宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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前回のあらすじ 完全な状態じゃないのに真っ正面から撃ち合った結果がこれだよ!


嵐の前の静けさ part 1

イーターIIが波動防壁を破り、艦体の、艦尾ノズル直前部に突き刺さる。

 

「艦尾、ノズル付近に直撃!」

 

これまでのものを大きく上回る激しい揺れが艦を襲う。続けて爆発。激しい衝撃に揺さぶられ、数名が席から崩れ落ちる。しかしその中で微動だにしない古代、真田、徳川は、臆することなくダメコンの指示を矢継ぎ早に飛ばす。

 

《艦尾右舷魚雷が誘爆!《衝撃によりエネルギー伝導管が大破!》後部主砲弾薬庫に火災発s《艦後部の気圧が低下!応急処置として隔壁を閉鎖してください!》…が第17予備倉庫近くで発生!》…デッキ、第2デッキで火災!》

 

次から次へと報告が飛び込み、パニックを伝える。

 

「木下君、艦内の隔壁を閉鎖。後部弾薬庫に消火剤注入、並びに真空消火を実行」

「後部魚雷の誘爆を食い止める!次発装填装置を破棄!各デッキの気圧、火災、温度の情報をメインパネルに出せ!」

「走!翔!すぐにエンジンの出力をカット!このままじゃ火事も起きてないのに吹っ飛ぶぞ!」

 

被弾部から爆発を繰り返しながら、推力を失ったヤマトは爆発の反動に流されて黒煙を引きながら漂流を始める。3つのノズルが輝きを失い、どんどんと艦隊から離れて行く。

 

「隔壁閉鎖。弾薬庫消火完了!」

「後部魚雷給弾路、非常用シャッター閉鎖!」

「メインエンジン停止を確認!コンデンサの運動エネルギー保存状態は良好。補助エンジンエネルギー伝導管の損傷状況は現在確認中!」

 

メインパネルがあの特徴的な音を立てながら光り、緑の中に白線でヤマトのシルエットが描かれる。各ブロックに表示された数字が、赤色のもの(火災発生箇所の温度)は上昇を続け、白色のもの(火災未発生箇所の温度)は減少。青色のもの(気圧)は減少を続ける。非気密状態を示す橙色の枠で囲まれた部分が、喪失を示す黒色の部分まで後退する。

 

《補助エンジンエネルギー伝導管は損傷なし!いつでも回せます!》

 

「補助エンジン始動、動力接続。重力アンカー作動!小林、姿勢制御システムを確認!終了し次第、第三戦速で艦隊と合流開始」

 

「了解!」

 

小林の席のモニターに大量の白い文字が流れる。時折1行ほど赤い文字も見える。

 

「重力アンカー、作動します。姿勢固定よし」

「姿勢制御システム、一部に故障がありますが航行には問題なし!機関第三戦速、面舵いっぱい!」

 

補助エンジンのノズルが輝きを取り戻し、流されていたヤマトは再び自力航行を開始する。

 

「メインエンジンのエネルギー伝導管の状況は」

 

《メインノズルのエネルギー伝導管は全損!修理に15時間ほど必要です》

 

「第二波動エンジンは修理にどれくらいかかる」

 

《問題はコンプレッサストールのみですから、問題箇所のユニット交換。あとは金属疲労、歪み(ひずみ)ゲージの確認が終了すれば、およそ3時間。ユニット交換に2時間、確認・点検に1時間です》

 

「すぐに取りかかれ。1700に小ワープで地球へ帰投、修理を行う」

 

『了解!』

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

小惑星の陰に回り込んだヤマトは、外舷装甲の応急修理と、第二波動エンジンの破損部分交換が行われる。

 

《第17予備倉庫内の各物資、点検終了。喪失は最大で22%前後です》

《第2デッキの火災発生箇所は清掃終了!》

《第15分隊より報告、後部弾薬庫内温度は正常値へ回復!》

 

「コスモパルサー偵察隊、佐々木小隊より報告。アステロイドベルト向こう側の偵察を終了。半径3,800宇宙キロに敵影は確認されず、です!」

 

すぐ近くのアステロイドベルトのせいでレーダーが遮られ、密度のせいで艦が抜けることは不可能。そのため、コスモパルサー隊を小隊ずつに分け、数次に渡って各方向へ偵察へ出していた。反対側の開けた方向は、アークツルス級11番艦 アルヘナを旗艦とする第二遊撃部隊の各戦隊が警戒に当たる。ヤマトの直掩には、打撃第211戦隊が就いている。

 

