「…ったく!何だってんだよ…ざけんな…ブツブツ…」
ライザーが舌打ちしながら腕を組み小言を言いながら城の中庭にある噴水の代わりの巨大な炎の前にしかめっ面で立っていた。
あの後ティアの禁断の名を呼んでしまったライザーはティアにボロクソにされ黒こげになった状態で首根っこを掴まれ引きずられて外に出されたのである。
「とりあえず外に出すことはできたな」
「うん、後はライザーをどうやって立ち直らせるかにゃね?」
まずは第一段階成功だ、次はこの落ちぶれた焼き鳥をどうやって立ち直らせるかだ。ティアはまだおっぱいドラゴンと呼ばれたことに怒っており腕を組んでライザーを睨んでいた。
「それでイッセー?作戦はどういうものかしら?」
「さっき連絡したからもうすぐ来るはずです。あっ!来た来た!」
リアスの問いにイッセーは空を指差しながら言うと、遠くから複数の影が飛来してきて中庭の上空に到着すると勢いよく降りてきた!地響きと共に巨大なドラゴン達が降り立った!
「お前達、この間ぶりだな!」
「タンニーンのおっさん!来てくれてありがとう!」
その集団はタンニーンを筆頭にしたドラゴン軍団だった!様々なタイプと色のドラゴン達だ、力もそれなりに高い!黒歌も使い魔のバーニィを呼んでその光景を見せていたがバーニィは怖がって黒歌の胸に顔を埋めて震えていた。
「ハハハ!なんのなんの、俺もお前達にまた会えて嬉しいぞ。話の前に紹介しよう、俺の配下のドラゴン達だ」
ザッ!!
タンニーンが配下のドラゴン達を紹介した瞬間、ドラゴン達は一斉に片膝をつき任侠の様なポーズを取るとティアに頭を下げた!
『お疲れ様っス!ティアマットの姉御!!』
突然始まった任侠ポーズにタンニーンも目をパチクリさせていた。
「あぁ、変わらんなお前達」
『オオッスッ!!』
ティアが声を掛けるとドラゴン達は再び一斉に返事をした。
「…何だティア?お前どっかで族の総長か女帝でもやってたのか?」
「昔の話だ。ちなみに族では無い。こいつらはかつて私に何度も挑んで来た悪ガキ共だ。女の私が自分達より強いことが気に食わず何度も喧嘩をふっかけて来たんだ、どっかの赤い龍みたいにな?」
ティアはイッセーの腕を見ながら言う。イッセーの腕からドライグの苦虫を噛み潰したよう声が聞こえた。
「何度も返り討ちにしてる内に慕われてな、今じゃすっかり舎弟の様な関係さ」
「なるほどな、いつの間にかそういう関係になってたってことか」
「そういうことだ」
「おい貴様!姉御を呼び捨てにするんじゃねぇ!!」
「調子に乗ってんじゃねぇぞ貴様!」
ティアに敬語で話さないダンテにドラゴン達はキレていたが、ティアはそれを上回る迫力のある声で黙らせた!
「口を慎めお前達!!この男は私の主のダンテだ!お前達如きでは足元にも及ばんぞ!ほら挨拶だ!」
『オオッス!!失礼しました!!よろしくお願いしまっス!!ダンテ殿‼︎』
ドラゴン達は無礼を謝罪すると今度はダンテに一斉に頭を下げて挨拶してきた!ダンテも軽く返すと蚊帳の外になっていたタンニーンが苦笑いしていた。
「ハハ…そう言えばそういう関係だったなお前達。さて、話を戻そう。お前がライザー・フェニックスか、レーティングゲームで何度か見たことあるな。将来有望な王として注目されていたが…その様子ではなれそうも無いな」
「ひぃ⁉︎タ、タ、タ、タタタタタンニーンッ!!最上級悪魔の…伝説のドラゴン!!」
タンニーンはライザーに巨大な顔を近づけて挨拶したが、ライザーは完全にビビっていた!そういやドラゴン系はトラウマだっけか?
