8月31日
決闘とゲームが終わり10日が過ぎた。最初はすぐに人間界に帰るのかと思っていたが、録画したゲームを見終わった後やはりティアの馬鹿が収まらず入院中のイッセーの部屋に殴り込み(何があったかはご想像にお任せします)に行き、それによりイッセーの退院が余計に長引いた為結局8月の終わりまで冥界にいることになった。
それからの10日間は色々な事があった。ティアと黒歌と一緒に冥界の温泉巡りに行ったり、サーゼクスのまだ会ってない眷属に会ったり、ミリキャスの話し相手になったりした。それとまたサイラオーグに会った、サイラオーグはコーヒーが好物らしくやたらコーヒーについての話を力説された…まぁ詳しいだけあってあいつが入れたコーヒーは中々美味かったが…砂糖を入れたらまるで獅子の様な形相で睨まれた。土産にコーヒー豆も貰っちまったし見た目に似合わない趣味を持つ奴だったな……などの事があった。
そしてイッセーが退院し人間界に帰る日、グレモリー眷属とデビルメイクライは城の前でリアスの両親とサーゼクスとグレイフィアに見送られていた。
「ではお父様、お母様、ミリキャス、行ってまいりますわ」
リアスは両親に頭を下げて挨拶した、両親は笑顔で頷くとダンテとイッセーに頭を下げてきた。
「それではダンテ君、イッセー君、また会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく帰って来たまえ、グレモリー家はキミたちの家同然だよ」
「イッセーさん、人間界に帰ってもリアスの事をよろしくお願いしますね?ダンテさんもまたいつでもいらしてくださいね、その時はまた是非一曲踊ってください、うふふ」
「はい!お任せください!部長は俺が守ります!」
「まぁそれなりに楽しめたぜ、また来る時があったら立ち寄らせてもらうぜ。またなミリキャス」
この様に家族同然に思われたようだ、まぁ悪い気もしないからいいがな。するとミリキャスが名残惜しそうにダンテの前に出て来た。
「ダンテ様…帰ってしまうのですか?まだまだいっぱいお話を聞きたかったです…」
そんな顔するなよ…ずいぶん懐かれたもんだ。
「ミリキャス様、ご無理を言ってはいけませんよ?」
「…はい、『お母様』」
グレイフィアがミリキャスの肩に手を置いて声を掛けると表情を落として下がった。話の続きはまた今度だな、ほら?お母様も言ってるだろ?……あ?お母様?するとイッセーとゼノヴィアが反応した!
「えっ⁉︎」
「お母様⁉︎…ってことはサーゼクス様の奥さんってやっぱり⁉︎」
「グレイフィアってことか…冥界最強の女王が魔王の妻とは恐れ入ったぜ」
グレイフィアがミリキャスの肩を抱きサーゼクスが笑顔で隣に立つその姿はまさに親子のスリーショットであった。その姿を見てダンテはミリキャスの頭を撫でると提案を出した。
「ならミリキャス、デビルメイクライに遊びに来い。いつでも歓迎するぜ」
「…はい!」
残念そうにしていたミリキャスはダンテの誘いに笑顔で応えた。別れの挨拶が済むとサーゼクスもダンテに声を掛けた。
「ではダンテ、また会おう。それから……オーフィスのことも頼むよ?(ぼそっ)」
「あぁ、わかってる」
小声でオーフィスのことを了解するとダンテ達は馬車に乗り込んだ。メイド達が頭を下げ衛兵達が空砲を鳴らした!じゃあなグレモリー家!
▽
帰りの列車内、人間界に着くまでの時間、ダンテたちとグレモリー眷属はそれぞれ過ごしていた。イッセーはほとんど手をつけていなかった夏休みの宿題をリアスとアーシアと祐斗に手伝ってもらいながら叫んでおり、その数席後ろではダンテ達デビルメイクライが集まっていた。その中心では回転させた席を個室型にして座るダンテとティアが向かい合っていた、二人は行きに約束したポーカーの再戦をしていた。
「それにしてもダンテ?お前とサイラオーグの闘いは中々面白かったぞ、レイズ」
「あぁ、あいつとは良いライバルになれそうだ、再戦が楽しみだぜ。俺もレイズだ」
「そうだな、闘ってる時のお前の顔は心の底から楽しんでいる様だった。見てた私も興奮した、私も奴と闘ってみたくなったな。コール」
「フッ、お前もサイラオーグに似てるな。でもお前じゃ勝てるかわからねぇぞ?」
「やってみなければわからんさ」
リアス達にもサイラオーグとの決闘の話と結果は話した。その内容にゲームの相手に当たったら勝てるかどうか不安になっていた。確かに今のグレモリー眷属じゃ敵わないかもな。
「だがダンテ?サイラオーグとの闘いには勝ったが、残念だったな?フルハウス!悪いな私の勝ちだ。フフフ、相変わらずだなぁダンテは」
「…チッ、やめだやめだ」
