「木場祐斗とゼノヴィアか…」
「あぁ…さっき俺の体から飛び出して行ったアグニ&ルドラの魔力も消えちまった…」
階段を登っていたダンテとティアは消えてしまった祐斗達の魔力に無念そうに顔を伏せていた。
「くっ!なんてことだ!あいつらまでやられたのか!くそっ!!」
妹分のゼノヴィアがやられティアは拳を階段の壁に叩きつけた!ダンテも相棒の一体を失ったことに拳を握り締めたが顔を上げると再び階段を登り出した。
「進み続けるぞティア、あいつらは俺達の為に散って行ったんだ、その想いを無駄にするな」
「くっ…あぁ…」
その言葉にティアも階段登りを再開し後に続いた、散った仲間達の想いに応える為に!
∇ ∇ ∇
「黒歌…小猫…祐斗…ゼノヴィア……」
同じ頃、別の道を進んでいたリアス、イッセー、アーシアは雑兵悪魔を倒しながら先を急いだが、リアスは表情が沈んでいた。大切な眷属で仲間が三人も消えてしまった…リアスの心には迷いが生じていた。リアスのその様子にイッセーとアーシアは元気付けようと励ました。
「部長…大丈夫ですよ部長!木場達はきっと生きてますよ!」
「そうですリアスお姉様!皆さんとってもお強い人達ばかりです!元気を出してください!」
「イッセー…アーシア…」
二人の励ましにリアスは顔を上げ振り向き二人の顔を見た、二人とも諦めていない目をしていた。
「木場達はこうなることも覚悟の上だったんです!だから部長!俺達も諦めずに行きましょう‼︎」
「私も諦めません!私は戦う力は無くてもその想いは皆さんと一緒です!だからリアスお姉様も諦めないで!」
アーシアはリアスを優しく抱き締めイッセーも頷いた。イッセーとアーシアに喝を入れられたリアスは二人の顔を見ると笑みを浮かべて謝った。
「イッセー…アーシア……ふふ、ありがとう二人とも。そうね、私達はそれ相応の覚悟でここまで来たんだものね、王の私が諦めるわけにはいかないわね!ごめんなさいイッセー、アーシアおかげで迷いを断ち切れたわ」
リアスは涙を流して二人を胸元に抱き寄せて感謝した。
リアスの調子が戻りイッセー達は城の中を再び進み始めたが、少しすると巨大な扉が見えてきた。中からは強大な魔力を感じる!
「強い力を感じるわ、おそらく幹部クラスね!イッセー、アーシア、行けるわね?」
「はい!いつでもいいです!」
「行きましょうリアスお姉様!」
イッセーは赤龍帝の籠手を出し、アーシアは気合いを入れて返事をした!リアスも頷くと扉を開いた。
部屋の内部はまるで生き物の様に動く不気味な柱と波打つ床で部屋の奥に槍を構えた騎馬騎士像が設置されていた。部屋に入ると扉はすぐに魔力の結界に覆われ塞がれた!リアス達は警戒して周りを見ていると天井に張られていたガラスが砕け巨大な蜘蛛型の悪魔ファントムが現れた!
「ハァァァッ…!どんな奴が来るのか期待してみれば…チッ、何だお前らか、つまらん!」
「あら?悪かったわね、つまらない相手で?でも私達を見た目だけで判断しない方がいいわよ?」
現れるなりリアス達を見てつまらなそうに舌打ちするファントムにリアスは挑発気味に返した。
「そうだぜ蜘蛛野郎?こないだはちょっと痛い目に遭ったけど、この一ヶ月で俺達がどれだけ強くなったか見せてやるぜ!来いよ蜘蛛野郎‼︎」
イッセーも赤龍帝の籠手を向けて挑発した!
「ふん、威勢がいいなガキが!なら見せてみろ!一ヶ月の休み時間で得た力を‼︎かかってこいガキども!!グハハハハ!!」
ファントムは前脚に炎を纏わせると目を赤くして戦闘態勢を取った!
「よしいくぜドライグ‼︎」
『おう!』
「アーシア!あなたは安全な場所に隠れてなさい」
「はい!イッセーさん!リアスお姉様!気をつけてください!」
リアスとイッセーもアーシアを下がらせるとファントムと戦闘を開始した!
