アスタロト眷属の相手をし残りが騎士二名となった。ダンテ達はディオドラがいる神殿へたどり着くと警戒しながら突入したが、内部を進んでいるとダンテ達の前に現れたのは騎士二名ではなく、かつて幾度となく立ちはだかったはぐれ神父、フリード・セルゼンであった。
「よー!よー!よー!おっひさ〜!」
「お前は…フリード⁉︎」
「イエス!イエス!よーイッセーくん!久しぶりィ♪僕ちゃんしぶといんで!キッチリキッカリ生きてござんすよ!」
「フッ、相変わらずうるせぇ奴だな?それにまだ生きてたなんてな、これはまた…ダンスの時間か?」
ダンテもフリードが生きていたことにフッと笑うと胸元からエボニーをチラつかせた、ティアは既にルーチェを向けて発砲出来る状態だった。
「ようよう!アンタも久しぶりだネェ!おっ?また撃っちゃう?んじゃ今度は俺様が華麗で素敵なダンスを披露してやろうかねぇ?そっちのデカパイお姉ちゃんも撃つ気満々だしねぇ〜!ひゃははは!お姉ちゃん何カップゥ?」
「…チッ、ダンテ、撃っていいか?」
「…まぁちょっと待て」
フリードの言動にイラついたティアが発砲しそうだったがダンテは落ち着かせた。そのフリードは相変わらずの口調で馬鹿笑いしてダンテに手を振っていた。
「でもどうしてここに?」
リアスの問いにフリードはふざけた口調と表情で説明した。
「コカビエルが死んだ後、ヴァーリのクソ野郎に拾われてな。行き場無くした俺がたどり着いたのが禍の団ってワケよォ…クチャ…」
口をモゴモゴさせながらフリードは答えたが…何食ってんだ?
「それでディオドラの騎士に?」
「ナイトォ?ひゃははは‼︎二人共ォ…俺様が喰ったよ‼︎よかったら一口食べますゥ?あんま美味くないけどねぇ〜ちょこっとだけ余ってました!俺様の間接キスだぜぇ♪ほらヨ」
「ん?…なっ⁉︎」
フリードはポケットから何かを出しイッセーの足元に投げてきた。フリードが投げた物を見て驚愕した!それはなんと…人の指だった!ま、まさか騎士の⁉︎その時黒歌と白音が鼻を塞いでフリードに嫌悪感を露わにしていた。
「うっ⁉︎何にゃコイツ!」
「…その人、人間をやめてます」
フリードに視線を戻すと前に屈んだフリードの体が膨らみ始め背中を突き抜けた!角だか突起だかわからない物が生えてきて腕も足も数倍に膨れ上がった!背中の片方に翼が生え反対側には巨大な爪が生えた腕が出てきた!顔も原型をとどめておらず片目は大きく突き出し口も鋭い牙が何本も生える程変貌していた!何だコイツは⁉︎合成獣…キメラか⁉︎
「ヒャハーハハハハ!アハーハハハ‼︎せっかくだから良い事教えてやるよォ!さっきてめぇらがぶっ倒した眷属の女どもは〜ぜぇぇんぶ元はどっかの有名なシスターや各地の聖女サマ方なんだゼェ!」
「なんだって⁉︎」
「あの坊ちゃん、ディオドラ・アスタロトは良い趣味してんのヨ。素敵にイカれてて聞いてて胸がドキドキしたぜ!あの坊ちゃん、大した好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって!しかも狙うのは熱心な信者や教会の本部に馴染みが深い女ばかりだ。熱心な聖女さまを言葉巧みに騙して超絶うまいことやって堕とすのがあいつの趣味さ!マジで良いよなぁぁっ!!俺クソ悪魔で初めて好きになった奴かもしんない!あっもちろん恋愛的な意味じゃないゼェ?ひゃははは!!」
聞いてて胸糞悪い話だった。その時イッセーが汗を流しながらフリードに聞いた。
「ちょ、ちょっと待てよ…そ、それじゃあアーシアは…」
イッセーの表情を見たフリードはニヤッと笑うと説明を始めた。
