第511統合戦闘航空団ファントムウィッチーズ   作:クー

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第5話 侵攻

数日前の補給船防衛作戦を終えて、次の作戦に備えて英気を養っていた。

 

「そういえばアリッサさん、次の侵攻作戦ってどうするんですか?」

 

「ああ、あれな。私達の防衛ラインを少しずつ拡大することでオラーシャの北東部にあるネウロイの巣『ヘルヘイム』、ここから西にある『チェルノボグ』の二つを破壊することになる。そのための下準備ってやつだ。」

 

「へぇ...大変やと思う...。あ、大変だと思います!」

 

「いいっていいて、敬語じゃなくて。私達は一緒に戦う仲間なんだからさ?」

 

「あ、ありがとう...。なんか、慣れへんわ。」

 

「そういえば、その言葉遣いって、地方の訛りなのかな?」

 

「あ、はい!扶桑の西側だとこういう喋りになるんです。」

 

「私もそこまで敬語なんて気にしないからいいよ?ヒロミちゃん。」

 

「あ、ありがとう。レオノーラさん。」

 

三人で入浴をしつつ、今後のことを話す。おそらくここから、厳しい戦いになるだろう。

 

「そうね、きっと大変だと思うわ。でも、ヒロミちゃんが来てくれたからできるようになったんだと思う。」

 

「え?どういう意味ですか?シャルロットさん。」

 

「人数は少しでも多い方がいいの、でもこの部隊はそんなに集まらないから...。」

 

「どうしてです?」

 

「この部隊は...。」

 

「ここは極秘に設立された部隊だからな、あまり人材を派遣するのは難しいんだ。」

 

マリーさんがそう言う。しかし、極秘ならすごく重要なはずなのにどうして私なんかが。

 

「ま、そんなこと考えても仕方ないさ。」

 

アリッサさんはそう言うと、風呂から出た。それに続いて皆も入浴を終える。

 

夕食を終えると、そのまま食堂で作戦会議となった。

 

「そのままで結構だ、聞いてくれ。」

 

隊長がそのように言うと、ディアギレフ大尉、ハインリッヒ少佐も前に立つ。

 

「聞いてのとおりの侵攻作戦は予定通り行なう。開始は明日一○○○、まずは西方のネウロイの巣、『チェルノボグ』側への侵攻だ。こちらを破壊することで503の負担を減らす。そうすることでカールスラントへの進軍を手助けする。」

 

「503、サフォーノフ少佐がいる部隊ね。」

 

「ああ、しかし503とは連携をとるのはほぼ難しいと思ってくれ。」

 

「どうしてです?」

 

どうしてこの部隊が極秘なのか、私はそれが知りたかった。

 

「極秘部隊故に、簡単に他部隊と接触するのは許されない。」

 

他部隊と連携すれば、もっと迅速かつ正確に作戦を遂行できるのに。それに統合戦闘航空団と一緒に戦うほうが頼もしいのに。

 

「そ、そんな...。」

 

「まあまあ、私らだって負けてないぞ?なあ?レイラ。」

 

「うん...。そのとおり。」

 

「そういうことだ、我が部下よ。そこで、我らは前線をさらに西方へ押し進め、一気に叩く。」

 

「そのとおりだ。そこで、二班に分けて行動をする。まず、私と共にここで基地防衛と援軍の迎え入れを行なう『ドモヴォーイ』部隊には、オーウェン大尉、クリフォード中尉、リヴィエール少尉。」

 

「それと、我と共に来る『スレイプニル』隊には、ディアギレフ大尉、仙石少佐、ヴァン中尉、グランフェルト少尉、松山曹長、クロフォード少尉。以上だ。」

 

「各々の部隊の役割は当日に説明する。今日は各自床に就いて英気を養え。以上。」

 

皆が解散し、部屋に向かうなか、仙石少佐だけは別方向に行った。あれはデッキの方向だ。

少佐を追いかけ、声をかける。

 

「あの、仙石少佐!デッキの方に行ってどうしたんですか?」

 

「ああ、翌日には厳しい戦いが始まる。だからこそ、刀やユニットの整備をしておきたい。」

 

「でも、ユニットなら整備班が。」

 

「確かに、整備班に任せるのが普通だろうな。だが、どんなものでも、私の命を預けるからには自らの目で確認し、調整したいんだ。刀と一緒だ。」

 

「そう、なんですか。少しだけ、一緒に居ていいですか?」

 

「ああ、別に構わん。」

 

仙石少佐は丁寧に刀やユニットを整備する、その眼差しはとても真剣で惹きつけられそうな美しさだった。そういえば、仙石少佐のことはまだあまり知らんなぁ。良い機会やし聞いてみよう。

 

「その、仙石少佐って扶桑のどの辺り出身ですか?」

 

「ああ、東北の方だ。秋田だな。」

 

「秋田ですか...遠いですね。私は神戸出身なんですけど所属は呉でしたね。」

 

「そうか、私は横須賀所属だったな...。」

 

「それで、少佐って『宮本武蔵の再来』とか、『扶桑最後の侍』として有名なんですよね!」

 

そう言うと、少佐の表情は曇ったようになり

 

「私はそこまで大層な人間でもなんでもない...ただ、全て努力の末に身につけて来たまでだ。完璧でも、何でも無い。完璧であればどれほどよかっただろうな。」

 

「そんな...そんなことないです!私、少佐のこととてもかっこいいと思いますし、強い方だって...。」

 

「なら私のどこが強い...?誰一人とて守れなかった、弱いがために誰一人とて守りきれなかった私のどこが!」

 

普段あまり感情的にならなかった少佐が怒声をあげる、私は何かいけないことでも言ってしまったのだろうか?それとも過去に何かあって思い詰めているのだろうか。

 

「その、すみません!何も知らないのに私...。」

 

「いや、いいんだ。悪かった、もう忘れろ...。明日に備えてもう寝ておけ。」

 

少佐はとても弱った声でそう言う、普段美しくかっこいいのにそんな姿が見れない、とても申し訳なくなり部屋へと戻る。

 

翌日、早朝に目が醒めた。しかし、昨日のこともあってあまり寝付けなかったのが心残りではある。食堂に行くと、いつものようなメンバーが席に座っていた。

 

「おう、おはよ!どうしたんだ?眠そうに。」

 

「おはよう、ヒロミちゃん。夜更かしでもしてたの?」

 

「おはようございます、アリッサさん、レオノーラさん。いえ、そうではないんですけど...。」

 

昨日のことを2人に話す、すると気まずそうな表情をして

 

「仙石少佐は...ね...。」

 

「仕方ないよ、少佐も被害者なんだよ。」

 

「被害者...ですか?」

 

「ああ...でも、これ以上深入りはやめてやれ。誰にでも背負ってるものってのはあるもんだ。」

 

「そう、ですか...。」

 

朝食をとり、作戦開始時刻となる。

 

「それじゃ、行ってきます。」

 

「おうよ、後で追っかけるからな!」

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