宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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海王星沖航空戦 -3-

雲海に覆われた視界が僅かに薄らいだ直後に開けた漆黒の宇宙を、緑の光や爆炎が彩る。濃緑の塊が黒を切り取り、その中で爆炎が周囲を襲っている。

 

先行する無人機隊を追いかけるように、隙を突いて敵艦隊へ接近したO(Oscar)P(Papa)Q(Quebec)R(Romeo)各有人機大隊は、各々の目標へと散っていく。

 

1機あたり30発の対艦ミサイルが、200機ずつの各大隊で6,000発。4個大隊で総計24,000発のミサイルが、ワープアウトを重ね尚も数が増加しているカラクルム級6,000隻に襲い掛かる。至近距離から放たれる一撃は、ほとんど迎撃を受けず船体中央部に直撃する。

 

《こちら司令部。R大隊 第2中隊 第6小隊、R(Romeo)26(two-six)に告ぐ。R大隊 第2中隊は、後方にワープアウト中の敵艦隊への攻撃を開始せよ。繰り返す。後方のカラクルム級を撃破せよ》

 

「こちらR26リーダー、了解。小隊各機に告ぐ、これより第2中隊で共同での、敵後方部隊への攻撃を行う」

 

《OK!》

 

統制の取れた動きで、密集した敵艦隊から数十機がどんどん離れていく。内部に浸透された敵艦隊の外部への対空砲火は乱れに乱れ、擦りもしない。

 

「後続を一気に叩く!」

 

《やってやろうじゃねぇか!》

 

一個中隊40機で、三個大隊から1中隊ずつなので120機。3,600発の対艦ミサイルを翼に積み、リングが回転するような模様を周囲に出しながら次々と現れるカラクルム級へ迫る。

 

炸薬の大幅改良によって、1発でカラクルム級1隻を仕留める事ができる。次々現れる敵に対し、出来るだけ長く抑え続けるため出来る限り節約してミサイルを放つ。

 

ワープアウト直後に張り付かれ、一瞬で葬り去られる。迎撃する時間はあっても、同士討ちを避けるため撃てないか、混乱して狙いは定まらない。

 

《こちらR大隊第2中隊。出現する増援のカラクルム級は減少中!》

《こちら偵察1番。出現速度が最大時の40%前後まで減少!》

 

果敢に弾幕の隙間を縫って、敵艦隊へ迫っていく各々から報告が上がり、それを裏付けるように偵察機からも同様の情報が入る。

 

「押し込め!第二次攻撃隊、全機突入準備!無人機隊第4波、並びに第6波繰り上げで攻撃開始!」

 

「了解。G隊H隊、突撃開始。後続隊の足止めを最優先!」

「K隊L隊、飽和攻撃開始。孤立中の敵本隊を漸減邀撃せよ!」

 

「第二次攻撃隊、軌道周回率55%に!」

「制空隊第一陣、敵艦載機隊と接触!空戦開始!現在は制空優勢!」

 

「敵アポカリスク級、デスバテーター発艦を開始!毎秒8のペースで増加しています!」

 

モニターに映し出された映像では、黒を、白と緑が染め上げている中、一際大きい白い塊がグルグルと回転しながら、点を周囲に撒き散らしている。

 

 

 

ーーー

 

紅いパルスが縦横無尽に飛び交う中、紫雲が速度を上げて舞う。

 

編隊を組んでデスバテーターが迫るが、ヒラリヒラリと躱していく。

敵の中で、はぐれて単独になっている敵機に狙いを定めると、スロットルレバーを更に深く押し込み、MILからmaxABの位置まで前進させて一気に迫る。

 

デスバテーターの背中に張り付いた回転機銃が、真上から迫るこちらを捉えて射撃し始めるが、バレルロールで回避。

機体を掠る程の至近距離を敵弾が掠めて、敵の狙いが安定してくる。それに気付くや否や、フォーポイントロールに移行し、時折上下移動と左右移動で射界から逃れる。

 

主翼下のガンポッドの機銃の有効射程に捉えると、スロットルレバーに付いている切り替えスイッチで機首機銃からガンポッドに切り替え、スティックに掛けた右手人差し指に意識を集中させる。

RDY GUN-II

表示が切り替わるのを確認し、HUDに映る敵機に照準を合わせ、トリガーを引く。

 

孤立した敵機にはガンポッド、集団はミサイルで数を減らしてから機首機銃で襲う。重武装・重装甲な代わりに、大柄で愚鈍なデスバテーターでは追いすがることはできない。

 

《制空隊第一陣に告ぐ。敵航空戦力の誘引並びに撃滅に務めよ。制空隊第二陣が間もなく合流する》

 

司令部からの通信が入ると同時に、「エンゲージ」と交戦宣言が次々通信機から飛び込む。

急増した紫雲は、圧倒的な火力でデスバテーターを次々撃破し、制空権を奪い去る。

 

「こちらアルファリーダー、制空権確保に成功!敵艦隊へ突撃する!」

 

《こちら司令部。艦隊から拡散波動砲で攻撃を行う。突入タイミングは追って指示するので、第一警戒線まで後退せよ》

 

「了解」

 

反転しながら海王星に目を遣ると、ガス雲の中の空母から飛び上がるコスモパルサー隊が小さな点になって見える。

操縦桿はそのまま、首を大きく捻って後ろを見ると、敵艦隊から次々と更なる敵機が上がってきている。

 

 

 

ーーー

 

「艦載機隊、発艦中」

「重力アンカー、セットよし!」

「波動砲、エネルギー充填開始!」

「マルチ隊形、相対距離2,000で展開!」

 

「前衛警戒隊、前方15宇宙キロで波動砲発射体勢!」

 

閃光防御のため、艦橋の窓が暗くなるが、室内は照明に照らされ、明るいままを保つ。

 

「エルナト級より入電!射角情報修正、set 24 -2!」

 

「姿勢修正!絶対に外すな!」

 

戦闘空母でそんな言葉が響いた瞬間、海王星艦隊が拡散波動砲を発射する。

 

まっすぐに伸びた幾つもの花茎。その先端の蕾は、獲物の僅かに手前で死の花弁を広げる。細い花弁を広げたものは、高い密度でばら撒かれ、(重装甲のアポカリスク級は不可能だったが)周囲の大量のナスカ級を滅多刺しにする。

直掩のデスバテーターは全て消し飛ばされ、ナスカ級は耐えきれずに轟沈する。

 

太い花弁を広げたものは、高い破壊力を保ったままアポカリスク級に次々に命中して飛行甲板を寸断する。10隻の内、2隻の艦橋に直撃して爆沈。他の艦は飛行甲板4本の内、2本を残して小破で耐える。

 

《残り8隻はまだ艦載機を上げられる!収束波動砲の発射を!》

 

エルナト級から飛び込んだ通信にすぐさま応答した。

 

「了解!拡散波動砲から収束波動砲へ!照準そのまま!耐ショック、耐閃光防御!」

 

「set 24 -2、拡散波動砲から収束波動砲へ!全艦連動!発射8秒前、6、5、4、3、2、1……」

 

復唱した副長の指示に従い、最後の射角修正が試みられる。そして発射口の光が限界を迎えると、弾け飛ぶように青い閃光が飛び出す。

 

「波動砲、発射ァ!」

 

 

 

 




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