今回はバイト回です。
新キャラ登場します。(‘ω’*)
土曜の午前はテレビをボーッと見ながら過ごしていた。
テレビに映るピンクのツインテールのアイドルを見てふと思ったのは同じような髪型の有咲の事だ。
あの日から有咲と仲良くなった。
仲良くなって分かったことはまず口が悪い。
それは家に行った時に分かってたけど何だかんだ優しい奴だ。
しかしその優しさを素直に出せない不器用な性格の持ち主だから勿体無い。
そんな事を考えているとスマホから通知音が鳴った。
噂をすればなんとやら……ってやつかな?
スリープモードを解除し画面を切り替えるとやはり有咲からのメッセージがあった。
有咲:おはよ。今何してる?
智之:テレビ見てるよ。有咲は?
有咲:布団に籠ってる。今日は用事あんの?
智之:バイトの面接
有咲:え、智之バイトすんの?大丈夫か?
どういう意味だよ……。
すると今度はインターホンが鳴る。
ドアスコープ越しに外を見ると……やっぱりか。
外に立っていたのは花園だった。
「ともくーん、あーけーてー」ガチャガチャ
コイツ、俺んちの鍵持ってるじゃん……何故開けない??
とりあえず今はゆっくり休みたいから居留守作戦だ。
下がってドアからゆっくり離れていくが後ろ向きに下がったのが良くなかったのか玄関の段差に踵をぶつけややて床に座り込む。
「居るのは分かってるよ?電気のメーター回転してたもの。開けてよ?」ガチャガチャガチャガチャ
「ハァー……はいよ」
立ち上がってドアの鍵を解除する。
するとドアを開けて花園が入ってきた。
「おはよう、ともくん」
「鍵、持ってるだろ?なんで開けさせた?」
「ともくんが私を受け入れてくれることに意味があるんだよ?」
「……訳わかんねぇ」
とりあえず花園をリビングに招く。
「そーいや、最近バイト忙しそうだけどなんか欲しい物でもあるのか?」
冷蔵庫からウーロン茶のボトルを取り出しながら言うと花園はソファーに伸びながら答えた。
「私が欲しいのはともくんだよ?」
「残念ながら非売品だバカ」
「私をあげても?」
「いらん。すぐに返品だ」
ソファー前のテーブルにウーロン茶を置き、俺は椅子に座る。
「むぅー……私、そんなに魅力ない?」
「……さぁな」
正直なところ見た目は美少女だろう。
しかし、中身がダメだ。何がしたいのか分からん。
そんな風に考えていると花園がクッションを抱えてこちらをジーっと見ながら言った。
「ともくん、最近何かあった?」
「何か?」
「前より楽しそうな顔してスマホ弄ってたりしてるよね?」
「……そうか?」
タイミング悪くポケットのスマホから通知音が鳴る。
「……」
「スマホ、鳴ってるよ?出ないの?」
「そうだけどさ」
「メッセージ、来てるんじゃないの? 」
「……あぁ」
ポケットから取り出して見ると有咲からだった。
有咲:ばーちゃんが会いたがってだけど面接終わったらうちに来ねーか?
魅力的なお誘いだけど花園が無言でこちらを見ているから圧を感じてなんて返そうか思いつかない。
「……誰からだったの?」
いつもよりも低い声で花園が訊いてきた。
「……母さんだ。仕送り何欲しいかってさ」
「……そっか」
スマホの時間を見てハッとする。
バイトの面接の時間がだいぶ近づいていた。
「あー、花園!俺これからバイトの面接だわ」
「ともくんがバイト?大丈夫?」
「なんでおんなじリアクション!?」
思わずツッコんでからハッとする。
花園はスッと近づいてきて俺の両肩を掴んで言った。
「……誰と同じリアクションだったのかな?」
「っ!」
またあの時と同じだ。焦点が合っているのかすら分からない暗く、にごったような目。
思わず目をそらしながら答える。
「……クラスの友達から言われたんだよ」
「友達……?ともくんの友達は私だけだよね?」
花園の肩を掴む力が強くなる。
再び彼女の闇に触れたことで恐怖が込み上げてくる。
しかし、俺を落ち着かせてくれたのは再び鳴った通知音だった。
「あー!面接遅刻するだろ!!」
花園を引き剥がして荷物を左手、花園の手を右手に掴んで玄関に向かう。
「ちょっ、ちょっと、ともくーん?」
靴を履かせて自分のも履くと玄関を出て鍵をかける。
「悪いな!話はまた今度!」
花園にそう言い残すと俺は駅に向かって走り出した。
ちょっと振り向くと花園が自分の家に向かって歩いていくのが見えた。
電車に乗ってスマホを見ると有咲からのメッセージが一件。
有咲:既読無視すんじゃねー!
