第15話 新装開店オープン
デビルメイクライに隣接して店が建っている。店の名前は『ブラックキャット』…BARだ。黒歌が最近始めた新しい店で以前言っていたやりたいことである。
ついこの間黒歌の監視期間が終わったので、本当に自由になった記念にサーゼクスに建ててもらったのだ。サーゼクスのやつも監視期間は数ヶ月と言ってたがたったの一ヶ月でなんやかんやでかなり短くしていた…ホントお優しい魔王様だぜ。
店内はカラフルな照明が点いており、バラード風な音楽が流れている大人な雰囲気を出していて、カウンター席とテーブル席が並んでいた。現在、ピーク時で店内にはそれなりの人数の客で賑わっていた。カップル、仕事帰りのサラリーマン、近所の住民などさまざまな客が来ていた。
「黒歌ちゃ〜ん!ハイボール二つ!」
「はいはーい!ちょっとお待ちくださいにゃ〜♪」
客から注文が入り黒歌は氷を割り始めた。
このように黒歌は普段の猫語で対応していたが、これが客に大ウケし、さらに黒歌のルックスでたちまち大人気となった。猫耳と尻尾は出しているが客には本物みたいに動くカチューシャと尻尾アクセサリーと言っているのでバレてはいなかった、これも大ウケしていたが流石に触られた時や引っ張られた時はバレない様に我慢していた。
「黒歌ちゃん、ピザ一枚!」
「あっ、こっちにも二枚!」
「はーい♪」
ピザの注文が入り黒歌は生地を練ると器用に指一本でクルクル回し始めた。このピザ回しも店の名物になっており、客から拍手と歓声が上がり盛り上がっていた。
一方、デビルメイクライではダンテが修理されたジュークボックスの音楽を聴きながらソファで横になっていたが、黒歌のBARは室内からでもドア一枚で繋がっているのでBARからの音楽とジュークボックスからの音楽で少々ゴッチャンになっていた。
「ん〜、なんだか曲がよくわかんねぇな…」
ズダン‼︎
眉を曲げながら呟くと突然カウンターテーブルの方から銃声が響き事務所のドアに当たった!ダンテは溜め息を吐いて起き上がると銃を発砲した紅い小さな龍に注意した。
「おい、危ないから勝手に銃を弄るなって言ってるだろ『バーニィ』?」
この紅い龍は黒歌の使い魔である火焔龍(バーニングドラゴン)の子供、バーニィである。中々の悪戯好きで特にダンテの銃器を弄ってはよく誤射していた、一度直撃したこともあったが…
黒歌も使い魔として扱わずペットとして可愛がっていた。契約者の黒歌はもちろんダンテにも非常によく懐いておりティア曰く「女の子だから」らしい…?ちなみにティアのことは怖がっている、先輩ドラゴンだからか?
バーニィは銃を置くと翼を広げ、ダンテの頭の上に乗るとくわ〜っとあくびをして眠ってしまった。
「ったく、しょうがねぇな」
ダンテは寝ているバーニィを撫でると起こさない様に手元に抱き黒歌の部屋に連れて行った。
BARの方ではピーク時間が終わり客が帰り閉店時間が近くなっていた。黒歌はグラスや食器を片付けテーブルを拭いて閉店準備をしていたがドアが開いてベルが鳴った。
「「「こんばんは〜」」」
「あら!いらっしゃいにゃ〜座って座って♪」
来店したのは悪魔の仕事帰りのイッセー、アーシア、祐斗の三人だった。黒歌は三人を席に案内するとカウンターに戻った。
「小猫ちゃんから黒歌さんがBARを始めたって聞いたんで仕事帰りに寄ってみたんです」
「すみません、本当なら僕達みたいな学生はあまり来ちゃいけないんですけどね」
「はわわわ…BARなんて初めて来ました…ああ、主よ、不良になってしまった悪い私をお許しを……はうっ!!」
アーシアは悪魔になっても祈り癖が無くならないらしくよくダメージを受けていた。
「でも来てくれてありがとうにゃ。何を飲むにゃ?お酒以外にも色々あるからなんでも言ってにゃ〜」
