翌朝、ダンテの部屋。
昨夜は黒歌の生着替えを見た後(なぜかティアまで脱いでいたが)近所のコンビニで適当に夕食を済ませすぐに寝ることにした。
今日はリアスに会いに行かなきゃいけないし、いろいろやらなければならないことがいっぱいあるのでそろそろ起きようとダンテは手を伸ばしたが…
ムニュン
…ん?何だこれ?何やらやわらかい物が…何だか分からないのでもう一度指を動かすと…
「にゃあぁぁ〜〜ん///」
なんか今、妙に色っぽい猫語が聞こえたな…ダンテは首だけ動かして声の主を確認した。そこには下着姿の黒歌が寝ていた、やわらかい物の正体は黒歌の胸だった。
「…何でこいつがここにいるんだ?」
確かそれぞれ自分の部屋で寝たはずだが…?黒歌の胸から手を離したダンテは特に慌てなかったが、何でここにいるのか聞くため黒歌を起こそうとしたが、その時突然背後から何者かにホールドされた!同時にダンテの頭が大きくやわらかいものに沈み込んだ!の、呑み込まれる⁉︎突然のことだったので流石のダンテも驚いて抵抗しようとしたが…
「んふふ…ダンテェ〜そんなとこ触っちゃだめだぞ〜 エヘヘ…」
声を聞いてホールドした人物がティアだとわかり抵抗をやめた、頭はティアの胸に沈んだままだったが…
「ったく…何でティアまでいるんだ?」
やれやれと思いながらティアから抜け出そうとしたが今度は黒歌が正面から抱きついてきた。前後から二人の胸クッションに挟まれてしまった!しかも二人共下着姿で。
「おい黒歌、お前起きてんじゃ…うぉ⁉︎」
その様子に再度黒歌を起こそうとしたがダンテは体をビクッとさせた!黒歌が寝ぼけてダンテの腹を舐めたのだ、黒歌の舌は本物の猫同様ザラザラしている。
「にゃへへ、ダンテェ〜…じゅるり…」
このままではいくら精神力が強いダンテでも理性が飛びそうなので…
「はぁ、仕方ねぇ、ドッペルゲンガー!」
ドッペルゲンガーを身代わりにし二人から脱出した。
いつもの服装に着替えたダンテは再び二人を見たが、まだ二人はドッペルゲンガーを抱き枕にして寝ていた。ドッペルゲンガーも困っていそうなのでダンテは溜め息を吐いてケルベロス(赤い目の首のみ)を呼び出すと冷気を流した。部屋の温度が雪山並みになったその時!
「にゃひ〜〜⁉︎ な、何⁉︎一体何事にゃ〜〜⁉︎⁈」
「ひぇぇえぇぇ〜〜⁉︎お、おい!何だいきなり!寒いだろうが!」
二人は飛び起きると抱き合いながら寒さを凌いでいた。
「ったく、やっと起きたか、何でお前ら俺の部屋で寝てるんだ?」
アグニを呼び出すと部屋を暖めながら聞いた。二人は正座になるとアグニに寄りもじもじしながら答えた。
「夜トイレに起きたら寝ぼけて部屋間違えてダンテのベッドに潜り込んじゃったのにゃ、エヘヘ///」
「わ、私は別に潜り込んだわけじゃなくて!ダンテの部屋に黒歌の気配がしたから様子を見に来ただけであってだな!別にふしだらなことなど考えていないわけであって!だからその……ごめんなさい」
黒歌は頬を掻きながらテレており、ティアは顔を赤くして言い訳しまくっていた。
「別に怒ってねぇよ。そんなことより早く服を着ろ、飯にするぞ」
▽
しばらくして二人が降りて来て、昨夜の内に買っておいた朝食を食べながらダンテは今日の予定を話し始めた。
「リアスからの使いが来るのは夕方だから、それまでに各自役割を決めるぞ。何かやりたいことはあるか?」
ティアが手を上げて質問した。
「その前にダンテ、仕事はサーゼクスからの依頼だけじゃなくて一般人からの依頼も受けるのはどうだ?正体がバレなければ問題ないし、サーゼクスからの依頼の頻度は低いから良いと思うし、なにより稼げると思う」
「表向きの便利屋を本当の便利屋にするってことか?本来なら悪魔絡みの仕事しか受けないつもりだったが…まぁいい、じゃあそれで行くとして各自やりたいことはあるか?」
「では私が情報を集めたり依頼を貰って来たりしよう」
ティアは情報屋になるということが決まった。
「わかった。黒歌はどうする?」
