ダンテがゼノヴィアとイリナが信じる神を侮辱したことでその事に激怒した二人と戦うことになった、直前に現れた祐斗も参戦することになったが…
ダンテ達は旧校舎の裏にある人気の少ない広場に出てきた。
「貴様、もう謝っても許さないからな!」
「絶対断罪してあげるんだから!」
二人はダンテを睨みつけて言った、対するダンテは鼻で笑い腕を組んで見ていたが隣に立つ負のオーラを放つ祐斗のことも見ていた。
「さて、始める前に一応確認しておくが、これは私的な決闘で教会は関知しない、私達もことを大きくするつもりは無いしそちらも同じ認識という事でいいか?」
「えぇ、そうでもしなきゃ祐斗がおさまりそうにないものね…」
ゼノヴィアがリアスに確認を取るとリアスは溜め息を吐き了承した。ゼノヴィアは祐斗の方を見ると聖剣を構えた。
「リアス・グレモリー眷属の力、それに我々の先輩とやらの力、試させてもらおうか……ん?貴様笑っているのか?」
ゼノヴィアは祐斗が笑っているのに気づいた、同時に祐斗の負のオーラが濃くなった。
「フフフ…壊したくて壊したくて仕方なかったものが目の前に現れたんだ、もう嬉しくてさ……!」ズォ
さらにオーラが強くなった、そんな祐斗を見ていたダンテが祐斗に声を掛けた。
「…おい祐斗、お前そんな状態で戦えるのか?やめた方がいいんじゃねぇか?」
「心配いりませんよダンテさん、何も問題はありません…フフフ」
…いや、問題大有りだろ。はぁ〜ダメだこりゃ……やれやれしょうがない。
「そうか…無理すんなよ?」
「えぇ、わかって…うっ⁉︎」ドスッ!
油断した祐斗の首筋にダンテが手刀をくらわせ気絶させた、倒れかけた祐斗をダンテが抱き止めた。
「祐斗、悪いがお前は見学だ、今の状態のお前を戦わせるわけにはいかねぇ……朱乃頼む」
「はいダンテさん」
気絶した祐斗を朱乃に任せダンテはイッセーに声を掛けた。
「そんじゃ代わりにイッセー、お前が戦え。確かお前そっちの栗毛の奴と知り合いだったよな?」
「えっ?はい、わかりました」
ゼノヴィアの相手はダンテ、イリナの相手はイッセーになった。
「ふふ、貴様が相手か、願ってもない!我らの神を侮辱したことを後悔させてやる!」
「フッ」
ゼノヴィアは破壊の聖剣を構え殺気を出した!一方イリナの方は…
「イッセー君、久しぶりに再会したら悪魔になっていたなんてショックだったわ……私に聖剣の適性があってイギリスに渡り晴れて主の代行者としてお役に立てると思ったら…懐かしのお友達が悪魔になっていた過酷な運命!これも主の試練なんだわ!でもそれを乗り越える事で私はまた一歩、真の信仰に進めるはずなのよ!さぁイッセー君!私がこのエクスカリバーであなたの罪を裁いてあげるわ!アーメン!」
やたら演技がかった動きと台詞と共にイリナは擬態の聖剣をイッセーに向けた!聞いていたイッセーは若干引いていた…
(あ、あれ…?もしかしてこの子は関わっちゃいけないタイプの子かな…?)
「なんだかわからないが行くぜ!ブーステッド・ギア!!」
『Boost‼︎』
ブーステッド・ギアを発動させたイッセーを見てイリナとゼノヴィアが驚愕した。
「それはロンギヌス…!」
「それって…ブーステッド・ギア⁉︎まさかこんなところで見るなんて……」
驚くゼノヴィアにダンテが声を掛けた。
「おいおい、お前の相手は俺だろ?早く始めようぜ」
「おっとすまない、では始めようか!」
ゼノヴィアとイリナはローブを脱ぎ捨てると戦闘態勢を取った!ローブの下は身体のラインがはっきりわかる露出が少ない黒いボンテージの様な格好であった……教会の趣味か?