カウンター席に座りジュースやアイスティーを飲みながらイッセー達は話を始め、黒歌はグラスを拭きながら聞いていた。
「そういえばイッセー君、あれからドライグはどうなったんだい?」
「あぁ、この前夢の中に出て来たんだけどな、今の俺じゃドライグの力に体が耐えられないらしくてもっと力を着けろって言われた。力に耐えられる体になったら出て来てやるって言ってまた眠っちまったんだ」
イッセーはアイスティーを飲んで溜め息を吐いた。
「へぇ、そうなんだ。確かにキミの神器は宿主の力が強ければ強いほど力を発揮するからね、これからイッセー君のトレーニングは大変になるかもね」
「この野郎〜他人事みたいに言いやがって…でも最近は部長も朝の筋トレに付き合ってくれるんだ、アーシアもな」
「はい!私もイッセーさんのお役に立ちたいですから(^^)」
アーシアは頬を染めながら元気よく笑った。イッセーは話題を切り替えると祐斗に尋ねた。
「そういえば木場、最近部長の元気が無いみたいなんだけど何か知らないか?」
「イッセー君も気づいたかい?僕も気になっていたんだ。でも部長が悩む事ならグレモリー家が関係してるかもしれないね」
「話し掛けても溜め息を吐いていることが多いですし、理由を聞いても何でもない、大丈夫、としか言いませんし…部長さんお身体の具合が悪いのでしょうか?私、心配です…」
アーシアは悲しそうにリアスの心配をした。話を聞いていた黒歌も心配したが同時に一つの可能性を予感していた。
(リアスちん、もしかして……)
「朱乃さんなら何か知ってるかもしれない、朱乃さんは部長の懐刀だからね」
「そうだな、じゃあ明日朱乃さんに聞いてみようぜ」
それから、数分イッセー達は雑談をして帰ることにした。会計を済ますと黒歌はイッセーにチラシを渡した。
「ねぇイッセーちん、これリアスちんに渡しといてにゃ、ここの宣伝にゃ」
チラシには店の宣伝と学生割引と看板娘の黒歌ちゃん(ウィンクして投げキスしている写真付き)と書かれていた。
「わかりました。それじゃまた来ますね」
祐斗とアーシアも頭を下げると三人は帰っていった。
イッセー達が帰ってちょうど閉店時間になったので黒歌は店の入り口の照明を消し片付けを再開したが、デビルメイクライに繋がるドアからダンテが入ってきた。
「おぅ黒歌、どうだ調子は?」
「大繁盛にゃ!この仕事は楽しいにゃん」
「へぇ、そりゃよかったな。んじゃ、とりあえず一杯くれ」
カウンター席に座ると黒歌が一杯の酒を出してニコニコしながらダンテの隣に座った。
「ねぇダンテ、これあたしが考えた新メニューなんにゃけど、飲んでみて欲しいんにゃ。ダンテってお酒強い?」
「あぁかなり強い方だと思うぜ、簡単には酔わないぜ」
黒歌が差し出したのはハイボールだったが、見たところ特に何か入っている様には見えない。
「まぁ飲んでみるか、ゴクッ……うん、普通に美味いと思うずぅぅえぇいぃ!??!んん??」
飲んだ瞬間ダンテの語尾がおかしくなり頭がフラフラし出した!
「う、うぉい?黒歌?これ何だぁ⁉︎」
「にゃ?ハイボール仙術スペシャルレベルMAXにゃ☆」てへぺろ☆
なんとハイボールに仙術をかけたらしい!黒歌は笑いながら説明を始めた。
「『これを飲んだあなたを見たことの無い素敵な旅へご案内〜☆』的な感じで考えたんだけど…まずかったかにゃ?」
「当たり前ぇっだぁ!こんなの普通の人間が飲んだら死ぬずぇえ?」
黒歌はダンテの変になった喋り方に笑いながらメモしていた。
「wwwなるほどなるほど、レベルMAXじゃ死ぬと…ありがとにゃダンテ、仙術の配分がわかったにゃ。それにしてもMAXだとダンテでも仙術が効くんにゃね?これもダンテの力の影響かにゃ?」
「そんなことどうでもいぃぃいから、さ、さっさと仙術を解けぇえ!うおぉと⁉︎」
「ふにゃ⁉︎」
ふらついたダンテは黒歌を押し倒しながら倒れた!
