ティアマットと和解してから数分後、二人は魔王に会いに行くための準備をしていた。
ティア(あだ名)は魔法陣の術式を展開する前にダンテに声を掛けた。
「魔王の元へ行くための魔法陣は、普通の移動用魔法陣とは違って術式がかなり複雑だから展開するのに少し時間がかかるんだ、だからちょっと待っててくれ」
「あぁ、わかった。 出来たら起こしてくれ、よっと」
腕を頭の後ろに組んで寝そべるダンテ、あぁわかったと言ってティアは術式を展開し作業を始めた。
さて、久しぶりに寝るか、眠りに落ちようとしたその時。
ドゴォォン!ドガァァン!
遠くで何か爆発音が聞こえた。
「あ?何だぁ?」
少し不機嫌になりながら体を起こす。せっかくの人の良い気分を邪魔しやがって。
「ここは使い魔の森だ、爆発ならよくあるさ。大方使い魔を捕まえに来た悪魔供だろ…え〜と…」
ティアは術式を操作しながら答えたがすぐに作業に戻った。ダンテは目を閉じると意識を集中させた。
(…感じる力は5つ…波動的に悪魔の物か……ん? 1つは随分魔力が落ちてるな、こいつは襲われてるのか? どっちにしろ早くなんとかしねぇとヤバそうだな)
勢いよく起き上がり首を鳴らした。助けにその場所に行こうとしたが、ティアの方が光り出した!
「よし、準備できたぞダンテ、この上に立て!行くぞ 」
魔法陣が完成したようだ。何だよタイミング悪いな、ティアには悪いがここは…
「悪りぃティア、ちょっと向こうの小競り合いの方を見て来る」
そう言って走り出したダンテ。突然走り去ったダンテをティアはポカーンと見ていたがすぐにダンテに叫び出した!
「…えっ?ちょ、ちょっと待て何処行くんだダンテ‼︎おい‼︎……ッ!あ〜くそ!! アジュカ!少し遅れるとサーゼクスに伝えといてくれ!……ハァ〜…せっかく展開したのに…」
追伸をした後ティアは渋々魔法陣を消しダンテの後を追って行った。
side 黒歌
あたしの名前は黒歌、SS級はぐれ悪魔にゃ。
ある理由で自らの手で主の悪魔を殺し逃亡生活をしている身にゃ。今も討伐隊を退けてる最中にゃ、こいつらは毎日毎日あたしを捕らえようと攻撃を仕掛けてくるにゃ。こんな生活を続けること早数年、いくらあたしが最上級悪魔並の力を持っていてもそろそろ限界が近くなってきたにゃ。でもあたしは諦めない!絶対逃げ延びてみせる!
「へっへっへっ〜、いい加減観念しな」
討伐隊の一人がゲスな笑みを浮かべながら言った……気持ち悪いにゃ…
「ちょこまかと逃げ回りやがって」
「お前の逃亡生活を今日で終わりにしてやるぜ」
「お前を殺せば、死んだ俺たちの主も浮かばれるだろうよ」
あたしは4人全員の顔をまじまじと見た。…どうやらこいつらはあたしが殺したあのクソ悪魔の眷属供みたいにゃ、通りで見覚えのある顔だと思ったにゃ。まぁ大方あたしを殺して主の無念でも晴らそうとしてるんだろにゃ。
だったら手加減はしないにゃ!あたしをそう簡単にやれると思ったら大間違いにゃ‼︎
「アンタ達全員主の元に送ってやるにゃ!」
手に魔力を溜め動こうとしたその時、あたしの足元に魔法陣が現れた!しまった⁉︎これは金縛り!…ぐっ…動けない!……さらに追撃に魔力の鎖が放たれ体と足首に巻きついた!あたしはバランスを崩し倒れた。もがくが思ったより鎖がきつくて完全に自由を奪われてしまった……くっ!マズいにゃ!
一人があたしを蹴飛ばし仰向けにした……って女の子を蹴るにゃ‼︎そいつはあたしの上に跨ると胸を鷲掴みにし舌舐めずりした、にゃ!あたしの胸に気安く触るにゃ!