「イッセー!援護するわ!」
悪魔の翼を広げリアスは飛ぶと小型の魔弾を飛ばした!魔弾はファントムの近くに着弾しファントムの視界は煙で遮られた。
「オラァ!!」
死角からイッセーが飛び出しファントムに拳を直撃させた!しかしファントムは微動だにせず鼻で笑っていた。
「フッ、痛くも痒くも無い」
ファントムは前脚でイッセーを拳ごと薙ぎ払った!イッセーは着地すると再び拳を放ったがやはりファントムはびくともしない!
「チッ、相変わらず硬ぇな!やっぱ力を溜めないと通じないか!」
『だが相棒、気をつけろ?奴の外皮の硬度は前に感じた通り半端では無い!力を溜め過ぎると溜めた分だけ凄まじい衝撃が返ってくるぞ!』
倍加の力で攻撃しようとしたイッセーにドライグが忠告した。
「あぁ、そうだったな。だったら奴の外皮を砕ける力でいくしかないな!いくぜドライグ!禁手!!」
『Welch Dragon balance breaker‼︎』
禁手を発動させ赤い全身鎧の姿になったイッセー!この状態なら防御力も上がるから溜め過ぎても少しなら大丈夫だ!
「いくぜファントム!うおらぁぁぁぁっ!!」
『Boost‼︎』
倍加の力を数回溜め拳を構えてファントムに向かったが、ファントムは口に巨大な火球をチャージすると放ってきた!イッセーは空中で身を捻るとかわし再度攻撃を仕掛けた!
「もらったぜ‼︎」
「ふん!あまいぞ小僧‼︎」
ファントムは背中に丸めて収納していた尻尾を展開した!その姿はまるで蠍だ!
「尻尾⁉︎コイツ蠍だったのか⁉︎」
蠍の姿になったファントムは向かってくるイッセーに素早く連続で尻尾を突き出してきた!尻尾からは毒の如く高熱のマグマが滴り落ちている、刺されたら終わりだ!イッセーは必死に尻尾を避けていたが、その時ドライグがあることに気づいた。
『ん?あれは…おい相棒、奴は尻尾を展開している間は背中の外皮が無くなって無防備の様だ、今ならダメージを与えられるのではないか?』
確かに今はファントムの背中の内部が剥き出しだ!ドライグの案を聞いたイッセーはファントムの背中に狙いを定めて背中のブースターを吹かし突っ込んだ!ファントムも火球を連続に放ってきたがティアと修行してきたイッセーにとってはかわすのは容易であった。
「へっ!この程度の火球ならティアさんの方がまだ激しかったぜ!いけぇぇぇぇっ!!」
火球を潜り抜けたイッセーはファントムの背中に拳を叩き込んだ!
「ぐっ‼︎…ッ!このガキィ!!」
イッセーの拳に怯んだ声を上げたファントムは尻尾を振り回してイッセーを弾き飛ばした!
「よし効いてるぞ!このまま奴の背中を攻めるぞ!」
有効打撃場所を見つけたイッセーはもう一度攻撃しようファントムに飛んだが、ファントムは尻尾を収納すると勢いよく飛び上がった!
「同じ手は通じると思うなガキ!」
ファントムはそのまま急降下してきた!イッセーはバックステップで避けたが、ファントムは頭を地面に突き刺した!
『ッ!危ない相棒!そこから離れろ!!』
「えっ?ッ!うわっ⁉︎危ねえ!!」
危険を感じ取ったドライグが叫ぶとイッセーの足元から巨大なマグマの火柱が連続で出てきた!ギリギリでイッセーは回避したが、さらに追撃にファントムは火球を放とうとしている!しかし火球は発射される前に飛来した紅い魔弾が直撃しファントムの口内で爆発した!
「大丈夫イッセー?」
「部長!」
リアスが滅びの魔力を放って阻止した様だ、イッセーは感謝したが、煙が上がったファントムはすぐに立ち上がった!
「ゲホッ…ッ!小娘が!よくもやってくれたな!邪魔をするなら貴様から片付けてやる‼︎くらえ!!」
ファントムは標的をリアスに変え火球を連続で飛んでいるリアスに放った!リアスは火球はなんとか回避できたが立て続けに放たれたマグマの火柱を避けきれず翼を掠った!バランスを崩したリアスにファントムはとどめの火球を放った!