ポーカーはティアの勝利に終わった。ダンテはトランプを後ろに放り投げると膝の上に座っていた白音を降ろし席を立つと隣の車両に向かって歩き出した。
「ダンテ?何処に行くのにゃ?」
「ちょっと隣の車両にいるソーナ達の所に行ってくる、お前らはここにいろ」
「すぐに帰って来てにゃ?じゃあみんな!ババ抜きしようにゃ!」
ダンテは後ろに手を振ると隣の車両に乗っているシトリー眷属の元に向かった。車両に入るとソーナと椿姫が頭を下げて挨拶し他の眷属達は驚いた顔をして頬を染めていた。
「よぅソーナ、ゲームの方は見させてもらったぜ。肝心なところは見られなかったが面白い戦いだったぜ」
「ありがとうございます、あのゲームは私達の夢を懸けたゲームでしたが…負けてしまいました。ですが私は悔いはありません、負けこそしましたが私達にとっては第一歩です」
「そうか、その勢いがあれば大丈夫だな、頑張れよ?ところで匙はいるか?」
「はい、サジでしたら後ろの方にいますが」
ダンテは後ろの席にいる匙の前に来た。匙の腕にはまだ包帯が巻かれていたが元気そうだった。匙の服には勲章が付けられていた、その勲章はレーティングゲームで優れた戦い、印象的な戦いを演じた者に贈られる物でサーゼクスが匙に贈った物だった。
「よぅ匙」
「…えっ?あっダンテさん⁉︎どうしたんスか?」
頬杖を突いて窓の外を見ていた匙は突然自分の所に来たダンテに驚き慌てて席を立ち頭を下げた!
「ゲームを見たがあんな戦い方をするなんてな?やるじゃねぇか、大したもんだ」
「い、いえ…あの時はただただ必死だっただけで、危なく命を落とすとこでしたし…でもやっぱ兵藤は強いな、俺なんかじゃ敵わないな。実は俺、兵藤に少し憧れているんです、しかもあいつ、俺がリタイアした後に禁手に至ったらしいっスね?余計あいつには敵わないぜ…」
…匙はイッセーが禁手に至った場面と発動の瞬間を知らないみたいだ。まぁ憧れているなら話さない方がいいな…
「でもよ、結果的にお前はイッセーを…赤龍帝を倒したんだ、サーゼクスも言ってたが自分を卑下することは無いぜ?ティアもお前の龍王の神器の成長を関心してたし期待してるって言ってたぜ?今回のゲームの主役はお前だと俺は思うぜ」
「ダンテさん…」
「そうですよサジ」
声が聞こえ見るとダンテの後ろにはソーナ達が集まっており微笑みながら匙を見つめていた。その表情を見た匙は震えながら下を向いたが立ち上がると勢いよくダンテに頭を下げた。
「ダンテさん…ありがとうございます!!俺!もっともっと強くなります!!会長の夢の為に!これからのシトリー眷属の為に!!」
「フッ、まぁ俺から言えるのはここまでだ。後は自分達次第だ、夢に向かって頑張んな。じゃあな」
ダンテはソーナ達を応援すると元の車両に戻って行った。その姿にソーナ達は感謝を込めて頭を下げた。
▽
数十分後、列車は人間界の隠し駅のホームに着いた。ダンテ達は車掌のレイナルドに見送られながら列車を下りた。ふぅ、約1ヶ月ぶりの人間界だな。
「ではリアス、私達はこれで失礼します。また明日学園で会いましょう」
「えぇソーナ、とても良い夏休みだったわ、ありがとう」
リアスとソーナが握手するとソーナ達シトリー眷属は先に帰って行った。リアスは眷属達の前に来ると笑顔で声を掛けた。
「みんな!1ヶ月お疲れ様!今回の長期旅行でイッセーも禁手に至って各自もかなり成長したわ!ゲームにも勝てたし私も喜ばしい限りよ。でもこれで満足してはいけないわ!私達はもっともっと高みを目指して行くわ!どんな相手が来ても負けない様に!いいわねみんな!」
『はい!部長!!』
グレモリー眷属は勢いよく返事をした。その様子をダンテとティアと黒歌は笑って見ていた。
各自荷物を持ち外に繋がるエスカレーターを向かおうとしたその時アーシアを呼ぶ声が聞こえた。
「アーシア?アーシアだよね?」
振り返るとアーシアの前にマントを羽織った緑がかった黒い髪の優男風な青年がいた。声を掛けられたアーシアは戸惑っていた。
「えっ…?あ、あの…」
「あぁ!やっぱりアーシアなんだね?」
優男はまるでずっと探していた者を見つけた様な表情をしていた。あの男、どっかで見た顔だな……えーと、確か……そうだ思い出した、確か若手会合の時にいた奴の一人だ。常に笑顔の奴だがあの笑顔は何か黒いものを感じるな…
「ディオドラ?貴方ディオドラね?」
リアスも気づき優男ーーディオドラ・アスタロトに声を掛けた。
「これはリアス殿、突然申し訳ありません。会合で見かけてずっと気になっていたもので…今回はアーシアを確認できましたのでこれで失礼します。それじゃアーシア、また会おう」ニコッ