「俺が冥界でやったみたいになんとかならないかな?今のライザーに根性をつけさせてくれって言われてさ」
イッセーは事情を説明してタンニーンに頼んだ、事情を聞いたタンニーンも溜め息を吐いて情けないと言っていた。
「ふむ根性か、それはいいな!ではあの時の様に俺にこの男を虐め抜けと言うのだな?」
「あぁ、それでいいと思う、て言うかそれしか思い浮かばなかったし。そういう訳で部長、俺はライザーを連れて共に修行してきます」
「えぇ、わかったわ。お願いねイッセー、タンニーン」
イッセーの作戦…冥界で体験したあの地獄の特訓をライザーに体験させ引きこもりから立ち直らせることにリアスは頷いた。
「待てよイッセー、俺達も忘れんなよ?」
「ダンテさん達も来てくれるんですか?」
「当然だろ、元々これは俺達全員の依頼なんだぜ?だったら俺達もついていくぜ。ということでリアス、俺達も一緒に行ってこの焼き鳥を立ち直らせてくるぜ」
「わかったわ、お願いね」
ダンテ達もライザーの特訓に付き合うことになった。準備が整ったところでタンニーンは巨大な手でライザーを掴むと翼を広げた。
「うわああああぁぁぁぁっ!!い、いやだぁぁぁぁっ!!離せぇぇぇっ!!!!」
「逃げるな!貴様も男ならいい加減覚悟を決めろ!!」
タンニーンの手の中でライザーが喚き散らしているとレイヴェルが決意の一言を発した。
「私も一緒に行きますわ!私も一緒に…兄を立ち直らせたいのです‼︎」
決意の篭った目だ!本気で兄を心配しているのだろう。
「いい目をする娘ではないか、兵藤一誠、お前が守ってやれば心配あるまい」
レイヴェルの目を見たタンニーンは愉快そうに笑い、ダンテ達もその度胸に笑みを浮かべた。
「わかったぜレイヴェル!一緒にライザーを復活させようぜ!」
「はい!」
レイヴェルは嬉しそうに返事をすると服装をドレスから探検家みたいな動きやすそうな服に変化させイッセーと同じくタンニーンの背中に乗った。ダンテ達の方も龍王形態になったティアの背中に乗り準備が整った。その際ドラゴン達が久しぶりに見たティアの龍王の姿に歓喜し出し、その背の上では黒歌が嬉しそうにダンテに抱きついて乗っていた。
「おい貴様ら、人の背中の上でイチャイチャするな!」
ティアはツッコミを入れ黒歌はわざとらしく笑っていた。
「それじゃイッセー、レイヴェルのこともよろしくね?ダンテ達も頼んだわよ!」
「はい!行ってきます部長!」
「まぁ軽く行ってくるぜ」
「うあああああああっ!!助けてくれぇぇぇぇっ!!」
『ライザー様〜〜!頑張ってくださ〜い!いってらっしゃ〜い!』
手を振るリアスとライザーの眷属達に見送られダンテ達とドラゴンの集団は一斉に飛び去った!
「兵藤一誠、どうせ行くならいい場所があるぞ、そこでなら修行するのに持ってこいだ!」
「えっ?何処だよいい場所って?」
「フフ…俺の領地だ」
ドラゴンの集団は修行の地…タンニーンの領地へ向かった。
▽
タンニーンの領地に着いたダンテ達。
そこには素晴らしい光景が広がっていた!そこら中にタンニーンやティアに匹敵する大きさのドラゴンが歩き回り、峡谷、切り立った崖、様々な大きさの洞窟など興味が唆られる物がたくさんあった!巣穴からこちらを物珍しそうに見ているドラゴン達がいっぱいおり、まさに怪獣の巣って感じだった!
