宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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捷一号作戦 -5-

「波動掘削弾、航空部隊到着しました!」

「第十艦隊、波動砲攻撃第8波開始!」

「第十一艦隊、消耗35%オーバー!これ以上の第十艦隊掩護は困難です!」

 

主力艦隊旗艦ブルースカイ艦橋

主力艦隊の陣の先頭に立ち弾幕を張っているブルースカイは、最も激しい砲撃に晒されている。エルナト級の轟沈艦は6隻でなんとか踏みとどまっているものの、先程からより多くの攻撃を誘引しているブルースカイは、激震に襲われる回数が急激に増えつつある。

 

「右舷前方、距離380宇宙キロにカラクルム級40!」

「主砲右3番4番、照準変更!」

 

「正面のカラクルム級、9,000から8,500に減少中!」

「ホーミング波動砲、発射用意!」

「第二波動エンジンのエネルギー回路を直結!」

「エネルギー偏向装置に諸元入力!」

「射撃盤に回路直結、照準よし!」

 

「テェッ!」

 

ブルースカイの艦首、波動砲口左右に突き出した、普段は『BLUE SKY』と表示されている乳白色部分が開き、その中から武骨な細長い砲口が顔をのぞかせる。

即座に光を湛えた砲口から、細い板状に青白い閃光が飛び出す。

その閃光は、一瞬で向きを変えると、カラクルム級の群れへ襲い掛かる。

 

速射応答性を優先して、波動エネルギー量は抑えられているものの、有り余るほどの機関出力を誇るブルーノア級から放たれるその攻撃は、一撃にして大量の鉄屑を生み出す。

 

「右舷目標殲滅!」

「正面のカラクルム級、2,200隻に!」

「エルナト級各艦、砲撃を集中!」

「残敵、急速に減少中!」

「追撃する!主砲全門斉射!」

 

正面を向いた主砲が、10基30門の砲火を吐き出す。40.6cm口径ながらも、正面から貫通して背後のカラクルム級、そのまた次のカラクルム級、と、小規模な群れの中央にポッカリと大穴を開ける。

 

数が減少したカラクルム級に、エルナト級の砲火が集中してカラクルム級の数を一気に減少させる。

 

「正面、カラクルム級後方に艦影探知!23sknt(エスノット)で急速に近づく!」

「数、2,400から3,000へ!尚も増大中!」

「艦影識別!後期ゴストーク級!」

「距離、1,200宇宙キロ!」

「小型目標探知!数は、23,000を超えています!」

「接近中の目標、魚雷群と識別!速度38sknt!」

「艦隊到達まで215秒!」

 

「対空戦闘用意!全艦、波動防壁出力を再確認!」

 

「エルナト級、速射魚雷斉射用意!」

「艦首発射管、バリアミサイル装填!」

 

「重力源に対し攻撃を敢行する!クラスS、クラスDは後退開始!エルナト級は各艦前進して後期ゴストーク級の迎撃に当たれ!」

「波動砲、エネルギー充填開始!六連発一斉射用意!」

「第一波動エンジン、波動砲発射用意!第二波動エンジン、運転継続、波動防壁への動力供給を維持!」

 

号令一下、後退してくる無人艦隊の紡錘陣の先頭に躍り出て、波動砲口を開くブルースカイ。

 

「クラスS部隊、波動エネルギー充填120%!」

「クラスD部隊、エネルギー充填完了!」

「第一波動エンジン、炉心内圧120%!波動砲口内、波動コイル甲起動、シールド!」

 

「前衛エルナト級、射線上より退避!」

「総員、耐ショック耐閃光防御!目標、彗星都市重力源!波動砲発射まで、5、4、3、2、1、発射ァ!」

 

白い霧がかかっている白色彗星内部に、一層白い光が膨れ上がり、一拍の後に白熱の恒星をも上回る光球が顕現する。

その光は、しばらく輝きを維持したのち、ゆっくりと輝きを失う。数秒の後には、幻だったかのように光は消える。

 

しかしその小恒星の輝きは現実で、青白い濁流は重力源の青紫の光球へ迫る。

 

「重力源に変調!」

「重力井戸の底、底辺の盆地の底が沈降!」

「どういうことだ!」

「重力炉に高エネルギー反応!エネルギー増幅システムにより、多量のエネルギーが流入しているものと思われます!」

「重力源付近にて、重力傾斜高まる!」

「重力井戸の沈降、急激に加速!」

「集中するエネルギー量、これまでの例に対して32倍以上!」

 