「あたしはまだ監視されてる身にゃ、ここから離れられないにゃ。だからあたしは家事を担当するにゃ、こう見えても料理は得意なんにゃ。後やりたいことも一応あるけど今はまだいいにゃ」
料理が得意と聞きダンテは黒歌にあることを聞いた。
「黒歌、お前ピザ作れるか?俺の好物なんだ」
「ピザ?う〜ん…作ったことないけどレシピが分かれば作れると思うにゃ」
「そうか、期待してるぞ」
黒歌は家事担当になった。
「ダンテの役目は?」
「俺は寝る」
「「おい」」
二人からなんでやねんポーズでツッコミをされた。
「冗談だ、依頼をこなすさ。ただし依頼の内容によってはできないものもあるからな、その時はティアも手伝えよ?」
「あぁ、わかってる」
各自役割が決まったところでダンテはある事を思いついた。
「よし、コイツらにも働いてもらうか」
ダンテはケルベロスとアグニ&ルドラとネヴァンを元の姿で呼び出した。ケルベロスの大きさが部屋ギリギリであった、広めでよかったぜ。
「「「どうしたのだ主よ?」」」
「「………」」
「どうかしたのダンテ?」
ケルベロスとネヴァンが聞いてきたがアグニ&ルドラは黙ったままであった。
「お前達にも役目を与えようと思ってな」
ダンテは魔具の中でも言葉が通じるこの三体に仕事を与えることにした。
「お前ら確か、この世界に来てから力が溢れてきて姿を維持できるようになったって言ってたよな?その力で別の姿になれるか?」
「「「可能だとは思うが」」」
「よし、じゃあケルベロスは元テメンニグル番犬だった経験を生かしてここの番犬を頼む。アグニ&ルドラは傀儡を警備員に変えて入口の警備を頼む。ネヴァンは俺が依頼で留守の間、黒歌の監視を頼む」
ダンテは彼らの役目を決めた。
「「「また番犬か…仕方ないな」」」
「「………」」
「わかったわ、任せなさい」
ケルベロスとネヴァンは了承したがアグニ&ルドラは黙っていた。
「おいお前ら、さっきから何で黙ってるんだ?」
二体と違い先程から全く喋らないアグニ&ルドラに聞いた。
「…喋ってもいいのか?」
ようやくアグニが口を開いた。
「あ?何言って…あぁそうかお前らを連れて行く条件に喋るなって言ったんだっけか、忘れてたぜ」
ダンテはかつて喋り続けている二体にうんざりし喋らないことを条件にしていたことを思い出した。
「もう喋ってもいいぞ」
ダンテから許しが出てアグニ&ルドラは歓喜し出した!
「やったぞ兄者!喋れるぞ!もう我慢しなくて済むぞ!」
「ガマン?ガマンとは?」
「ガマンというのは…」
何処かで聞いたことのある掛け合いが始まりダンテは頭を押さえた。
「おい、あまり喋りすぎるとまた禁止にするぞ」
その後、ケルベロスは普通のドーベルマンの姿になり、アグニ&ルドラは傀儡を警備員に変え自分達を警棒に変えた。ネヴァンは半裸の姿はマズいので蝙蝠を纏いワンピースドレスの姿になった。
▽
現在、昼過ぎ。
リアスの使いが来るまでまだ時間があるので、ダンテは黒歌と買い出しに行くことにした。監視者のダンテが一緒なら黒歌は外出しても問題無いだろう。黒歌はダンテの腕に抱きつきながら嬉しそうに歩いていたが、ダンテはキョロキョロしながら歩いていたので黒歌は不思議に思った。
「何キョロキョロしてるのにゃダンテ?」
「ん?あぁここに来てから思ってたんだが日本は建物が低いなって思ってな。俺がいた国はビル街だったからな」
「まぁここは住宅街だからね、二階建ての家が普通にゃ。街に出れば大きい建物もあるにゃ」
黒歌と会話しながらしばらく歩き、少ししてこの街で一番大きいショッピングモールに着いた。今は昼間なので学生の姿は見えないが買い物客で賑わっていた。
「ダンテは何か買うのにゃ?」
「あぁ、リベリオンを持ち歩く為のバッグかケースをな」
今ダンテはリベリオンを持っていない、流石に裸のまま持ち歩くのは目立つので置いてきたのである。なので今は銃器のみ持っている。
黒歌の方は尻尾は隠しているが猫耳は出したままである。ダンテは隠さなくていいのか?と言っていたが黒歌曰く周りの人には猫耳カチューシャを付けているとしか見えないとのこと。そうは言うが…たまにピコピコ動いているが大丈夫か?
