宇宙戦艦ヤマト 2221 ~悪魔との再戦~   作:柱島低督

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大変お待たせ致しました、申し訳ありません。

テレビを眺めながらいよいよ第六章公開か、と思っていたのも束の間。もう2週間が経過して……未だに劇場に見に行っていないのですが、予定が潰れまくって……見たい……見たいです……


冥王星沖海戦 -2-

「右翼の第二小隊が崩壊!前線が瓦解し始めています!これ以上は……ッ!」

 

艦橋の席に座るクルーが声を絞り出す。

 

「これ以上ここに留まったとすれば、カラクルム級は大挙して雪崩れ込んでくるな……各艦は後退を開始!波動防壁の出力を最大に!ここで引きつける!」

 

それまで目一杯青い筋を撃っていた主砲が、ほとんど狙いもつけずに乱れ撃ちを始める。どこを狙おうが大して変わらない。それよりも相手を引きつけて時間を作るのが目的なのだ。何処も彼処も緑色のガトランティス艦で埋め尽くされ、全周囲から放たれる砲撃に、ジリジリと波動防壁が削られてゆく。

 

「実体弾の残弾数が32%を切りました!もうそろそろ補給が必要で

 

しかしその言葉は最後まで発されることは無かった。波動防壁を貫いた攻撃が船体へ突き刺さった。それまでの被弾を上回る衝撃が、艦橋を襲う。

 

「波動防壁貫通されました!第二デッキ、隔壁閉鎖します!」

 

ダメージコントロールで辛うじて体勢を維持しているが、機関の推力は限界を迎え、いつ墜ちてもおかしくは無い。ありったけのバリアミサイルを放ち、艦の周囲には壁が出来上がっている。

 

しかしカラクルム級は、好機とばかりに一気に雪崩れ込み、間髪いれずに凄まじい砲撃を放ってくる。壁のように押し寄せる緑の光は旗艦を襲うことはなく、後退中の改ドレッドノート級を蜂の巣状に焼き尽くさんと幾度となく直撃する。

 

繰り返されていた砲撃に限界を迎えた幾らかの改ドレッドノート級が、遂に弾け飛び、黒い華を咲かせる。

 

バリアミサイルが生み出した壁も、執拗に繰り返される攻撃に退き際を見兼ねているように、辛うじて耐えている。しかし、戦力差は絶大であった。轟沈した改ドレッドノート級の隙間を縫うように、砕けた防衛線をすり抜けて冥王星表面へ降下してゆく。

離脱艦隊の旗艦として1隻のみ回されたスーパーアンドロメダ級が、鎌首をもたげて拡散波動砲を発射する。一部のパトロール艦も、隙間を縫って縦長に、細く伸びた陣形で迫り来るカラクルム級を睨み、艦首の小波動砲を発射する。

 

大きく華を開いた死の彼岸花と、その脇を帯状に伸びてゆく心許無い筋は、幾らかのカラクルム級を粉砕し、襲来する敵を一瞬だが怯ませた。しかしその()()は、形勢を逆転するには余りにも短すぎた。既に負けは定められている。あとはいつ沈むか(死ぬか)、それが精々3分変わる程度でしかない。

 

 

 

 

ーしかし、その3分が、ごく稀に運命を捻じ曲げることがある。ー

 

「全艦、波動砲発射準備よし!」

 

何時の間にだろうか、離脱して体勢を整えていたスーパーアンドロメダ級と旗艦のエルナト級が、理想的な位置どりで波動砲の発射準備を終えていた。

艦橋内に通信士の声が響き、それに合わせるように全艦が左右に姿勢を微調整する。

 

「波動砲発射用意!照準、set 110、72!全艦連動!」

 

側面のエネルギー反応に気付いたカラクルム級が、一斉に回頭してくるが時既に遅し。発射口が輝き、今正に吠えようと躰を震えさせている。

 

「目標、敵カラクルム級。発射ァ!」

 