聞けば第二遊撃部隊は、木星軌道で演習中、ヤマトの超空間通信を捉え、中断して急遽援護に来たらしい。

重大な抗命行為に値すると突っついた地球防衛軍の参謀部の益根(えきね) 照葉(しょうよう)に、アルヘナに座乗する(あん) 縁利(えんり)司令は「融通が利かなかった結果、嘗ての戦役において何を失ったか!ある時は人民を失い、またある時は地球そのものさえ失いかけた!今動かなければヤマトを失う羽目になる。それでも構わないんですか!」と食って掛かったらしい。そうやって必要以上のタイムラグが発生してこの損害だ。のんびりと本来の増援なんて待っていたら本当に沈んでいたかもしれない。

 

《第二波動エンジン、コンプレッサの換装並びに各種最終点検終了。出発できます!》

 

おっと、今は帰投が優先だ。機関再始動。コスモパルサー隊を収容し微速で離脱を開始する。

 

《ヤマト、古代艦長、聞こえますか?》

 

「旗艦アルヘナより入電。艦隊司令の安 縁利司令です」

 

「こちらヤマト、古代だ。貴官の素早い対応に感謝する」

 

《こちらアルヘナ、安です。よくぞご無事で》

 

「いや、我々もあれ以上の継戦は不可能だった。助かったのは君のおかげだ」

 

《いえいえ。そんなものでは……帰投に先行してこちらの先遣隊をワープさせます!》

 

「こちらヤマト。了解」

 

打撃第211戦隊の艦が次々と五月雨式にワープインしてゆく。

 

「第二波動エンジン、出力上昇。炉心内圧に異常なし」

 

「ヤマト、ワープ1分前。万が一に備え、主砲三式弾装填」

 

『了解』

「主砲、副砲共に三式弾装填完了!」

「ワープシステムの最終点検……問題なし!」

「次元エナーシャルキャンセラ、出力最大!」

 

「ワープ開始、45秒前……40秒前」

 

艦橋を赤い光が包み込む。ワープ明け座標軸を固定させるため、真田さんが波動関数と、それを調整する方程式を叩き込んでゆく。レーダーパネルに目をやると、周辺を追随する艦が表示されている。ヤマトの後方には、アルヘナを示す赤い点が点滅しながらレーダーパネル上を蠢く。

 

「ワープ!」

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

漆黒の星海の中に、蒼白い点が出現し、歪に拡がる。()()はすぐさま舟の形へ変貌し、蒼白い輝きを失う。其処には濃い灰色と、濃い赤色の二色に塗り分けられた大きな(フネ)が姿を表していた。その後ろへ目をやると、同じようにして前者を上回る大きさの、より近代的なシルエットの()()、アルヘナが現れる。

 

「ワープアウト!アクエリアスの海、手前200宇宙キロです」

 

「第二波動エンジン、出力60%へ。このまま巡航」

 

地球との通信を終え、暫く進むと、巨大なダイヤモンドのような、キラキラと輝くものが浮かんでいる。中央付近から、激しい棘が筋のように並んでいる。

 

「アクエリアスの海の脇を抜けたら、補機へ切り替え」

 

「了解」

「第二波動エンジンを停止、ケルビンインパルスエンジン、始動」

 

「中央管制センターより入電。第11ドックへ入れと言ってきています」

 

日本の、太平洋に面した、嘗て「横須賀」と呼ばれた街に3つある、地球防衛軍直轄のドックの内、西側の乾ドックへ進入せよ、と指示され、誘導信号が送られてくる。アルヘナはすぐ隣の第12ドックへ入り、保守点検を行う手筈になっている。

 

「軸線、誘導信号に合わせます」

 

ビルトインテストシステムが、損傷状況をドックの管制コンピュータに伝える。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

地球防衛軍 小会議室

許可を得た者しか入ることが出来ない地下施設最下層の、高い防諜性を持つ部屋で、真田さん、古代、地球防衛軍司令長官の西本、前長官の藤堂平九郎が集っていた。

 

「この補修には、恐らく1ヶ月ほどを要するだろう」

 

カタカタと音を立てながらキーボードに文字を打ち込んでいる真田さんが話す。

 

「しかし問題はそれよりも、だ」

 

文字を打つ手を止め、硬い声で一言話す。皆が緊張の眼差しで真田さんを見つめる。

 

この後暫くして、一時も休まらない地獄のような戦いへ引きずり込まれることになるのだが、この場にいるメンバーがそれを知る由は無かった。




・イーターIIは、2202でのイーターが、イーターIと呼称されていたところからの連想です(つまり、オリジナル兵器です。)
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