楽器店でダンテはリベリオンが入りそうな大型ギターケースを購入し、その後黒歌と買い出し……の前に黒歌が服が欲しいと言い出したので今服屋に来ている。
今まで逃亡生活をしていたから着てみたい服がいっぱいあるようでいろんな服を試着してはダンテに見せていた。
「ねぇダンテ、これ似合う?」
「…ん?あぁ、似合うぞ…ハァ〜」
何度も服を見せられダンテは少し疲れた顔をしてベンチに座っていた、やれやれ…まるでファッションショーだ。
「ねぇこれは?これは?これは?あっそうだ!ティア姉にも買っていってあげようにゃ」
そう言うと別の棚の方へ走って行ってしまった。
「おーい?程々にしろよ?…聞いてねぇな」
その後店員が唖然とする程籠いっぱいの服とティアに似合いそうなボーイッシュな服を数着購入し、食料品売り場で買い物(ピザの材料を忘れずに)をしてようやく帰路に着いた。
「にゃはは♪買い過ぎちゃったね」
「ほとんどお前の服だぞ?」
黒歌は満足そうに笑い、二人は両手一杯に袋を持って歩いていた。
「それにしてもよくこんなに買えたね?」
「そうだな、サーゼクスには感謝しねぇとな。まさか事務所の金庫にあんなに入れといてくれたとはな」
そう、デビルメイクライの部屋の奥にあった金庫に億単位の札束が大量に入っていたのである、しばらくは生活に困らないくらいに。
「ずいぶん遅くなっちゃったにゃ、もうグレモリーの使いが来てるかもしれないにゃ」
「ほぼお前のせいだけどな。少し急ぐぞ」
二人は早歩きでデビルメイクライに戻った。
途中ですれ違った学生から悪魔の気配がしたが、敵意は感じなかったのでスルーした。
▽
数分後、ダンテと黒歌はデビルメイクライに帰ってきたが、ドアを開けると置いていったリベリオンをティアが素振りをしていた。
「ただいまにゃティア姉、はいお土産にゃ」
「おぉありがとう、ずいぶん遅かったな?」
「こいつの服選びに時間がかかったんだ……まだ使いは来てないみてぇだな?」
時刻は午後4時、学校が終わる時間だ。リアスからの使いが来るとしたらそろそろだろう。後は来るのを待つだけだ。
買ってきた材料等を倉庫やキッチンにしまい一息ついていると床に白い魔法陣が現れた。グレモリー家の転移魔法陣だ、リアスからの使いが来たようだ。
魔法陣が光ると白い髪の小柄な少女が現れた。
「…リアス・グレモリー様の使いで参りました、塔城小猫です」
少女は丁寧に頭を下げて名乗った。ん?塔城小猫って確か…
ガタッ!
「……白音?」
黒歌から音が聞こえ見ると、黒歌は両手で口元を押さえて震えていた。
「…! 黒歌…姉様…?」
塔城小猫ーー白音も黒歌の姿を見て同様に震えていた。
「白音ぇ〜〜!!」
「黒歌姉様!!」
二人は駆け寄り互いに抱きしめ合った!
「ずっと、ずっと会いたかったにゃ〜!!う ううう うあぁぁ〜〜ん!!」
「…わ、私もずっと会いたかったです!! グスッ うあぁぁ〜ん!!」
二人は抱き合いながら泣いていた。
すると白音から白い猫耳と尻尾が出てきた、感情を抑えきれなかったようだ。
「今まで寂しい想いさせてごめんね!ごめんねぇ〜〜!!」
「…グスッ、いいんですよ姉様、こうしてまた会えたんですから。ご無事でよかったです!」
二人は笑顔になると再び抱き合った。
「うふっ、感動の再会ね」
「そうだな」
ネヴァンとティアは微笑みながら二人を見ていた。
「フッ…」
ダンテも腕を組みながら内心二人の再会を祝福していた。
黒歌は原作では料理が苦手ですが料理が得意ということにしました