ディオドラはアーシアに笑顔を向けると魔法陣で去って行った。リアス達は何だったのかわからず見合っていたが、アーシアは思い当たることがあるのか下を向いていた。
◇デビルメイクライ
「ふぅ〜やっと戻って来たぜ」
「あぁ、長い旅だったな」
「にゃあぁ〜!明日からまたBARを再開しなくちゃ!そうだリアスちん、約束通り手伝ってもらうにゃ?」
「そう言えばそうだったわね、でも学園から帰って来たらね?」
拠点であり家であるデビルメイクライに帰って来たダンテたちとグレモリー眷属は玄関に荷物を置くとそれぞれリラックスしていた。
しかしダンテは全員揃っている今、ここにオーフィスを呼ぼうと考えていた、それを一緒に帰って来ていたアザゼルに伝えるとアザゼルも頷いた。
「まずはお前達ご苦労だったな、出発前に比べてお前達はかなり成長した、俺も先生として嬉しく思うぞ。積もる話もあるがそれはまた後にして…今はダンテから話がある、ダンテ、頼むぞ」
アザゼルに言われダンテは深呼吸すると真剣な表情で話し始めた。
「サーゼクスからお前らにも報告があったと思うが…オーフィスの事は聞いているな?」
オーフィスという名にリアス達はリラックスした顔から一変した。
「えぇ、確かに聞いてはいるわ。でもダンテ、本当なの?本当にオーフィスは禍の団から抜けているの?いくらお兄様からの報告でもまだ信じられないわ」
「まぁそりゃそうだろうな。なんたって相手はついこないだまでテロリストの親玉と言われてた奴だしな。だがもうサーゼクス達にも直接会って話をしたからな、俺はオーフィスの監視を任されたが…まずは直接会ってみてくれ。今からここに呼ぶから後は本人から聞いて納得してくれ」
リアス達はまだ警戒していたがダンテはオーフィスをここに呼ぶことにした、納得させるにはこれが一番早い。
「じゃ呼ぶぞ?間違っても攻撃するなよお前ら?…オーフィス?姿を見せてくれ、リアス達にお前を紹介する」
ダンテはすぐ側にいるオーフィスの気配に呼び掛けた。するとその数秒後、異様な気配と共にダンテの前に幼女の姿の無限の龍神オーフィスが現れた!
「ダンテ 我 来た」
突然現れた黒髪ロングのゴスロリ幼女にリアス達は警戒し武器や魔力を溜めて構えた!しかし構えていたイッセーはオーフィスの姿がイメージしていたのと違っていたので警戒を少し解いた。
「お、女の子…?この女の子が禍の団の親玉だったのか?なんか想像してたのと違うな」
『相棒!油断するな!コイツはこんな姿でもこの世界で最強最悪と言われた奴だ!気を抜くな!』
ブーステッド・ギアからドライグが忠告してきた!するとその声に反応する様にオーフィスがイッセーの方を向いた。
「ドライグ 久しい」
やはりドライグとも知り合いの様でオーフィスは声を掛けたがドライグは警戒していた。
「心配するなドライグ、こいつの事はサーゼクス達四大魔王も納得している。お前は黙っていろ」
ティアがドライグを黙らせた。全員が警戒する中リアスが代表してオーフィスに尋ねた。
「お兄様から大凡の事は聞いてはいるけど一応確認するわ。オーフィス、あなたが禍の団から抜けたというのは本当なのね?」
「我 もう禍の団 関係ない 力貸してくれない奴 用は無い」
「信じてもいいのかしら?」
「こいつは利用されていただけだぜ?親玉というのも肩書きだけだ」
オーフィスの答えを書いてもリアス達はまだ警戒していた。ダンテも説明すると眷属達が警戒を続ける中アーシアが警戒を解いてオーフィスに近づいた。イッセーが慌てて呼び止めたがアーシアは微笑んでいた。
「お、おい⁉︎アーシア⁉︎」
「大丈夫ですよ、テロリストの親玉と言われていてもオーフィスさんは騙されてその座に着いていただけです。だったらオーフィスさんは何も悪くないです、だから私はオーフィスさんを信じます。よろしくお願いしますオーフィスさん」
「アーシア…」
アーシアは笑顔でオーフィスに挨拶した。フッ、流石聖女の様な娘だな、オーフィスのことをあっさり信じてやるとはな、しかしそのおかげでリアス達も少し納得した様だ。
「…わかったわ、アーシアに免じてとりあえず信じましょう。お兄様達が納得したのに私達が信じないのはお兄様に背くということになるわ。みんなもいいわね?」
『…はい』
眷属達は顔を見合わせていたが頷いた。
「よかったなオーフィス、これでお前も今日からここの住人だ、仲良くやろうぜ?」
「今日からここ 我の家?」
オーフィスはコテンと首をかしげていたが、こうしてオーフィスはダンテの監視下の元でデビルメイクライの新たな住人となった。
Chapter END
冥界合宿のヘルキャット編 完
次回ある人物が再登場します!お楽しみに!