「大サービスだ!特別に教えてやるヨ!アーシアちゃんが教会を追放されるシナリオを書いたのも元をただせばディオドラ・アスタロトなんだぜ〜。シナリオはこうだ!ある日シスターとヤルのが大好きな坊ちゃん悪魔は、チョー好みの美少女シスターを見つけました。ですが!聖女さまはとても大事にされていて簡単には連れ出すことは…できません!そこである作戦を立てました『怪我をした僕を治すところを他の聖職者に見られれば聖女さまは教会から追放されるかもしれない』と」
『あの時、彼を助けたことを私は後悔してません』ーーかつてアーシアはそう言っていた。イッセーの脳裏に笑顔でそう言ったアーシアが思い出される。
「…なんだよ…それ…なんなんだよそれはよ…」
しかしイッセーを嘲笑うかの様にフリードはとどめとばかりに言う。
「『信じていた教会から追放され神を信じられなくなったら簡単に僕の元に来るだろう…』と。聖女さまの苦しみも坊ちゃんにとって最高のスパイスなのさ!堕ちたところを掬い上げて犯す!それが坊ちゃんの最高最大のお楽しみなのでした!今までもそうして教会の女を自分のモノにしたのです!それはこれから先も変わりません。坊ちゃん…ディオドラ・アスタロトは教会の女の子を抱くのが大好きな悪魔さんでした!ヒャハハハハハハハッ!!」
フリードから胸糞悪いシナリオを聴き終わったイッセーは拳を強く握り締めて爆発しそうになっていた!それは聴いていた全員が同じだった。その時、一歩前に出ようとするイッセーの肩を祐斗が掴んで止めた。
「待つんだイッセー君、キミがその想いをぶつけるのはディオドラまで取っておいた方がいい」
「木場…」
「ここは僕が行こう、あの汚い口を止めてこよう」
祐斗はダンテの方を向き頷くと異形と化したフリードの前に行き聖魔剣を抜いた。その様子を見てダンテとティアも頷き銃をしまいこの場は任せた。
「ようようよう‼︎誰かと思えばあの時俺様をぶった斬ってくれた腐れナイトさんじゃあーりませんかぁ!!てめぇのおかげで俺はこんな素敵なモデルチェンジをしちゃいましたヨォ!!無敵超絶!モンスターなフリードくんをよろしくお願いしますゼェ!色男さんよォォォ!!」
フリードはその巨体に似合わないスピードで祐斗に襲い掛かった!しかし祐斗は一言発すると姿を消した。
「キミはもういない方がいいよ」
刹那、フリードの巨体が一瞬でバラバラに切り刻まれた!かなりのスピードだ!イッセー達には一瞬だったからわからないかもしれないが、祐斗は騎士のスピードと華麗さを付け加え進化させたオリジナルのダンスマカブルを繰り出していた!驚異の神速8連続コンボ‼︎もう自己流を編み出すとはやっぱり大したやつだぜ祐斗。
「…んだよそれ…強過ぎんだろ…」
頭部だけになったフリードは祐斗の足元に転がってくると目を剥き出して祐斗を見て不気味に笑っていた。
「…へへへ…ま、お前らじゃ…ディオドラの計画も裏にいる奴らも倒せねぇさ…ひゃは…は…」
ザシュ!
ほっといても死にそうだが、フリードに祐斗は容赦なく聖魔剣を突き立てとどめを刺した。
「その続きは地獄の死神にでも言うんだね」
フリードの頭は体と共に塵となり消滅した。祐斗は聖魔剣の血を払い鞘に納めるとリアス達に呼び掛けた。
「さぁ、行こう!」
リアス達は頷き合いディオドラの待つ神殿の最深部へ走り出した!
○●○
神殿の最深部にたどり着いたダンテ達。
前方の壁には巨大な装置の様な物がある。円形の装置で至るところに宝玉が埋め込まれて怪しげな文字や紋様がある、そしてその中央にはアーシアが張り付けられている!