「面白そうな場所じゃねぇか、いいねぇ!このビリビリ来る感じ」
「久しぶりに故郷に帰って来たという感じだな、懐かしい…」
「にゃあ…でもなんかちょっと怖いにゃ…」
ダンテは雰囲気にワクワクし、ティアは懐かしむ様に目を閉じ深呼吸し、黒歌は少し怖がりダンテの腕に抱きついた。
「ここは俺の領民が住んでいるドラゴンの巣だ。この住処は俺達の一部に過ぎないが、お前達悪魔が山で生活できるギリギリのラインと言えばこの辺りだろう」
タンニーンが説明する中ライザーは周りのドラゴン達を見てガタガタに震えていた!相当トラウマなんだな…レイヴェルもこれほどのドラゴンの群れを見て流石に緊張している様だ。
「「タンニーン様、お呼びでしょうか?」」
すると聞き慣れない声が聞こえ振り向くとティアと同じ蒼い鱗のドラゴンと水色の鱗のドラゴンがいた。この二体もティアの舎弟でありティアにオーバーな挨拶をしていた。
「この二体は俺の配下の上位クラスのドラゴンだ、今回の修行はこいつらに頼もうと思ってな」
タンニーンは二体に事情を説明すると二体は了解した。
「「わかりました、お任せくださいタンニーン様!」」
「おいお前達?手を抜くんじゃないぞ?私の教えを覚えているだろう?」
「「オッス‼︎もちろんっスよ!ティアマットの姉御‼︎」」
ティアが訊くと口調ががらりと変わる二体…やれやれ、これじゃどっちの配下かわからねぇな。
「ライザー・フェニックス!このドラゴンの渓谷でお前を一から鍛え直す!覚悟しておけ!!」
「うぅ…なんてこった、ちくしょう!」
タンニーンの言葉にライザーは絶望した表情で膝をつき崩れ落ちた。少し可哀想に見えるがこれもライザーを立ち直らせる為だ!俺も心を鬼にするぜ!
「まぁ頑張るんだなライザー?俺も依頼である以上お前を立ち直らせないといけない、出来るだけ死なない程度の力で行くが気張れよ?なんたってお前フェニックスで不死身なんだからよ?」
「にゃはは!ゲームでは唯一あたしはアンタに負けたからね、制限無しのあたしの力たっぷりと味合わせてあげるにゃ、覚悟してね?」
ダンテと黒歌にさらに追い討ちを掛けられライザーの表情はさらに沈んだ!
「フッ、兵藤一誠!お前もついでに鍛錬をやっていけ!まずは走り込みだ!」
こうしてライザーの立ち直り作戦は開始された!
◇雪原地帯
「ほら!遅いですぞライザー殿!気を抜いてはいけません‼︎」
「うわぁぁぁぁっ!!凍る!俺の炎が凍るぅぅぅっ!??」
雪原地帯でライザーはドラゴンに追いかけ回されていた!水色の鱗のドラゴン『氷雪龍(ブリザード・ドラゴン)』は口から氷のブレスを吐きライザーの背中の炎の翼を粉々に破壊した!
「ライザー殿!訓練中の掛け声は『ドラゴン』です!ほら、ドラゴン!」
「うわぁぁぁぁっ!??」
「だからドラゴンですって‼︎」
「うおぉぉぉぉっ!!」
「だからァ……」
「ちぃくしょうぉぉぉぉっ!!!」
「ドラゴンだって言ってんだろぉぉぉがぁぁぁぁっ!!この焼き鳥!!」
ドラゴンの掛け声を言わず叫び続けるライザーに氷雪龍がキレた!
「構わぬ!だったら本気のブレスをくらわせてやれ!!」
「オオッス!!くらえ焼き鳥!!」
氷雪龍の背中に乗っていたティアが指示を出し氷雪龍は氷のブレスをチャージすると本気のブレスをライザーに放ちブレスに呑みこまれたライザーは氷の塊となり固まった!数秒後、ライザーから炎が噴き出すと氷が砕け再びライザーは叫びながら逃げていた。
「はは…あれじゃ、雪山でドラゴンに遭遇した登山家にしか見えないな」
その様子を少し前をイッセーが見ながら走っていた。
「お兄様!このぐらいで音を上げてはいけませんよ!」
ティアと同じく背に乗っていたレイヴェルが激を飛ばした。その言葉にティアはさらに攻める様に指示しライザーは必死になって走っていた!しかしそんなライザーに第二波が迫っていた!
