────カチャン。
鉄の噛み合う音に身動ぐ事もなく
(あー……はいはい、やられたっスね。
顳顬に受けた蹴りの衝撃を釣鐘へ思い出すが、歯を食い縛る事もなく、残る痛みを受け入れる。
(……それにしても、相手の動きが早過ぎた。これはもう)
移動速度の話ではなく、円周が床に呑まれてから、驚愕した釣鐘とは違い、知っていたかのようにハムも那由他も驚く事はなく、狙いを釣鐘に即座に変えた。ハムは無能力者であり、那由他の能力とも違う。つまり他にも敵側に仲間のいる証。そして、そもそもこれが相手の狙いであると釣鐘は察する。分断しての各個撃破。ただし、殺さず捕らえているあたり、釣鐘にも真の狙いがどちらなのかが分からない。
(私を捕らえたところで……いや、助けに来ちゃうっスかねぇ、あの人達は。『
ただの暗部で命を取りに来ているのなら、それこそ法水孫市や垣根帝督は迷う事なく向けられる『死』に『死』を返すだろうが、関わりのある相手であればこそ、甘さが顔を覗かせるだろう。それこそ孫市が撃たれた時のように。関わりがあるだけに仕方なくはあるが、その仕方なさが今の状況を生んでいるとも言える。そうならないように忍者も傭兵もそう親しい相手というのは作らないのだが。
(人間である以上って奴っスかねー。度し難いっスねほんと……私も私で……)
円周に気を割く事がなければ、おそらく離脱は成功していた。ほんの数瞬の意識の停滞が招いた隙。普段気にしていないように振る舞っていても、それさえも日常の一部として形になってしまっている以上、結局どこかで気にしてしまっている。
(まあでも……そこはそれ、今は自虐してる場合じゃないっスか)
「流石ハムお姉さん、元人殺し集団なだけはあるかなって。あ、一応除隊してる訳でもないから今も人殺し集団の一人でいいのかな? 学園都市には必要のない」
「……必要ないかはあなたが選ぶ事じゃない。傭兵としては、金さえ払ってくれれば客。それこそイチ達がここに居るのは治安組織であるあなた達が不甲斐ないからじゃないの?」
「例えそうだとしても、それなら報酬金もなく動いてるハムお姉さんはなんなのかな? って話になっちゃうと思うな。それこそ学園都市には必要ないでしょ?」
「喧嘩を売ってるならそう言ってくれる? 安く買ってボコボコにするから」
(うわー)
組んでいたとしても仲が良い訳ではないらしい二人の会話を盗み聞き、表情に出す事なく、内心で釣鐘はげんなりする。次に何かしら事態が動いた時の為になるべく情報を集めたい釣鐘だが、ギスギスした会話に耳を塞ぎたくとも、生憎気絶のフリ中なので耳を塞ぐ事ができない。床に転がる釣鐘を挟んでハムと那由他は少しの間睨み合い、すぐに顔を背けて伸びる通路へと目を向けた。
「それが『
「……『
「ハムお姉さん外したよね? だから私が撃ったんだけど?」
「……例えわたしがそーでも、イチやボスはそうそう外さないよ」
「なんで言い切れるの?」
首を傾げる那由他に僅かに目を向けて、ハムはすぐに視線を切った。
自分には才能と呼べるものがあるらしいと気付いたと同時に、自分よりも尚才能のある者に気付いたから。そして、得手不得手関係なく、上手くできる理由に才能以外のものがあるのを知っているから。数キロ先の的に銃弾を当てられる。時の鐘の多くは、それを『才能』であると口にする。
ただ一人、その理由に何万回も引き金を引いたからと言い切れる者がいる。そんな数を引かなくたってハムは的に当てられた。結果は同じでも過程が異なる。もし己が『才能』に自信を失くしたとしても、法水孫市にそれは関係ない。
「才能があって努力を続ける者と、才能がなくても努力を続ける者。道のりの長さに違いはあっても、行き着く先に違いはない。あなたも知ってるんじゃないの金髪」