「アーシアァァァァッ!!」
「……イ…イッセーさん…?」
イッセーの声にアーシアが顔を向けた。見た感じ外傷は無いし服も破れていない、代わりにあるとすれば…目元が腫れ上がっている、相当泣いたのだろう。
「やぁ、やっと来たんだね、待っていたよ」
「ディオドラ!!」
装置の下の部分が開きそこに設置された玉座に座ったディオドラ・アスタロトが現れた!イッセーは怒りで飛び出しそうになったがダンテが肩を掴んで制止した。
「…ディオドラ、お前、アーシアに事の顚末を話したのか?」
イッセーはとりあえず怒りを収め先ほどフリードが語っていたことをディオドラに訊いた。彼は笑顔で問いに答えた。
「うん、全部アーシアに話したよ。いやぁ最高だったなぁ!全てを知った彼女の顔は!僕の手の平で動いていたと知った時のアーシアの顔は本当に最高だった!ほら、記録映像もあるよ?見るかい?教会の女が堕ちる瞬間の表情は何度見てもたまらないよ!」
そのクソみたいな発言にアーシアのすすり泣く声が聞こえた。
「…その聖女達を爆破しやがって!」
「ハハハ!…ん?あぁ、彼女達にはもう満足したからね。飽きたら捨てるのは当然だろう?何だい?敵の心配かい?」
眷属の聖女達を爆破したことを何とも思ってない様にディオドラは吐き捨てた、それを聞いてゼノヴィアは激しくディオドラを睨みつけた。
ディオドラはにこやかに笑っていた目を開くとイッセーを指差した。
「でもアーシアにはまだ希望がある。特にそこの汚れた赤龍帝?キミがアーシアを救ってしまったせいで僕の計画は台無しになってしまったよ。堕天使の女レイナーレを覚えているかい?彼女がアーシアを一度殺した後僕がレイナーレを殺し、その場で駒を与える予定だったんだ。キミが乱入してもレイナーレには勝てないと思っていたからね、だがキミはあの伝説の赤龍帝だった。おかげでだいぶ計画は遅れたけど、やっと僕の手元にアーシアが帰ってきたよ」
「黙れ」
イッセーはかなり低い声で呟いた、魔力も徐々に上がっている。ティアの方を見ると同じく顔を伏せて魔力とオーラが上がり始めていた…もう爆発寸前だ。
「アーシアはまだ処女だよね?赤龍帝のお古は嫌だなぁ…あっ、でも赤龍帝から寝取るのもまた楽しいのかなぁ?」
「黙れ…!」
「ッッッ…!!」
イッセーとティアの魔力とオーラがさらに跳ね上がった!これはもう…止めても止まらないな。
「キミの名前を叫ぶアーシアを無理矢理抱くのも良いのかもしれないねぇ!!」
「黙れェェェェェェェェッ!!!ディオドラァァァァァァァァッ!!!!」『Welch Dragon balance breaker‼︎』
「デビルトリガーァァァァッ!!!!」
イッセーとティアの怒りが爆発し赤と蒼のオーラが吹き飛ぶとそこには赤い全身鎧のイッセーと蒼い龍人の姿に変身したティアが立っていた!
「部長、行かせてもらいます」
「えぇ、いいわ!やりなさいイッセー!」
リアスは迷うことなく許可した、リアスも怒りの限界だ。
「ダンテ、お前も手を出すな!奴は私と兵藤一誠で殺る‼︎」
「…あぁ、好きにやれ、俺の代わりにやってこい相棒」
ダンテも腕を組むとティアに任せた。何処まで被害が出るかわからないので一応防壁としてケルベロスの氷の結界アイスエイジを展開した。
変化した二人を見てディオドラは余裕そうに高笑いしていた。
「あははは!凄いね!これが赤龍帝の禁手!それと情報にあった龍王ティアマットの未知の変身!でも僕もパワーアップしているんだ!オーフィスからもらったこの蛇でね!いくらキミ達が強くてもすぐに瞬殺……がっ⁉︎」
次の瞬間、イッセーの姿が消えた!気づいた時にはディオドラの腹に拳を深々とめり込ませているイッセーがいた!そのスピードに騎士の祐斗とゼノヴィアは驚愕していた。
「何か言ったか?瞬殺が…何だって?」
ディオドラは腹部を押さえながら後退りしていく、その表情に先ほどの様な余裕がある笑みは無かった。
「ぐっ⁉︎こ…こんなことで!僕は上級悪魔だ!現ベルゼブブの血筋だぞ!キミ達の様な下劣で下品な転生悪魔とドラゴン如きに負けるはずがないんだ!!」
ディオドラは小型の魔法陣を無数に展開すると魔弾を大量に発射した!しかしイッセーとティアは避けようとせず魔弾の雨の中を平然と歩いていた!オーフィスの蛇の力によって魔弾は無限に発射されていたが今の二人を止めるには力不足だった。イッセーは背中のブースターを吹かすとディオドラに急接近した!ディオドラは阻止しようと防御魔法陣を展開したが…
「…ヴァーリの防壁よりも弱そうだな」
イッセーは防御魔法陣に拳を振るうと魔法陣はあっさり砕け拳はそのままディオドラの顔面にヒットし吹き飛んだ!吹き飛んだディオドラは吹き飛んだ先にいたティアの足元に倒れた、ティアは倒れたディオドラの髪を掴んで無理矢理立たせると拳を構えた、さぁ今度はティアの番だ!