ゼノヴィアは聖剣を構えてダンテの出方を伺っていたが、ダンテはポケットに手を入れたまま構えず立っていた。
「お前から来い、レディファーストだ」
「何だと⁉︎貴様馬鹿にしているのか⁉︎それにさっきから構えずにナメているのか!」
余裕そうにしているダンテにゼノヴィアはキレたが、ダンテは余裕の態度で返した。
「別に?ただのサービスだ、その聖剣の力が知りたいだけだ」
「ッ!そうかならば見るがいい、この破壊の聖剣の力を!」
ゼノヴィアは聖剣を構えると飛び上がり聖剣を振りかぶり急降下しダンテに振り下ろした!
ダンテは威力を知る為とりあえず避けた、ダンテが避けるとダンテがいた場所が大きく切り裂かれ大きめのクレーターが出来た!…ふーん、こんなもんか。
「…避けたか、まぁ避けなければ貴様は今頃粉々になっていたがな!」
ゼノヴィアはダンテが危険を察知して避けたと思っていたが、ダンテは腕を組むと鼻で笑った。
「何だこの程度か…でもまぁ、女にしては力がある方か?」
「な、何だと…!」ピク…
「よし、その聖剣の力と能力はわかった。少し遊んでやる、ほら、かかって来いよ」クイクイ
ダンテが手招きして挑発するとゼノヴィアは激昂し聖剣を構え走り出した!
「何処まで馬鹿にするか!!貴様!もう許さん!!」
ゼノヴィアは勢いよく聖剣を振り下ろした!今度はダンテもリベリオンで応戦した!聖剣の能力で剣を交える度強い衝撃波が発生したがリベリオンはビクともしなかった。
「ほぅ!その剣中々の強度だな!何か特別な能力があるのか?」
「別に大した能力は無い、魔力が高いだけの魔剣だ。それよりもお前こそその剣を使いこなせているのか?」
「何だと?どういう事だ⁉︎」
ゼノヴィアの太刀筋を見抜いていたダンテは説明した。
「さっきから見てると、お前はその剣に振り回されてるだけに見えるって言ってんだ。太刀筋もデタラメだし、お前の方がその剣に使われてる感じだ。鍛錬が足りねぇんじゃねぇか?」
「ッ!黙れ!!」
ゼノヴィアは激怒しダンテに聖剣を振り回した!ダンテはリベリオンを背に戻すとまるで犬を呼ぶ時みたいに手をパンパン鳴らして挑発した。
「ハッ!この程度リベリオンで受けるまでもねぇ!ほらほら当ててみろ!」
ゼノヴィアの太刀筋を見切っていたダンテは体をそらすだけでかわしていた。
イッセーはイリナの聖剣をかわしながらある作戦を考えていた。
(とりあえず避けまくって隙を見てドレスブレイクをかましてやる!)ニヤリ
「…いやらしい顔つきだわ、何を考えているのかしら?」
イッセーの何かを企んでいる顔を見てイリナは警戒していたが…
「…気をつけてくださいイリナさん、イッセー先輩は手に触れた女性の服を消し飛ばす技を持っています」
「小猫ちゃん⁉︎」ガーン‼︎
イッセーがやろうとしていた事を観戦していた白音が暴露した、それを聞いてイリナは引いた表情をしていた。
「な、なんて最低な技なの!ああ、主よ、この罪深き変態をお許しにならないでください!」
「そんなかわいそうな奴を見るような目で見るな!」
「…最低です」
するとそれを聞いたティアもイッセーを睨みながら聞いた。
「何?おい兵藤一誠、貴様私が言った忠告を忘れてはいまいな?」ギロッ
「ティ、ティアさん⁉︎も、もちろんっス!!」
イッセーはビクッとし冷や汗を流したが、気合いを入れなおした。
「それじゃあそろそろ決めさせてもらうわ!」
イリナはイッセーに聖剣を横薙ぎに振るったがイッセーはバックステップでかわした。
「やるわね!余程鍛えているようね!」
「まぁな!ご主人様のしごきが激しくてな!格上の相手でも結構頑張れるんだぜ!」
『Boost‼︎』
「行くぜ!ブーステッド・ギア!」
『explosion‼︎』
イッセーの倍加が止まり魔力が跳ね上がった!イッセーは動く前にティアに謝った。
「ティアさん!先に謝っておきます!やっぱりこの技は俺が考えた必殺技なんです!お仕置きなら後で受けますから使わせてください!」
「…ふむ、覚悟があるのならいいだろう」