目指すものが違うだけで、能力者が
「……問題はそれを向ける先の話だよ。誰かの代わりに人を殺すなんて殺し屋と一緒でしょ? 傭兵なんて言い方を変えただけで。争いしか生み出さない者を置いておく必要はないよね?」
「見方の違いだね金髪。傭兵が先にあって争いがある訳じゃない。争いが先にあって傭兵は存在してる。争いを目にした時に傭兵に目を付けるのはお門違い。……まーそれが狙いの一つではあるけど」
「なあに? ハムお姉さん怒ってるの? 結局ハムお姉さんも『
────カツリッ。
眉を顰めたハムが何かを言い切る前に靴音が二人の会話に割って入った。那由他のものではなく、ハムのものでもない。靴音の重さの違いから、新たな三人目の登場であると釣鐘は察し、身動ぐ事なく三人目に意識を向ける。少女達の声に混ざって、低い声が釣鐘の鼓膜を揺さぶった。
「その見方はある種正しいだろうお嬢さん方」
(ちょっとッ……この人今ッ)
絹張り帽子のツバを抑えながら、男が一人炭素系の物質で形作られた壁から滑り出て来る。向かって来る足音もなく、急に打ち鳴った足音に、釣鐘は必死に表情筋を抑えた。能力者なら
「
「……それは暴論じゃないの?」
「かもしれないが、可能性がないと断言できるかね? 一度や二度ならば偶然とも言えるだろうが、立場や特別な何かがあったとして、多くの大きな問題が同じ人物達の周りで起こっているのは些か偶然と言い切るには不自然だ」
第三次世界大戦、魔神騒動、それだけでなく、ハワイ諸島の一件も、バゲージシティの騒動も、学園都市だけの問題を拾い上げても、片手ではまるで足りやしない。『彼らがいるから問題が起きる』そう言おうと思えば言えてしまう。上条当麻や御坂美琴だけならまだいい。傭兵という孫市の争い事に関与する立場が、よりこの予測を正確なものに見せてしまう。ハムの怪訝な視線を見つめ返し、サンジェルマンは微笑んだ。
「おじさんもその中身が知りたいんだよね?」
「そうとも。君達と同じようにね。なぜ争いは起こるのか? 数百年に渡って私もそれを追ってきた。主義主張、政治的な火種とは別に、この世には何もせずとも、何か争いの基点となっている特異点のような者がいるのではないかと考え、ようやくそれらしい者達を見つけられた。もしもそれを解明する事ができれば、この世から争いをなくせるかもしれない」
「わたしはそーは思えないけど」
なんとも平和的な主張を掲げるサンジェルマンに向けてハムは肩を竦めてそっぽを向いた。例え存在するだけで争いの中心となる者がこの世にいたとしても、それを探る為に問題を起こしていれば世話ない。やる気薄いハムに目を流してサンジェルマンは小さく肩を落とすと、やれやれと小さく首を横に振った。
「これは君にも関係のない話でもないと言ったはずだが?」
「……それは」
「君の両親は医療分野の中でも、感情に関わる研究をしていただろう? だからこそ狙われ、だからこそ『
「『悪魔』と呼ばれる本能を探ってだったかな?」
確認するような那由他の言葉に、サンジェルマンは小さく頷いた。『悪魔』。その単語に、話を聞きながら釣鐘も内心で眉を顰める。時の鐘学園都市支部長が魔王の名前で呼ばれる事があるからこそ。
「魔術師の世界では、『天使が何かの拍子に命令を受け付けなくなったり、混線したりしたものを悪魔と呼ぶ』などと言ったりするが、なにも天使に限った話でもない。感情とは、言ってしまえば『バグ』に近い。『怒り』や『嫉妬』で悲惨な事件を起こす事例は数多い。精神が肉体に異常をきたすという例もある。世の中には、何よりもそれが顕著に出ている者がいる」