「ほらほらどうした?大丈夫か?おねんねするにはまだ早過ぎるぞ?ほら立て!貴様にはドラゴンの恐ろしさをたっぷりと刻み込ませてもらうぞ!」
「…は、離…ぐはっ⁉︎」
ティアはディオドラを掴んだまま腹に拳を叩き込んだ!ヒットするとディオドラを中心に衝撃波が発生した!しかし一撃では終わらない、ティアは連続でディオドラの腹に拳を打ち込んだ!ディオドラは血と内容物を口から吐き出していた。数発拳を叩き込んだティアは頭突きしアッパーでディオドラを打ち上げると龍王の分身を出現させ空中でディオドラの足を掴み逆さにした。
「…おっと忘れるところだった、貴様には爆破された眷属達の痛みも刻まなければな?やれ龍王!!」
「…ま…待…うわぁぁぁぁっ!??」
ズン‼︎ガン‼︎グシャ‼︎ブチッ‼︎
分身体に命令すると分身体はディオドラの足を掴んだまま地面に数回叩きつけた!何かが潰れる様な音が響き、とどめに尻尾で吹き飛ばし地面に叩きつけた!これだけ痛めつけたら普通だったら人の姿を保っていないだろう、しかし悪魔故の頑丈さで保たれていた、ボロボロであったが…
「がっはぁぁ!!…い…痛い…痛いよ!…ぐっ!どうして!僕の…僕の魔力は当たったのに!オ…オーフィスの力で絶大までに引き上げられたはずなのにどう…ぐはっ⁉︎」
言い切る前に再びイッセーの拳が腹に、ティアの回し蹴りが顔面に直撃し地面を滑りながら吹き飛んだ!間髪入れずイッセーが拳に赤いオーラを溜めて突撃した!
「…こ、この腐れドラゴン共がぁぁぁっ!!」
ディオドラは叫びながら厚めの防壁を展開した!それによりイッセーの拳は防がれた。
「ア…アハハハハ!ほ、ほら見たことか!やはり僕の方が魔力が上なんだ!ただのパワー馬鹿の赤龍帝が僕に敵うはずがないんだよ‼︎」
「…そのパワー馬鹿のパワーを見せてやろうか?」
『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost‼︎』
連続で倍加の力が発動しイッセーの拳の力がオーラと共に上がっていく!防壁にヒビが入り始めた!
「くっ⁉︎や、破られる‼︎くそぉ!」
防壁にヒビが入り焦ったディオドラは次の手を考えていたが、その時ディオドラの背後にある人物が現れた。
「…ん?…‼︎オーフィス!」
そう、そこに現れたのは無限の龍神オーフィスだった!イッセーとティアもいきなり現れたオーフィスに一瞬怒りを忘れた、見ていたリアス達も同じだ、しかしダンテは冷静だった。
「あ、あははは!良いところに来てくれたオーフィス!僕にもっと蛇をくれ!あの腐れドラゴン共を倒せる力を!」
「…………」
ディオドラの発言にオーフィスは無表情のまま手をディオドラに向けた!その行為にリアス達はオーフィスがディオドラに力を与えると焦っていたが次の瞬間オーフィスの口から逆の言葉が返ってきた。
「ディオドラ 我の蛇 返してもらう」
オーフィスの手が光るとディオドラの体から黒い蛇の形をした魔力が出てきてオーフィスの手に吸収された。力を回収したオーフィスは再び姿を消した。腐れドラゴンと罵っていたが、皮肉にもオーフィスもそのドラゴンであった。
「なっ⁉︎ちょ、ちょっと待ってくれオーフィス!今力を返されたら僕は…!」
オーフィスの蛇を失ったことにより急激に弱体化したディオドラの防壁はイッセーの拳によってあっさり破壊されそのままディオドラに向かった!ディオドラは防ごうと手を向けたが防げるはずも無く、イッセーの拳によって鈍い音と共にへし折られあらぬ方向へ曲がった!そのまま吹き飛んだディオドラは柱に激突し床に落ちたがよろよろと立ち上がると勝ち目が無いのに叫んだ!
