宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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結局戦力温存もかねて、腑に落ちない終わり方をします。


海王星沖航空戦 -7-

「波動掘削弾の起爆まで、3、2、1、回路接続!」

 

その声と同時に、海王星の蒼の底の、一点が淡く光る。

 

「地球連邦、海王星基地の最期か……」

 

「敵に奪取されるのを防ぐためとはいえ、この段階で破棄が下達されるとは、上層部は相当焦っている……とみていいんでしょうか」

 

「天王星軌道での断続的交戦の計画も破棄され、それをバックアップする予定だった天王星基地も破壊されたのを鑑みれば、別の作戦があるのだろう」

 

「次の手……ですか」

 

「無為な消耗を避けるために、天王星以遠の基地は全て破棄され、艦隊は月面基地に再集結しているらしい。あそこで交戦中の部隊も、じきに撤退命令が出るはず……」

 

と、そこまで話した直後に、正面の星空が歪む。そして、青白い光を放つ。

 

「前方に重力振。航空隊回収の、第二機動艦隊第一支隊です」

 

艦橋の窓から、すれ違いざまにアークツルス級改装戦闘空母、第二機動艦隊旗艦のアルニタクを眺める。アークツルス級の他の艦とほとんど変わらない船体*1だが、船体後部の武装が、2基の後部主砲と艦尾発射管(片舷4門)を残して搭載されず、その分の余剰スペースが艦載機格納庫に回されているので、単艦で3桁の数のコスモパルサーを運用できる。

 

「離脱するぞ」

「了解、小ワープ準備」

「ワープ!」

 

 

 


 

 

「ワープアウト。左舷前方、離脱中の海王星基地要員の引き揚げ部隊です」

「前方、海王星沖にエネルギー反応。交戦中の海王星艦隊、海王星基地航空隊です。IFF信号を確認」

 

「これより、戦闘宙域に突入する。全艦、波動防壁展開」

 

海王星付近に展開する12,000機のコスモパルサーの内、4,000機は空母20隻と共に退却の準備を進めている。40隻のドゥーベ級空母を率いて進出してきたアルニタクの目的は、残りの8,000機の収容である。敵艦隊と交戦中の海王星艦隊は、撤退命令を受けて戦線を押し下げながら、航空隊の離脱を待っている。

 

「敵デスバテーター、襲来!」

 

「気づかれたか、全艦対空戦闘!速射魚雷、発射管開け!」

「重力子スプレッド、発射準備!多目的発射管、迎撃ミサイル装填!」

 

「速射魚雷、発射準備よろし!」

「多目的発射管、発射管開け!」

「重力子スプレッド、投射機展開!」

 

「対空戦闘、撃ち方始め!」

「テェッ!」

 

大量のミサイルが前甲板の舷側から飛び出し、黒い塊となって押し寄せるデスバテーターに接触して爆散する。迎撃により数を減らしたデスバテーターは、重力子スプレッドの膜に突っ込んで全滅する。

 

「対空戦闘用具収め!」

 

指示の後復唱があり、発射管の蓋は閉まり、前甲板に姿を現していた重力子スプレッドは格納される。

 

「全周警戒を厳となせ!」

「全周警戒!」

 

「これより戦闘宙域へと進入する。主砲、対艦砲戦に備え!」

 

「主砲、発射準備!」

 

波動エンジンの尾を引き、波動防壁の青い壁を纏いながら、正面の有象無象へ飛び込んでいく回収部隊。

 

「亜空間ソナーに次元振動!」

「敵艦載機隊、第二群が接近中!」

「正面の敵艦隊、発砲を開始!」

 

「対潜・対艦、対空戦闘用意!」

 

「火器管制、測敵よろし!」

「主砲、自動追尾よし!」

「魚雷、迎撃目標に対する優先割り振り完了!」

 

「全火器、各個に攻撃始め!」

「撃ちィー方ァー始め!」

 

各艦の主砲から青白い筋が飛び出し、射貫かれたカラクルム級は次々と鉄屑へと姿を変える。魚雷発射管からは、大量の魚雷が飛び出してデスバテータの群れを先頭から切り崩していく。

 

「帰投信号確認!海王星基地航空隊です!」

 

「後続空母群、第一グループは回収準備を進めろ。第二、第三、第四グループは前進しつつ援護。本艦はこれより、単独での敵艦隊誘因を実施する!」

 

『了解!』

 

 

 


 

 

「撤退命令!?」

 

「はい!『ガトランティス侵攻に伴う艦隊再編に備え、天王星以遠に展開中の全部隊は速やかに作戦行動を中止、月面基地へ帰投せよ』だそうです」

 

異常な数のカラクルム級を眼前にした海王星艦隊は、速やかに交戦しながら後退を始め、スーパーアンドロメダ級部隊と改ドレッドノート級部隊はワープ準備に入る。

 

「反転、取舵一杯!波動防壁後部に集中展開!艦尾発射管、バリアミサイル装填!」

 

「バリアミサイル、装填よし!」

「テェッ!」

 

白煙を吐きながら、バリアミサイルが連射される。弾けた地点で薄板を拡げ、攻撃をしのぐ防壁となる。

 

 

 


 

 

「こんなにもあっさりと撤退するとは……しかもほぼ戦果が無く、徒に戦力を消耗しただけ。なぜこの時期に地球侵攻を始めたのです」

 

前線から送られてきた映像を見て、ラーゼラーが嘆息する。白濁した薄い壁が攻撃を跳ね返し、一隻も沈められなかった敵艦隊が次元干渉波をまき散らしながら消えるのを、誰もが黙って見ているしかなかった。

 

「そう慌てる時ではない。まだ時間はある。それよりもだ、ガイレーン」

 

「は。先月空間跳躍を行った直後から、テレザートからの高次元エネルギー供給が完全に停止しております。原因はテレザートの消失。その影響で現在、空間跳躍が不可能なほどにまでエネルギー総量が減少しております」

 

「テレザートが……消失?」

 

「原因は目下調査中です」

「テレサの意図で見えなくなったのとは違うだろう。今回は実際に消失しているのだ」

 

ガイレーンの杓子定規な答えに、ズォーダーが重ねる。

 

「何が起きているのでしょう」

 

「調査中と言ったろう。それと、原因などはお前たちが知るべきことではない」

 

「は……は!」

 

ズォーダーの瞳には何が見えているのか、それは誰も知る由は無い。

*1
あんな友鶴事件とか第四艦隊事件待ったなしのアンバランス格納庫は割とアウトだと気づいたのだろう




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