「部長ォォォッ!!」
直撃寸前で駆けつけたイッセーがリアスを抱き抱えて離脱したが火球が背中を擦り背中の鎧が破壊された!
「イッセー‼︎」
「だ、大丈夫です!ドラゴンショット‼︎」
イッセーはドラゴンショットをファントムの前の地面に当て目眩しをすると魔力を消して物陰に隠れた。
「イッセー…ごめんなさい、私が足を引っ張ったせいで…」
「気にしないでください部長、俺は部長が無事なら平気です」
アーシアに治療されながらイッセーは申し訳なさそうに謝罪するリアスを宥めた。それよりもイッセーは破壊された背中の鎧の部分を見ていた。
「それにしても掠っただけで鎧が壊れたぜ…」
『今の火球の火力を計算してみたが、気をつけろ相棒、あの火球は軽く1000℃を超えている。金属も一瞬で溶けるレベルだ、直撃は避けろ』
ドライグの解析を聞いたイッセーは苦笑いしていた。なら一ヶ月前に生身で直撃した時は手加減されていたということか…それに火球で1000℃越えならあのマグマの火柱は…想像しただけでゾッとする。
「何処に隠れた小僧!出てこい!!」
ファントムのイッセーを探す声が響く!探しながら口と背中から火球を放っているしこのまま隠れていても見つかるのも時間の問題だ、治療が済んだイッセーは立ち上がってアーシアにお礼を言った。
「ありがとうアーシア、もう大丈夫だ」
「イッセーさん…無理しないでくださいね?」
「あぁわかってる。アーシアはここで部長と隠れててくれ、大丈夫だ俺は死なない」
「イッセーさん…」
アーシアは心配そうにイッセーに抱きついた、イッセーは優しくアーシアの頭を撫でるとリアスに頷いた。
「部長、アーシアをお願いします、じゃ行ってきます!」
「わかったわイッセー、気をつけて」
イッセーは物陰から出るとファントムに向かって走って行った!
「イッセー…死なないで」
リアスはイッセーの勝利を信じて祈った。
物陰から出てきたイッセーはイッセー達を探していたファントムの前に立った!
「待たせたなファントム!俺はここだぜ!!」
「ほぅ、逃げずに出てきたか小僧、いい根性だ褒めてやる!さぁこい‼︎」
「そりゃどうも、根性だけはあるってよく言われるぜ!禁手‼︎」
ファントムはイッセーの根性にニヤッと笑うと全身に炎の力を纏った。イッセーももう一度禁手を発動させて構えたがある作戦を考えていた。
「禁手でちまちま攻撃してもラチが開かないし、背中を攻めるのも読まれる…だったらここはトリアイナで決める!ドライグ行けるか?」
『あぁ、だがもう長い時間禁手を発動させているから連続使用は出来ないぞ?ドラゴンブラスターは使わない方がいい』
「わかった」
作戦が決まったイッセーは魔力を解放した。
「今度はこっちからいくぞ小僧‼︎」
ファントムは大きく飛び上がるとイッセーを踏み潰そうと急降下した!しかしイッセーは潰される寸前で消えた!
「消えた⁉︎何処に行った小僧!」
「ウェルシュ・ソニックブースト・ナイト‼︎」
ファントムはイッセーを探していたが、イッセーは騎士のスピードを超える神速でファントムの周りを動き回っていた!イッセーの動きを捉えられないファントムは前脚や尻尾を振り回していたが全て空振りしていた。
「くそガキが!ちょこまかと動き回りやがって‼︎ハァァ!!」
広範囲にマグマの火柱を発生させイッセーの動きを封じようとしたが、イッセーは火柱の間を通り抜け叫んだ!
「モードチェンジ!ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク‼︎」
『チェンジ!ソリッドインパクト!!』
肉厚になった腕の鎧の撃鉄が起こされイッセーはオーラを纏った巨大な拳をファントムに叩き込んだ!しかしファントムも咄嗟に前脚で防いだ!拳が直撃すると爆発の衝撃波と共にファントムは大きく後方へと吹き飛ばされた!
