「キミは…黒歌!」
煙と共にダンテの隣に現れた少女にサーゼクスは驚いた。
「お、お久しぶりですにゃ…魔王様」
黒歌は震えながら頭を下げて挨拶した。すぐに捕らえられると思い少し身構えていたが、サーゼクスは意外にも安堵の表情で黒歌を見ていた。
「キミが白音をグレモリー家に預けて飛び出して以来だね。…少し背が伸びたね」
「サーゼクス様!あ、あたし……」
「黒歌、キミには話さなくてはならないことがあるんだ」
「…どういうことですにゃ?」
サーゼクスは語り始めた。
「キミがグレモリー家を出て行った後、私達は白音から真実を全て聞かされたんだ、キミが白音を守るために主を殺したことも」
「…白音…」
黒歌は涙を流しながら呟いた。
「私はキミたち姉妹を助けてあげたいと思いすぐに主の悪魔について調べを入れた。調べた結果、主にはいくつもの不正の証拠が見つかった、完全に主側に非があることも、さらに彼が今まで犯して来た罪も明らかになった」
黒歌は真剣な表情で黙ってサーゼクスの話聞いていた。
「彼の罪状は殺人未遂、強姦、密輸など様々なもので、寧ろキミよりも重罪で討伐されるべき対象だった」
「ッ、あいつ!」
元の主が今まで犯してきた罪を知り黒歌は悔しそうに拳を握り舌打ちした。さらに眷属達もそれなりの犯罪履歴があったとのこと、彼らを倒したのはダンテだが特に何も言われなかった。
「ハッ、救い様がねぇな」
「ハァ…同感だな」
ダンテとティアは呆れていた。
「真実を知った私達は、キミを連れ戻そうと使者を送り込んだが…尽くキミに撃退されてしまってね」
「あの時あたしは生きるのに必死だったから討伐隊とそれ以外の区別がつかなかったのにゃ」
黒歌は頰を掻きながら謝罪した。
「討伐隊に紛れてキミを連れ戻そうと説得してきた者がいたと思うが?」
「はい、確かにいましたにゃ、でもあたしには討伐隊が嘘を言っている様にしか聞こえなかったのにゃ。ごめんなさいにゃ」
「気にしないでくれ、キミがそれだけ必死だったことは分かるから」
サーゼクスは一息つくと笑みを浮かべた。
「でも、ダンテ君がキミをここまで連れてきてくれたからよかった、これでようやくキミの枷を外してあげることができる」
「えっ?…どういうことですにゃ?」
サーゼクスは真剣な表情になり黒歌に告げた。
「私達は話し合った結果、完全な無罪とはならないが、情状酌量の余地は十分あると判断してね、キミのはぐれ悪魔としての指名手配を取り外すことにしたんだ」
「……えっ?…サーゼクス様……今…何て?」
黒歌は一瞬サーゼクスの言葉の意味がわからず聞き返した。
「キミのはぐれ認定を解除すると言ったんだ。 つまりキミはもう自由だ」
「…嘘……本当に…本当にあたしはもう自由なの…?」
黒歌は両手で口元を押さえてワナワナ震えていた。
「私達はキミ達姉妹には幸せになってもらいたいと思っている。それにこの決定は私達のけじめでもあるんだ。キミには今まで辛い思いをさせてしまって申し訳なかった」
サーゼクスは頭を下げ謝罪し笑顔で黒歌の頭を撫でた。グレイフィアも微笑んでいた。
「あ…あああ…ありがとうございます‼︎ありがとうございますぅ‼︎」
黒歌は泣きながら何度もお礼を言った。
「フッ、サーゼクス、あんたも随分思い切ったことをするもんだな」
ダンテはサーゼクスの決断に関心し、黒歌はダンテの方を振り向くと嬉しそうに駆け寄り抱きついてきた。
「ダンテ!ありがとうにゃ!」
「おいおい、俺は何もしてねぇぞ?」
「ダンテがいなかったらここまで来れなかったにゃ、本当にありがとう!」
「そうか。まぁ、何にせよよかったな」
ダンテは黒歌の頭を撫でた。
「よかったな黒歌、おめでとう!」
ティアも黒歌の肩に手を置き微笑んだ。
「ありがとにゃ、ティア姉!」
「ティア姉?」