カッ!ピキピキ…‼︎
「…えっ…?な…何だ?氷の…塊…?一体何処から…?」
「「「足を止めるな小僧‼︎我の氷はそのドラゴンの比では無いぞ!!」」」
後ろからケルベロスが追いかけ、青の目の首から氷の塊を拡散して飛ばし、緑の目の首から大量に氷の塊を降らせた!
「うわぁぁぁぁっ!??!そんなのアリかぁぁぁぁっ!!」
「「「ほら追いつくぞ!固まりたくなかったらもっと早く走れ!!」」」
赤の目の首から冷気のブレスが放たれライザーが走る道の雪が固まり始め氷になった!
「へへ、良い眺めだぜ、ほら走れライザー」
ケルベロスの背中でダンテが寝そべって笑って見ていた。
「にゃクション‼︎うぅ寒いにゃ〜」ぶるぶる…
「大丈夫か黒歌?無理してついてこなくてもよかったのによ?ましてやお前は猫だし寒さに弱いだろ?」
黒歌はコートにマフラー、手袋に帽子と完全防寒装備だったが寒そうにしていた。
「大丈夫にゃ、あたしが自分で協力するって言ったんだから頑張るにゃ」
「そうか、無理すんなよ?ケルベロス!もっと攻めてもいいぞ?」
「「「任せろ!主!黒歌!しっかり掴まれ!デビルトリガー!!」」」
デビルトリガーを発動させたケルベロスは三つ首の人狼の姿になると飛び上がり氷の棍棒を振り上げクリスタルを発動させた!ライザーに迫る氷の柱!氷の柱がライザーに到達した瞬間!ライザーは…凍りついた。簡単には破れない氷なので、雪原鬼ごっこランニングはここまでにし一行は凍ったままのライザーと一緒に次の修行場所に移動した。
◇渓谷地帯
雪原地帯から少し離れた険しい渓谷地帯。踏み外したら落ちてしまいそうになる岩肌。その危険地帯をイッセーとライザーは命綱を付けて登っていた。これもランニングと同じく忍耐とスタミナを付ける為だが、ライザーはイッセーより遅れていた。
「大丈夫っスか?ライザーさん?」
「大丈夫な訳があるか!!さっきから死ぬ様な目に遭わされてんだぞ⁉︎」
「頑張ってくださいよ?俺だって付き合ってんですから!」
「うるさい!俺は生粋の上級悪魔だぞ⁉︎それを何でこんな泥臭い真似をしなければ…」
「こらライザー殿!飛ぶのは禁止だと言ったでしょうが!!」
その時炎の翼を広げ崖を飛んで登ろうとしたライザーを蒼い鱗のドラゴン『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン』が撃ち落とした!ライザーは叫びながら落下したが命綱のおかげで助かった。
「言っておくが俺は手加減はしないぞ?ティアマットの姉御に言われた通りガンガン行くぜ‼︎よろしくお願いしますネヴァン殿‼︎」
蒼雷龍は背中に乗っていたネヴァンに協力を頼んだ。
「うふふ♪さぁ行くわよ焼き鳥ちゃん?私とスプライトちゃんの雷撃を避けながらこの崖を登り切りなさい?坊やも頑張ってね?それじゃ行くわよ‼︎」
渓谷地帯からライザーの断末魔が響いた…その様子を崖の上からダンテ達が見ていた、場所が場所で飛ぶのも禁止なので今回は蒼雷龍とネヴァンに任せていた。
ライザーの立ち直り作戦は続く。死ぬなよライザー?
次回、お色気ありの不死鳥編最終回!お楽しみに!