翌朝、目覚めたダンテは溜め息を吐いていた。隣には白いワンピースに似た薄着…え〜と…ネグリジェ姿の朱乃が寝息を立てながら眠っていた。朱乃は髪を下ろしておりより大人な雰囲気を出し美しさを引き立てていた、しかも下着は下しか身につけていないらしく生地の上からピンクのポッチ(乳首)が透けて見えていた。普通の男なら襲い兼ねない姿だがダンテは溜め息程度で済んでいた。すると朱乃が目を覚ました。
「…う…ん……うふふ、おはようございます、ダンテさん」
にっこり微笑み挨拶してきたがダンテは軽く返すと朱乃に尋ねた。
「…おぅ。…はぁ……まぁ一応聞くがお前何で俺のベッドで寝てるんだ?自分の部屋で寝てた筈だろ?」
「うふふ、せっかくダンテさんと一緒に住める様になったのですから、軽いスキンシップですわ♪」
嬉しそうに言うがダンテは忠告を込めて返した。
「お前なぁ…この事務所には黒歌とティアがいるのはわかっているだろ?前に部室でパーティした時に修羅場になったのを忘れたのか?」
そう説明すると朱乃はきょとんとした表情からにっこりと笑った。
「うふふ、それでしたら心配はいりませんわ、だってそのお二人もベッドの上にいますもの……ねぇ?黒歌さん?ティアさん?」
「…何?」
眉をひそめると左右から突然ホールドされダンテの顔がやわらかい感触と良い香りで包まれた!やわらかい感触から抜け出すと左右を確認したが、そこには下着姿の黒歌とティアが頬を染めながらダンテを見ていた。
「…お前らまで……ったく……それにしても気配を感じなかったな」
二人の気配を全く感じなかったことを不思議に思った、消していたとしても完璧過ぎる。
「おはようダンテ。多分それはお前が安心し切っているからではないか?」
「ダンテは今まで心を許せる人と一緒にいなかったから張り詰めていたんじゃにゃいの?」
確かそうだ、元の世界では一人だったし常に悪魔供に狙われていたから警戒を怠らなかった、だがこの世界に来てから狙われることはなくなったからここんところ警戒してなかったな……それもこいつらのおかげ…か?
「お前ら…………フッ、ありがとよ」
「…えっ?ダンテ何か言ったにゃ?」
「何でもねぇよ、よし、そろそろ起きようぜ……おっ?」
起きようとしたダンテは腹部に重みがあるのを感じ掛け布団をめくった、そこには白い猫の着ぐるみ型のパジャマを着た白音が丸まって寝ていた、すると気づいた白音が目を覚ました。
「…ふにゃ?……にゃん♪(^^)」
手を顔の横でコテっと動かし微笑んだ。
「何だ白音もいたのか?気づかなかったぜ」
「…むぅ(˘・з・˘)私が一番ダンテ兄様にくっついていたんですから最初に気づいてくれないとダメです」
可愛らしく頬を膨らませて怒ると尻尾を振りながらダンテに抱きつきダンテの胸板に顔をスリスリした。
「あらあら、うふふ、小猫ちゃんったら大胆ですわ」
「あっ!白音ずるいにゃん!あたしもスリスリ〜♪」
黒歌も負けじとダンテの胸板に顔を擦り付けていた、ティアもやりたそうにしていたがプライドが邪魔して出来ず、代わりにそのままダンテの顔に自慢の胸を沈み込ませた。
「…窒息する〜」
その後数分間戯れは続きダンテ達は服を着替え朝食にした。その際に黒歌と朱乃がどちらが作るか火花を散らしていたが朱乃が焼き魚を作ると言ったら黒歌は譲った。
