宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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前回のあらすじ 命からがら帰ってきた古代は、真田と共に会議に引っ張り出される。

え?艦これの方から逃げてるだろって?ハハハーナニイッテルンデスカー(震)


嵐の前の静けさ part 2

「今回受けた損害は、そのほとんどが敵のイーターIIによるものだ。波動防壁を突破した攻撃は最後のイーターII以外に確認されていない」

 

かつての01式波動コイルが対応出来なかった敵兵器に対応できた06式を破る、恐ろしい新兵器を投入してきた。15年の歳月は、革新技術を型遅れの旧式へと変貌させるに十分だった。

 

室内の空気が凍りつく。

 

「今回回収したイーターIIの仕組みを確認したところ、波動防壁の対応範囲の外の攻撃だった。イーターIIは、Iとはまるで違う原理で破砕効果を得ているようだ」

 

机の上のモニターには側面図が表示されている。先端の正方形がいくつも重なった様な、幾何学的な模様の縁取りが、橙色に点滅する。真田さんがその手に持つタブレットを操作すると、いくつかの波形を描くグラフが表示される。グラフは合計で4つ。1つは古代から見て左奥、波動防壁固定振動周波数帯域と表示され、振動の幅は全ての内で最も狭い。右奥のものには波動防壁周波数帯域方程式関数と表示されたグラフが、よりゆったりとした、歪みの小さい波を描いている。平たく言えば、左奥が波動防壁側の振動の実測値、右奥はその理論値である。

左手前のグラフは奥の2つよりも振動数が少なく、振幅も幾ばくか小さい。イーターI暫定線形と表示されていた。そして最後に右手前のそれは、イーターII暫定線形と表示され、左とほぼ同じグラフになっている。

 

「真田さん。回りくどく話してないで、結論から話していただけませんか」

 

古代は話の骨がイマイチ掴めず、僅かに苛立ちながら言葉を発する。

 

「まぁ焦るな。対策も目処は立っている。もう暫くかかるがな」

 

そう言いつつタブレット端末を操作すると、イーターIIがディスプレイから消え、グラフが拡大されて1つに重ねられる。そして続ける。

 

「この黄色の線が波動防壁の振動数の理論値で、水色の線が実測値、橙色の線はイーターの高周波振動だ。IもIIもほぼ違いがないので、IIのもので代表して表示している。と、まあこの通り、イーターの振動数の方が、遥かに少ない。そのため、波動防壁は接触したそれを粉砕できる。従って、イーターIIの装甲突破方式は、高周波振動による接触部の破砕ではないと推察できる」

 

その場にいる全員の口から思わず息が漏れる。その場に漂う絶望感に皆が押しつぶされそうになる。場を打開する言葉も思い浮かばない古代は、押し黙って真田さんの様子を窺うしかない。

 

「問題は目標の先端部だ」

 

そう言いつつ再び端末を操作する。イーターIIの側面図が再び表示され、特に前方部の、尖った部分が拡大される。

 

「ここが新型の新型たる所以だろう。この部分が、()()()()()()()()()()()()として作用し、分子同士の接続に関わる力を分断して、構造体として完全に崩壊させる事でこちらの波動防壁を突破したものと推察される。これへの対抗は並大抵の事ではない。事は、波動防壁の強度をただ強くすれば済むという問題ではないからだ」

 

更なる沈黙が、全員を押し潰す。

 

「ここからは、あくまで理論上の話になるのだが」

 

圧迫感を振り払う様に、真田さんが口を開く。ここからの話に不要だと言わんばかりに、モニターの電源を落とす。

 

「現在開発中の"甲種波動コイル"ならば、防げるかもしれない」

 

「甲種波動コイルとは、なんなんです」

 

その場に居る者の中で、古代のみが腑に落ちないという表情を浮かべ、問い質す。普段は落ち着いて居る真田さんが、しまった、という表情を浮かべる。次の一瞬には目を伏せ、その後机の向こうの西本長官に視線を送る。思わず古代が西本を見やると、彼は目に戸惑いの色を浮かべ、再び真田さんを向いて首を横に振る。しかし目には未だ戸惑いの色が垣間見える。

 

「ここからは私の一存で、一介の宇宙戦艦の艦長に……」しかしそれを遮る声が響く。

「いや、西本君。君に責任を負わせるには偲びない。君はこれからの地球を担っていくリーダーだ。ここで失う訳にはいかない。古代君、これは私の……いや、現役を退いた老いぼれの、独り言だ……」

 

ヤマトの嘗ての航海において、強力に支持して支えてくれた藤堂前長官が重い口を開いた。正にヤマトの航海を支えていた大黒柱で、彼の努力が無ければヤマトに勝利は無かっただろう。

この場に居る古代以外の全員が知っている、軍機に関わる重大な秘密が古代へ明かされる。

 

藤堂の話を纏めると以下のようになる。

開発プロジェクト自体は、2202年から開始されていたコ-022計画が発展したもので、余剰次元爆縮の発生状況下で展開状況を維持できる、強力な波動コイルの開発計画だった。

試作品は波動実験艦ムサシによりテストが行われていたが、2203年時点で実用に耐えうる性能が理論的にどう足掻いても無い事が判明。即座に別系統の、01式の拡大発展型の06式の開発がスタートした。

真田技師は06式に掛かりきりで設計終了まで手が付けられなかったが、終了を期に計画は再開。

現在実用に耐え得る試作品が、ムサシに搭載され、運用上支障が無い事が確認された。現在は量産化を進めるため、生産性向上の為の改設計が行われているという。

 

「ここまでの事は、その全てが軍機に関わる。口外は厳禁だ。しかし、詳細はすぐに伝わるはずだ」

 

一頻り語り終えた藤堂は、自分の椅子へ深く身を沈める。もう語る事は無いと言わんばかりに目を閉じる。

 

「と、まあ、この話には続きがあるが今話す事はできない。分かってくれ」

 

再び真田さんの目が悲しげに伏せられる。

 

「本来局所的に使う予定だったので、大量生産を前提としてはいなかったんだ。改設計に時間を取られてしまってね。今回イーターIIによって問題点が浮き彫りになった06式の代替として、大量配備が必要なんだ」

 

古代も疎い男では無い。今回の航海前に再開した時にも、僅かな異変は感じていた。今この場に至るまで、少しずつ目の下のクマが濃くなっている事には気付いていた。なるほどそういう事だったのか、と納得し、1つ頷く。

 

戦力の再建が進んでいる地球艦隊の実情を思い出した古代は、先の戦闘を意識に登らせ、この先の地球の行く末を心配せずにはいられなかった。




・もう1・2話程度、地球編が続きます。
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