「くっ…ッッッ……ふぅ、グハハ!やるじゃないか小僧!今までで一番インパクトのある打撃だったぞ?だが…残念だったな?それでも俺の外皮は破れていないぞ!」
拳が直撃したファントムの前脚は煙は上がっていたが傷一つ付いていなかった。それを見たイッセーは肩で息をしながらトリアイナを解除した。
「ハァ…ハァ…おい嘘だろ…おもいっきり放ったのに破れなかったのかよ…どんだけだよアイツの外皮…」
『残り魔力的にトリアイナは解除したぞ相棒。…おい?気を抜くな相棒!まだ戦いは終わっていないぞ!』
ドライグの言葉で正気に戻ったイッセーはファントムが放った火球を飛び上がって回避した!火球と火柱が連続で放たれイッセーは今度は防戦一方になっていた。残り魔力的にもうトリアイナは使えない!いやそれ以前に全力で放っても通用しなかった!どうすればいい!こんな時にダンテさんがいれば…いやダメだ!弱気になってどうする俺!皆頑張っているんだぞ!しっかりしろ!!回避しながらイッセーは弱気になっている自分に喝を入れた。
「グハハハハ‼︎どうした小僧!避けてばかりか⁉︎もっと俺を楽しませてみせろ!」
笑いながら火球を連射するファントム!イッセーは回避しながら反撃する手段を考えていたが、その時あることに気づいた。
「そうか…もしかすると」
イッセーは可能性を予測して拳を構えるとファントムに向かって飛んだ!
『相棒、どうするつもりだ?』
イッセーの突然の行動にドライグも聞いたが倍加の力を発動させた。向かってくるイッセーを見てファントムも鼻で笑った。
「フッ、やけくそか、さっきのレベルの力でないと貴様の拳が効かないことがまだわからないのか?もはや貴様の拳など構えなくても十分だ!グハハハ!」
嘲笑っていたファントムはイッセーの拳を防がずに立っていたが、イッセーはそのままオーラを纏った拳をファントムの顔に叩き込んだ!
「ぐっ⁉︎ぐああああぁぁぁぁああああっ!??」
しかし次の瞬間!ファントムから悲鳴が上がった!予想外の方からの悲鳴に見ていたリアスとアーシアも驚いた!イッセーの拳は…ファントムの顔に複数ある目の内の一つに食い込んでいた!
「へへ、やっぱり予想した通りだ!外皮は硬くても目までは硬くないみたいだな?どうだファントム!こいつは効いただろ!」
『相棒ォォ‼︎早くそこから離れろ!!』
「えっ?」
ドライグの叫びの警告にイッセーはすぐに動けなかった。イッセーの腕が鋏に変形したファントムの前脚に掴まれ動きが封じられた!イッセーはもがくがびくともしない!
「おのれ小僧…よくも…‼︎」
ファントムは目を赤くすると背中の尻尾をゆっくり展開した!
「死ね…‼︎」
尻尾は勢いよくイッセーの腹に突き刺さった!!その瞬間!イッセーに意識を失いそうになるマグマが流し込まれた!
「うああああああぁぁぁぁああああっ!!!」
『相棒ォォォォッ!!』
イッセーの絶叫が響き渡り、尻尾が引き抜かれるとファントムは鋏で掴んだままイッセーを放り投げた!イッセーの禁手は粉々になり解除された。
「イッセェェェェッ!!」
床に叩き付けられる前にリアスが受け止めファントムに魔弾を複数撃ち込むと物陰に入り込んだ!リアスはイッセーを床に下ろすと涙を流して必死に呼び掛けた!
「イッセー!イッセー!!目を開けてちょうだい!イッセー!!」
「イッセーさん!イッセーさん!!しっかりしてください!!」
アーシアもイッセーの手を握って涙を流して呼び掛けた!イッセーの腹には大きな風穴が開いており煙が上がっていた!致命傷だ!