「重力源のエネルギー密度が上昇!エネルギーの集中にエネルギー球拡大による減圧が間に合っていない様子です!」

「爆発します!推定放出質量、超新星爆発の2.3倍です!」

「全艦隊、波動防壁出力最大に!総員、耐ショック耐閃光防御!」

「重力衝撃波、来ます!」

 

全員が身構えた刹那、凄まじい重力波を放ちながら、波動砲の光球を上回る輝度の灼熱球が出現する。一瞬で引き裂かれた光から、超高温のジェット噴流とプラズマガス、特大級のコロナ質量放出(フレア)が発生する。

 

それらの直撃を受けた無人艦部隊は、旧式の06式波動コイルだったせいで、密集陣前方の第十艦隊第一・第二戦隊が全滅、第十一艦隊第一戦隊も壊滅的な損害を被った。

しかし、21式波動コイルの有人艦部隊は緊急的に波動防壁に全出力を回して耐え凌ぎ、支援のガミラス艦部隊は、エルナト級の遥か後方、第十二艦隊のすぐ真後ろにいたために直撃を免れた。

 

それでも、1Mアンペアに及ぶ誘導電流を発生させた磁気嵐により、レーダーを含む能動観測手段が機能停止。空間に残留した強電磁波と超高密度の高エネルギータキオン粒子が、超空間通信は愚か短波近距離回線さえ寸断する。

 

「味方艦のIFF信号、全て途絶!」

「アクティブレーダー、機能停止!逆探知回路は辛うじて機能中!」

「超空間通信、短波通信途絶!艦内有線連絡回路にも異常を検知!」

「各システム再起動急げ!」

 

「受動探知システム、正面に高次元エネルギーを捕捉!」

「対消滅ミサイル190、急速に近づく!」

「艦隊の先頭に出る!第一波動エンジン、出力全開!第二波動エンジン、全出力を波動防壁へ!」

 

「波動防壁、出力最大!ヨーソロー!」

「主砲射撃管制、対空戦闘撃ち方用意!」

「艦首魚雷、牽制射用意!開口角2°!」

「火器管制、主砲公算射撃、撃ち方始め!艦首魚雷、牽制射3回の後に距離20宇宙キロでバリアミサイル発射!防護範囲は正面軸から30°!」

 

波動エンジンの輝きをノズルから吹き出しながら、その大柄な体躯を振って前進に転ずるブルースカイ。大火力の主砲を連射しながら、正面に圧倒的な弾幕を築き上げる。

その弾幕の中を飛び、破滅ミサイルの群れの中で起爆する魚雷。周囲に子弾と散弾を巻き散らしながら爆ぜ、その断片に撃ち抜かれた破滅ミサイルは火の玉と化し、その場で消え去る。

 

「対消滅ミサイル120、尚も迫る!」

「艦首魚雷、バリアミサイル撃ち方始め!」

「主砲、弾幕張れ!」

 

「前進、後続部隊に攻撃させるな!」

 

メインノズルの光が一層強まり、波動防壁の膜に纏われた巨体が前進する。弾幕の密度を一層高め、脇をすり抜けようとする破滅ミサイルに舷側の速射魚雷を浴びせる。

 

「後方、第一施設隊分派の無人航空隊が母艦より発艦!」

「超空間通信、回復!波動掘削弾部隊直掩のガミラス第一支隊旗艦、ローレンスからです!」

 

こち……動掘削……発艦完了……艦隊司……部より、撤退命令を受令!》

 

「こちら旗艦、ブルースカイ。これより、無人機の攻撃終了を見届けて、撤退する。エルナト級部隊・ガミラス部隊は速やかに撤退せよ」

 

直後、後退する部隊を守るかのようにバリアミサイルが一斉に開き、その表面に直撃した破滅ミサイルは爆散する。

 

その後方のブルースカイの脇を飛びぬける黒く小さな影。

波動掘削弾を吊るし、一路重力源へと向かう無人機は、波動掘削弾の射程に目標(重力源)を捉えるや否や、胴体下の重荷(波動掘削弾)を切り離して反転する。

 

無人機から放たれ完全に自由になった波動掘削弾は、姿勢制御用のノズルから炎を噴きながら重力源へ突っ込んでいく。120発すべてがほとんど同時に着弾して、重力炉に大量の()()()を咲かせる。

その青い花は、タンポポのように深く根を張り(亀裂を入れ)(周辺の装甲)を砕く。

 

「攻撃完了を確認、これより離脱する」

 

「了解!反転、面舵一杯!」

「面舵180、ヨーソロー!」

 

 




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