「…ウ、ウソだ!やられるはずがない…!アガレスにも勝った!バアルにも勝つ予定だ!才能の無い大王家の跡取りなんかに負けるはずがない!情愛が深いグレモリーなんか僕の相手になるはずがない!僕はアスタロト家のディオドラなんだぞォォォォ!!ぐっ!?」
ディオドラの負け惜しみにティアは舌打ちし手から衝撃波を放ち吹き飛ばすと叫んだ!
「笑わせるなクズが!!他人の力で得た偽りの勝利の分際でほざくな!オーフィスの力が無ければ貴様はシーグヴァイラ・アガレスには勝てん!それにサイラオーグからすると貴様など眼中に無い!あの男はダンテに本気の1/3を出させた本物の強者だ!その奴に勝とうなど片腹痛いわ!!」
ティアの言葉にディオドラは起き上がると悔しそうに顔を歪めたが残った腕をイッセーとティアに向け無数の鋭い魔弾を放ってきた!しかし弱体化したディオドラの力などもはや相手にならず二人は防がずに立っていた。ティアは溜め息を吐くとイッセーの方を向いた!
「やれやれ…兵藤一誠、こんな力が落ちたザコだがそろそろとどめだ!アレをやるぞ!」
「はい!これで終わりにする!いくぞドライグ‼︎」
『おう!!』
「はあああああああっ!!」
『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost‼︎』
ティアは魔力を高め始め、イッセーは倍加の力を発動させた!二人の力で神殿全体が揺れていた!次の一撃で決まる!ダンテはそう確信した。力のチャージが完了するとティアがオーラを纏った腕を重ねて突き出しイッセーがその腕に足を掛け二人の合体技が放たれた!
「「これで最後だ‼︎ウェルシュドラゴンラッシュ!!」」
ドラゴンラッシュのエネルギーを纏い赤いドラゴンのエネルギー波となったイッセーがディオドラに突撃した!ディオドラは最後の悪あがきに全力の防壁を展開したが防壁は一瞬で砕け次の瞬間大爆発が発生した!
爆発が収まると神殿の壁が大きく吹き飛びそのすぐ傍に放心しているディオドラが座り込んでいた。今の合体技を直接当てていれば確実に倒せただろうがイッセーはあえて当てずに不殺にした。イッセーは座り込むディオドラの前に来ると胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「二度とアーシアに近づくな!次に俺達の前に姿を現したら、その時は本当に消し飛ばしてやる!!」
ディオドラは放心したままだったが、その目は恐怖に染まっていた。
『相棒、ソイツの心はもう終わった。ソイツの目はドラゴンの恐怖を刻み込まれた者のそれだ』
それを聞いてイッセーはディオドラを離すとダンテ達の所に戻り始めた。気づけばもう気も晴れていた。
「兵藤一誠、とどめを刺さないのか?」
振り向くとティアがドラゴンの尻尾でディオドラの首を掴んで持ち上げルーチェを向け、ゼノヴィアがデュランダルを突き付けていた。
「こいつを生かしておいたらまたアーシアの前に現れるかもしれない、今この場で首をはねた方が今後の為じゃないのか?」
ティアとゼノヴィアは殺す気満々だ、リアスが命じれば即座に首をはねるだろう。しかしイッセーは首を横に振った。
「…こいつも一応現魔王の血筋だ。いくらテロに加担したからと言って殺したら部長やサーゼクス様に迷惑をかけるかもしれない。それに俺の気も済んだ、もう十分だ」
「イッセーの言う通りだな。こういう事は身内に任せるのが一番だ。それによティア?こんな奴にとどめを刺す事の方がドラゴンの誇りに傷が付くんじゃねぇか?」
イッセーとダンテの言葉にティアとゼノヴィアは顔を見合わせていたが溜め息を吐くとディオドラを下ろし銃とデュランダルを納めた。
「…確かにな。ここはダンテに免じてとどめは刺さないでおこう。ディオドラ・アスタロト!貴様への処分はアジュカに任せる!私もアジュカに迷惑をかけたくないからな、感謝するがいい!」
「…わかったよ、イッセーとダンテさんがそう言うなら私もとどめは刺さない…だが」
イッセーとゼノヴィアはディオドラに拳と刃を向けると同時に叫んだ!
