◇旧王都 ルシファード
翌日、グレモリー眷属とダンテ達は若手会合が行われる高層ビルに来ていた。
先日早速町で騒ぎを起こしたダンテ達はリアスにこっ酷く叱られたのであった、まぁサーゼクスが宥めてくれたから説教は短く済んだがな。
「皆、これから若手悪魔との顔合わせよ、何が起こっても平常心でいること。この先にいるのは将来の私たちのライバル達よ、無様な姿は見せられない。特にダンテ?気をつけてちょうだいね?もう騒ぎは起こさないでね?昨日は助けた御令嬢さんが説得してくれたから大事には至らなかったけど今回はそうはいかないわよ」
「あ〜…わかったわかった、昨日と同じことを言うなって…うるせぇなぁ」
「うるせぇって…まったく、本当にわかってるの?」
会場の部屋まで歩きながらリアスと言い合っていると窓際の壁に寄りかかっている黒髪のガタイの良い長身の男がいた、ん?あの男はもしかして…
「…ん?」
「あら?サイラオーグ!」
「おぉ!久しぶりだなリアス!」
「変わらない様で何よりだわ」
男ーーサイラオーグとリアスは握手し挨拶した……うん、中々の力を秘めていそうだ、ティアと同等…いやそれ以上かもしれない。
「彼はサイラオーグ・バアル。私の母方の従兄弟でもあるの、さぁ皆、挨拶して」
グレモリー眷属はサイラオーグに頭を下げて挨拶した、サイラオーグは赤龍帝であるイッセーに期待していると声を掛けていた。ほぉ、リアスの従兄弟ねぇ…確かさっき教えてもらったけどバアル家って魔王の次に偉い大王だっけか?流石はリアス、すげぇ奴を従兄弟に持ってるな。
「それと彼らは私達の協力者で駒王協定の拠点の主でもあるデビルメイクライよ、ほらダンテ達も挨拶して」
「私は五大龍王最強の天魔の業龍ティアマットだ、よろしく」
「あたしは黒歌にゃ、転生悪魔の猫魈にゃ、よろしくにゃ」
「俺がリーダーのこいつらの主、デビルハンターのダンテだ、よろしくな」
「…ダンテ?おぉ!お前は!」
サイラオーグは目の色を変えてダンテの前に来た!身長はダンテとほぼ同じだ、ダンテも自分に匹敵する背丈の者に久しぶりに会って無意識に笑みを浮かべていた。突然前に来たサイラオーグに咄嗟にティアと黒歌は構えた、二人から見るとサイラオーグは大男である。
「リアスの婚約騒動で会って以来だな?…おっと、直接は会ってなかったな、しかしまた会えるとは光栄だ!お前とはまた会ってみたいと思っていたんだ、改めてよろしくなデビルハンターダンテ!」
「おぅ、やっぱりあの婚約騒動の時に会場にいた奴だったか」
「覚えていてくれたのか?」
「まぁな、あれだけ興味深そうに見つめられたら忘れたくても忘れられねぇさ」
ダンテとサイラオーグは握手した。
「そうか、では俺がどういう気持ちでいるかわかっているな?」
「あぁ、一目見ればお前がかなりの強者だということはその目を見ればわかる、久しぶりに血が騒いだぜ」
ダンテの言葉にサイラオーグは笑みを浮かべた。握手してるだけでも彼がかなりの実力者だということがダンテにはわかった。
「嬉しいことを言ってくれる…お前とは近いうちに是非とも手合わせ願いたいものだ」
「フッ、いいぜ、待ってるぜ」
「楽しみだ…」
ダンテとサイラオーグはお互い笑みを浮かべると再び握手した、リアス達は一瞬その空気に戦慄を感じ少し冷や汗を流していたがリアスはサイラオーグに尋ねた。
「そ、それでサイラオーグ?こんな通路で何してたの?」
「あぁ、くだらんから出てきただけだ、まったく…」
「くだらない?どういう…」
カッ!!
突然リアスの後ろにあった扉が爆発して吹き飛び、辺りが煙と塵に包まれた!
