俺は今珍しく焦っている。
ゴォォォォォ… 現在、絶賛落下中である。
テメンニグルから人間界へ繋がる魔法陣に飛び込んだ所まではいいんだが…これは一体どうしたものか?
「…流石にこれはヤバいんじゃねぇか?」
いくら体が普通よりかなり頑丈でも流石にこのまま地面に叩きつけられたら怪我じゃ済まない。とりあえず翼を…ダンテは翼を出そうと力を込めたが……出ない!
やはりつい先程までバージルと死闘を繰り広げた後、魔力と体力の消耗は半端ではなく、翼を出すまでの力は戻っていなかった。徐々に回復しつつあるがまだ何もできなかった。
少しすると段々地上が見えてきた、辺り一面緑…どうやら森のようだ。
少しでも落下速度を落とそうとコートをムササビの様に広げ衝撃に備えようとしたが、そこである物が目に入った。
「…ん?何だありゃ?……蒼い……龍?」
そう、落下予想地点に全長20メートルくらいありそうな巨大な西洋タイプの蒼い龍が横たわっていた!
美しい光沢を放つ蒼い鱗は見る者を……っておいおい今はそんなこと考えてる場合じゃない!しかもよく見ると角(眉に相当する部分にある突起)に向かって落ちている。このままじゃ突き刺さってしまう!
なんとか体勢を立て直そうとするが思った以上に風が強く身動きがとれない…こうしている間にも迫ってくる角‼︎
腕を組んで回避する方法を考えるが……う〜ん…ダメだ。
「ここからはR指定だ…ブシュ‼︎…ぐぇ…」
呑気なセリフと共にそのままダンテは腹から串刺しになった。
数秒後…
「う〜ん…ふぅ、やれやれ普通の人間だったら死んでたぜ。よっと…ズボッ‼︎…ってネフィリムだけどな」
何事もなかった様に角から体を抜き一人ツッコミをする。ちなみに傷はすぐに塞がった、相変わらずよくわからないくらい頑丈な体だぜ。
とりあえず手に持っていたフォースエッジを体にしまい周りを見渡す…かなり深い森だ。
「さ〜て…ここは一体何処なんだ?…まぁ空の色からして人間界じゃねぇことだけは確かみてぇだな」
ダンテの言う通り空は紫色だった。人間界ではまずこんな色にはならない……だとすると…
「…魔界か…よりによって魔界かよ、一番来たくない場所に来ちまったな、バージルの奴もここにいるのか?はぁ〜しょうがねぇ、とりあえず歩いてみるか、出口は…こっちか?」
森の出口に向かって歩き始めたその時!
「おい!」
「あん?」
後ろからドスの効いた女性の声が聞こえたので振り向くとそこには、顔左半分を赤い血で染めたさっきまで寝ていた蒼い龍がダンテを睨みつけていた!
side ティアマット
私の名はティアマット。誰かだと?先程まで寝ていた蒼い龍だ。
五大龍王の一角で世間では天魔の業龍(カオスカルマドラゴン)と呼ばれている。龍王唯一の雌だが馬鹿にしてはいけない、これでも私は五大龍王最強だ。
私はここ使い魔の森でヌシをやっているんだが、たまに来る私を使い魔にしようと挑んで来る雑魚どもは最近来なくなった、ふん!腑抜けどもが…。どうせ今日も誰も挑んで来ないだろうし退屈なので誰も近づけないようにプレッシャーを放ちながら眠っていた。
ブシュ‼︎
…む?何だ?いきなり左眉の角に衝撃と生暖かい感覚を感じ瞼を開けると…視界が真っ赤に染まっていた‼︎何だ⁉︎一体何事だ⁉︎怪我をしたのかと慌てて目を動かすと角に誰かが突き刺さっているのが見えた。
やれやれ、串刺しになって死ぬとは哀れな奴だ、死体があるのも嫌だし、面倒だが情けとして火葬でもしてやろうかと思ったが…数秒後、その者は何事も無かった様に角から抜け出すと、軽く伸びをして持っていた剣を体の中にしまった後…ってどんな体してんだコイツ⁉︎辺りを見回した後私を無視して歩き出した…何?この私を無視しただと⁉︎
…ブチッ‼︎
その瞬間私の中で何かがキレた!
「おい!」
「あん?」
私の呼び掛けにその者は面倒そうに振り向いた。
side out
辺りに怒号が響く!
