバサミを避けながら反撃し、針の射出を腕をクロスして防ぎ、地面からの連続針をギリギリでかわした!そしてついに黒歌の魔力のチャージが完了した。
「お待たせにゃ白音!いくよ!離れるにゃ‼︎」
魔力を溜めた手を向けた黒歌は白音に離れる様に忠告したが、白音は体に魔力を纏うとシャドウの黒豹の体を羽交い締めの様に抑え込むと叫んだ!
「今です姉様!私が押さえてる内に撃ってください!直撃前に避けますから!ッ!ぐっ⁉︎」
その時、シャドウの体にしがみつく白音の体に黒豹の体から飛び出した針が数本突き刺さり、もう一体が鞭の形にした頭で激しく打ち付けてきた!
「ね…姉様!早く!!」
「白音ぇ‼︎避けてにゃ!くらえぇっ!!」
黒歌の手から巨大な魔力の塊が放たれシャドウの一体に向かった!直撃寸前で白音は離れ魔弾はシャドウに直撃し大爆発した!
「やった⁉︎」
煙が収まってくると白音が抑え込んでいたシャドウと巻き添えをくらったもう一体は影から紅く光る核の様な球が出ていた!
「あれは…もしかしてあれがアイツらの本体⁉︎」
「じゃああれを壊せば…姉様!今の内にやりましょう‼︎」
あの紅い球を壊せばシャドウを倒せるとわかった白音は爪を構えてシャドウの核に攻撃を仕掛けたが、その時黒歌は影から殺気を感じ取り白音に叫んだ!
「ッ!危ない白音!罠にゃ!!」
次の瞬間影から鋭い針が飛び出してきた!黒歌は咄嗟に白音を突き飛ばしたが、黒歌の腹に針が突き刺さり貫通した!
「…ぐっ……がはっ!?」
「ね…姉様ァァァァッ!!」
白音は吐血して倒れた黒歌を抱えると急いで物陰に隠れて黒歌に必死に呼び掛けた!
「姉様!姉様!しっかりしてください!!目を開けてください!!」
その呼び掛けに黒歌は咳き込むと目を覚ました。
「…し…白音…」
「姉様、ごめんなさい…私が飛び出したばっかりに…」
「にゃは…は…気にしなくてもいい…にゃ。でも…このままじゃ…」
シャドウを見ると核の紅い球を影に戻すと再び黒豹の姿に戻った。すると二体のシャドウは重なると融合し魔力が跳ね上がった!こちらは黒歌が重傷だ、不利な状況に白音は拳を強く握って舌打ちしていたが、黒歌はある案を出した。
「こうなったら…あの力を使うしか…ないにゃ」
「あの力…?…ま、まさか!」
「うん…仙術の力を…暴走させた……あの力にゃ」
「だ、ダメです姉様!あの力はもう!」
白音は以前暴走した力…覇猫を使おうとする黒歌にやめる様に叫んだ!あの敵味方関係なく暴れる黒歌を見るのはもう嫌であった。しかしあの力はもう使えない筈では?
「で、でも、また暴走したら!」
「だ…大丈夫にゃ…あの力を…あたしなりに…暴走しない様に…調整したものにゃ……で…でもあたしは重傷にゃ…今のままじゃ…少しの間しか正気を…保てないにゃ…」
「それじゃ危険です!」
「そ…それでもやるしかないにゃ…‼︎」
黒歌の決断に白音は表情を曇らせた。白音は悩んでいた、一人では融合し力が跳ね上がったシャドウに勝てる自信は正直無い!でも黒歌が暴走したら…!悩み続けた白音は深呼吸して顔を上げると黒歌の顔を見た。
「わかりました…私は姉様を信じます!」
「ありがとにゃ…白音。でも…もしあたしが暴走したら…その時は…お願いにゃ…!」
黒歌は白音の肩を借りながらゆっくり立ち上がった。腹の怪我からは血が流れていたが、黒歌は少しずつ魔力を上げ始めた。その様子を白音は心配そうに見ていた。
「もしかしたら…これが最後になるかもしれないにゃ…白音…今までありがとうにゃ…」
「ッ!そんなこと言わないでください姉様!この戦いが終わったら皆で生きて再会するって約束したじゃないですか!」
声を荒げた白音に黒歌は笑みを浮かべると謝った。
「…フフ…そうだったね…ごめんにゃ……あたし達は負けない…‼︎」
黒歌は魔力を解き放つと目つきを鋭くして叫んだ!