「死ぬ前にいい思いさせてやるぜぇ〜」 ペロリ
そう言ってあたしの着物に手を掛けた……ま、まさかコイツ…
「や、やめるにゃ!!きたない手で触るにゃ〜!!」
「喚くな!!」
あたしは殴られる勢いで頬をおもいっきり叩かれた!その衝撃で口の中が切れ血の味が広がった。くっ!コイツどこまで…
「へへへ、大人しくしてな!ほら、足押さえてろお前ら。うへへ〜俺はツイてるぜ!お前みたいな上玉を好きに出来るんだからよぉ!たっぷり楽しませてもらうぜ!死ぬまでなぁ!」
「おい、一人で楽しむなよ?」
「俺達にもヤラせろよ!」
「わかってるって、そう焦るなよ」
周りの仲間達もゲスな表情で笑っている。
「いや!離して!誰か…誰か助けてぇ!!」
「へへ、バーカ!叫んだって誰も来ねぇよ!」
あたしは叫ぶが当然助けてくれる者なんているわけ無くあたしの声は虚しく響いているだけだった。あぁもうダメにゃ…こんなとこで捕まった上に処女まで奪われるなんて!白音、ごめんにゃ!あたしはここまでにゃ…許してにゃ。ビリビリと着物を引き裂かれ覚悟を決めたその時!
ズガガガガガガガっ!!!
「…が…はぁ…⁉︎」
突然銃声が響き、あたしの上に跨っていた悪魔は蜂の巣になり白目を向いて絶命した!えっ⁉︎一体何事にゃ⁉︎
「やれやれ…なんだこりゃ?レ○プの現場に来ちまったか?」
その男は両手に銃を持ち、銃で頭を掻きながらあたしを見ていた。
side out
「おい、大丈夫か?」
ダンテは鎖を巻かれ倒れている黒歌に聞いた。
「な、なんとか…ありがとうにゃ」
黒歌は少し警戒しながらお礼を言った…この男、一体何者?
ダンテはフッと笑うと銃(エボニー&アイボリー)を構え黒歌に向かって発砲した!
パキィィン‼︎
突然発砲され黒歌はビクッとしたが、体と足首に巻きついていた鎖が砕け散り光の粒子になり消滅した!
「!く、鎖が…‼︎」
「これで動けるだろ?」
黒歌を自由にし手を貸して立たせると蚊帳の外だった悪魔達が一斉に口を開いた。
「貴様!何者だ⁉︎俺らの仲間を殺しやがって!」
「俺達に刃向かうとどうなるかわかっているのか⁉︎」
叫ぶ悪魔達にダンテは黒歌を後ろに移動させると鋭い目つきで聞いた。
「おい…こいつは何かしたのか?」
「そいつははぐれ悪魔だ」
「その女は自分と俺達の主を殺した犯罪者だ」
「そいつを殺して主の無念を晴らすんだ!」
元眷属悪魔達はそれぞれ理由を答えた。理由を聞いたダンテは頷いていたが比較的冷静に聞き返した。
「ほぉそれで?何で殺したんだ?自分の主を殺すくらいだ、余程の理由があるんだろうな?」
ダンテの問いに悪魔達はドキッと体を揺らし動揺した。
「そ、それは……」
「どうした?答えらんねぇのか?」
「…くっ! ええい!黙れ!貴様もそいつと一緒に始末してやる!」
声を荒げ戦闘態勢を取る悪魔達!フッ単純な奴らだ。
「そうこなくちゃな!」
ダンテも銃を構え戦闘態勢を取った。
すると既に追いついていたティアが指を鳴らしながらダンテの隣に立った。
「相手は三人か、どうする?私も手伝ってやろうか?」メキッ
「いや、いい。それよりあいつの手当てでもしてやってくれ」
「…了解」
黒歌の治療を任されティアは傷だらけの黒歌の元に来た。黒歌は近づいてきたティアを震えながら見ていた。そんな黒歌をティアは怖がらせない様に声を掛けた。
「フッ、そう怯えるな。さぁ猫の娘、怪我の治療をしてやろう、そこに座れ」
ポケットから包帯を出し、怪我の治療を始めようとしたが黒歌は心配そうにダンテの方を見つめていた。
「無茶にゃ!一人で相手をするなんて!あいつらは元あたしがいた眷属の仲間にゃ!戦闘力は全員上級並にゃ!」
「ほぅ上級か…ならば尚更心配はいらない、あいつはその程度の奴らには負けはしない、黙って見ていろ」
黒歌はそれでも心配そうに見ていたが、ティアは構わず治療を始めた。ダンテもティアが治療を始めたのを確認すると戦闘を開始した。
「それじゃあ、始めようか!Let's party〜‼︎」
ズガガガガガガガ!!!