「これからはそう呼ぶにゃ!」
「ティア姉か…うむ、いい響きだ!よし、特別にそう呼ぶことを許可する!…ふふ、ティア姉か……」
ティアは嬉しかったのか満更でもない顔をしていた。
サーゼクスは笑顔でダンテ達を見た後、再び真剣な表情になり黒歌に告げた。
「ただし黒歌、キミは実質的に自由になるとは言ってもしばらくの間は監視が付くことになる。キミに危険性がないことを証明する為には必要なことなんだ、わかってほしい」
サーゼクスは申し訳なさそうに頭を下げた。黒歌は少しシュンとした表情になったが頷いた。
「…わかりましたにゃ、それで自由になれるなら我慢するにゃ」
「ありがとう。ではダンテ君!「無理に君付けしなくてもいいぜ」そうか、ではダンテ!キミに早速仕事を依頼する。キミにはしばらくの間、黒歌の監視をお願いしたい」
「…俺でいいのか?」
「キミ以外の適任はいないと思うがね。それに監視の場はちょうど私達が用意したキミの店だ、これ以上信頼できて監視しやすい条件はないだろう?」
確かにそうだ、この条件なら仕事しながら監視できるしな。
「わかった。仕事の内容としては微妙だが引き受けてやるよ、ただし、報酬は高いぜ?」
「監視期間は数ヶ月だが、月末にそれなりの報酬を支払おう。ではよろしく頼むよ」
「あぁ、任せろ」
ダンテが了解すると黒歌がまたダンテに抱きついてきた。
「ダンテ!よろしくにゃん(^。^)」
ペロッ
嬉しそうにダンテの頬を舐めた。 が次の瞬間!!
・・・ドグン!!
「にゃ? にゃぁぁぁぁアアアァ!??!」
突然黒歌の体が脈打ち、胸を押さえて蹲り苦しそうに叫び出した!しかし、叫びを上げていたのは黒歌だけでなく…
「ぐっ!ぐあぁぁぁぁガァァァァ!??!」
まるで共鳴するようにティアまで体を両手で押さえながら苦しそうに叫んでいた!
「お、おい!お前らどうしたんだ⁉︎」
ダンテは突然叫び出した二人に驚いた。
「わ、わからん!うぅ…き、急に魔力が暴れ出し…た!ぐっ!」
「あ、あたしも魔力が!で、でもこの感覚、まる…で…新たな力が目覚めようとして…るみたいにゃ…」
二人はそれぞれ青と黒の魔力が体に渦巻いており、さらに閃光まで発生していた。
(新たな力が目覚めようとしてるだと?……ん?この力の波動は、もしかして!)
ダンテは二人から感じた魔力の波動に一つの可能性を導き出した。
(これは…もしかして……デビルトリガー!!)
「「!!アアアアァァァーーーー!!!!」」
カッ!!
目を覆いたくなるほどの光が二人から発生し、光が弱まるとそこには姿が変化した二人が立っていた。
「「……ハァァァぁぁ〜〜…」」
二人はゆっくり息を吐きながら体を上げた。
「「ふぅ……ん?…えっ⁉︎な、な、何だ(にゃ)!これは〜〜〜!?」」
変化した互いと自分の姿を見て驚いていた!
黒歌の姿は、輪っか状に束ねていた髪が解けて逆立ち長くなり、猫耳も少し大きくなった。着ていた着物は消えて代わりに体中ボディペイントの黒い模様が入り、尾はよりしなやかになり長くなった。腕は鋭い黒い爪が生えた細めの籠手の様になり、脚は踵を浮かせた趾行型の完全にネコ科動物の物と同等になっていた。
対するティアの姿は、体の各所に蒼い鱗が形成され、顔は口元が少し突き出て龍の様になり、眉部分には角が生えた。両腕は蒼い鱗に覆われた龍の腕の様になり、背には翼が生え腰からは太く長い龍の尾が生えた。脚は龍の脚の様になっていた。見た目は龍人と言った感じであった。
しかし、最大の特徴は背後にいる3メートルくらいの元の龍王の姿のティアが半透明で立っていることである。ティアと同じ動きをしているところを見ると動きが反映されるようだ。
「!こ、これは一体⁉︎」
「サーゼクス様‼︎」
サーゼクスは驚愕し、グレイフィアはいつでも攻撃できる様に魔力を溜めて構えていた!