「貴様ァ!この私を五大龍王ティアマットと知っての狼藉か!!しかも人の顔を汚らわしい血で汚しおって!!!生きて帰れると思うなよ小僧!!!!」
ティアマットは凄まじい威圧感と迫力で目の前の自分を見上げる狼藉者に叫んだ!普通の者ならこの時点で逃げるか命乞いをするだろう、しかしダンテは…
「おお⁉︎こりゃ珍しい!喋るトカゲか⁉︎マニアが見たら泣いて喜ぶだろうな!」
……あろうことか笑いながら挑発していた。
「な!?ト、トカゲだとぉ!?愚弄する気か悪魔風情が!!」
トカゲ呼ばわりされ、さらに激昂しダンテに巨大な拳を振り下ろしてきた。
「落ち着けよ蒼トカゲ、それとも遊ぶか?ほらどうした?来いよ」
拳を避け、手招きしながらさらに挑発するダンテ。その挑発にティアマットは唸り声を上げ戦闘態勢を取った!
「後悔するぞ小僧!!グルルル!!」
「It's show time‼︎ 来いよ!」
ファイティングポーズを取るダンテ。
ザッ!!
先に動いたのはダンテだった。ダンテは素早いステップでティアマットに向かった!対するティアマットもダンテを見失わないように小型のブレスを放つ!ダンテは全てのブレスを回避した。
「ほぅ?中々良い動きをするではないか!ではこれならどうだ!!」
今度はレーザー状のブレスを十の字に放った! 当たった地面が爆発し辺り一面煙に覆われた!ティアマットはダンテが出てくる所を予想して待っていたが、その時煙の中からダンテが素早く飛び出し、リベリオンでティアマットの首筋を一閃した!これで勝負が決まったと思ったが…
ガキィィィン!!
「⁉︎チッ!硬ぇな!」
予想以上に鱗が硬く、リベリオンは大きな音を立てて弾かれてしまった!リベリオンを弾くとはかなりの硬度だ!
「無駄だ!私の鱗は剣如きでは斬れんぞ!」
尻尾でダンテを弾き飛ばし再びブレスを連射するティアマット!ダンテは体勢を立て直しブレスを避けながら次の策を考えていた。
(…リベリオンを当てても手応えを感じなかったな…あの硬度だとおそらく銃も効かねぇな。さて、どうするか? 俺はまだ体力が全快じゃねぇから早いとこケリつけねぇと参っちまう)
「オラオラァ!!逃げてばかりか!?反撃して来い!」
(この体力で奴を倒すにはコレしかない!)
作戦が決まり急に動きを止めたダンテ。ティアマットもブレスを止め鼻で笑いながらダンテに訊いた。
「どうした?諦めたのか?…しかしまぁこの私を相手にここまで戦えたのは貴様が初めてだ!挑発するだけのことはある。褒めてやる小僧、ではその勇気に敬意を表し私の全力を貴様に見せてやろう!!」
ダンテの実力に関心したティアマットは口を開けオーラを纏うと特大ブレスをチャージし始めた!その影響で辺りも大きく揺れ始めた!
(チャンスは奴がブレスを放った瞬間だ)
渦巻きながらどんどん大きくなっていくブレスの塊!チャージが完了したティアマットは放つ前にダンテに笑い掛けた。
「待たせたな!もう少し楽しみたかったが、これで終わりだ!私に喧嘩を売ったことをあの世で後悔するがいい!!消し飛べ!!」
特大ブレスを放ったティアマット!ブレスは周りの木々を吹き飛ばしながらダンテに向かって行った!
(よし今だ!ドッペルゲンガー!)
ダンテの姿が一瞬ブレたがダンテはそのまま巨大ブレスに呑み込まれた…
ドゴォォォォン!!!!
大爆発が起こり辺りが大きく揺れティアマットの前に巨大なクレーターが出来た!煙が収まるとそこにダンテの姿は無かった…ティアマットは辺りを確認すると鼻で笑った。
「ふん、呆気ない。中々の実力者だったが所詮はこの程度…グボォォァァ!??!」
突然腹部に突き抜ける様な激痛が走り、何事かと見るとそこには光り輝く籠手と具足ベオウルフを装備したダンテがアッパーカット(リアルインパクト)を放っていた!