辺りに銃声が響き渡る。ダンテは銃をクロスして構え最高速度の射撃ハニカムファイアを放っていた!
対する悪魔達は防御魔法陣を展開して必死に耐えていた!何しろ一発一発の威力が先程殺された仲間の物より上がっており、被弾すれば身体の部位が吹き飛び兼ねない程であった!
「‼︎くっ!もっと魔力を上げろ!」
「うるせぇ!無駄口叩いてる暇があったらてめぇも上げろ!」
悪魔の一人が叫び仲間が口論しながら魔力を上げるが…
ピシッ!
魔法陣にヒビが入った!
それを見てダンテはニヤッと笑い銃をショットガン(コヨーテ)に持ち替えると突き刺すような構えで距離を詰め、ヒビが入った魔法陣にガンスティンガーでゼロ距離で発砲した!
ガシャァァァァン!!!!
魔法陣がバラバラに砕け散り悪魔達は吹き飛ばされた!
「ぐあっ!…くそっ!なんて威力だ!だがこの程度で俺達を……?…ッッ‼︎」
反撃しようとしたその時、ダンテから異常な魔力を感じ見ると身の丈程もありそうな禍々しい魔剣を逆手に構え刃に凄まじい濃度の魔力をチャージしていた!あれはマズい‼︎リーダーの悪魔はすぐに仲間に指示を出した。
「全員ありったけの魔力を込めろ‼︎急げ‼︎」
悪魔達は急いで魔力を溜め始めた!
「ドライブ!!」
リベリオンを振り上げると刃から高濃度の魔力の赤い斬撃が放出された!地面を削りながら悪魔達に向かっていく斬撃!悪魔達は相殺させようと魔弾を放つも虚しく、あっさり弾かれ斬撃に呑み込まれてしまった。
「うわぁぁぁ!!!ッッッ………」
煙が収まるとそこには悪魔達の姿は無く、斬撃跡しか残されていなかった。
「フッ…」
ダンテはリベリオン回し背に戻した。
戦闘後、ティアの治療によって会話できる程度に回復した黒い着物の猫耳娘、黒歌の話を聞くことにした。
「まずは、その…助けてくれてありがとうにゃ」
黒歌は助けてくれたダンテとティアに改めてお礼を言い感謝した。
「気にすんな、俺はあいつらが気にくわねぇから戦っただけだ」
「フッ、素直じゃないなw」
ティアが笑いながら言う。
「うるせぇぞティア。それで猫娘?何で自分の主を殺したんだ?」
「ね、猫娘? もう!あたしはゲ○ゲの妖怪じゃないにゃ!あたしの名前は黒歌にゃ!」
プク〜っと頬を膨らませながら訂正してきた。フッ、可愛いじゃねぇか。
「悪りぃ悪りぃ、俺はダンテだ、よろしくな」
「私はティアマットだ、よろしく。天魔の業龍と言えばわかるだろ?」
その名を聞いた黒歌は驚いた顔をして固まってしまった。
「ご、五大龍王最強がどうしてここに!?」
語尾を忘れる程驚いていた!