◇オカルト研究部
朝食を食べ終わったダンテ達はオカルト研究部の部室に来ていた。
昨夜、祐斗を助けた際に祐斗が復讐の目をしていたことが気になりリアスに聞きに来たのである。
「…聖剣計画だと?」
ダンテ達は朱乃が入れてくれた紅茶を飲みながら話を聞いていた。
「えぇ、数年前まで聖剣エクスカリバーを扱える者を育てる計画が存在したの、祐斗はその計画の生き残りなの…」
「教会がそんな計画を?…初めて知りました」
アーシアは知らなかった様で驚いていた。
「聖剣は悪魔にとって脅威となる兵器…けれど聖剣を扱える者は数十年に一人出るかどうかだと聞くわ。祐斗は聖剣…特にエクスカリバーと適応するための養成を受けた者の一人なの」
「じゃあ木場は聖剣を扱えるんですか?」
イッセーの問いにリアスは首を横に振った。
「いいえ、祐斗は聖剣に適応できなかったわ」
「扱えなかったのか…でもよ、それならそこまで聖剣を恨まなくてもいいんじゃねぇか?」
眉を曲げながらダンテは紅茶を飲んだが、リアスは悲しそうに説明した。
「えぇ確かにそれだけなら恨むほどじゃないけど…あの子が聖剣を憎む理由はその後なのよ」
リアスは深呼吸して話し始めた。
「その後…養成機関は適応できなかった祐斗達被験者を不良品として処分に至ったの…」
「処分…それって…」
「…そ…そんな…主に仕える者がそのような事をしていいはずがありません」
イッセーは青ざめアーシアは教会がやった事が信じられず震えていた。
「彼ら教会の者たちは私達悪魔を邪悪な存在だと言うけれど、人間の悪意というものも十分に邪悪だと思うわ」
「要するに教会の連中は綺麗事を言っていても裏ではロクでもない事やってるってことだ。なるほどな、それならあいつが聖剣を憎む理由もわかるぜ」
ダンテは紅茶を飲むとやれやれと溜め息を吐いた。
「私が祐斗を悪魔に転生させた時、あの子は瀕死の中でも強く復讐を誓っていたわ。生まれたときから聖剣に狂わされた才能だったからこそ悪魔としての生を有意義に使ってもらいたかった、祐斗の持つ剣の才能は聖剣にこだわるにはもったいないものね。でも、あの子は忘れられなかった、聖剣を、聖剣に関わった者達を、教会の者達を…」
祐斗の過去を知りダンテ達は黙っていた。祐斗…お前がそんな壮絶な過去を歩んできたとはな……
「とにかく、しばらくは見守るわ、今はぶり返した聖剣への想いで頭がいっぱいでしょうから…普段のあの子に戻ってくれるといいのだけれど…」
「ダンテさん、この写真が切っ掛けっぽいんです」
イッセーがダンテに一枚の写真を見せてきた、そこには幼いイッセーとその友達が写っておりその後ろには鞘に納められた聖剣と思われる剣が写っていた。
「数年前にこの街に聖剣があった事も驚きだけど、それは間違いなく聖剣よ、その写真を見た次の日から祐斗の様子が変わったわ」
「それで?祐斗は今何処に?」
「それが…球技大会の後から学園に来てないみたいなの、私達も使い魔を使って探してるんだけどみつからないの…」
「そうか…」
先日祐斗に会ったダンテはそのことを話そうとしたがリアスが思い出した様に言ってきた。
「あっそうだわ、この後教会からの使いがここに来るの、昨夜イッセーの家に来たから驚いたけど詳しい話はこれからここでするみたい」
(…教会…まさか、昨夜の二人組か?)
