511部隊に所属して1日、朝を迎えた。昨日は緊張がまだ残っていたのかすぐには寝付けなかった、いろいろなことがあって、これからのことを考えていたらなかなか寝付けなかった。
着替えて準備をした後、ドアを開けて食堂に向かった。その途中、廊下でアリッサさんに会う。
「おう、おはようさんヒロミ!」
「おはようございます、オーウェン大尉!」
「おう、元気がいいのはいいことだ。あと、階級呼びじゃなくて別にいいぞ、正直そこまで気にしないし。」
「いえ、ですが大先輩ですし...。」
「その大先輩からのお願いだぞー?聞けないのかぁ?悪い新人には教育だな、このこの、優等生が。」
「あははは、や、やめてくださいって!」
「こら、何やってんのさアリッサ。」
「おう、おはようレオノーラ。」
「新人いじめはよくないよ。」
「そんなことないって、なあ?」
「あはは...。あ、おはようございますクリフォード中尉!」
「うん、おはよう。」
オーウェン大尉にくすぐられていると、そこにクリフォード中尉が起きてくる。
「さっき何されてたの?」
「いやぁ...そのですね。」
それまでの経緯を話すと
「まあ、本人が言っているんだからその通りにすればいいと思う。あ、でも時間や場所は弁える事。いいね?」
「はい、わかりました!」
「ちぇっ、レオノーラには素直だなぁ。」
「もう、アリッサが少しガサツなだけさ。」
「なんだよぉ、ガサツって!」
「昔からそうじゃないか。」
「えぇ?そうか?全然そうじゃないと思うけどな。」
「そういうとこさ。」
この2人は幼なじみなんだろうか。
「おっと、食堂に着いたな。さて、飯だ飯。まず一日のはじまりは朝食からだ、たくさん食べて大きくなるんだぞ?ヒロミ!」
「はい!ありがとうございます。」
「って、お母さんか君は。」
そんなやり取りをしながら席につく、とても良い匂いがする。
「皆さん、おはようございます。お待たせしました、本日の朝食です。」
そう言ったのはシャルロットさんだった。その後ろにこっそりといたのは
「おはようございます、シャルロットさん!ゲルダちゃん!」
「あら、おはようヒロミ!昨日はよく眠れた?」
「...おはよう...。」
どうやらまだ心を開いてもらえないようだ。
「いえ、少し緊張してなかなか寝付けなかったんです。でも、ぐっすり眠れましたよ!」
「そう、ならいいわ。それじゃあ、いただきましょうか。」
「あれ?仙石少佐とヴォルドスカヤ中佐とハインリッヒ少佐とディアギレフ大尉とクロフォード少尉は?」
「あぁ...仙石少佐はいつもの稽古とシャワー、もうすぐ来ると思うわ。ナタリアさんもそろそろ来ると思うわ。ヴァルプルグさんとソーニャさんは昨日夜遅くまで作戦を考えてたから多分少し遅いかと...。ジルちゃんはいつもの朝に弱い感じだから...。後で起こしにいくわ。」
「そ、そうなんですか...あはは...。」
「それじゃあ、いただきましょうか。」
今日の朝食は、パンと、ポトフという野菜スープ、焼き魚だった。知らない料理ではあったけれど、美味しかった。
食事が終わると、ヴォルドスカヤ中佐とハインリッヒ少佐、ディアギレフ大尉が食堂に来て全員に
「この後、本日の作戦要項を伝える。シャルロットはジルを起こしにいってやれ。」
「わかりました、行ってきます。」
数分後、半ば無理矢理に会議室に連れて来られたジルさん。席に着いた途端にすぐに机に伏せてしまった。どれだけ寝るんやこの人は。全員が席に着くと、ヴォルドスカヤ中佐が前に立つ。
「これより、本日の作戦要項について伝達する。今回の作戦は、リベリオンからの補給物資輸送船の護衛だ。それでは、ハインリッヒ少佐、今回の作戦について頼む。」