「…ぐっ……ゲホッ…ゲホッ!…ガハッ‼︎……ぶ…部…長……アー…シ…ア……」
「イッセー‼︎」
「イッセーさん‼︎」
イッセーが辛うじて目を覚ました!しかしその目は虚ろだった…
「…す…すみま…せん…部長……ゆ…油断して…しまいま…した…ゲホッ!ゲホッ!」
「イッセー……いいえ、あなたは頑張ってくれたわ…謝らないで…」
リアスは優しく微笑むとイッセーを撫でて抱き締めた。
『相棒…お前は本当によく頑張った…俺は嬉しいぞ』
ドライグもイッセーに労いの言葉を掛けた。
「…部長…俺はもう…ダメです……アーシアと一緒に…逃げて…ください……あの天井から…なら…出られる…はずです…」
「イッセー…あなたを置いて逃げるなんてできないわ!あなたを失ったら私は…私は‼︎」
リアスは泣き叫んだが、イッセーは微笑むとアーシアの方を向き謝罪した。
「…お願いします…部長……ア…アーシア…ごめん…な…俺は…ここまで…みたいだ……お前は…生きて…帰るんだ…」
イッセーは震える手でアーシアの頬を撫でるとアーシアは手に取り涙を流した。
「イッセーさん……ありがとうございました…私はイッセーさんに出会って共に暮らせてとても幸せでした!イッセーさんは私にとってかけがえのない人です!イッセーさん…愛しています!だから…死なないで!死なないでくださいイッセーさん!!」
アーシアも泣き叫んでイッセーに抱きついた!そんな二人にイッセーも涙を流したが、だんだん意識が薄れていった…最後にイッセーは二人に声を掛けた。
「…ありが…とう…二人とも…お…俺…俺…!………ぁ……」
イッセーはそのまま目を閉じた…
「イッセー…?」
「イッセーさん…?」
目を閉じたイッセーにリアスとアーシアの時が止まった…
「イッセー!!」
「イッセーさん!!ああぁぁぁぁん!!」
リアスとアーシアは泣き出しアーシアはイッセーを抱きしめてさらに声を張り上げた!ドライグも無念の声を出し、イッセーにお礼を言うとせめてリアスとアーシアに脱出できるだけの力を譲渡しようとしたが、その時リアスが立ち上がった!
「リアス…お姉様…?」
『何をするつもりだリアス・グレモリー?』
アーシアとドライグは不思議そうに聞いたが、リアスは何も言わずファントムがいる方を向いた、その体には凄まじいオーラが渦巻いていた!
「…アーシア、あなたは生きて帰りなさい。ドライグ、アーシアを頼むわね」
「えっ…?」
リアスはイッセーに向き直ると呟いた。
「…あなただけを逝かせはしないわ、私もすぐにそっちに行くわ…」
リアスは翼を広げるとファントムに向かって飛んだ‼︎
「リアスお姉様…!」
『あの女…死ぬつもりか?馬鹿者が!そんなことをしても、相棒が浮かばれることなど決して無いのに…!』
リアスの覚悟にドライグは舌打ちし、残されたアーシアはイッセーの仏の体をせめて綺麗にしようと腹の怪我の治療を始めたが、その時イッセーの服のポケットから黒いケースの様な物が転げ落ちた。
「これは?」
アーシアは拾い上げるとケースを見つめた。ケースにはフェニックス家の紋章が刻まれていた、フェニックス家…まさか!アーシアはハッとすると急いでケースを開けた!すると中には!
「フェニックスの涙…!」
フェニックスの涙が入っていた!それは以前冥界で開かれたパーティでレイヴェルと話していた時に貰った物であった!するとそれを見たドライグがアーシアに呼び掛けた!
『そ、それはフェニックスの涙⁉︎おいアーシア・アルジェント!それを相棒に振りかけろ!まだ間に合う!俺が消えていないのがその証拠だ!急げ‼︎』
「は、はい!!」
アーシアはフェニックスの涙をイッセーの体に振りかけた!その瞬間…イッセーの体は光り出した‼︎
その頃、イッセーの仇討ちに燃えるリアスはファントムに猛攻を仕掛けていた!しかし、怒りによってリアスの魔力は満足に溜められず直撃してもファントムにはまともなダメージを与えることはできなかった。
「グハハ!どうした小娘?全然効かんぞ!それで攻撃しているつもりか!」
「ッ!ファントム…!アンタだけは絶対に許さないわ!絶対に!!お兄様!私に力を貸してください‼︎ハァァァ!!」
リアスは両手を突き出すと凄まじいオーラを纏い巨大な魔力を溜め始めた!どんどん増幅され巨大になっていく魔力の塊にファントムも笑みを浮かべて構えた。
「くらいなさいファントム!!ハアアアアアッ!!」
紅い巨大な魔弾が放たれファントムに直撃し大爆発した!!リアスは肩で息をしていたが、その時煙から巨大な鋏が出てきてリアスの腕を捕まえた!煙が収まると僅かに負傷したファントムが出てきた!
