宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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実は前回よりも先に書きあがっていたこの回。
前回は文字通り、ここへの流れを意識して書かれた繋ぎだったのです。

ということで、いよいよ激戦へと突入していきます。

タイトルが壮絶なネタバレとか言わない


第二章 衝突
捷一号作戦 -1-


ブルースカイの艦橋の側面には、布陣する各艦隊・各戦隊がグリッドとして表示されている。

艦隊総旗艦の能力として必要な、大量の情報の並列処理を行うメインフレームをフル稼働させて、全ての部隊を漏れなく捕捉し続けている。

 

「艦隊、戦力集結!」

「白色彗星、依然速度変わらず。進路に変化無し!」

「第二遊撃部隊より入電!」

 

《こちら、第二遊撃部隊。敵は、500万以上の艦隊を正面に展開しながら侵攻中。AIの予測、Aの1に符合。現在、天王星軌道を完全に抜け、土星軌道に侵出しつつあり!捷一号作戦、一次作戦決行を具申する。繰り返す。敵は、正面に500万以上。土星軌…に……し…つあり………》

 

雑音が煩くなり、通信が聞こえなくなる。

 

「通信途絶!重力場のタキオン干渉による、送信機の機能停止と思われます」

 

「受信機は生きてるな?」

 

「はい。こちらからの通信に問題はありません」

 

「捷一号作戦を発令!前段一次作戦を断行する、全艦隊作戦行動始め。第二遊撃部隊、作戦開始!第七・第八・第九艦隊、全艦、ワープ準備!」

 

「了解。暗号通信!『作戦ヲ発令。一次作戦ヲ決行セヨ』」

 

通信士が、指示を暗号に変換して入力していく。

 

「第二・第三機動艦隊は」

 

「現在、火星宙域で出撃準備作業中。準備作業完了は明朝0300を目標とし、準備終了後は第一機動艦隊と合流して、三次作戦発令に備え待機するとのことです」

 

第二遊撃部隊の各戦隊のグリッドが前進して、500万を優に超える敵の、細長く伸びた先頭の部隊と接触する。その後方では、ワープアウトした第七・第八・第九艦隊が続々と戦線に入っている。

 

「第一グループ、ワープ終了。第二グループ、隊列を維持しての一斉ワープを開始!」

「仮設第十艦隊、増援第一群としてワープ開始!」

 

最前線を押し上げつつある第二遊撃部隊の前方に、無人改ドレッドノート級とスーパーアンドロメダ級で構成された、仮設第十艦隊の第3101戦隊がワープアウトする。細長い隊列の脇にワープアウトしたため、激しい砲火に晒されるが、波動防壁が次々と迫る砲撃を防ぐ。

 

嘗てのガトランティス戦役時に銀河で確立された、ワープアウトから連続しての(一時的ではあるが)波動防壁展開の技術がここで生きてくる。

 

「第十一艦隊、全戦隊を以て、白色彗星内へのショートワープ・奇襲作戦を開始する。3110から3119までの全戦隊はワープに入れ!」

 

「3101戦隊、各艦波動防壁臨界点です!」

 

「3102、3103戦隊、前続の3101戦隊に合流、陽動開始!」

 

「第十一艦隊、ワープイン5分前!」

「3102、3103戦隊ワープアウト!3101戦隊に合流!波動砲発射体勢に移行!」

 

刻々と変化する作戦宙域図を睨む艦隊司令に、主力艦隊(今更だが固有名詞)の司令が近寄る。

 

「戦力の扱いが荒いのでは?」

 

「アレは無人艦隊だ。元有人艦だが、乗員は今はエルナト級に配備されて主力を担っている」

 

「ですが無人とはいえ……」

 

「波動防壁が使える。即爆沈には至らんよ」

 

「しかし……」

 

「指揮AIは十分に成熟している。過去の戦いとは違う。戦力も大幅に上回っている。今も月面基地と地球のドックで並行してエルナト級の建造が進められている。省力化の成果として、元の1隻分の人員で3隻を維持できる」

 

「過剰な分の艦をまとめて処分……ですか」

 

2人が見つめる画面には、激闘を繰り広げる無人艦隊が鮮明に映されていた。

 

 

 

ーーー

 