智之:ごめん、それで面接終わったら行くよ
有咲:ホントか?
智之:うん。あとありがとな
有咲:あいよー
智之:また後で
最後にそうメッセージを送ってスマホを閉じる。
今回は有咲に助けて貰ったからコンビニでなんか買っていこうかな。スイーツ的なのを。
***
**
*
面接に来たコンビニは学校と家からそれなりに近いところにした。
コンビニのドアがいつもよりも重く見える。
ゆっくり自動ドアを通ると店員の声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませ~」
「らっしゃっせ~」
カウンターには二人女の子の店員がいた。
とりあえず用件を言わないといけないのでカウンター前に立って言う。
「あのー」
「タバコは二十歳になってから~」
「タバコ吸わないよ!」
「アハハ!モカったら~ところでご用は何ですかー?」
モカと呼ばれた子の隣にいたギャルっぽい子に訊かれた。
「バイトの面接で来た九条ですけど……」
「あー!面接ね☆事務所に店長いるからちょっと待っててね」
パタパタと奥に行くのを見送るとモカって子と二人だけになる。
「九条さんですかー、これからよろしくお願いしますねー」
「いや、まだ決まってないよ!?」
「お客さんとしてー?」
「落ちてもないよ!」
この子……すげーボケてくるんだけど。
花園とは別のほうで天然なのか?
そう思っていると奥から店長らしき女性の人が出てきた。
「九条さんですね?奥にどうぞ」
「し、失礼します!」
初のバイト面接……緊張してきた!
事務所はコンビニの奥にありそこまで広くはないけど
テーブルやモニターやらあってモニターには店内のカメラから様子が見えていた。
「どうぞ、座って」
「は、はい」
座って早速面接が始まった。
内容は志望動機やらどれくらい出れるのかとか一般的なもので変わった質問は特になかった。
一つ気になることがあるとすれば
「じぃーーーーー」
モカって子が事務所のドアから半分頭出して覗いていることだ。
てか、じぃーて声に出てるし!
「面接はこれで終わりです」
「ありがとうございました」
「結果は後日……いや、合格!」
「早くないですか!?」
やべ、ツッコんじゃった。
「特に変わったこともないし、モカちゃんがこっち見てるのに気にせず面接受けれる集中力も見れたから採用!」
「そ、そうですか」
すみません店長。集中出来てなかったと思います。
面接終わったと聞こえたからかモカって子がこちらに来た。
「受かっておめでたいですなー」
「あ、ありがとうございます」
「晴れてモカちゃんも先輩になれたのでした」
「お、おめでとう?」
この子も読めない子だ。マイペース過ぎる。
「こちらは青葉モカさん。九条くんと同い年だから仲良くね?」
「よーろーしーくねー?」
「よろしくお願いします」
「あとは――」
店長が続けて言おうとした時、上からでんしおんが鳴った。
「モカちゃんの出番だー」
そういうと事務所を出ていった。
しばらくすると代わりにギャルっぽい人が事務所に来た。
「失礼しまーす。店長、決まったんですか?」
「ええ。九条もウチで働くことになったからリサちゃん、教えてあげてくれるかな?」
「わっかりましたー!」
そう言うとこちらに近づいてきた。
「えーっと、九条くん?」
「はい、九条智之です。これからよろしくお願いします!」
「元気いいねぇ♪アタシは今井リサ。分からないことはおねーさんがしっかり教えてあげるからね☆」
そういうとウィンクしてきた。
正直ドキっとした。
「後のメンバーは追々会えると思うから連絡先を教えてね」
「はい」
店長に連絡先を伝えて事務所を後にする。
カゴに飲み物とみたらし団子やらお菓子を突っ込んで
レジに持っていって会計を済ます。
袋を受け取り、青葉さんに頭を下げると青葉さんは笑って言った。
「またねージョーくん」
「ジョーくん?」
「九条だからジョーくんだよー」
「そ、そうですか……失礼します」
苦笑しつつ店を後にする。
有咲に何食べたいか聞いておけば良かったな……。
そう思いながら有咲の家に向かうのであった。
今回はここまで!
前回感想頂いた方ありがとうございましたo(>ω<)o
次回もお楽しみに!