ダンテは昨日自分を襲った白いローブの二人組を想像していた。そう思っていたその時部室のドアがノックされ開いた。
「失礼する、ここがリアス・グレモリーの根城で間違いないか?」
「えぇそうよ、入ってちょうだい」
部室に白いローブ姿の二人組が入って来た、ダンテの予想通り昨夜自分を襲った二人組だった。
「…やっぱりお前らか…通り魔野郎」
溜め息混じりで言うと二人も気づいた様で一人が反論してきた。
「む?貴様は昨夜の…貴様もグレモリーの者だったのか」
「ちょっとぉ!誰が通り魔よ⁉︎」
二人の反応を見てティアもキレ出した。
「ほぅ?貴様らがダンテを襲った例の二人組か?小娘共…我が主を襲うとはそれなりの覚悟があるのだろうな!!痛った⁉︎何をするダンテ⁉︎髪が乱れるだろうが!」
「…落ち着けティア、とりあえず後にしろ」
二人に向かいかけたティアのポニーテールを掴みダンテは落ち着かせた、ティアは二人を睨んでいたが引き下がった。
二人組はソファに座りローブのフードを下ろすと自己紹介を始めた。
「私達は教会からの使いとして来た者だ、私の名はゼノヴィアだ」
「同じく紫藤イリナです、イッセー君昨夜以来だね」
ショートの青髪に緑のメッシュを入れた目つきの鋭い女性ゼノヴィアと、腰まである長い栗毛のツインテールの女性紫藤イリナだ、二人とも中々の美少女だ。栗毛の方はイッセーと知り合いらしい。
「そう、私がリアス・グレモリーよ。それで貴女達がここに来た理由は何かしら?」
二人は真剣な表情になり話し始めた。
「先日、教会に保管、管理されていた聖剣エクスカリバー三本が奪われました」
「えっ?伝説の聖剣エクスカリバーって何本もあるのか?」
イッセーの問いにイリナが答えた。
「イッセー君、本物のエクスカリバーは大昔の戦争で折れたの」
「そう、今はこんな姿さ」
ゼノヴィアはソファに立て掛けてあった剣の巻き布を解いた。
「折れたエクスカリバーの破片を集めて錬金術によって新たに七本の聖剣が作られたんだ、これがそのひとつ…破壊の聖剣『エクスカリバーデストラクション』だ、これはカトリックが管理している」
それは昨夜ダンテに振り下ろした巨大な剣、派手な装飾の両刃剣だった。
「私のは…」
イリナは懐から紐の束を取り出した、それの何処が聖剣だと思っていると紐がうねり出し日本刀の姿になった。
「擬態の聖剣『エクスカリバーミミック』…の日本刀の形態♪こんな風に形を自由に変えられるの!すごく便利なの!」
聖剣の説明をされてリアス達と黒歌は冷や汗を流していた、ダンテとドラゴンであるティアは特に何も感じていなかった。
「…それで貴女達の要件は?…それからとりあえず収めてくれる?それ…」
「七本のエクスカリバーはカトリック、プロテスタント、正教会が各二本ずつ保有し残りの一本は三つ巴の戦争で行方不明になっていた、そのうち各宗派から一本ずつが奪われこの地に持ち込まれたって話さ」
「奪った者の名は?」
「奪ったのは堕天使組織グリゴリの幹部…コカビエルだ」
その名を聞いたリアス達は驚愕したが、いまいちピンと来ないダンテはティアに聞いた。
「誰だそいつ?」
「聞いた通り堕天使の幹部だ、戦争にも生き残り聖書に記されたほどの有名人だ、私も姿は見たことがあるが傲慢そうな男さ」
ゼノヴィアは話を続ける。
「先日から秘密裏に派遣していたエクソシストを尽く始末されている、そこで私達の依頼…いや注文とは……私達とグリゴリのエクスカリバー争奪の戦いに悪魔は一切介入しないことつまりーー今回の事件に関わるなと言いに来た」
「…ずいぶんな物言いね?私達が堕天使と手を組むとでも?」ピリ…
先程からのゼノヴィアの上から目線の物言いにリアスは頭に来ている様だ、魔力が暴発しかけている 。
「私は堕天使などと手を組まないわ!グレモリーの名にかけて!!」
「フッ、まぁいいその言葉頭の隅にでも置いておくよ」
リアスの宣言もゼノヴィアは軽く返した、ったく態度のでかい奴だぜ…
「貴女達二人だけでコカビエルから聖剣を取り返そうというの?無謀ね…死ぬつもり?」
「教会は堕天使に利用されるくらいならエクスカリバーを破壊してかまわないと決定した、私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手から無くす事だ」
「そのためなら私達はこの身を捧げるわ、エクスカリバーに対抗できるのはエクスカリバーだけなのよ」
…一応、こいつらもそれなりの覚悟があるみたいだな、どうでもいいけどな。リアスは呆れながら二人に聞いた。
「相変わらず貴女達の信仰は常軌を逸しているわね…二人だけでそれは可能なのかしら?」
「無論、ただで死ぬつもりは無いよ」
「あら自信満々ね?秘密兵器でもあるのかしら?」
「フッ、それは想像にお任せするよ。では要件は以上だ、帰るぞイリナ」
要件が済んだ二人は帰ることにしたがゼノヴィアはアーシアの前を通った時気付いた様に声を掛けた。
「昨夜兵藤一誠の家で会った時にもしやと思ったが、お前…『魔女』アーシア・アルジェントか?」
その言葉を聞いたアーシアはビクッとし動揺した……コイツ今何て言った?魔女だと…?