最も手前で砲撃を引き付け、壁となって防いでいた艦の波動防壁が限界を迎え、爆沈する艦が増え始める。

 

直後、その後方の空間が歪み、増援の3102戦隊、3103戦隊がワープアウト。改ドレッドノート級とスーパーアンドロメダ級合計で1,200隻の戦力が新たに戦線に加わり、敵の前衛部隊に被害を蓄積させていく。

 

 

波動防壁を展開した艦が正面で砲撃を食い止め、後列艦が波動防壁の準備を行う。波動防壁が限界に近づいた前列の艦は、後列の艦と交代して後ろで波動防壁の再準備を行う。その更に後ろでは、最後列の艦が波動砲の発射準備をする。

 

 

主砲が火を噴き、漆黒を塗り上げる緑を血祭りにあげていく。凄まじい密度で隊列を組む様は圧巻で、どこか禍々しいものさえ感じる。

 

 

砲撃は次から次へと放たれ敵を串刺しにする。どれだけ撃ち込んでも、わらわらと湧いて出てくるので、どこを狙おうが大して変わらない。

 

火力の応酬が数十回繰り返された時、波動砲発射態勢を整えた最後列部隊が収束波動砲で、凶弾を叩き込む。600発もの砲火は、拡散せずとも大量のカラクルム級を一瞬で屠り、鉄屑の残る空間へと変貌させる。

 

寧ろこの場合は拡散しないほうが良かったと言えるだろう。拡散すると威力が大きく減退し、一撃で屠れるカラクルム級の数はあまり変わらないからだ。敵艦の密度と隊列の幅*1が凄まじいので、拡散波動砲では反対側まで削りきれたとも思えない。

 

 

この大きな穴を埋めるべく前進してきたカラクルム級は、散発的に前進してくるので次々と砲撃で撃破される。塞がりつつある傷口に、塩を塗り込むように次々砲撃を叩き込み、傷口を広げていく。

 

 

使い捨てとして投入された無人艦隊だったが、敵艦隊の不意を衝き、善戦を続ける。

 

大きな群れとなって迫るカラクルム級の帯を断ち切り、その先頭で第二遊撃部隊と交戦する第一群は着実に数を減らしている。

まるでマッシュルームのように、先頭で真横に隊列を広げていくカラクルム級だったが、密度は薄くなり、厚みも目に見えて薄くなっている。

 

その姿を見た第二遊撃部隊の司令は、E級の各艦に拡散波動砲での攻撃を命じる。

 

「全艦エネルギー充填!後退しつつ拡散波動砲発射用意!我々201並びに202戦隊は、前線を維持して敵を引き付ける!波動防壁出力最大!」

 

「201戦隊全艦は波動防壁出力を最大に!」

「主砲1番2番、撃ち方始め!」

「艦首大型魚雷、発射管開け!」

「艦首速射魚雷、弾幕張れ!」

「波動防壁、艦首に集中展開!」

 

どこかの第六章で見覚えのあるシーンと全く同じ光景で、やたらと大量に飛び出す速射魚雷を発射しながら、周囲のエルナト級は全力砲撃を行っている。

 

「この波動砲一斉射でこのグループを殲滅!先制して後方の第二群へ牽制する!亜空間魚雷、発射管開け」

 

「亜空間魚雷、潜航距離の距離設定よし!撃ち方始め!」

「第九艦隊より入電!『一斉砲撃の後、ショートワープで第二群正面に突撃する。援護を要請』!」

 

「余剰次元の爆縮を検知!拡散波動砲、発射されました!」

「回避運動!」

「ヨーソロー!」

 

襲来する敵艦隊を睨みながら指示を下す。操縦手の睨む手元の画面には、現在のアルヘナの位置と、波動砲の射線が表示されている。それに合わせて艦を操り、射線上から退避する。

 

「最接近まで2秒、放射波接触まで4秒!」

「総員、衝撃に備え!」

 

その言葉を叫んだ直後、窓から青白い光が飛び込み、全員が思わず目を細める。そして一瞬の後に衝撃がアルヘナを揺する。

 

「後方に重力振……IFF信号確認!第八艦隊、到着しました!」

 

 

*1
この場合撃った側から見て厚み




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