「あ♡にゃああぁ〜ん♡ダンテってば大胆にゃ〜ん♡」
「んなこと言ってる場合かぁ!」
起き上がれないダンテはもがくが黒歌は喜んでいた。側から見ればダンテが黒歌を押し倒している様にしか見えない、こんなところをティアに見られたら面倒になるに決まってる!早く起き上がらねぇと!しかしそう思っていたその時凄まじい殺気を感じた!ま、まさか…見るとそこには目のハイライトが消えたティアがオーラを出しながら立っていた……ゴールドオーブ持ってたけか?
「…何を…しているんだ貴様ら?」ゴゴゴゴ
「あ…ティア姉…お帰りにゃ」
「…あぁ、ただいま…私がいない間にずいぶんと楽しんでいたみたいだな?何か言い残すことはあるか?」ゴゴゴゴ…ミシッ
「落ちちゅけ、ティィアァ」
ブチッ!
語尾が変なダンテの言葉がティアに火をつけた!
「問答無用!!ドラゴンラッシュ!!!」
「にゃあぁぁ!!待ってティア姉!ここでそれはやめてぇぇぇぇぇっ!!」
黒歌の叫びと同時に店が爆発し、入り口から蒼い龍の頭が飛び出して行った。
数分後、事情を聞いて落ち着いたティアが魔力で店を修復しながら謝ってきた。
「…す、すまん、私の早とちりで開店して間もない店を壊してしまって」
「にゃはは…気にしないでにゃ、あれを見たら誤解するのはしょうがないにゃ」
黒歌はダンテの仙術を解きながら苦笑いした、そしてダンテは仙術による混乱から解放された。
「…ふぅ、やっと気分が良くなったぜ、ったく反省しろよ黒歌?」
「ごめんにゃ、ダンテ」
「まぁいいが、それよりあの新メニュー、仙術をかけるなら少しにした方がいいぞ?本当のあの世行きの旅になっちまうからな」
「わかったにゃ」
仙術をかける配分をメモして黒歌が頷くと、BARのドアが開きベルが鳴った。来店したのは黒髪に前髪が金髪のちょいワル系な男性だった。男は店の荒れ具合を見ていたが、すでに閉店時間が過ぎていた為黒歌は来客の男に断ろうとしたが…
「ごめんなさいにゃ、今日はもう閉店…!!!?」
その時黒歌の表情が強張り、修復作業をしていたティアも気配に気づき血相を変えて飛んで来た!…この男、只者じゃないな……力の波動的に堕天使の様だが…
「貴様は⁉︎何しに来た⁉︎アザゼル!!」
ティアが叫び鋭い目つきで戦闘態勢を取った!何?…アザゼルだと?じゃあコイツが堕天使の総督か…
「…落ち着けよ、騒ぎを起こすつもりはねぇよ」
「では何の用だ⁉︎」
ティアは殺気立っているが、アザゼルから敵意は感じなかった為ダンテはティアに落ち着かせた。
「改めて自己紹介するぜ、俺はアザゼル、堕天使供の頭をやってる。直接会うのは初めてだな、デビルハンターダンテ。今日のところは挨拶とこの前のお礼を言いに来ただけだ」
アザゼルは突然頭を下げた!その堕天使総督らしからぬ行動にティアと黒歌は驚いた。
「俺の部下を止めてくれてありがとうよ、おかげで大ごとにならずに済んだ。まったくあいつら勝手なことしやがって…命を犠牲にしてまで得た神器なんて手に入れても嬉しくねェよ。副総督のシェムハザもお礼と謝罪を言ってたぜ」
「フッ、こちとらそれが仕事だからな」
アザゼルはフッと笑うと手を振り踵を返した。
「ま、そういう事だ、今度またお礼をする。長居しすぎると気づかれるかもしれないからな、じゃあな」
アザゼルは足早に帰って行ったが、ドアの前でダンテに振り返った。
「あぁそれと俺がここに来たことはサーゼクスの妹には言わないでくれ、知られると面倒な事になるからな」
そう言い残しアザゼルは帰って行った。
「まさかアザゼル本人が来るとはな…」
「ホントびっくりにゃ」
戦闘態勢を解いたティアは黒歌と顔を見合わせて驚いていたが、ダンテは思っていたほどの悪人には見えなかったので落ち着いていた。
その後、夕食を食べ風呂に入り、いろんな意味で疲れたのでダンテはベッドに横になっていた。
「ふぅ、ちょっと早ぇがもう寝るか……ん?」
パァァァ…
その時部屋の床に紅い魔法陣が現れリアスが転移して来た、その顔は焦っていた。さっそくアザゼルの件で色々聞かれるのかと思って見ていると、リアスの口からとんでもない言葉が飛び出した!