「な⁉︎ば、馬鹿な…奴は私が消し飛ばしたは…ず……」
ティアマットは吹き飛び仰向けに倒れた。
「ふぅ、上手くいってよかったぜ…あ……流石に俺も限界…だな」
ダンテも限界になりその場に倒れた。
数分後 …
「よっと」
手を使わず勢いよく起き上がるダンテ。伸びをして首を鳴らすと…
「う…う…ん(コキッコキッ)さてと、つい勢いで戦っちまったが、アイツにはいろいろ聞きたいことがあるからな、そろそろ起きてもらうか」
ティアマットの顔の前に来たダンテ。起こそうとティアマットの頬を叩き始めた。
「おい起きろ、朝だぜ?いつまで寝てる気だ? ……ん?」
その時ある事に気付いたダンテ……ティアマットが先程から息をしていないことに。ベオウルフを当てた場所を見たが、腹と胸の間の鱗にヒビが入っており血が滲んでいた。まさかと思い手を当ててみると……心臓が止まっていた、つまり…死んでいる。ダンテの顔から余裕が消えた。
「…やれやれ、殺っちまったか……」
見知らぬ所に来て早々龍を殺してしまったことに溜め息を吐いて頭を掻いていたその時、ダンテの中から女性の声が響いた。
『ダンテ、私の力を使ってみて』
「この声…ネヴァンか?」
『えぇ、そうよ』
彼女の名前はネヴァン。ダンテがテメンニグルで戦った女性悪魔で、電撃と蝙蝠による攻撃の使い手である。ダンテに敗れた際に実力を認めて気に入りその姿を武器に変えていたのだが、魔具になってからは他の魔具同様声は聞こえなかったのにどうして急に?
そう思っているとダンテの手元に電気を帯びた奇抜なギターが現れた、電気ということは…やることは一つしか無い。
「なるほど、心臓マッサージか」
『そう、私が電気を流すからダンテはベオウルフで軽い衝撃波を放って』
「わかった」
ティアマットを蘇生させるべく処置が始まった。しょうがねぇ、殺しちまったからには生き返らせてやるぜ。
「チッ、体の硬いヤツだな…」
鋼の様な硬度の鱗に手を当てベオウルフで心臓マッサージをし、ネヴァンを鱗の隙間に突き立て電気を流した。電気と衝撃波による懸命な蘇生措置の結果…
…ドクン…ドクン…
『心音が戻ったわ。今度は少し強めに衝撃波を放ってみて』
パシュン!パシュン!
そしてついに!
「がはっ!!はぁ…はぁ!ゲホッゲホッ!! …わ、私は…一体…?ぐっ!痛たた…」
蘇生が成功しティアマットは咳き込みながら目を覚ました。
「よぅ、目が覚めたか?」
「!ッ‼︎貴様は!!」
ダンテの姿を見てティアマットの表情が一瞬強張った。
「悪りぃな、まさか殺しちまうとは思わなかった」
「いや、気にしなくていい。貴様がそれほどの実力者だったということだ。それより…お前が生き返らせてくれたのか?」
「まぁな、体が硬くて心臓マッサージが大変だったぜ」
「…失礼な奴め。まぁいい、それで?何の駒を使ったのだ?女王か?戦車か?まぁ私なら女王が妥当だろう。これで私も悪魔の仲間入りか…ハァ〜」
「?…駒?一体何の話だ?」
ティアマットは残念そうに溜め息を吐いていたがダンテはティアマットの言葉の意味が分からず首を傾げた。ティアマットもダンテの答えに不思議に思った。
「何?どういうことだ?悪魔に転生させたのではなかったのか?…そう言えばさっき心臓マッサージと言ったな?それに私から悪魔の力を感じぬところを見ると私はドラゴンのまま…なのか?」
「何言ってるかさっぱりわからないが、俺は普通の蘇生措置をしただけだぜ?だからお前はそのままなんじゃねぇか?」
「悪魔になってない…つまり私はドラゴンのまま…よかった…私はドラゴンの誇りは失わずに済んだということか!感謝するぞ小僧‼︎」
悪魔にならず種族をドラゴンのままでいさせてくれた事に感謝するティアマット。
「…なんだかよくわかんねぇがよかったな?」
感謝するとティアマットはゆっくり体を起こした。
「おいおい?あまり無理すんなよ?」
心配しているとティアマットの体が光りだした!