「な!なに!?」
「おいおい…いきなり何事だ?まさかテロじゃねぇだろうな?」
ダンテの言葉にリアス達も禍の団が襲撃してきたのかと思い構えたが、サイラオーグが溜め息混じりで説明した。
「心配するな、テロではない。あいつら…着いた早々、ゼファードルとシーグヴァイラがやり合い始めてな」
「ゼファードル…あぁあの問題児ね…」
リアスは溜め息を吐いて呆れ、その名を聞いてダンテも反応した。
「ゼファードル…?どっかで聞いた名前だな」
「ダンテ…もう忘れたの?昨日町でナンパ騒ぎしてた奴じゃにゃい!」
「あぁ、あのヤンキーな」
黒歌に言われ軽く忘れかけていたダンテは思い出した。サイラオーグは表情を険しくして呟いた。
「…だからデビュー前の会合などいらないと進言したんだ」
そう言いサイラオーグは煙が立ち昇る部屋に入って行った。
「面白そうだ、ティア、黒歌、俺達も行こうぜ」
ダンテ達三人も部屋に入って行った。
「あっ!ちょっと待ってダンテ!騒ぎは起こさないでってさっき…ちょ!小猫まで⁉︎待ちなさい!…あ〜もう!皆、行くわよ!」
部屋に入ってしまったダンテ達をリアスは止めようとしたが同じく少し怒った表情の白音まで入ってしまったので頭を抑えながらリアス達も続いた。
荒れた室内、テーブルや椅子は破壊され装飾等も見るも無惨な姿になっていた。その中で数名の人影が向かい合って対立していた。
「ゼファードル、あなた死にたいの?今ここで殺しても上から咎められないかしら?」
眼鏡をかけたクールそうな女性悪魔シーグヴァイラと…
「ハッ!アガレスの女は堅物でしょうがねぇ!そんなんだから男が寄ってこねぇで処女やってんだろ⁉︎だから俺が開通式してやるって言ってんだよこのクソアマ!!」
大声で下品な事を言っている昨日町でナンパ騒ぎをしていたヤンキー悪魔ゼファードルが言い合っていた、相変わらずだなあのヤンキー野郎は…
「大体…何よその顔の傷?爪痕からしてもしかして猫⁉︎猫にやられたのそれ?ふふ…お笑いね!猫なんかに顔を引っ掛かれるくらい弱い男が私にあれこれ言わないでほしいわ!」
ゼファードルの顔には昨日黒歌に付けられた引っ掻き傷が残っており、それを見たシーグヴァイラは笑っていた。
「う、うるせぇ!こいつはちょっとばかし油断しただけだ!あのクソ猫…今度会ったらはぐれに戻してやるぜ!」
ゼファードルは恥ずかしそうに傷を隠すと黒歌に仕返ししようと拳を強く握っていた。
「よぅ、相変わらずみてぇだなヤンキー野郎?」
「あ"ぁ⁉︎……て、てめぇらは昨日の⁉︎何でここに⁉︎…いや、そんな事はどうでもいいぜ!おぅ!てめぇら!昨日はよくもやってくれたなぁ!特にそこのクソ猫!てめぇよくも俺の顔に傷を付けてくれたなぁ?この落とし前はきっちりつけさせてもらうぜぇ!!ついでにはぐれに戻してやるぜぇ!!」
「あら?よく似合ってるじゃないその傷?なんならもっと付けてあげるにゃ!」
黒歌は挑発したがゼファードルは拳に魔力を纏わせてまずはダンテに向かった!しかし直撃寸前でゼファードルの動きが止まった!よく見ると汗を流して震えている、全員が何が起こったのかわからなかったがダンテはニヤッと笑いゼファードルの拳を掴むと掌底を当て吹き飛ばした!
「…?ダンテ、今何をしたんだ?」
「ん?あぁ、アイツにだけ魔王クラスの魔力を流したんだ、まぁ金縛りみたいなもんさ」
「フッ、流石だな、魔力だけで奴の動きを止めるとは、やはりお前は面白い男だ、ますます手合わせが楽しみだ」
サイラオーグが関心していると金縛りから解放されたゼファードルが再び向かってきたがダンテの隣から白い影が飛び出しゼファードルは再び吹き飛んだ!吹き飛んだゼファードルの上を見ると白音が乗っかって胸ぐらを掴んでいた!
「…貴方ですか?昨日姉様を泣かせたのは?謝ってください」
「あぁ?何で犯罪者なんかに謝んなきゃなんねぇんだ?それに姉様だぁ?てめぇあのクソ猫女の妹か?姉が姉なら妹も妹だなぁ!…いつまで乗ってやがる!オラァ!さっさとどきやがれチビ猫!」
ゼファードルは白音を振り払った。白音は着地すると声を荒げた!
「ッ、姉様は犯罪者なんかじゃありません!!」
黒歌を犯罪者と言われ白音は拳を握りゼファードルに向かおうとしたが次の瞬間ゼファードルはサイラオーグに殴り飛ばされ勢いよく壁に激突した!
「…サイラオーグさん」
「すまんな、手を出させてもらった。さて…その辺にしておけお前ら?今日は大事な会合の日なんだ、これ以上やるなら俺が相手をするぞ」
サイラオーグからは凄まじい闘気が出ていた!ゼファードルは頬が腫れ上がり眷属達に介抱されており、シーグヴァイラも眼鏡をクイッと上げ引き下がり一応騒ぎは収まった。
この後、シーグヴァイラがダンテ達に挨拶し、ダンテ達と白音はリアスに叱られ、黒歌は白音にお礼を言いながら抱き締めたのだった。
遅れてソーナ達シトリー眷属も来て若手悪魔は全員集合となった。
今回は短くしました、次回もお楽しみに