オーバーロード The true end   作:やみ もとよし

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アルベドからアインズへ主人公が代わる。


第6話 伝わる嫁の想い

ナザリックに帰還したパンドラクズアクターは宝物庫にアイテムを戻しに行く。

 

(どうしたものか。今回の一件、報告することは多岐に渡る。

ぷれいやー、―それも至高の御方々―が現れたこと。

我々がアインズ様に報告せずに向かった事。

アインズ様から頂いたしもべ達、ルベドの損失。二十の消滅。そしてアルベドの【消滅】

失ったものはあまりにも大きい。

全てを報告した後、自害。しかし私一人の命で許されるものだろうか)

 

パンドラクズアクターは意を決してメッセージを起動する

「―アインズ様」

 

そこから報告される驚くべき事実はアインズの心を幾度となく揺さぶりその後沈静化される。

喜び、悲しみ、怒り。様々な感情がアインズの心を駆け巡る。

(何という事だ。ペロロンチーノさん、たっちさん、タブラさん。

何故アルベドは戦いを挑んだのか。二十まで使い、消滅だと・・?もう会う事さえできないのかアルベド・・。)

 

何度目の沈静化だろう。片手では数えきれないほどの沈静化を繰り返した後やっとアインズから一つ指示が出る。

 

「待てパンドラクズアクター。デミウルゴスを呼びそこで改めて聞こう・・・」

(転移から100年。上に立つ者としてそれなりに成長してきた自負はある。しかしこれは私だけで考えるには大きすぎる問題だ。デミウルゴスを交えて考えを聞かなくてはまずい)

 

 

そこはナザリック第九階層玉座の間。

絢爛豪華な調度品で飾られたその空間は神々の間という名前が相応しい。

そこにいるのはアインズ、デミウルゴス、パンドラクズアクターの3名だけだ。

玉座にアインズ、玉座に向かって右手前にデミウルゴスが立っている。

2人に向かって片膝をついているのがパンドラクズアクターだ。

 

ここでの話は公式なものではなく、内密に話さなくてはならない。

そのためメイドはおろかエイトエッジアサシン、入り口の門の前さえ人払いをしている。

 

「さて、パンドラクズアクターよ。デミウルゴスには一通り話はした。しかし改めて嘘偽りなく全てを報告せよ」

 

「はっ。我々はぷれいやーの捜索を続けておりました。かつてアルベド様がアインズ様よりお借りした配下を使ってです。」

 

「あぁ覚えているぞ」

(あのときは奮発したからな。随分昔の事だけどはっきりと覚えているのはこの体のせいか?記憶が薄れる事はないんだな)

 

「2日前の事です。アルベド様配下の者よりぷれいやーらしき人物を発見したと報告が上がってまいりました。

アルベド様は我々を集め戦闘になる事も視野に入れ準備、接触を試みました。」

 

「そこだ。パンドラクズアクターよ。出発の前に何故私に報告をしなかった?ぷれいやーを探すことは私が命じた事でもある。

はっきり言って不快だぞ。お前たちは私の命令を無視したのか?」

 

「・・・アインズ様のご命令に従わなかった事、弁解の余地もありません。

このご報告が終わりましたら如何なる処分も受け入れます」

 

「それは後ほどだ。それで?」

 

「はい。アルベド様はアインズ様に捨てられる事を最も恐れていらっしゃいました。だからこそご報告を致しませんでした。それは私も同じ気持ちです」

 

(ぷれいやーが出現したからって何故俺がアルベドを捨てる事になるんだ?)

 

「ふむ、デミウルゴス・・」

 

「はい。アインズ様。アルベドの考えはこのように推測できます。

ぷれいやーはこことは違う別の世界からこちらに転移してくるものと考えられています。そして我々がいた世界から転移してくる者もいる。

つまりぷれいやーはアインズ様のお知り合いという可能性がある。という事です。」

 

アインズは先を続けるように顎をしゃくる。

 

「可能性は低いでしょうが、至高の四十一人の方々も転移してくる可能性があるのです。実際に今回の転移では至高の御方々が転移された。そうですね?パンドラクズアクター」

 

「はい。我々が接触したあの方々は間違いなく至高の四十一人。ですが我々のいた世界の御方々と同一かはわかりかねます」

 

「ほう。詳しく話せ」

 

「はい。我々が向かった先には至高の御方3名とナザリック地下大墳墓もございました。

内部までは潜入していませんが、ナザリックの地表部分に少々違いがあり、また階層守護者の姿も見当たりませんでした。実際ペロロンチーノ様はシャルティアがいないとおっしゃっていました」

 

「隠しているだけという可能性もあるのではないか?」

 

「我々は御方々を多少なりとも追い詰めました。タブラ様を倒した事からもお分かりになるかと思います。しかし1人たりとも確認できませんでした」

 

「そうか・・色々と確認が必要だな。それでデミウルゴス」

 

「はい。アインズ様ならもうお分かりかと存じますが、アルベドは至高の御方とアインズ様がお会いした場合を考えたのです。

そうなると慈悲深いアインズ様の事です。至高の御方が元の世界に戻りたいとおっしゃられた場合一緒に帰還方法をお探しになられるでしょう。そして帰還する方法が見つかった場合を想像したのです。

アインズ様が御方々と一緒に居なくなってしまうのではないか?と」

 

アインズに衝撃が走り、即座に沈静化される。

(アルベドはぷれいやーの出現から俺がどういった行動にでるかまで見通したのか。俺以上に俺の事を理解しているな・・。アルベド・・。)

しばらく沈黙が続く。

(このアルベドの行動は私を愛するように書き換えてしまった影響なのかもしれない。他の者はどう考えるのだろう?)