「えっ⁉︎ウソ‼︎貴女が教会で噂になってた追放されたっていう元『聖女』さん?」
イリナも食いつく様に反応しアーシアを興味深そうに見つめた。
「…………」
アーシアは何も言えず落ち込んだ表情で黙っていた、そんなアーシアにゼノヴィアが追い打ちを掛ける。
「しかし悪魔か、聖女と呼ばれていた者が堕ちるところまで堕ちるものだな、まだ我らの神を信じているか?」
「ゼノヴィア、悪魔になった彼女が主に信仰しているはずが無いでしょう?」
イリナからも言われアーシアはさらに落ち込んだが重くなった口を開いて答えた。
「…す、捨てきれないだけです、ずっと信じてきたのですから…」
「そうか、ならば今すぐ私達に斬られるといい、罪深くとも我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」
ゼノヴィアは破壊の聖剣の巻き布を解くとアーシアに向けた、その行為に痺れを切らしたイッセーがキレた!
「ふざけんな!!救いを求めていたアーシアを誰一人助けなかったんだろ⁉︎アーシアの優しさを理解できない連中なんて皆ただの馬鹿野郎だ!!」
「聖女に友人など必要ない、大切なのは分け隔てのない慈悲と慈愛だ、神からの愛だけあれば生きていけた筈だ」
「自分たちで勝手に聖女に仕立てておいて少しでも求めていたものと違ったら見限るのか?…そりゃねぇだろ‼︎アーシアの苦しみを誰もわからなかったくせによ!何が神だ!何が愛だ!!」
しかしイッセーの叫びをイリナは呆れて返した。
「神は愛してくれていたわ、何も起こらなかったとすれば彼女の信仰が足りなかったか、もしくは偽りだっただけよ」
「キミは彼女の何だ?」
「俺はアーシアの家族だ!友達だ!仲間だ!だからアーシアを助ける!守る!お前達がアーシアに手を出すなら俺はお前らを全員敵に回してでも戦うぜ!!」
「それは教会への挑戦か?一介の悪魔が大きな口を叩くね…」
ゼノヴィアはイッセーも斬ろうと破壊の聖剣を構えた。
「…くっ、ふふふ…!」
その時、話を聞いていたダンテが吹き出す様に笑った。
「…貴様、何がおかしい?」
「ん?いや…お前らが信じてる神ってのが全然大したことないなって思ってな」
「…何だと?」
「だってそうだろ?信徒一人救えない神なんてたかが知れてるってもんじゃねぇか、無能もいいとこだぜ」
笑いながら自分達が信じる神を侮辱されゼノヴィアとイリナはキレた!
「貴様ァ!!その言葉は我らの神に対する侮辱だ!!」
「私達の神を馬鹿にするなんて許されないわ!!」
「ちょうどいい、昨夜斬ることができなかったから貴様もこの場で断罪してくれる!!」
ゼノヴィアはアーシア達と一緒にダンテも斬ることに決めた。
「面白れぇ、これで俺に聖剣が効くか試させてもらうぜ!」
ダンテもリベリオンに手を掛け一触即発の状況になったその時!
「ちょっと待って…ちょうどいい僕が相手になろう」
部室の入り口から声が聞こえて全員が見た、そこには今まで行方がわからなくなっていた祐斗が立っていた!
「祐斗⁉︎貴方今まで何処に⁉︎」
リアスの問い掛けに祐斗は答えず、ゼノヴィアの聖剣を睨みつけていた。
「…誰だキミは?」
「…そうだね、あえて言うならキミたちの先輩だよ、と言っても失敗作だったそうだけどね…‼︎」
祐斗の目は恐ろしいまでの憎悪に満ちていた!
次回、ダンテが無双する…かも?