「ありがとうございます!!行くぜぇ、イリナ!!剥ぎ取り御免!」
許可を得たイッセーは先程とは比べ物にならないほどのスピードでイリナに向かった!イリナはイッセーのスピードにかろうじて追いついていた。
「私に追いつけるなんて…!」
「いただきまーす!おっぱ〜い‼︎」フヘヘ
イッセーは涎を垂らしながらイリナに飛びかかったが避けられ、その先にいた白音とアーシアの肩に触れた。
「「…あっ」」パァァァ
次の瞬間ドレスブレイクが発動し二人は全裸になった!アーシアは恥ずかしがっていたが白音は睨んでいた、そしてもう一人睨んでいる人物がいた…
「こ、小猫ちゃん!これは違うんだ!イリナが避けるもんだから…決してアーシアと小猫ちゃんを狙ったわけでは…」
「…この!どスケベ!!」
「白音に何するにゃ!!この変態ドラゴン!!」
「「ダブルビーストアッパーーー!!」」
「おぶえっ!!」
「イッセーさぁぁぁぁん!!」
アーシアが叫んでいたが、イッセーは白音と同じく観戦していた黒歌の二人からビーストアッパーを受け、勢いよく吹き飛び木に激突した!その光景を見ていたイリナは唖然としてイッセーに近づき突っつきながら安否を確認した。
「イ、イッセー君…?生きてる…?」ツンツン
…どうやら気絶しているようだ、するとティアが近づきイッセーの首根っこを掴んだ。
「やれやれ…では兵藤一誠を少し借りるぞ?」
「…殺さないでね?」
「…あぁ」ズルズル
リアスが一応忠告しティアは了解するとイッセーを引きずり森の中に入って行った。
「ああイッセー君…ご冥福を祈るわ、アーメン。さてとゼノヴィアの方はどうなったかしら?」
イッセーが戦闘続行不可能になりイリナの勝利となった。イリナはゼノヴィアの方を見たが目を疑った、ゼノヴィアは聖剣を突き立てて肩で大きく息をしていた!
「ゼノヴィア⁉︎どうしたの⁉︎」
「どうした?それで終わりか?だらしねぇな」
ダンテは鼻で笑っていた。そこへイリナが加勢に入った。
「加勢するわゼノヴィア‼︎アーメン!!」
イリナはダンテに聖剣を振るったがダンテはエボニーを取り出すと素早く回し銃の側面で火花を散らせて受け流した。
「ゼノヴィア!大丈夫?」
イリナはゼノヴィアを庇う様に立ち聖剣を構えた。
「…イッセーのヤツは負けたのか?ったくしょうがねぇな……でもちょうどいいぜ、栗毛、お前も来い!その聖剣とも戦ってみてぇ」
「な⁉︎ナメないでよ!」
「ま、待てイリナ」ハァ、ハァ
挑発に乗りダンテに向かおうとしたイリナをゼノヴィアが止めた。
「奴の実力は本物だ、私でさえ軽くあしらわれてしまった、奴は完全に遊んでいる」
「で、でもあいつは悪魔よ?当たりさえすれば…」
「当たりさえすれば勝てるってか?いいぜ、やってみろ。今度は二人同時にかかって来い、その方が少しは楽しめるかもしれねぇしな」
ダンテの挑発にゼノヴィアとイリナは剣を構え直した。
「ば、馬鹿にして…!」
「その言葉、後悔するなよ!!」
二人は散開しダンテの前後から同時に攻撃を仕掛けた!
「「アーメン!!」」
ダンテは二人が振り下ろした聖剣をエボニー&アイボリーを突き出し聖剣の鍔の部分に掛けて受け止め受け流すとよろけた二人にチャージショットを発射した!弾丸を刀身で受けた二人は吹き飛んだがイリナがすぐに態勢を立て直し聖剣で連続斬りを繰り出した!
「この!この!大人しく斬られなさい!!」
イリナの連続斬りをダンテは先程と同じ様に銃を回して受け流したり体をそらすだけでかわしていた。
「…その剣は姿を変える意外は大した力は無さそうだな?リベリオンを使うまでも無いぜ」
「イリナ!下がれ!!」
その時隙をついてゼノヴィアが聖剣を振りかぶりダンテに振り下ろした!その瞬間ダンテがいる場所に衝撃波が発生し辺りに突風が吹き荒れた!手応えを感じたゼノヴィアは勝利を確信した。
「なっ⁉︎」
煙が晴れてダンテを見たゼノヴィアは驚愕した!ダンテは振り下ろされた聖剣の刃を指二本で受け止めていた!ダンテの周りにはクレーターが出来ていたがダンテは全くの無傷であった!