「そ、そんな…!」
「グハハ!今のは良かったぞ小娘?この俺に少しとはいえ傷を付けたのだからな!だが、残念だったな?」
「くっ!この‼︎」
リアスは掴まれた状態から魔弾をファントムの顔に放ったが…
ボキッ‼︎
ファントムはリアスの腕を鋏でへし折った!
「アアアアアァァァァ!!」
腕を折られリアスの悲鳴が響いたが、ファントムは鋏でリアスの首を掴むと持ち上げ尻尾を展開した!
「そう心配するな、お前もすぐにあの小僧がいる所に連れて行ってやる!感謝するがいい!グハハハハ!!さらばだ‼︎」
尻尾がリアスに突き立てられリアスは死を覚悟し目を閉じたが、その時横から光が飛来し奪い去る形でリアスを鋏から解放した!
「な!何だ今のは⁉︎」
ファントムも謎の光を警戒して見た!光はゆっくり着地すると収まったが、そこから現れた人物にファントムは思わず目を疑った!
「なっ⁉︎貴様は!そんなバカな!生きていたのか!」
そこにはなんと!兜を収納した禁手状態のイッセーがいたのであった!!
「確かに致命傷だったはずだ!貴様一体⁉︎」
とどめを刺したと裏付ける腹の傷も綺麗に塞がっている!一体何をした⁉︎
「イ…イッセー…?…あなた…なの…?」
「はい!ご心配をおかけしました部長!」
「イッセー!!」
リアスも信じられなかったが痛みを忘れてイッセーに抱きついた!これは夢なのか⁉︎いや、たとえ夢でもリアスは愛する者が帰ってきてくれたことが嬉しかった!
「でもどうやって助かったの?」
「はい、前にレイヴェルから貰った…ッ!」
その時!ファントムから火球が放たれイッセーはリアスを抱き抱えると神速に近い速度でアーシアがいる物陰に入った。
「おのれ小僧!何処に行った!!」
ファントムは目を赤くしてイッセー達を探した!
物陰に隠れたイッセーとリアスに、アーシアは生き返ったイッセーに改めて喜び抱きつくとリアスの腕の治療を始めた。治療されながらイッセーからどうやって助かったのか聞き、リアスはフェニックス家に感謝した。
リアスの治療が済んだが、治ったばかりでまだリアスは戦えず、イッセーも生き返ったとはいえこのままではファントムには勝てない…どうすれば。しかしイッセーにはある考えがあった。
「一つだけファントムに勝てる方法があります」
イッセーの言葉にリアスとアーシアは顔を上げたが、イッセーは少し言いにくそうにしていた。
「…ぶ、部長、お願いがあります…いや、部長にしか頼めません」
「何かしらイッセー?私に出来ることなら何でも言って!」
「…お、おっぱいをつつかせて…ください」
「……えっ?」
イッセーのまさかの発言にアーシアだけでなくドライグもポカーンとした。
『お、おい相棒?お前こんな時に何を言ってる⁉︎』
「あぁわかってる。でもなドライグ、俺は禁手に至った時もこの方法だった!ファントムを倒すにはトリアイナの力を超えないといけない!でもどうすればその力に目覚めるかその方法がわからなかった。そう思っていた時…この方法が頭に浮かんだんだ!」
ドライグは黙っていたがイッセーは謝りながら続けた。
「馬鹿げた方法だということは承知している!お前にも申し訳ないと思ってる!でも俺にはこの方法しか無いんだ!わかってくれドライグ‼︎」
イッセーは腕の宝玉に頭を下げてドライグの返事を待った。
『ハァ…やれやれ、やはり面白いやつだよ相棒は。お前のやりたい様にやれ、俺はお前を信じる』
「ありがとうドライグ!じゃあ部長改めておっぱいを…ブッ‼︎」
イッセーは胸をつつく許可を得ようとリアスの方を向いたが鼻血を噴いた!リアスは既に…胸を曝け出していた!
「は、早くなさい!恥ずかしいんだから///」
リアスの大胆な行為にイッセーは胸をつつこうとしたが、その前にアーシアの方を見た。アーシアは悔しそうにしていたがそっぽを向いた!
「わ、私に気にしないで早くつついてください!」
イッセーはアーシアに謝ると深呼吸し両手の人差し指をリアスの胸に近づけた!