 

「ならばパンドラクズアクター、お前もそのように考えたという事か?」

 

「はい。私はアインズ様がどのような行動を取られるかまでは想像できませんでしたが、アルベド様の考えを聞き納得し、協力しました」

 

(なるほど)

 

「デミウルゴスならばどう考える?」

 

「私もアルベドと同じように考えます。アインズ様に居なくなられることは我々にとって絶望を意味します。

お仕えする主人がいらっしゃらないというのは生きる意味を失う事と同義です。

ですがアインズ様がお帰りになられる事につきましては私の考えは違います。

アインズ様の御心のままに行動されるのが良いと思います」

 

「ふむ。仮にだが私が居なくなった後はどうする?」

 

「アインズ様の御許可を頂ければ私なりの統治をさせて頂きます」

 

(あーデミウルゴスに任せるととんでもない事になるな。しっかり言い聞かせておけば大丈夫だろうが数百年も先はどうなるかわからない。

それと私に黙って行動したアルベドはやはり書き換えの影響である可能性が高まったな。そうなるとこの責任は私にあると言える)

 

「わかった。さて次の話だ。パンドラクズアクター、お前たちは準備を整え彼等の元に向かった。その時の話を聞かせよ」

 

「はい。お話しした通り、ペロロンチーノ様、たっち・みー様、タブラ・スマラグディナ様が出迎えて下さいました。

そこで交わされた会話は御方々は元の世界に帰りたいという事でした。

その結果アルベド様は御方々をアインズ様と会わせる訳にはいかないと判断し戦いへと発展致しました」

 

「なるほど。その結果しもべ達とルベドが死亡。アルベドは二十を使い消滅。

タブラさんが巻き込まれ死亡。ペロロンチーノさんとたっちさんが存命という事だな」

 

「はっそうなります」

 

(一通り聞いてアインズは頭を回転させる。考える事は多い。

命令無視への罰。二十の消滅。ルベドの死亡。そしてアルベドの消滅。

タブラさんの死亡。ペロロンチーノさんにたっちさん。そうだペロロンチーノさんとたっちさん)

 

「パンドラクズアクターよ。ペロロンチーノさんとたっちさんは何か言っていなかったか?」

 

「ペロロンチーノ様はモモンガ様によろしくとおっしゃっていました。」

 

「それはどういった意味を含む?」

 

「・・私にはわかりかねます」

(アルベド様の決意を無駄にしたくない)

 

室内に冷たい空気が流れる。

 

「パンドラクズアクターよ。私が最初に述べた嘘偽りなく報告せよという言葉を忘れたのか?」

 

(パンドラクズアクターの胸がドキリと音を立てる)

 

「あの二人がどのような考えなのかを知る事は非常に重要だ。

それを隠し立てする事は私への裏切りだ。貴様は創造者たる私に従う者か?それとも己の意思が正しいと信じる者か?」

 

見ればデミウルゴスの冷たい視線が突き刺さる。

 

一瞬迷うがこの二人を前に隠し立ては不可能。次の言葉を間違えばこの場で処分という事もありえる。

もはやこれまでかとパンドラクズアクターは決断する。

 

「大変申し訳ございませんでした。ペロロンチーノ様はこんなことはもうごめんだぜ。

それとモモンガ様、シャルティア様に会いたい。とおっしゃっていました」

 

「・・なるほど。わかった」

 

(戦いを挑まれやむを得ず戦った。パンドラクズアクターは見逃してくれた。そういった感じだな)

 

「デミウルゴス。どうするべきだと思う?」

 

「アインズ様、私にはあまりにも荷が重い問題です。・・・ですがそれではお答えにならないと思いますので・・。そうですね。まずは至高の御方とお会いしてそれから考えるというのはどうでしょう?幸いパンドラクズアクターの話では至高の御方々と完全な敵対関係とはならなかった様子。まだ関係の修復も可能でしょう」

 

「そうだな、私もそう考えていた。ならば方針を決定しよう。パンドラクズアクター。お前の処分はあとだ。ペロロンチーノさんとたっちさんを連れてこい。客人として丁重にな。

デミウルゴスはナザリック関係者にこのことを周知しろ。それと・・」




アルベド編がひと段落しアインズ編が開幕。
これまでの投稿もちょこちょこ直してます。
3話~6話が書きたかったアルベドの気持ちです。
感想、評価お待ちしております。

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