「「もうアーシアに言い寄るな!!」」
二人の迫力ある声にディオドラは何度も頷いた。これで悪は倒した、さぁ次は姫の救出だ!
○●○
ディオドラを倒したダンテ達はアーシアが捕われている装置の前に来た。これを外さないとアーシアを助けた事にはならない。
「アーシア!待たせてごめんな、今外してやるからな」
「イッセーさん!」
安堵したアーシアは嬉し泣きしていた。それを見たイッセーは早く外してあげようとアーシアの手首に付いている枷に手を掛けた。
「ん!ん!…⁉︎…何だこれ⁉︎枷が外れない⁉︎」
そんな馬鹿な⁉︎赤龍帝の…禁手の力だぞ⁉︎祐斗達も外そうとしたがビクともしなかった!どうなってるこの枷⁉︎
「馬鹿者が、何をやってる?ほらどけ、私が外してやる」
見兼ねたティアが祐斗達を掻き分けて装置の前に来たがイッセー達と同じく外れなかった、ゼロ距離でルーチェ&オンブラも発砲したが無理だった…って衝撃大丈夫か?
「ッ!この枷めェ‼︎こうなったら、ドラゴンラッ…」
外れない枷にイラついたティアが勢いでドラゴンラッシュを放ちそうになったので寸前でダンテは止めた。
「っと、やめとけティア、アーシアまで一緒にぶっ飛んじまうぞ?いや、それ以前にドラゴンラッシュでも無理そうだ。この枷は特殊な枷みたいだ、俺でも簡単には外せないな」
「じゃあ、どうすれば!」
枷の外し方を悩んでると後ろからディオドラの弱々しい声が聞こえてきた。
「…無駄だよ、その装置は機能上、一度しか使えないが…逆に一度使わないと停止できないことになっているんだ……アーシアの能力が発動しない限り停止しない」
「どういうことだ?」
イッセーの問いにディオドラは淡々と答えた。
「それは神滅具所有者が作った固有結界さ。『絶霧(ディメンション・ロスト)』、結界系神器最強、所有者を中心に無限に展開する霧。その中に入った全ての物体を封じることも、異次元に送ることもできる。それが禁手に至った時、所有者は好きな結界装置を霧から創り出せる能力に変化したーー『霧の中の理想郷(ディメンション・クリエイト)』、創り出した結界は一度正式に発動しないと止められない」
「ご丁寧にありがとよ。それで?発動条件と結界の能力は?」
ディオドラの前に膝立ちしダンテは尋ねた。
「…発動条件は…僕か他の起動合図、もしくは僕が倒されたら。結界の能力は…枷に繋いだ者、つまりアーシアの神器の能力を増幅させて反転(リバース)することさ」
…リバース?確か前にシトリー戦でソーナの眷属が使ってたな、効果は確か……祐斗も気づいて問いただした。
「…効果の範囲は?」
「…このフィールドと観戦室にいる者達だよ」
その言葉に全員が驚愕した!アーシアの神器は回復が凄まじい!それが増幅されてリバースされたらヤバい事になる!
「くそっ!…どうすれば…!」
「イッセーさん!私を殺してください!」
地面に拳を打ち付け焦っているとアーシアが自分を殺す様に言ってきた!その発言にイッセーはアーシアに怒鳴りつけた!