一般的な知覚とはズレた知覚。世の中には、そんな者を持つ者が数少ないが存在する。器の構造がそもそも一般人とは異なるからこそ精神にもズレが生まれるのか。それとも初めから精神がズレているから肉体にも異常が見られるのか。これをサンジェルマンは後者であると口にした。
「異常な精神。不思議なもので長い人の歴史の中で、同じような精神を持つ者が一定数存在する。そんな者達を見て、『憤怒』や『嫉妬』であると感情のバグに次々と名前が付けられた。どれも誰もが持ち得るバグではあるが、誰よりそれが強い者が存在する。頂点とはいつの世も一人。その者こそが、感情のバグの結晶である『悪魔』を宿す者であるはずなのだ。そんな者達を集めたのが『
「本当にその通りなら、精神異常者の集団なんて学園都市に置いておく訳にはいかないかなって。能力者云々以前の話だよ。そんな人達が学園都市の学生が夢見る
(いやいや……それはちょっと)
なに言ってんだこいつらと釣鐘は内心で失笑するが、大真面目であるのか、サンジェルマンも那由他も笑いすらしない。煽られれば苛つくし、優れたものには憧れる。それは普通のことであって、無理矢理引っ張り出してそれは『悪魔』だと吊るし上げるのならば、とんだ魔女裁判だ。甲斐見えた目的らしきものに釣鐘が意味不明なので帰りたいと考える中、ハムは盛大にため息を吐き出す。
「じゃあなに、『
「その可能性は十分にあるだろう」
「馬鹿みたい」
「そう言い切れないから君もここにいるのだろう? 『
魔術を捨て去り、特異な知覚から生まれる技術こそを重要視するようになった。『狙撃』を選択したのも知覚をより重んじるからこそ。純粋な軍人や傭兵でもなく、一番隊はオーバード=シェリーが総隊長になってからというもの、一芸に富んだ異常な知覚者達で溢れ返った。一気に名声と悪名が伸び、まるで初めからそうであったかのように。
「技術を用いて契約の元決して外さぬ『
「……ッ」
引き金を引いたら外さない。『
「学園都市の超能力も感情によってブレがある。だからこそ君のご両親は学園都市とも少し提携していたね? その伝で『
「……うるさい」
犯人が分からないのは、そもそも『
もしも。
その短い文言が、ハムの疑心を大きく揺さぶる。ハム自身『
「今の『
「……うるさい」
「ガラ=スピトル、オーバード=シェリー、そして」
「……うるさいって」
「法水孫市の三人なら、『真実』を知っているのではないかな?」
ギリギリッ、と奥歯を噛み締める音が響く。時の鐘の古参三人。他でもない『
「それを知りたいからこそ、君もここにいるのだろう? 法水孫市の中身を。『羨望の魔王』の正体を。その名の本能を持つ通り『悪魔』ではないのかと。それを知る為の餌は既にある」
床に転がっている釣鐘に目を落とし、サンジェルマンは一度杖で床を小突いた。身動ぎもしない釣鐘に目を細めると、特に何も言うことなく、視線を釣鐘から外す。
「見捨てるのか、どうするのか。なんにせよ、法水孫市がどう動くのかそれもすぐに分かるはずだ。核心を突っつけばボロを出すのか否か」
「おじさんのおかげで各個撃破もできたしね。円周お姉さんの方が早く来るかな? 餌は多いに越した事はないし」
「ああ、それに目的の人物も檻の中にようやくやって来てくれたようだからね。他の不必要な人材は此方で足止めしているうちに上手くやってくれたまえ。大鮫が腹を空かせて待っている」
そこまで言って、再びサンジェルマンは姿を消す。それを見送り、一度強くハム=レントネンはダイヤノイドの内壁を強く蹴った。凹みすらしない壁に舌を打ち、那由他のため息を聞き流してハムは拳を握り締める。