「そ、それじゃいきます部長‼︎」
「う、うん///」
イッセーの指がゆっくりゆっくりとリアスの乳首に沈んだ…
「い、いやん♡」ピクン!
その瞬間、イッセーの中で何が弾け、兜を装着すると体全体が輝き出した!!その光にリアスとアーシアは目を覆った。ドライグも何が起こったのかわからなかったが、イッセーはある呪文を唱え始めた。
「我、目覚めるは、覇の理を捨て去りし赤龍帝なり!」
『こ、これはまさか…覇龍⁉︎だが俺が知る呪文とは違う?』
イッセーが唱え始めた呪文に驚いたがドライグは少し違うことに気づいた。
「無限の希望と夢を胸に抱え、王道を往く!」
『いや!違っていてもダメだ相棒!このまま唱え続けたらお前は歴代赤龍帝の怨念に支配されて…ん⁉︎これは一体どういうことだ?』
「我、紅き龍の王者と成りて」
呪文を唱え続けてもイッセーの精神は怨念に支配されなかった。これはどういうことだろう⁉︎するとドライグは白い一筋の光を見つけた、それを見たドライグは信じられなかった!
『これは宿敵の…アルビオンの宝玉の欠片⁉︎何故ここに⁉︎ま、まさか、あの時か⁉︎』
イッセーはかつて三大勢力の会談の時に裏切ったヴァーリ…白龍皇と戦い一時的にヴァーリをボコボコにした、その際に宝玉の一部が紛れ込んだのか⁉︎その一部が歴代赤龍帝達の怨念を鎮める奇跡を起こしたとでもいうのか⁉︎
「汝らに誓おう!真紅の光り輝く未来を見せると!」
イッセーが呪文を唱え終わると今度は紅い光が発生した!光が弱まるとそこには紅い鎧、紅い宝玉、巨大な紅い翼に眩いオーラを纏ったイッセーが立っていた!
「…イッセー…その姿は…?」
「イッセーさん…綺麗です…」
リアスとアーシアに言われイッセーも自分の姿を見た。濃くなった鎧の色、形状も少し違う…この紅い色は部長の髪の色と同じだ!そしてこの湧き上がる様なパワー!するとドライグが呼び掛けてきた。
『相棒!お前は覇龍に似た呪文を唱えその姿になったが、どういうわけか歴代赤龍帝の怨念と呪いはほとんど消えている。信じられなかったが相棒が以前白龍皇をボコボコにした時に僅かに紛れ込んだ白龍皇の宝玉の一部に微かに残っていた残留思念が力を貸してくれたのだろう』
イッセーは白龍皇の残留思念に感謝した。
『しかも相棒、お前は今赤龍帝の力が解放されている状態で女王に昇格しているぞ』
イッセーは内の駒を探ってみた、確かに…真『女王』になっていた!
『赤い…いや、もっと鮮やかな…そう紅!真紅のオーラ、さしづめ…『真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)』と言ったところか』
「真紅の赫龍帝か…そりゃいいぜ」
ドライグが名付けた新たな名をイッセーは気にいるとリアスとアーシアに向き直り頷くとファントムがいる方を向いた。
「それじゃ部長、アーシア行ってくるぜ!」
イッセーは勢いよく飛び出して行った!リアスとアーシアは心配そうに見ていたがイッセーの勝利を信じて見守った。
紅いオーラと共にファントムの前に降り立ったイッセー!紅い翼は閉じると収納された。
「待たせたなファントム!」
「ふん、小僧!まさか生きていたとはな!何だその姿は?」
ファントムは先程のイッセーの鎧と違うことに気づき、同時にイッセーの力が上がっていることに笑みを浮かべた。
「てめぇをぶっ倒す為に目覚めた新たな力だ!俺達は負けない!覚悟しやがれ!!」
「ほぅ、ぶっ倒すか…やれるものならやってみろ!!」
「いくぜ!勝負だファントム!!」
イッセーとファントムの決戦が始まった!!
『スター・ソニック・ブースター‼︎』
飛び出した瞬間イッセーの姿が消えた!とんでもないスピードだ!トリアイナのスピードが遅く感じられる!しかもまだ全力じゃない!自分でも驚く速度だったが、イッセーはステップを加えてファントムの周りを駆け回った!