「これが…あたしの最後の力にゃ‼︎禁術…ビーストモード!!」
黒歌の叫びと同時に黒歌の体からドス黒い禍々しいオーラが出始め、黒歌は前のめりに地面に手をつくとその体を音を立てて変化していった!
「…うっ…くっ……ううううっ!…ぐっ…!」メキメキ
全身が激しく脈打ち、一瞬で体全体が黒い体毛で覆われた!
「…持ち堪えてよ…あたしの…体ァ!…あたしも…頑張るから…!」
「姉様…」
白音は震える体を抑えて黒歌を見ていた。黒歌の体はほぼ獣同然になり手足には鋭い爪が生え口には鋭い牙が生え揃った‼︎その姿はまさにシャドウと同じく黒豹だった!!
「…闇に身を捧げてモ…勝たナきゃ…いけナイ戦いモ……あるゥ!!」
黒歌は勢いよく顔を上げると凄まじいスピードでシャドウに突っ込んでいった!
「ウアアアアアァァァァアアアアッ!!」
シャドウは阻止しようと背中から鋭い針を黒歌に伸ばしたが、黒歌は針の上に乗ると四足歩行で走り出しシャドウの首を掴んで振り回すと勢いよく投げ飛ばした!白音はそのスピードと力に驚愕した!シャドウは壁を蹴って態勢を立て直すと体を巨大なブレードにして黒歌に振り下ろしてきた!しかし黒歌は爪で薙ぎ払うだけでシャドウごと再び壁に叩きつけた!融合してパワーアップしたシャドウでも今の黒歌には通用しなかった。
「姉様…」
白音は震えながらも黒歌を信じ続けた。
シャドウは唸り声を上げると渾身のトラバサミを繰り出したが、黒歌は焦ること無くあっさりトラバサミを受け止めると棘を握り潰しそのままトラバサミの中央を鋭い牙で噛み付いた!!
「ウウウウウッ……ガアァァッ!!」
黒歌は喰い千切ったシャドウの一部を地面に吐き捨てると鋭い爪を千切った傷口に突き刺した!その瞬間シャドウの断末魔と共に激しい血が噴き出た!これにはシャドウも堪らず黒豹の姿に戻り黒歌に恐怖を感じると影の中に逃げ込んだ!
「ウウウッ…逃がさナイ‼︎」
黒歌は手に禍々しい魔力を纏うとシャドウが逃げ込んだ影に手を突っ込むとシャドウを影から引っ張り出した!!まさか影から引きずり出されるとは思ってなかったシャドウは逃げようとしたが、黒歌はシャドウの脚を掴むと勢いよく引き寄せシャドウの首筋に噛み付いた‼︎シャドウの叫び声が響き黒歌は鋭い爪でシャドウを引き裂こうと腕を振り上げた!
「こレで…終わりにゃァァ!!」
しかしシャドウも抵抗し全身から針を出し黒歌の全身を刺し貫いた!白音が叫んでいたが黒歌はニヤッと笑うとまるで痛みを感じていない様に動き出すと爪をクロスしてシャドウの体を引き裂いた‼︎その一撃でシャドウはぐったりして動かなくなり、黒歌は爪をシャドウの腹に食い込ませると核の紅い球を取り出した!
「終わり…にゃァァァァッ!!」
黒歌はそのまま核を握り潰しシャドウを絶命させた!核が破壊され黒豹の体が消滅すると黒歌はゆっくり立ち上がった。
「ウアアアアアァァァァアアアアァァァァッ!!!!」
黒歌は天を仰ぐ様に激しい雄叫びを上げシャドウに勝利した!
戦いを見守っていた白音は恐る恐る物陰から出てくると黒歌に声を掛けた。
「…ね、姉様?大丈…ッ⁉︎」
白音の言葉は途中でかき消された!次の瞬間白音は黒歌に仰向けに押し倒され鋭い牙で噛み付かれそうになっていた!白音は咄嗟に魔力の爪を展開し黒歌の牙を受け止めた!!
「ウウウッ!ウウウウウッ!!」
「ね、姉様!私です!妹の白音です‼︎目を覚ましてください!!」
早く黒歌の力を抑え込まなくては!しかしかなりの力で押し倒されてる上、魔力を散らされてしまう為大人の姿になれなかった!白音は必死に黒歌に呼び掛けたが黒歌は白音の爪を噛み砕くと白音の腕に噛み付いた!