サンジェルマンの予測は間違っていると言いたいが、それ以上に疑心が信頼の邪魔をする。これまで隣り合っていた者が、復讐相手かもしれない疑惑。ほんの僅かでもそうであったとしたならば、追わずにはいられない。『妄執』こそがハムの感情の形。そうでないと信じたい。信じさせて欲しい。そんな理由で牙を剥く己も腹立たしいが、もしもサンジェルマンの予想が正しかったのなら。
「……イチは、本当に裏切らないの?」
「裏切らなかったらなんなのかな? 結局悪人には変わらないでしょ?」
「……金髪は黙ってて、わたしの問題。『
「知っててもハムお姉さんだって信じられないなら底が知れるかな? 私個人としても、
「ッ……あなた
那由他に詰め寄り胸ぐらを掴もうとハムが手を伸ばし、身構えようと動く那由他の直前でハムは手を止め、伸びる廊下の奥へと顔を向けた。白銀の槍が天を向いて揺れている。弓袋を捨て去ったのか、時の鐘の代名詞である狙撃銃の先端を揺らし、森色の学生服が歩いて来る。
待ち侘びた相手ではないが、『
「……茶寮ちゃん」
手錠を嵌められ床に転がっている少女の名前を小さく呟き、その胸が上下に動いているのを確認すると、木原円周はほっと小さく息を吐いた。予想外の『最悪』だけは起きていない。那由他は『
「円周お姉さん本当に来たんだ? 円周お姉さんじゃ私達に勝てないと思うけど。エリートである『木原』ならそのくらい簡単に分かるかなって」
「そうだね。結局付け焼き刃の技じゃ勝てないかも知れないけれど、私はただ、知って欲しくて来たんだよ」
「……なにをかな?」
「私が『木原円周』だってことをだよ」
木原円周が木原円周である事を知って貰う。なにを当たり前の事を言っているんだと首を傾げる那由他の前で、円周は背負っていた狙撃銃を手に掴むと、床へと置いて向き直った。折角の武器を使いもせずに床に置く円周の姿に、ハムは眉間に皺を刻む。
「なんでお団子は狙撃をしなかったの? 例えわたしが気付いたとしても、一方的に遠距離から攻撃できる機会を捨てる意味が分からない。のこのこ出て来て死にたいの?」
「私はまだ『
「えーっと、意味が分からないかな? つまり何がしたくて来たのかな? 自己紹介?」
馬鹿を見るような目に晒されても、円周は特に表情を変える事はなく、身の内で渦巻く感情を噛み締めるように拳を緩く握った。
「本当はね、私『木原』とは戦いたくないし、『
「はい? そんな当たり前の事を今更言われても」
「うん、だから知って、誰かのじゃない。私の当たり前を」
円周が軽く身を揺らす。その姿を目に、呆れたように那由他は肩を落とした。懲りずに浮かべるのは木原那由他の思考パターンである波。他の誰かならまだしも、那由他と同じように呼吸のリズムを刻む円周を見れば、誰を写し取っているのかくらい分かる。
「木原なのに学習しないね」
ズッ‼︎ と床を擦る音を残して那由他の体が一歩で円周との距離を潰す。それに遅れずに円周も動いた。同じ思考を回すが故に出遅れる事はないが、肉体強度と技術の差が目に見える形となって現れる。床を踏み締める二つの足と振り被られる拳。同時に突き刺さったとしても、押し負けるのは円周だ。そんな未来を思い描いていた那由他の思考に、突如待ったが掛けられる。
(これ……違うッ)
那由他の思考を読んではいるが、己が身に重ね合わせている訳ではない。読んでいた未来の像がズレる。那由他の拳が円周の脇腹を擦るように突き抜け、円周が振り被っていた腕は拳を振るわず那由他の腕を絡めとるように巻き付き、そのまま押さえ込むように円周は那由他に体を預ける。
思考の隙を突いての肉薄。緩やかに伸ばされた円周のもう片方の手が那由他の腹部に当てられる。
(お願いッ、届いてッ!)
