宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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今話から漸くヤマトの登場です。

……6章の感想が、なんというかヤマト以外の艦艇に艦隊戦させてみた、的な感じですね。これ以上はネタバレなので言えませんが。というかもう既に終わってる!?時の経つのは早いもんですねぇ……





今回、脚注機能を試験的に採用してみます。ご容赦下さい。


幕間
太陽圏外縁演習 -前篇-


冥王星沖での死闘が繰り広げられたのはヤマト帰還から2ヶ月後。ヤマトの修理に要した時間はおよそ1ヶ月。空白の1ヶ月間、ヤマトは何をしていたのだろうか。

 

その答えを知る為に、舞台を1ヶ月巻き戻し、場所も太陽系外縁部、準惑星エリスへ変える事にする。

 

 

「ヘリオポーズを通過、太陽圏を離脱しました。これより、演習を開始します」

 

レーダー手席で西条が冷静に告げる。

 

「機関、第一戦速!」

 

「レーダー、左舷より接近するミサイル多数を捕捉!左75°、仰角20!距離300宇宙キロ、相対速度14!数は140以上!」

 

演習相手艦からミサイルが発射され、急速に接近してくる。

 

「左舷魚雷発射管、一斉射!船体傾斜、右ロール20度!下げ舵10!続けて主砲、乙弾装填して待機!波動防壁、展開!」

 

乙弾は、三式弾よりもより実戦的な対空砲弾として開発されている。正式名称『三式融合弾』の名が示す通り融合反応と呼ばれる化学反応((熱)核融合に非ず)を応用した爆発によって放出された焼夷断片で敵機にダメージを与えるのが三式弾である。しかし多目的榴弾として対艦砲撃戦(ただ、相当な貫徹力を持ち、徹甲榴弾的な側面も併せ持つのだが)に用いる際にも有効な打撃が与えられるよう、対空戦闘に完全にマッチしているとは言い辛い箇所も複数ある。

それを補う為、実体弾は目的ごとに別々の物を用いるのが後の主流となり、対空専用砲弾として乙弾が用意された。

 

「左舷発射管発射!郷田、主砲は照準させたまま待機、乙弾装填!」

「アイサー、増速黒15、右ロール20!下げ舵10、ヨーソロー!」

「主砲左75、照準よし。乙弾装填確認!」

 

古代が叫ぶや否や、上条、小林、そして上条に答えた郷田が声を上げる。西条の見ているレーダー画面には、目標へ一直線に飛んでゆく自艦のミサイル群が映し出されている。

 

「主砲斉射!撃ち方始めッ!」

「撃ちィ方ァ始めッ!」

「一斉射、テェッ!」

 

主砲が火を吹き、爆炎が砲身の先端部を覆い隠す。左の彼方、150宇宙キロの地点で弾けると、広範囲に子弾を撒き散らす。強力な電磁パルスがミサイルの誘導電子回路を襲い、既に迎撃ミサイルで数を減らした敵ミサイル群の勢いを更に削ぐ。

 

密集していたミサイルが大きく分けて上下に分散し、多数が上方向から襲来する。

 

「敵群が上下に分散!上方から小型高速誘導弾85、下方から大型対艦誘導弾30が接近!」

 

「上方敵群を撃ち落せ!左舷発射管、斉射!パルスレーザー、迎撃始め!煙突ミサイル発射!」

「対空戦闘!」

 

「艦底部発射管、迎撃開始」

「下方目標、敵大型ミサイル、迎撃開始」

 

古代と真田さんが同時に指示を出し、対空兵装が唸りをあげて敵弾を墜とそうをする。しかし小型かつ高速で迫る上方のミサイル群は、その数を保ったままいとも容易く迎撃不可能域に侵入する。

 

「直上に敵弾!下方の大型誘導弾も18発が迎撃不可能域に侵入!」

 

レーダー画面に覆い被さっていた西条が上体を起こし、悲鳴にも似た声を上げる。

 

「機関推力最大!続けて右ロールプラス16、敵大型ミサイルに対して艦を()()()!面舵20、ダウントリムプラス8!隙間に滑り込ませろ!」

 

「上方からのミサイル群に対して投影面積が大きくなります!」

 

「いいから急げ!構うなッ!」

 

古代の無謀(無茶とも言う)とも言える指示に、上条が危険性を叫び返す。しかし古代が無理やり押し込み、小林が操縦桿に力を込める。

 

「右ロール16、面舵20!艦首下げ舵更に8!機関出力120%!」

 

エンジンノズルが輝きを増し、300mを超える巨体を押し出す。艦首のスラスターが輝き、首を大きく横へ降る。それによって艦尾が大きく横に滑り、船体全体が大きく横滑りしながら右へ回ってゆく。そのほぼ真下からミサイル群が赤い尾を引きながらまっすぐに突っ込んでくる。

 

「面舵並びに上げ舵一杯!このままの勢いでバンク角を付けて一気に回り込め!」

 

急加速・ロール・急旋回による遠心力で大Gが掛かる中、古代が追って指示を出す。

 

