頬を赤らめる吉井くん。ドキドキと緊張しているアタシ。そう、これは吉井くんに呼び出されたアタシと吉井くんとの屋上での話だ。
「木下さんのことが嫌いです。付き合ってください」
「はい?」
吉井くんにそう告げられたアタシは、頭の中が混乱していた。
「どういうこと?意味がわからないのだけど」
「ほら、嫌よ嫌よも好きのうちって言うでしょ。僕なりに頭を使ってみたんだ。木下さんと釣り合う男になるために。どうかな?」
今、吉井くんが話している時のキメ顔を秀吉がしていたら、関節技をきめて腕の2本や3本はへし折っていただろう。あっ、腕は2本しかないか。テヘッ☆
まあ、それは秀吉だった場合の話だ。吉井くんならどんなことをしても許せるだろうか。どんなことかというとそれはもう、あんなことやそんなことだ。よ、吉井くんとアタシではそういうことは想像しづらい。坂本くんと吉井くんなら簡単に想像できるけど……
「って、何考えてんのよアタシは」
「どど、どうしたの木下さん!?」
やばい!声に出してしまった。
「ごめんなさい。なんでもないわ」
ふぅ、と息を吐き少し自分を落ち着かせる。アタシが吉井くんのことをどう思っているのかよくわかっていなかった。少なくともここにくるまでは。でも、いまこの場所でどうしたいかはハッキリわかった。吉井くんが勇気を出して告白をしてくれたのだから返事をしなくてはいけない。というかしたい。変な妄想なんかしてないで……
「アタシもあなたのことが嫌いよ。だから、よろしくお願いします」
「えっ?嫌いなのにお願いしますってどういうこと?」
吉井くんの困惑している表情からして本当に意味がわからないのだろう。吉井くんが先に言ったくせに……
「はぁ、馬鹿ね吉井くんは。こういうことよ」
アタシはそう言って吉井くんの唇に自分の唇を重ねる。
「よろしくね、吉井くん」
この後、二人とも顔が真っ赤になり沈黙が続いたのは言うまでもない……
後日談……
明久と秀吉の会話
「姉上と付き合ってるじゃと!!」
「うん、そうだけど。どうしてそんな、鬼でも見たように怯えてるのさ秀吉」
それはそれは、秀吉とは思えないほどブルブルと震えていた。
「悪いことは言わん。姉上はやめておくのじ…あ、姉上〜ワシの顔を掴んでどうする気じゃー」
「あら、秀吉。面白そうな話をしているじゃない。私にも聞かせてよ。トイレでゆっくり、ね☆」
「あ、姉上?ワシは女子トイレには入らんぞーーーい」
「秀吉ーーー!!」
僕の叫び声は届かず、秀吉がものの数秒で拉致されてしまう。
父さん、母さん、今日僕は初めて鬼を見ました……
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