「ダンテ!今すぐ私を抱きなさい!大至急…私の処女をもらってちょうだい!!」
…What's?おいおいこの女今何て言った?頭でも打ったか?内心そう思っているダンテをよそにリアスは続ける。
「祐斗は紳士だからムリ!イッセーにはアーシアがいるからムリ!だから貴方にしか頼めないの!お願い急いで!」
「………」
ダンテは何も言わなかったが、リアスはダンテの上に跨ると服を脱ぎ下着姿になった!そのままダンテの顔を見つめると自分の股を指差しながら頬を染めた。
「…わ、私も初めてだけど頑張るわ…手順は簡単よ…私のここにあなたのを納めるだけよ…///」
興奮しながらブラを外し最後にパンツを脱ごうとしたが、次の瞬間三人の殺気に包囲された!リアスは状況を確認すると脱衣を止め潔くホールドアップした。
左右からティアと黒歌が魔力を溜めた手を向けておりダンテの体からネヴァンが上半身のみ出して頬杖を突き雷を帯びた指鉄砲を向けていた!…やれやれ言わんこっちゃない。
「…何か言い残す事はあるか?リアス・グレモリー?」
「…どんな死に方がお望みにゃ?リアスちん?」
「…ちょっと調子に乗り過ぎよ?お嬢さん?」
ネヴァンはともかくティアと黒歌は殺す気満々だ!これは止めないとリアスは殺されるな…
二人を落ち着かせようとしていたら床に今度は白い魔法陣が現れた、それを見たリアスは残念そうに溜め息を吐いた。
「こんなことで破談に持ち込むつもりですかお嬢様?………これは既に修羅場ですね」
魔法陣からグレイフィアが現れた、そして周りを見て状況を理解した。
「よぅグレイフィア、久しぶりだな」
「お久しぶりですダンテ様、お嬢様が大変失礼致しました」
グレイフィアはとても礼儀正しく頭を下げて謝罪してきた。
「あぁそれはかまわねぇが、そのお嬢様は一体どうしたんだ?ご乱心か?」
「はい、実は…「グレイフィア!」…はい」
説明しようとしたグレイフィアを鋭い目付きでリアスが止めた!…これは何かあるな。リアスは溜め息を吐いてダンテの上から降りると脱いでいた下着と服を着てダンテに謝ってきた。
「ごめんなさいダンテ…私も冷静じゃなかったわ、さっきまでのことは無かった事にしてちょうだい、お互いに忘れましょう」
「…好きにしろ、どうせお前が勝手に始めたことだしな」
服を着終わったリアスは立ち上がると真剣な表情になりグレイフィアに声を掛けた。
「グレイフィア、私の根城へ行きましょう、話はそこで聞くわ。朱乃も同伴でいいわよね?」
「構いません、王たるもの女王を傍らに置くのは常ですので」
帰る前にリアスはダンテに近づいた。
「ダンテ、今夜はこれで許してちょうだい」
そう言ってダンテの頬にキスをし、グレイフィアと共に転移して行った。その瞬間ティアと黒歌の殺気がさらに強烈になった。ダンテは溜め息を吐くとネヴァンの頭を掴んで体に引っ込ませ、二人の首筋に手刀を当て気絶させると各部屋に寝かせた。
さて、また何か騒動が起こりそうだ…