「速い!だがいい気になるなよ小僧‼︎」
ファントムは前脚で薙ぎ払ったり尻尾を振り回したがイッセーにとっては遅過ぎるくらいに見えていた!イッセーはかわしながらスピードを上げるとファントムの体に打撃を当てていった!ファントムは反撃しようとしたがイッセーの動きが捉えられず舌打ちした。
「遅いぜファントム!」
攻め続けていたその時、ドライグが忠告してきた。
『相棒!女王の状態はまだお前の体に浸透し切っていない!このままではバランスブレイカーの状態が解ける‼︎』
「そこはなんとかしてくれドライグ!せめてこの戦いが終わるまで!ウオオオオオッ!!」
『ソリッド・インパクト・ブースター!!』
腕が極太になり撃鉄に起こすと魔力のオーラを纏わせファントムに突撃した!
「チッ!ガキが!調子に乗るな‼︎」
ファントムも前脚に炎を纏わせ振り下ろした!イッセーの拳とぶつかった瞬間!
ピシッ…‼︎
ファントムの外皮にヒビが入った!
「何⁉︎たった一撃で俺の外皮にヒビを入れただと⁉︎」
驚くファントムにイッセーは反対側の腕の撃鉄を起こしたオーラの一撃を繰り出した!
「これで終わりだぁ!!」
その一撃を受けファントムの前脚は粉々に破壊された!
「ぐおおおおぉぉぉぉっ!??ッ!このガキィィィ!!」
前脚を破壊され怒り狂ったファントムは尻尾を突き出してきたが、イッセーはルークの腕のままであっさり受け止めるとそのままファントムごと床に叩き付け掴んだまま振り回した!振り回されている最中に尻尾がちぎれた!
「ぐあああぁぁぁぁッ!??よくも…よくもよくもォォォッ!!」
『スター・ソニック・ブースター‼︎』
イッセーは一瞬で距離を詰めた!
『ソリッド・インパクト・ブースター‼︎』
間髪いれずオーラを纏ったアッパーカットをファントムの顎に当て吹き飛ばした!その一撃でファントムの顎も壊れた!ファントムはよろよろと立ち上がったがもうボロボロだ。
『相棒、そろそろとどめだ!』
「あぁ!これで決める‼︎」
『ファング・ブラスト・ブースター!!』
両肩から砲身が展開され魔力のエネルギーがチャージされていく!トリアイナと違いチャージ時間はかなり短縮されていた。
「これで最後だ!クリムゾンブラスター!!いっけぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
砲身から大出力の魔力のエネルギー波が発射されファントムの体を呑み込んだ!!
「ぐおっ⁉︎…くっ!…ぐっ⁉︎…ぐわあああああぁぁぁぁっ!!!」
クリムゾンブラスターの出力によって体が浮き吹き飛ばされ宙を舞ったファントムの体は落下するとその下にあった騎馬騎士像が持った槍に背中から串刺しになった!!
「ぐあぁぁぁぁ!??!ガハァァッ!…こ、この俺が…こんな…‼︎ぐわああああぁぁぁぁっ!!!」
まさかの結末にイッセーと戦いを見ていたリアスとアーシアは言葉を失った!槍に貫かれ激しく出血するファントムは仰向けのままイッセーを見た。
「ガハッ!…ゼェ!…ゼェ!…グハ…ハ…み…見事だ…小僧……俺の…負け…だ…ガフッ!…ゴフッ!…」
ファントムが戦闘不能と判断してイッセーは真紅の赫龍帝の状態を解除した。しかしファントムは不気味に笑い続ける。
「だが俺一人だけでは…死なんぞ…!貴様らも…道連れに…して…やる‼︎」
ファントムは目を赤くすると不気味に笑みを浮かべた。
「何だって⁉︎まさか!」
「グハハハ…‼︎共に…地獄に堕ちようぞ!!…さらばだ‼︎」
次の瞬間!ファントムは自爆し大爆発を起こした!!ものすごい勢いで迫ってくるマグマと爆風‼︎イッセーは急いでリアスとアーシアの元へ走り手を伸ばした!
「部長!!アーシア!!」
「イッセー!!」
「イッセーさん!!」
しかし三人は手を掴む前に爆発に呑み込まれた…
次回、ライザーとグリフォンの決戦!お楽しみに!