戦術長の掛け声と同時にトリガーが引かれ、撃鉄(強制注入機)が引き起こされる。

一瞬の後に、波動砲口が更に輝き、波動砲が発射される。後続が減速し、渋滞の要領でダマになって、偏って集中していた艦隊に、青い筋がこれでもかと突き刺さる。船体を側面から貫かれたある艦は、其処を境にへし折れて爆散し、不運にも艦橋に直撃を許した艦は、コントロールする主を喪って冥王星の重力に引かれてヨボヨボと沈んで(墜ちて)いった。

 

それ以外の大多数は、ありとあらゆる場所を焼かれ、溶かされて爆ぜてゆく。

 

蹂躙の中で奇跡的にも生き残り、動き出そうとしたカラクルム級は、防衛線を構築していた改ドレッドノート級に雨あられと砲撃されて爆発四散。

 

甚大かつ深刻な被害を受けながら、なんとか辛勝した冥王星艦隊が、基地要員を乗せた巡洋艦隊と共に()()()()()()()()()()()

 

 

 

旗艦の船体が揺れ、爆発が隣に並ぶスーパーアンドロメダ級を照らす。そしてその相手もまた、爆発に身を捩らせていた。

 

「被弾!舷側に敵小型対艦ミサイル複数!両翼のクラスSも多数被弾!轟沈複数!」

 

激しく揺さぶられる艦橋でレーダー手が叫ぶ。

 

「デブリに紛れて接近した模様!赤外線探知での分類不可能!」デブリが爆発直後で、熱を帯びていた為だ。

「ダメージコントロール!隔壁閉鎖!」

 

レーダー手が再び叫ぶ。

「……後衛の敵機動部隊を探知!ナスカ級10、前期ゴストーク級50、更に随伴として駆逐40!」

 

モニターに敵艦隊が映し出され、ミサイルを次々と放っている様子がここからでも見受けられる。

 

「バリアミサイル発射!残存するクラスSへの被害を抑えろ!全艦隊、対空戦闘開始!」

 

パルスレーザーが弾幕の壁を作りミサイルを次々と墜としてゆく。艦の周りで爆ぜるミサイルがあらゆる角度から舟を照らす。被弾によって黒焦げになった艦名表示部分や船体側面の引き裂かれたフレームなどが戦闘の激しさを如実に表している。

 

しかし、バリアミサイルを躱して、僅かなパルスレーザーの隙間を縫って接近したミサイル複数が船体に新たな傷を刻み込んでゆく。その一方で、遥か前方では波動防壁を展開可能な残存する改ドレッドノート級が敵駆逐艦と激しい砲撃戦を繰り広げている。

 

「敵本隊を撃破する!目標、敵ナスカ級中型航宙母艦!2隻だけ続け!残り3隻は駆逐を蹴散らして突入を援護せよ!」

 

改ドレッドノート級の艦橋で指揮を執る艦長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。直後、3隻が脇目も振らず一直線に敵中へ突入し始める。

 

敵中深く潜り込み、主砲は正面のナスカ級を睨んでいる。

 

「主砲、1番・2番、撃ちィ方ァ始めッ!」

 

勇ましい命令が艦橋の空気を震わせ、主砲から青い筋が飛び出して行く。敵駆逐が味方の砲撃で爆沈する光が艦橋に背後から差し込む。

 

まだ僅かに遠かった場所から放たれた砲撃は躱され、回転式無砲身砲塔から撃ち出された敵の砲撃が波動防壁を掠める。後続艦も砲撃を始め、集中して砲撃を受けたナスカ級は耐えきれずに大破。3隻は次の獲物を探す間もなく敵陣を突き抜けてゆく。

 

少し離れて反転し、再び突進してゆく。目標は、艦載機(カブトガニ)を発艦させ始めた次のナスカ級だ。

 

 

 

冥王星艦隊の命運を賭けた戦いは、佳境を超えていよいよ決着に向かいつつあった。




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修正記録
2019/03/20 文中の「後期ゴストーク級」の表記を削除し、その分は元の前期ゴストーク級の数に追加しました。(後期ゴストーク級は七章に出てきた黒い破滅ミサイル積んでるっぽい奴になるのかなぁ……と)
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