「ん?あぁ、先程ダンテと戦って倒されてしまってな、実力を認めたから使い魔としてついて行くことにしたんだ」
「使い魔って…ア、アンタ、ホントに一体何者なんにゃ?」
まるで化け物を見るような目でダンテを見る黒歌。
「それはまた後で教えてやる。今はまずお前から話せ」
黒歌は深呼吸すると静かに語り始めた。
「あたしには白音っていう年の離れた妹がいるんだけど、あたし達姉妹は猫の妖怪(猫又)、その中でも希少稀な(猫魈)という種族として生まれた。最初は姉妹仲良く幸せに暮らしていたんだけどそんな時にあたし達はあのクソ悪魔に出会い無理矢理悪魔に転生させられたのにゃ」
「転生させられた?どうやって?…まさか殺されたのか?」
転生方法を疑問に思うダンテにティアが教えた。
「悪魔の駒(イーヴィルピース)っていう物があってな、それを使われると種族関係なしに悪魔に転生させることができるんだ。元は戦争で大半を失った悪魔の種族存続のために作られた物だが…無理矢理転生させることは禁止されているはずなのだが…」
説明が終わると黒歌は話を続ける。
「転生されたあたし達にあいつは仙術っていう気を操る術を使わせようとしたにゃ。成熟した猫魈は仙術を自在に扱えるけど、成熟してない猫魈に仙術を使わせると体が負担に耐えきれなくて死んでしまうのにゃ。あいつはあたしより白音の方が仙術の才があることに気づいて白音に無理矢理仙術を使わせようとしたにゃ。このままじゃ白音は死んでしまうと思いあたしは止むを得ずあいつを殺し、白音を連れて逃げたのにゃ」
黒歌は悔しそうに顔を歪め続ける。その様子にダンテとティアも表情を曇らせる。
「それからずっと白音と二人で逃亡生活をしていたけど、今のままでは白音を守って逃げ続けるのは難しいと考えたあたしは、風の噂で聞いた情の深いということで有名なグレモリー家に白音を連れて行くことにしたのにゃ」
「…グレモリー家って?」
「上級貴族の名家の一つだ。ちなみに魔王の一人、サーゼクス・ルシファーはグレモリー家の出だ」
「グレモリー家に着いたあたし達は事情を説明して匿ってもらおうと思ったけど、あたしは既に顔が割れてしまっていたからグレモリー家でも庇いきれないと言われてしまったのにゃ。そこであたしは白音に必ず迎えに行くから待っててと約束して、グレモリー家に白音を預けてまた一人逃亡生活に戻ったのにゃ……
これが…あたしが主を殺し、はぐれになった理由にゃ」
話し終わり黒歌は深く深呼吸して顔を伏せた。
「なるほどな。話を聞く限り主側に非があることは間違いねぇな」
「あぁ、内容的に無罪ではないものの十分減刑は望めそうだな」
話を聞いて腕を組んでいたダンテとティアはそれぞれ意見を述べた。
「でも今話したあたしの理由は、何の力も持たない唯の一悪魔の為に考慮されるわけも調べられるわけもなく、あたしは一方的に罪人扱いにゃ。誰もあたしの言うことを信じないにゃ!今の生活からは逃げられないにゃ!」
「それでいいのか?」
「えっ?」
「今のままでいいのかって聞いてんだ。変わりたいと思わないか?この理不尽な理由から始まった生活から。それにお前は妹との約束もあるだろ?だったら尚更変わらなきゃダメじゃねぇか」
「で、でもそうは言ってもどうすればいいにゃ!!」
「魔王に直接会って真実を話すんだ」
「えっ⁉︎そ、それは…でも……」
魔王に会うと言われ黒歌は悩む、ダンテは黒歌に選択肢を出した。
「このままいつ死ぬか分からないはぐれ生活を続けるか、魔王に会って話をつけるか、どっちか選べ」
黒歌はしばらく考えた後答えを出した。
「…わ、わかったにゃ、あたしを魔王の元へ連れてってにゃ」
こうして3人は魔王の元へ向かうことになった。