飛行を開始してどれだけ経っただろうか、一面蒼色の海を見渡しながら飛行を続ける。そこで、ハインリッヒ少佐が指示をする。
「よし、ここで二手に別れよう。グループ『ヘイムダル』はこのまま真っすぐ行って補給船と合流してくれ。そして我を含むグループ『ヴァルキュリア』はこれより10時方向に進み、ネウロイの進路を先回りし迎撃を行う。グループ『ヘイムダル』は現場ではヴァン中尉の指示に従ってくれたまえ。以上、各自持ち場に着け。」
「了解!」
こうして、私たちは二手に別れて作戦が始まった。
「さて、そろそろだ。準備はいいか貴君ら。」
「おうよ、任せとけ。」
「既に刀は抜いてある、いつ敵が来ようと切り伏せるのみだ。」
「未来視から立てた作戦とはいえ、最後まで気は抜かない事。いい?」
「了解です!」
そのまま進むと、ネウロイが向かってくるのがわかった。ネウロイは比較的大型であるものが1機であった。
「作戦開始だ、まず奴はこちらに向かって一発撃ってくる。それを各自回避、次にネウロイ側面に松山曹長と我が迎撃。前方はディアギレフ大尉、オーウェン大尉が迎撃。そして、攻撃が我らに集中している間に真打ちとして仙石少佐が一刀両断だ。」
「了解!」
全員が指示を聞いて持ち場につく。攻撃を回避しつつ、持ち場についてネウロイに対して攻撃を行う。
「おそらく、側面担当である我と曹長に攻撃は集中する。そして、我が装甲を剥がしてコアを露出させる。そこで仙石少佐は背後から迫って一刀両断してくれ。この作戦を成功させるため前方、側面どちらも限界まで集中砲火を行う。いくぞ!」
私は、攻撃を避けつつ射撃を続けて役割をこなす。ハインリッヒ少佐はシールドを使う事なく全ての攻撃を読んでいたかのように避けては攻撃を行う。まだ装甲を剥がしてコアを露出させていない。前方を担当している2人は、上下に別れて応戦していた。ディアギレフ大尉は仙石少佐の位置などをみて、ハインリッヒ少佐に指示をする。
「今よ!」
「了解した!我がスクルドの眼は全てを見通す、故に貴様のコアも見通している。そこだ!」
ハインリッヒ少佐の集中砲火が一カ所に集中し、装甲が破壊される。
「コアです!」
「不肖、仙石千速、推して参る!」
仙石少佐の二本の刀は水を纏い、まるで刃が水で形成されているかのようであった。その刃は鋭く、どんなものでも切り裂くようである。そしてその印象どおり、ネウロイの堅い装甲は紙切れのように切り裂かれた。同時にコアも一刀両断された。
「これで終わりか...他愛もない。」
仙石少佐が刀を収めるとハインリッヒ少佐は魔眼を使用して少し先の未来を見る。すると
「いや、まだ終わりではない!今倒したのは子機だ!」
「嘘っ...未来が変わった!?」
現状を把握し、驚きを隠せずにいるディアギレフ大尉。
「奴にこんな能力があったとは、我の慢心が祟ったか。我は奴がいつどこに出現し、作戦通りであればどのように行動してくるかのみしか見ていない。当然、撃墜してから後のことなど見ていない。」
ネウロイが破壊された破片と、その光の中からネウロイが向かってくる。
「っ!?各自迎撃、一機たりとも通すな!」
「了解!」
ハインリッヒ少佐の指示によって、各自が多数のネウロイに攻撃を仕掛ける。
「ったく、どれが当たりなんだよ!魔神様よ。」
「すまないが未来視している余裕もない!シラミつぶしにやっていく方が早い。」
「へいへい、そんじゃ...私の出番かねぇ。」
そう言うと、アリッサさんは前に出て両手を突き出し、掌を前に出す。
「どうしたんですか?アリッサさん。」
「まあ、見てなって。先輩の意地ってのを見せてやるさ。」
「頼んだわよ、アリッサ。」
「来るか...天をも踊り狂わす神風が!」
「見ておけ、松山曹長。これがオーウェン大尉の固有魔法だ。」
「はい!」
すると、アリッサさんの掌の風が集まり、圧縮されていく。球状に圧縮された風が、嵐のように激しく吹いていた。
「喰らいやがれ!クソッタレが!」
圧縮された風を、ネウロイの群れに向かって発射する。その風は、まるで竜巻のようにネウロイを襲い、次々と砕いていく。
「どんなもんだ、野郎め!」
「よくやったわ、アリッサ。」
「おうよ、これで、終わりか?」
「ああ、この30分後に船が港に着く。任務は完了だ。」
「了解!」
「聞こえるか?ヴァン中尉、作戦は終了した。ヘイムダルの三人は着艦し、港に帰投してくれ。」
「了解です、しかし私たちもそのまま基地に戻ればよいのでは?」
「いいや、万が一の時もある。少しばかり、我にも課題ができたみたいでな。」
「はい、わかりました。それでは伝えておきます。」
こうして、私のはじめての任務は終わり、皆で夕食をとる。
「松山曹長、今日の任務はどうだった?」
「特に何もできなかったですけれど...でも、成功してよかったです。」
「そうか、それならばよかった。作戦とは、一人だけで行うものではなく、全員が一つとなり行なわなければ成功などしない。それだけは肝に命じておくといい。」
仙石少佐は少し微笑むと、ボルシチという赤いスープを啜る。
「何いってるのさ、ヒロミはよくやった。我が言うのだから間違いはない。」
「まあ、ポカやらかしたアンタとは違ってね。」
「酷いなぁ、ソーニャ。あれは仕方ないことだよ、私だってそこまで考えてなかったんだから。反省もしたし、次にその反省を活かす!」
「だといいのだけれど...。」
夕食が終わり、シャルロットさんのお手伝いとして皿洗いをしているとアリッサさんがくる。
「よう、ヒロミ。今日はおつかれさんだな。」
「はい、おつかれさまです。」
「おうよ、ここで先輩からのアドバイスだ。今日、あんまりシールド使ってなかったよな?」
「はい、そうですけど...?」
「苦手、なのか?」
「い、いえ!そんなことはないですよ。でも、シールドをやたらと使うより、避けて攻撃した方が魔法力も温存できて長く戦えるかなって...。」
「ははっ、そうかそうか。野暮なこと聞いて悪かったな、でも無理だけはすんなよ?命はあってこそだ、無くなっちまったら守れるものも守れなくなっちまう。でも、まあ...そうかぁ、ヒロミも私と同じかぁ。」
「え?」
「いやぁ、シールド使うより避けてバシバシ撃ちまくるってスタンスがさ。よっしゃ、明日からの訓練付き合ってやるよ!でも、スパルタで行くからな?」
「ありがとうございます、でも...お手やわからにおねがいしますね。」
どうやら、ド素人の私に特訓してくれるそうだ。これで少しでも強くなれるかな、そうだといいんだけれど。