光が消えるとそこにいたのは…蒼い瞳、腰まである蒼いポニーテール、見事な胸を包み込んだ黒いチューブトップ、黒いぴっちりとしたローライズパンツ、黒いブーツ姿の長身の美女がいた!
「こっちの方が話しやすいだろう?」
「…お前……ティアマットだよな?」
「変身魔法だ、自由に姿を変えられる」
「なるほど。それで?どうする?その姿で第2ラウンドでも始めるか?」
その問いにティアマットは首と手を横に振った。
「いや、貴様は十分力を示した、貴様を認めよう。私の心臓を止める程のあの一撃見事だった。お前なら申し分ない、お前の使い魔になってやろう」
ティアマットは満足そうな表情で頷いたが…
「…使い魔って何だ?」
使い魔を知らないダンテは首を傾げる、ダンテの答えにティアマットはズルッとし拍子抜けの表情で説明した。
「⁉︎…使い魔っていうのは、偵察や諜報活動、さまざまなことで役立つ契約者の忠実な僕だ、って何だお前?悪魔のくせにそんなことも知らんのか?」
「そんなこと言われてもなぁ…俺はこの世界にいきなり飛ばされてきたんだ、わからないことだらけなんだ」
「…飛ばされてきた?どういうことなんだ?」
ダンテはこの世界に来るまでの経緯を説明した。話を聞いたティアマットは驚いたがとりあえず納得した。
「…何?別の次元から⁉︎…にわかに信じられんが…なるほど俗に言う異世界転移者というやつか。そういえばお前からは悪魔の力も感じるがもう一つ聖なる力も感じる、さらに複数の生命エネルギーも感じる…どういうことだ?お前一体何者だ?」
ティアマットは疑問に思っていたことを聞いた。
「俺は悪魔と天使のハーフ、ネフィリムだ。生命エネルギーの方はこの世界に来る前に戦って仲間にした悪魔達だ」
説明を聞いたティアマットは驚愕した!
「…悪魔と天使…だと…?まさかそんな存在がいるとは…だがお前が本当に異世界転移者ならばこの世界でネフィリムはお前だけだ」
「…何が言いたい?」
「お前はこの世界からするとイレギュラーな存在ということだ。ましてやネフィリムという種族はこの世界には存在しない。つまりお前がこの世界唯一のネフィリムだ」
「そうか、つまりこのままだと…」
「そう、危険人物と見なされ討伐隊を送り込まれたり、超貴重生命体として捕獲チームを回して来るかもしれないということだ」
もし捕まったら監禁され実験や解剖などの運命が待っている…冗談じゃねぇ!
「そいつは勘弁願いてぇな、どうすりゃいい?」
ティアマットは腕を組んでしばらく考えると頷き答えを出した。
「…よし、では魔王の元へ行こう。魔王にお前の存在を認めさせれば何とかなるかもしれない」
「魔王…!」
魔王と聞いてダンテは疑問に思うこと聞いた。
「おい、まさかとは思うが…この世界の魔王って魔帝ムンドゥスじゃねぇよな?それなら会うのは御免だぜ」
「ムンドゥス…?誰だそれは?その様な者聞いたことも無いぞ。この世界の魔王は、サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、アジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウスの4人だ」
魔王の名前を聞いてダンテはホッとした。まさか自分の親を殺した張本人に会いに行くのかと思ったからだ。
「どいつも聞いたこと無い名前だな…しかも4人もいんのか?でもよ魔王にそんな簡単に会えるのか?」
ダンテの問いにティアマットは爆乳レベルの豊満な胸を張って自慢気に答えた…何気にコイツかなりデカい胸をしてるな、まさにボン…いや、ボ(ボ)ンキュッボンだ。
「ふふん!私はアジュカと知り合いなんだ連絡すればすぐに会えるぞ」
「ほぉそうなのか、じゃよろしく頼む」
決まったところでティアマットは今更なことを聞いてきた。
「…そういえば、まだお前の名前を聞いてなかったなご主人?」
ダンテもそうだったというような顔をしながら自己紹介した。
「ご主人はよせよ、そういや名乗ってなかったな、俺はダンテだ、よろしくな『ティア』」
「ティ、ティア⁉︎略すな無礼者が!……はぁ、まぁその方が呼びやすいだろう、特別にそう呼ぶことを許可する。よろしくダンテ」
二人は握手した。
ティアマットの服装はトリッシュ(dmc4版)をイメージ。外見も蒼髪のトリッシュ風