宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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今回ちょっと短めです……


捷一号作戦 -2-

「第八艦隊主力、現場宙域に到達」

「第九艦隊、敵第二群正面部隊と会敵」

「第二遊撃部隊、敵第一群の掃討作戦に移行」

「第十艦隊、各艦散開行動に移行」

「第十一艦隊、第3110戦隊並びに3111戦隊ワープアウト。3100から3109戦隊と合流」

 

ブルースカイの艦橋に、次々と報告が舞い込む。未だ主力艦隊は動かず、アステロイドベルト内側一杯に布陣している。

 

 

 


 

 

当初、天王星軌道での連続交戦を以て、敵戦力を漸減・撃滅し、土星軌道での艦隊決戦、木星軌道での内部への突撃により継戦能力を奪う、という作戦が計画され、それに合わせて

 

天王星軌道警備線第一・第二・第三遊撃艦隊
土星前衛ライン第六・第七・第八・第九艦隊
木星軌道防衛線第二・第三・第四・第五艦隊
小惑星帯絶対防衛線主力艦隊・第一艦隊
火星軌道最終防衛線第一・第二・第三機動艦隊

 

が策定され、各々をそれぞれの艦隊が受け持つこととなっていたが、冥王星での交戦、海王星での陽動戦を経て方針転換。

 

天王星以遠の施設を完全破棄し、戦力を再編。土星宙域に於いて、全艦隊戦力を投入した『捷一号作戦』で彗星本体に打撃を与える目標を再設定することとなった。

この計画は、プランYの前段として立案され、イニシャルを取ってプランSと呼称されていたが、作戦開始に伴い、捷一号作戦と呼称が変更された。

 

後にこの戦いは、第二次土星沖海戦と呼称されることとなる。

 

 

 


 

 

「現在交戦中の第二群、幅3宇宙キロから5宇宙キロに拡大中!密度は12,500から8,900へ低下中です!」

 

「後方の第八艦隊、拡散波動砲を発射!」

 

「全艦、敵艦隊との距離を維持しつつ微速後退!まだここから土星軌道を抜けるまでは1,200宇宙キロある!」

 

「了解!」

 

エルナト級が、艦首のスラスターで後進に移り、じわじわ迫るカラクルム級から一定の距離を保ちながら砲撃を続ける。

 

「敵艦隊の反応、72,000消失!敵艦隊は6,000,000に到達したタイミングで増援が止まりました!」

 

「第十一艦隊は隊列を広く取らせろ!波動防壁、出力40%へ」

 

高密度の砲撃を壁となって受け止めていた第十一艦隊の各艦が、敵の進軍を阻むように広く布陣する。敵の砲撃が間を次々とすり抜けてくるが、本隊の各艦も波動防壁で防ぎ、被害はない。

 

「敵艦隊、中央部の密集隊形が強まりました!」

 

「中央突破を許すな!前進中の第八艦隊も密集隊形で布陣させろ!」

 

「既にマルチ隊形から紡錘陣形に移行を開始しています!」

 

「フェーベ軌道の別動隊はどうなっている!?」

 

「現在、エネルギー充填作業を完了し待機中。重力子スプレッドの展開を残すのみです」

 

「一か八か、敵艦隊を粉砕する!バリアミサイル発射、無人艦隊前で展開させろ」

 

「了解!」

 

「バリアーの間に波動砲発射準備、消失と同時に現在布陣中の全艦で集中砲火を加える!」

 

開戦から数時間でここまで進展したのは、以前に比べ相当早い。長期の消耗戦を強いられた前回と違い、今回は短期決戦となりそうな気配だった。

 

 


 

 

 

幾重にも重ねられた布陣の艦が、圧倒的な物量でイワシの群れのように襲い来るガトランティスを防ぐ様は圧巻だった。その土星でのせめぎあいをメインスクリーンで見上げるヤマトのブリッジクルー。

 

「参戦できないのか……」

 

「代替の波動コアが届かないことには何とも……」

 

「長距離観測によると、エネルギー密度が上昇中。波動砲発射態勢に移ったものと思われます」

 

「まもなくフェーベ軌道別動隊が白色彗星を射界に捉えますから、予想以上に多かった敵艦隊を一気に排除にかかるものかと」

 

小林、徳川、西条、桜井の順に口を開く。エリス基地の仮設ドックに身を横たえたヤマトは、現在波動コアを外したままで動くに動けない状況だった。

 

「艦長と真田さんはいつ戻ってくるんだ……」

 

すぐ右と右斜め後ろの空席を振り返り、降ろした波動コアの代わりを持ち帰ってくるはずの古代と真田さんのことを口に出す徳川。

 

「今は信じて見守るしかない……」

 

「だな」

 

「郷田、換装主砲の最終調整作業はどうだ」

 

《旧3番主砲塔の撤去作業を完了。新第1主砲塔の設置作業に入る。作業完了は明日1930を予定》

 

小林との短いやりとりの後、甲板に降りて換装作業を指揮している郷田に状況を尋ねる上条。

艦橋の窓から見下ろす甲板には、撤去した主砲の跡に巨大なバーベットリングがぽっかりと穴をあけている。主電源をカットし、予備電源の非常灯で薄暗く照らされた艦橋から、星明りに照らされた甲板を見下ろす形になる。

 

ふと右の方へ視線をやると、仕切りのスクリーン越しに作業用照明と溶接の光が瞬く。

甲板で作業している作業員のヘルメットに取り付けられたライトだけが蠢くヤマトに比べ、残作業量の多さからくる不眠不休の喧騒が感じられた。

 

「あっちもあっちで間に合うのか……」

 

「プランY……本当に上手くいくんだろうな……」

 

「エリスから内惑星系をまでの距離から考えると、1/1000°の誤差も許されない狙撃を成功させられるのか……?」

 

「白色彗星の防御を破壊できるエネルギー試算量は、合計3.94×10^27YW(ヨタワット)*1に達します。そんな大規模蓄電設備はどこに用意するんでしょうか……」

 

 

 

上条、小林、徳川、木下、この4人の心配は杞憂に終わるのか、それとも現実のものとなるのか。

 

 

 

結果は神のみぞ知る……

*1
Y(ヨタ)はSI単位系接頭辞の1つで、10^24倍を表す。T(テラ)(10^12倍)なんかよりよっぽど大きい。というか丁度2乗した値




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