「了解した、では、我が見た未来について貴君らに告げよう。我の予測では一三○○にオラーシャ、アラスカ間の海峡にて補給物資船がネウロイに襲来される。当然、リベリオン側も護衛のウィッチは付けてはいるが苦戦、戦闘の最中に物資を乗せた船が2隻沈む。」
ハインリッヒ少佐がそう言うと、次にディアギレフ大尉がこう続ける。
「つまり、その2隻の分の物資を失うという訳。だからこそ、この未来視から立てた作戦はこうよ。まず、一三○○にネウロイの襲来が発生する、そして、最初の補給船が撃沈するのは三分後。それまでに補給船を防衛しなければならない。そこで、私たちの中から5人が現場に向かってネウロイを撃破する、その別に3人が補給船の護衛を行う。まず、ネウロイを戦闘を行う班のメンバーを言うわ、まずはハインリッヒ少佐、そして私、仙石少佐、オーウェン大尉、松山曹長。」
「えっ?私ですか?私よりも他の人の方が...」
「いいえ、あなたの機動力があってこそよ。頼んだわ。」
「はい、精一杯頑張ります。」
「そして護衛班はグランフェルト少尉、ヴァン中尉、クリフォード中尉にお願いするわ。三人のシールドの強度なら大丈夫よ。実際の指示、敵の行動については戦闘隊長であるハインリッヒ少佐が伝えるわ、以上!」
「了解!」
全員がそう言うと、解散した。シャルロットさんとゲルダちゃんは大急ぎで出撃前の軽食を作り始めた。
出撃まであと2時間か、私にできるんやろうか。
「おう、ヒロミ。怖じ気づいたか?」
「そ、そんなことありません!その...私まだ新入りですし。」
「何言ってんだ、新入りでもこの511部隊に所属した以上はそれなりの腕を見込まれてるってことだろ?自信を持てよ、ここまで戦ってこれた自分にさ。」
「でも...私、まったく戦果を上げてませんし...。」
「そうか、でもさ、ただ戦果を上げる人間だけが戦場にいてもネウロイには勝てないと私は思うけどな。」
「え?どうしてですか?」
「そりゃあさぁ、前線でネウロイを倒す人は必要だけど、それを支える役割の人、基地や隊員を守る人、ユニットの整備をする人、皆それぞれ役割を持っていて、そういった人達がいるからこそ成り立つと私は思うんだ。」
「そう、ですよね。でも、私には何ができるかわからんくて...それでいつも自信がなくて。」
「そういえばヒロミって歳いくつ?」
「い、いきなりなんなんですか!?15ですけど。」
「ならまだまだ若いんだからゆっくり見つけていけばいいって、私より2つ下なんだからさ。」
そう言ってアリッサさんは励ます、少し元気が出た気がした。
「んじゃ、食堂で飯食べて出撃しようぜ!」
「はい!」
アリッサさんと私は食堂に向かって軽食をとる、体が温まるようにということでシチューという料理だった。優しい味わいで、体の隅々まで温まった。
食べ終えて、出撃の準備をしようと席を立つと、仙石少佐に止められる。
「少し、話がある。いいか?」
「はい、何でしょう?」
「先行っとくぞー、ヒロミ。」
「はーい。」
席に座り、目を瞑りながら少佐はこう問いかけて来る。
「松山曹長、お前には迷いがあると見えるが、そのままならばやめておけ。」
「いえ、私には...。」
「少しの気の迷い、自らが不安定なまま戦場に赴けば、それらが命取りになることや、仲間を失うことにもつながりかねない。」
「私...できます。私にできることを精一杯。だから、行かせてください!」
私の目をジッと見つめると、再び目を瞑り
「いいだろう。自らの迷いを断ち切れるのもまた自分だ。負けるなよ、他の誰でもなく、自分自身に。」
「はい!」
こうして、私達はストライカーユニットを装着し、空へと飛び立つのであった。