「待て‼︎」
ダンテは二人に手を向けて止めると黒歌とティアに近づいた。
「おいお前ら、俺の言葉が分かるか?」
「…あぁわかるぞ。それに先程の苦しさはもう無い」
「あたしも大丈夫にゃ。寧ろ気分がかなりいいにゃ」
二人共落ち着いているようだ。
「ダンテ、これは一体何なんだ?」
ティアが自分の身体と背後の分身を見ながら聞いた。
「これはおそらく…デビルトリガーだ」
「「デビル…トリガー…?」」
二人は聞き慣れない言葉に首を傾げた。
「それはどういうものなんだい?」
ダンテの様子見てサーゼクスも警戒心を解いて聞いてきた。
「俺が持っている能力の一つなんだが…説明するより見せた方が早いか、今見せてやるよ…フッ‼︎」
ダンテが力を込めると帯状の魔法陣が纏わりつき、開放と同時に姿が変化した!
コートの一部が翼に変わり、閃光と共に禍々しい魔力を纏った赤と黒を基調とした魔人の姿に変わった!
「これがデビルトリガーだ。力を一時的に開放して魔人の姿に変わる、さらに変身中は魔力は消費するが体力は回復する。俺の奥の手みたいなもんだ」
「こ、これはすごい!ただでさえ高かった魔力がさらに跳ね上がった!」
ダンテが放つ魔力に驚くとダンテは力を抜き元の姿に戻った。
「しかし、なぜ二人にデビルトリガーが発動したのだろう?」
「それは俺も不思議に思ってたんだが、考えられるとすれば……黒歌、お前さっき俺の頬を舐めただろ?」
「えっ?…う、うん」
「たぶん、その時お前は俺が纏っている伝説の悪魔の気を吸収したんだと思う」
「なるほど、それで黒歌の体に影響を及ぼし変化したと……ん?だが、それではティアマットの方はなぜ影響が出たんだろう?」
サーゼクスは納得した後また疑問に思った。
「確かに、私はお前から力を吸収していないぞ?」
「そのことには俺も悩んだ。何で力を吸収していないお前までデビルトリガーが発動したのか……もしかして、あれがきっかけか?」
「何だ?そのきっかけとは?」
ティアはダンテに問い詰めた。
「お前と初めて出会った時、お前は俺の血を顔面に浴びただろ?その後拭かないで戦闘したから、お前はそのまま俺の血を少なからず吸収したんだ」
「あの時の血が…!」
「その血が黒歌の変化に共鳴してお前にデビルトリガーを発動させたんだと思う」
「なるほど、そういうことか。ところで二人は元の姿には戻れるのかい?」
サーゼクスは心配そうに聞いた。
「う〜ん…暴走していないところを見ると大丈夫だろ。おいお前ら元に戻ってみろ」
「「どうやって戻るんだ(にゃ)?」」
二人は首を傾げながら聞いてきた。ティアの方は後ろの龍も首を傾げているのでなんともシュールである。
「おっとそうか、肩の力を抜くみてぇに全身の力を抜けばいいんだ」
そう言われて二人は顔を見合わせ脱力すると魔法陣を纏い元に戻ったが、戻った瞬間膝をつき大汗を流した!
「デビルトリガーは魔力の消費が激しいんだ、見たところお前らは体力も消費するみてぇだな?鍛えれば変身時間も伸びるし体力消費も改善されるだろうが、それはお前ら次第だな」
「はぁ、はぁ!そ、それは厳しいな…」
「が、頑張るにゃ〜、 はぁ、はぁ!」
二人に弱々しく腕を上げた。
「まっ、せいぜい頑張んな」
こうして、黒歌とティアはデビルトリガーを習得したのであった。
ティアのデビルトリガーはネロのデビルトリガー(dmc4版)をイメージ(体の見た目は映画『アバター』みたいな感じ)。黒歌のデビルトリガーはBLEACHのグリムジョー帰刃形態のような獣人をモチーフにしました。