「くっうぅ…!姉様お願いです!元の優しい姉様に戻ってください!!」
白音の腕が骨ごと噛み砕かれ血が噴き出した!
「アアアアアァァァァッ!!…ッ…ぐぅぅぅっ!!ね…姉…様……負け…ないで‼︎…姉様は覇猫になっても負けなかった強い人です!!」
「ウウウウウッ!!フゥゥゥゥッ!!」
激痛に耐えながら白音は必死に黒歌に叫んだ!しかし黒歌は爪を突き刺そうと腕を振り上げた!
「頑張れ姉様!!頑張ってください!!本当の自分を思い出してください!!」
白音は目を閉じて叫んだ!!死を覚悟したその時!
ポタッ…
白音に頬に何かが滴り落ちた。目を開け黒歌の顔を見た白音は驚いた!黒歌は白音の腕に噛み付いたまま目から大粒の涙を流して泣いていた!
「…ウッ…ウウウウウ…」
「ね…姉様…?」
白音も信じられない表情で黒歌を見ていたが、今なら黒歌を抑えられると思い大人の姿になると浄化の力を流した。
○●○
その時黒歌は心の中で顔を伏せ膝を抱えて座っていた。自分の所以外周りは暗闇であった。黒歌は心を閉ざしていた、もう使わないと思っていたあの力を再び使ってしまった!また意識を支配され大切な誰かを傷つけてしまう!黒歌はそんな罪悪感に囚われていた。きっと今回も誰かを傷つけているに違いない…!あたしはもう元には戻れない‼︎
黒歌は心を閉ざし続けた。すると奥から光が現れ誰かが黒歌に呼び掛けてきた。
姉様…!姉様…‼︎黒歌姉様!!
…誰?あたしを呼ぶのは…?黒歌はゆっくり顔を上げた、すると光の奥から両手を広げて笑顔である人物が近づいて来た、その顔を見た黒歌はハッとした。その人物は黒歌の大切な妹…白音だった!
「し…白…音…‼︎」
白音は黒歌の前に来ると優しく黒歌を抱きしめた。
「姉様、迎えに来ましたよ。さぁ私と一緒に帰りましょう」
しかし黒歌は再び表情を曇らせた。
「で、でも…あたしはもう…皆に顔向け出来ないにゃ…」
「大丈夫ですよ姉様。誰も姉様を責めたりしません、皆姉様の帰りを待っていますよ?ほら?皆も呼んでます」
白音が指差す先には仲間達が笑顔で手を振っていた!そしてその中央には黒歌が愛する男…ダンテが笑みを浮かべて立っていた。
『黒歌、いつまでそんなとこに座ってんだ?ほら行こうぜ!』
ダンテに続き仲間達も黒歌に笑顔で声を掛けた。それを見た黒歌は涙を流して立ち上がった。嬉しかった、誰も自分を責めていないことを、待ってくれている仲間がいることを!
「ありがとう…皆‼︎あたしは…あたしは一人じゃない‼︎あたしには大切な仲間達が待っているにゃ!」
黒歌は白音と一緒にダンテ達の所へ飛び心の闇から脱出した。
○●○
元の姿に戻り心の檻から脱出し正気に戻った黒歌が見たのは目の前に負傷して安堵の表情をしている白音だった。
「し…白音…?」
「…姉様…よかった…元に戻ったんですね…?」
白音は腕の骨が折れ噛み跡から出血していた!まさか!自分がやったのか⁉︎
「白音!酷い怪我にゃ⁉︎もしかしてあたしが⁉︎あたしがやったの⁉︎ごめんなさい白音!!」
「…気にしないでください姉様…私は…姉様が元に戻ってくれただけで嬉しい…です…自分を責め…ない…で……」
白音は笑みを浮かべるとそのまま気を失った。
「白音…?白音‼︎…ごめんにゃ…あたしのせいで…!」
白音に謝罪すると黒歌の意識も薄れ始めた。
「…でも白音…あたしも白音の声が聞こえて…嬉しかった…よ……」
黒歌も笑みを浮かべると激しい疲労感に襲われ白音に覆い被さる様に倒れた。
するとそこへ何処からとも無く眩い光の球が飛来し、倒れている二人に重なるとその光で覆った。
黒歌のビーストモードは、エヴァンゲリオンのザ・ビーストが元ネタ。
次回もお楽しみに!