衝撃を用いて相手の脳に直接情報を打ち込むように、円周の指が細かく動いた。軋む脇腹の痛みに歯を食い縛り、那由他の感覚器官に感情の元になる円周自身の想いを打つ。誰かのものではない、円周が想い考え握った本物。
那由他が力任せに腕を振り解き、機械の膂力に抗えるはずもなく、円周の体が引き剥がされた。床を転がる円周を追って踏み出された那由他の足が自分の物ではないかのように膝が折れる。
「なに……したのかな? なにこれ? 気持ち悪いッ」
「私の、想いを、届けただけだよ」
那由他の頭の中にまるで別の人間が居座っているかのように思考が乱れる。那由他とは別に薄っすらと膨れ上がる『怒り』の感情。自分のものでもない感情が、那由他の行動を、思考を阻害する。ノイズが走ったかのように、体の動きが一時的に止まってしまう。
「私だって、ちゃんとここにいるんだよね」
「急にこんなッ、隠してたの? これが円周お姉さんのッ、『木原』のッ」
「隠してた訳じゃないし、急にでもないよ。生きてるだけで、きっと何かは積み重なってる。私自身が、積み重なってる。それに気付けるかどうかはきっと些細な切っ掛けで、『木原』になる事も、『
目指すものが違うだけで本質は同じ事。自分がなにになりたいかだけでしかない。自分になろうと突き進む限り、望む大きさには届かなくても、きちんと形にはなっている。円周もただ自分の持っているものに気付いただけ。
「それでもッ、他でもない学園都市の学生は『
「必要なくなんかない! どんなものでも、『違い』があるから自分は自分だって言えるんだから!」
「ならッ!」
起き上がった円周に向けて、円周の感情が抜け切った体を、強引に那由他は前へと押し出した。ぶつかり合う額。割れた円周の額から朱色が溢れ、体を後方に弾く。
「証明して見せてよ! 『
不安と恐怖。ようやく取り戻したものがまた離れてしまう。学園都市が優しさだけでできていない事を那由他も身をもって知っている。学園都市だけでもそうであるのに、学園都市以外のものまで牙を剥くなど許しておけない。打ち込まれた円周の感情に触発されて伸びる那由他の拳が円周の体を擦り削ってゆく。新たな技術を手にしたところで、自力の差は埋まらない。腕を交差させて那由他の拳を受けた円周の腕にヒビが入り、衝撃のまま後方に転がる。
「『
「……そんな事、ないもん。私を私にしてくれた、もん」
「だからそれをッ」
「それ以上やるなら殺しちゃうよ金髪」
ため息を吐くように告げるハムを睨み付け、木原那由他は舌を打つ。それ以上踏み込むのは、
「……なら教えてよ『
「それは……」
肯定するだけなら簡単だ。ただ、どうにもその核を上手く言語化できない。『
(どう届ければいいの? どう伝えればいいの? 私じゃまだ届かないこの差をどうやって埋めればいいの? 私だけじゃ足りないよ……でもッ)
床に倒れる釣鐘を一瞥し、円周はふらふらと立ち上がった。言葉にできなくても立ち上がる事はできる。那由他の必死に必死を返す。逃げず、退かず、立ち塞がる。那由他の問いを円周は態度で否定する。立ち上がるだけの何かがあると。
「……那由他ちゃんにもいつかきっと分かるよ」
「いつかっていつ? 今教えて欲しいかな」
────カツリッ。
拳を握ったまま踏み出した那由他の足が止まる。足音に足音が重なり合う。立ちはだかる円周の前に新たに壁が二つ。世界から浮き上がったかのように舞い降りた。ツインテールを靡かせて、赤い癖毛を燻らせて、見慣れた背中が円周の前に並び立つ。
「……よう円周、ボロボロになっちまって……よく耐えたな。相手が相手だしやり辛かったろ。後は任せろ」
「……孫市お兄ちゃん」
「まったく、『
「……黒子ッ」
森色の軍服と
「なんなのかな? 『
「物騒なお嬢さんだな。なにしに来たも何も決まっているだろう。俺は『
「止めに来た以外にある訳ないでしょうに。誰であろうと学園都市で馬鹿をやっているのなら、わたくしは『
「だからまあ、あれだ。なんの話をしていたのか知らないが、お嬢さんが俺を、俺達を『今』教えて欲しいと言うのなら」
「『今』教えて差し上げますの。『
「『
並ぶ『
『