「ッ!バカなこと言うんじゃねぇ‼︎次そんなこと言ったらアーシアでも怒るぞ!!」
「で、でも!このままではアザゼル先生やミカエル様達が私の力で…!」
「俺は…俺は!二度とアーシアに悲しい想いをさせないって誓ったんだ!だからそんな事絶対にさせない!俺が守る!俺が絶対に守ってやる!だから一緒に帰ろう、みんなで一緒に俺たちの家に帰るんだ!」
「イッセーさん…」
その時装置から激しい音が鳴り装置が動き出した!イッセー達は再度攻撃し装置を外そうとしたがビクともしなかった!くそっ!何か手は無いのか⁉︎
「ダンテも見てないで手伝わんか!」
腕を組んで見ているだけのダンテにティアが叫んだがダンテはイッセーにアドバイスを出した。
「イッセー、その枷をよく見ろ?その枷はアーシアに手足に隙間無くぴったりくっついている、だったらここは…お前の技の出番だ」
「俺の技…?………‼︎そ、そうか!」
イッセーも気づいた様でハッとした表情になりドライグに訊いた。
「なぁドライグ?この絶霧って神滅具はお前より強いのか?」
『あぁ、絶霧は俺より高ランクの神滅具だ、能力も遥かに上だが…それがどうした相棒?』
「ドライグ…俺はお前を信じるぜ」
『…?…あぁ』
イッセーはアーシアの前に来ると先にアーシアに謝った。
「アーシア、先に謝っておくぞ」
「イッセーさん…?」
イッセーはアーシアに頷き安心させると魔力を上げ始めた!凄まじく!早く!濃厚に!そしてある程度上がったところで叫んだ!
「いくぜ!ドレスブレイク!禁手ブーストバージョンッ!!」
イッセーの渾身のドレスブレイクを受けた神滅具の装置は次の瞬間バギン!と音を立てて木っ端微塵に崩壊した!アーシアの服と一緒に…
「いやっ///」
「あらあら大変」
朱乃がすぐさま魔力でアーシアの服を再生させた。するとリアスがダンテに関心しながら訊いてきた。
「よくドレスブレイクで壊せるって気づいたわねダンテ?」
「いや別に?今まで珍妙な技を生み出してきたイッセーならやれるかもしれないって思っただけだ、実は半分賭けだったんだぜ?」
「フッ、いつも当たらないお前の勘が当たったな」
デビルトリガーを解除したティアも腕を組んで笑みを浮かべていた。
「アーシア‼︎」
「イッセーさん‼︎」
イッセーとアーシアは抱きしめ合った。ようやくアーシアを助け出すことができたんだ!
「信じてました…イッセーさんが来てくれるって!」
「当然だろう?でもごめんな、辛いこと…聞かされたんだろう?」
「はい…でも平気です!確かにショックでしたが、私にはイッセーさんがいますから!」ニコッ
笑顔で言うアーシアにゼノヴィアも目を潤ませながら寄り添った。
「アーシア!良かった!お前がいなくなったら私は…私は!」
「私は何処にも行きませんよ?イッセーさんとゼノヴィアさんが私のことを守ってくれますから」
その言葉にゼノヴィアは涙を流すとアーシアを抱きしめアーシアもゼノヴィアを抱きしめた、美しき友情だ。
「部長さん、皆さん!ありがとうございました。私のために…」
「無事でよかったなアーシア」
アーシアは一礼し、全員も応えるとリアスはアーシアを優しく抱きしめた。
「アーシア、そろそろ私のことを部長と呼ぶのやめてもいいのよ?私を本当の姉と思ってもいいのだから」
「ッ!はい!リアスお姉さま!」
リアスとアーシアは笑顔で抱き合った、血の繋がりは無いが姉妹の誕生だ!それを見てギャスパーがもらい泣きしていた。さて、これで一件落着だ!派手な戦いは出来なかったがまぁいい、様子を見ながらアザゼル達と合流しよう。
「さ、帰ろうぜアーシア!」
「はい!あっ、その前にお祈りを」
アーシアは手を合わせ天に何かを祈っていた。
「何を祈ったんだアーシア?」
「ふふ♪内緒です」
クスッと笑いウィンクした、その笑顔を見て全員が笑顔になった。ダンテもフッと笑っていたが、その時ある物に気づいた……ん?何だあれ?…光の…柱…?リアス達は気づいていないがそれはまっすぐアーシアに向かってくる…っておいおい!ダンテは急いでアーシアの元に駆け寄った!
「アーシア!そこから離れ…」カッ!
「えっ…?ダンテさ…」カッ!
次の瞬間!二人は突如現れた光の柱に体を包まれた!数秒後、光が収束するとそこには誰もいなかった…
「…アー…シア…?」
「…ダン…テ…?」
アーシアと共に消えたダンテ!一体どうなる⁉︎
次回、オリジナルの展開になります、お楽しみに!
イッセーとティアの合体技のウェルシュドラゴンラッシュはドラゴンボールのフリーザのエネルギーを纏った突撃技をイメージしてください。