急激な機動によって、ミサイル群は狙いを外し、艦尾側面を下から上へ突き抜けて行く。

 

「上げ舵一杯!面舵!」

 

右にロールした状態から上げ舵(航空機でいう機首上げ)を取れば、斜めに傾いた状態で宙返りする事になるそれを、面舵を組み合わせることで旋回した時にできる()を基準とした水平面から浮き上がろうとする艦首を右に振って押さえ込んでいる。

 

「敵大型ミサイル、反転しています!……ッ!敵小型ミサイル群に突っ込みました!誘爆複数!」

 

ヤマトの僅か後ろ上方で、軌道を修正しようとしていた大型誘導弾が、同じく急激に機動するヤマトめがけて軌道を修正していた小型高速誘導弾の群れに突っ込む。結果として、近接信管が作動した一部が爆発し、周りも巻き添えを喰らい誘爆。至近での爆発の爆圧がヤマトを揺する。

 

艦橋の窓から差し込んでいた爆発の光が弱まる中、西条が睨むレーダーが大型艦を探知する。

 

「敵艦隊、右舷後方、方位 右134 に敵艦隊を探知!大型艦5、もう15°の旋回で同航戦です!」

 

旋回し続ける中、レーダー画面に映る点も右下からほぼ真横へと移動している。

 

「主砲右舷へ旋回!小林、艦首上げ舵22によって進行軸を並行に!続けて高度プラス47、同一平面に並べ!」

 

左右に関しては並んでいたが、艦首が大きく下へ下がり、尚且つだいぶ低い位置に位置取っていたヤマトを、完全に並ぶように指示を出す。

 

「主砲ショックカノン、旋回右90!」

「艦首上げ舵一杯!進行軸を並行に合わせます!」

 

しかし、その時には既に演習相手艦の弾幕が此方を捉え、至近弾・夾叉弾の衝撃がヤマトを襲いながら飛び過ぎてゆく。

 

そして一際大きな衝撃が立て続けに2回、艦橋を襲う。遂に命中弾が出たのだ。

 

「一番砲塔二番砲塔どうした!?応答しろ!……一番二番主砲、沈黙!」

「波動防壁貫通されました!主砲塔、非常用隔壁緊急閉鎖!」

 

(ヤマト本編における)第一艦橋要員の影の薄さ通算ランキング*1それぞれ第1位・第2位の郷田と木下*2が叫ぶ。(木下のセリフは最終局面での『撃ち損じる恐れがあります(意訳)』のみで、郷田に至っては桜井負傷時の『分かった』のみである*3)

 

「副砲並びに三番砲塔、撃ち方始め!右舷発射管一斉射!絶対に一歩も退くな!」

 

「右舷指向可能全兵装、弾幕張れ!」

「副砲並びに稼働する主砲、目標は敵の先頭艦!撃ち方始め!」

 

レーダーが捉え続ける目標を睨み、主砲副砲が青い筋を吐き出す。一直線に飛び込んで行ったが、大きく逸れてしまう。しかし修正するや否や次発、次々発が発射されている。先手を取られた状態で尚、5隻を相手に対等に渡り合えるだけの火力という暴力が敵艦隊を襲う。

 

「右舷、第2第3デッキに直撃弾。隔壁閉鎖。空間湾曲による射角誤差を計測、並びに再計算。主砲に諸元入力。ミサイルの誘導信号妨害に対して使用チャンネルを変更します」

「相対距離1,900宇宙キロから1,700宇宙キロに接近!依然として同航戦を維持」

 

桜井*4と西条が上条と郷田の補助をしていく。

 

「機関最大戦速!敵艦隊を追い抜きながらT字戦に移行する!撃ち続けろ!」

 

「波動エンジンの出力は最大だ!回し続けろ!」

「最大戦速、黒25!ヨーソロー!」

 

ノズルが更に力強く輝き、9万tに達する巨体を亜光速まで加速させる。急激な加速により、一部の砲撃が艦尾を掠め、加速度が大きくなるとその差は更に開く。

その間にも3基の砲塔は相手を睨み、砲撃を放ち続ける。

 

「副砲弾1発が敵先頭艦に命中!射角修正の後、一斉射!」

 

副砲の第24斉射目が漸く相手を捉え、主砲もその諸元を元に砲撃を始めるように、上条が指示を出す。

*1
当方の主観、並びに偏見と独断によって構成されています

*2
ちなみに第3位は中西……なぜ復活篇が独占する……

*3
……というかここまで来ると桜井と中西の当小説における異様なほどの静かさ(尤も、中西は一言のみだがセリフはある。……桜井の方は察してくれ……と言おうと思ったが実は最初のワープテスト時にセリフがある)が逆に不気味である

*4
1回くらい喋らせなきゃ……という謎の責任感に襲われた結果




・こちらでも注意は払っておりますが、誤字脱字等発見された方は、お手数ですがご報告頂ければ幸いです。
・ご意見・ご質問などある方は、感想欄までお気軽にどうぞ。

思ったんですけど西条の一部のセリフ、桜井の仕事と被ってますね……(面倒なので過去投稿分に関しては書き換えませんが)
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