ご留意ください。
冥王星基地
《こちら、メ22号回航艦隊。これより衛星軌道上から第二衛星軌道へ移行。ドックの受け入れ願います》
通信施設が超空間通信のタキオン粒子を捉え、肉声の要請を通信波から音声に変換する。第四次増援艦隊がこれで出揃い、エルナト級10隻、改ドレッドノート級155隻、スーパーアンドロメダ級85隻により構成され、他にも30隻の
2ヶ月前の宇宙戦艦ヤマトとガトランティス艦隊との戦闘で、地球は内惑星系準2級防衛体制・外惑星系第1級警戒体制が敷かれている。主力艦隊は月面基地を中心に待機。第一艦隊は土星軌道を絶対防衛線として哨戒中。早期警戒ラインとして冥王星・海王星軌道が設定され、冥王星防衛艦隊は遊撃支隊として (特設)第3002戦隊 が編成に加えられている。
他の第二〜第九までの艦隊と機動部隊、遊撃艦隊は木星と土星に分散し、木星に機動部隊と2〜5艦隊。土星軌道ガニメデ泊地に遊撃艦隊と6〜9艦隊が待機している。内惑星系守備艦隊は各惑星・衛星に戦隊単位で分散して居たものを掻き集め、エルナト級170隻、改ドレッドノート級480隻、スーパーアンドロメダ級300隻が集結。
特設戦隊である事を示す接頭ナンバーは3。つまり3000番台は特設である事を示す。3001戦隊は海王星。3002戦隊が冥王星。3003戦隊はエリス。マケマケに3004戦隊と、太陽系外縁天体(合計17個)に特設艦隊(エルナト級10、改ドレッドノート級85、スーパーアンドロメダ級50、巡洋艦10)が派遣されている。
現在、地球の総戦力はブルーノア級2、アークツルス級12、エルナト級500(増産中)、改ドレッドノート級6,600、スーパーアンドロメダ級5,400、コスモパルサー隊(艦載機)1,500、コスモパルサー隊(紫雲)55,000。他にもアークツルス級改装戦闘空母を旗艦とし、ドゥーベ級空母を中心とする機動部隊に、合計1,350隻、17,000機が編成。各艦隊の護衛艦として、巡洋艦級15,200隻が各所に散らばっている。
嘗てのガトランティス戦役時を大幅に上回る大艦隊が、太陽系という狭い空間に密集している。しかし個艦性能では改ドレッドノート級・スーパーアンドロメダ級は拡散波動砲以外の性能ではやや劣る。
ガトランティスの前衛と思われる艦隊は各所に現れ、幾度か戦闘を繰り返し、やがて去ってゆく。この1週間で戦闘回数は頻度を増しつつある。ガトランティスが地球侵攻を予定しているのは誰の目にも明らかだった。
「こちら冥王星基地。寄港を許可します。第三管区143ドック以降を使用せよ」
《了解》
ドック入口の、ハッチドアを掠めて大型の艦艇が降下してゆく。波動エンジンの輝きを引きながらドック内に進入し、その身を横たえる。そのエルナト級を見下げながら、冥王星基地司令のケビン・アレクシアは薄ら寒い何かを感じていた。
「保守点検は10時間位内を目標。いつ奴らが来てもおかしくないぞ!」
『イェッサー!』
「哨戒中の警戒艦より入電!2,000宇宙キロの地点に重力振を探知!探知数は増加中!20…25…34…敵艦隊は34隻!」
最近のものの中では平均的な数字だ。陽動とみて間違いないだろう。
「第二戦隊を向かわせろ!」
◆◇◆◇◆◇◆
軌道上にいて、待機していた第二戦隊が敵を睨み、主砲を放つ。20隻並んだ艦から放たれる主砲の帯は壮観で、主砲の連射力を生かして次から次へと撃ち出す。
青い筋は虚空へ伸びてゆくが、そこでは緑の光や筋が飛び、幾度か爆発が発生している。時折青い線も見える。
そこで警戒艦が身を翻しながら遅滞戦闘を行っていた。
波動防壁があるとはいえ、敵の砲撃が直撃したらひとたまりもない程度の装甲はあてにできない。機動性を生かして躱して、時折主砲を放つ。短時間で連射可能な主砲から、一度に二斉射を放つ。しかしその威力では、カラクルム級の正面装甲を撃ち破るには至らない。
それでも、数発放たれた内の一発が、今まさにミサイルをパトロール艦へ向けて投げようとしていたミサイル艦に直撃し、爆散させる。
それでも単艦で相手取るには圧倒的な敵艦隊に追い込まれてゆく。万事休すかと思われたその時、青い矢が刺さり、カラクルム級をへし折る。
次の瞬間には何発もの
カラクルム級は艦橋の、艦橋砲を左へ振って緑色の矢を放ちはじめる。その巨体に似合わぬ早さで船体を回頭させ、矢継ぎ早に主砲を撃ち出してゆく。
「射角修正…テェッ!」
第二戦隊も負けてはいない。初弾から命中を得ていた上に、次々と撃沈破のスコアを上げている。強力な
双方の砲撃戦が白熱して来たその時、こちらを見失ったかの様に砲撃が途端に止む。敵艦隊の全艦が踵を返して、一直線にワープで帰ってゆく。
「ふぅ……帰ったか」
そう呟くのは第二戦隊の司令。こんな戦闘がもう通算で120回以上繰り返されている。
全面戦闘はもう目の前まで迫っている。
それが冥王星の全要員が感じている現況だった。そして、この予感は的中する事となる。その現実が地球にのしかかるのに、そう時間は掛からなかった。
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