「…聖剣を受けてもなんとも無いか…ありがとよ、これで俺に聖剣が効かないことがわかったぜ」
「き、貴様、悪魔のくせに何故聖剣が効かない⁉︎いや、そもそも何故触れられる!?」
ゼノヴィアは聖剣が効かない上に普通に触れているダンテに驚愕した。
「そういえば言ってなかったな?俺は悪魔と天使のハーフ、ネフィリムだ。聖剣が効かないのは天使の力のおかげだな、それとも俺の体が頑丈なのか」
「ネフィリムだと?何だそれは⁉︎そんなもの聞いたことも無いぞ⁉︎」
「そりゃ俺が……話せば長くなる、後で教えてやる。それよりも今はもう少し戦いを楽しもう…ぜ!」
ダンテは刃を掴んだまま聖剣ごとゼノヴィアを投げ飛ばした!だが次の瞬間!
ザシュ!!
イリナが背後からダンテの左胸を聖剣で貫いた!
「油断したわね!心臓を貫いたわ!あなたの負けよ!アーメン!!」
イリナは勝利を確信し聖剣を引き抜こうとしたがダンテが聖剣の刃を掴み止めた!
「お前、俺の話聞いてたか?聖剣は効かねぇって言っただろ?」
「な⁉︎死んでない⁉︎…ぐっ!」
心臓を貫いても死んでいないダンテに驚くイリナをダンテは軽く掌底をくらわせゼノヴィアの方へ突き飛ばした!そのままイリナの聖剣を奪い取った。
「あっ!私の聖剣が⁉︎」
ダンテは胸に刺さっていたイリナの擬態の聖剣を引き抜いた。
「大丈夫だイリナ、聖剣は適性が無いと使うことは出来ん」
ゼノヴィアはダンテには聖剣を使うことができないと思っていたがダンテは擬態の聖剣を軽く振ると魔力を込めた、すると日本刀の形の聖剣はうねり出し少し形状が変わり白い柄と黒い鞘の日本刀の姿に変わった、その姿はダンテの兄バージルの愛刀、閻魔刀だった。
「な⁉︎馬鹿な⁉︎何故奴が聖剣を⁉︎」
ダンテが聖剣を使えたことに驚く二人をよそにダンテは構えた。
「…疾走居合!」
目で追えない速度で二人の間をすり抜け素早い連続居合切りを二人に当たらない様に繰り出し空間を斬った!鞘に戻す音と同時に二人の腰が抜け二人は汗を流して座り込んだ。
「…どうだ?まだやるか?」
ダンテは擬態の聖剣をイリナの側に投げ刺した。
「……い、いや、私達の負けだ」
イリナは放心していたがゼノヴィアはダンテに勝つのは無理と判断し自分達の負けを認めた、勝負はダンテの勝利に終わった。
その後、森の中からティアにボコボコにされたイッセーが戻って来てアーシアに治療されていた。
ゼノヴィアとイリナはローブを着ると帰り始めたが去り際にゼノヴィアがイッセーに忠告した。
「そうだ、せっかく戻って来たから、ひとつだけ教えておこう『白い龍』は既に目覚めているぞ。いずれ出会うだろうがその調子では絶対に勝てないだろう」
そう言うと二人は去っていった。その時後方からリアスの声が響いた!
「待ちなさい!祐斗!あなたはグレモリー眷属の騎士なのよ⁉︎はぐれになってもらっては困るわ!」
目を覚ましていた祐斗はリアスが止めても手を振り払い去ろうとしていた
「…僕は同志達のおかげであそこから逃げ出せた、だからこそ彼らの恨みを魔剣に込めないといけないんだ…」
祐斗はそう言うと去ろうとしていた、…しょうがねぇ、ひとつアドバイスしてやるか、ダンテは祐斗を呼び止めた。
「祐斗、ひとつだけ教えておいてやる、復讐に囚われすぎると大切なものを全てを失うぞ、それだけは覚えとけ」
「……失礼します」
祐斗は去っていった。