僕と優子と短編集   作:鱸のポワレ

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これは、優子と明久が高校生の時に付き合ってから数年後という設定です。
前回の話とは関わりはありません。


僕と優子と三つの贈り物

僕は、どれだけ待ちわびていただろう。どれほど待ち遠しかっただろう。でも、ついにこの時が来た。

 

「おぎゃあ。おぎゃあ」

「生まれました。元気な男の子です」

「おつかれ、優子」

「うん。ありがと」

 

僕らの、僕と優子の子供が生まれた。

 

「優子もあの子も無事で本当によかったよー」

「ええ、そうね」

 

まだ、あれから数時間しか経ってないから疲れいるのだろう。いつもより返事が短いし眠たそうだ。今、この話をするべきか迷ったけど、この機会を逃したらもう駄目な気がする。それに前からきめていたんだ、今日こそプロポーズをすると。

 

「優子、実は大事な話があるんだけど〜、今いいかな?」

「悪いけど短めにお願い。もう疲れちゃって」

「そっか、ならまた別の機会に……」

 

って僕のバカ!アホ!Fクラス!

ここであきらめてどうする。

 

「実は、いくつか優子に贈り物があるんだけど、受け取ってくれる?」

「明久がワタシに?それは楽しみね」

 

よかった。どうやら興味を持ってくれたようだ。このまま計画通りに行けるぞ!

 

「いくつかあるんだけど…最初はこれね。子供を産むために頑張ってくれたから。はい、お祝いと感謝を込めてネックレス」

「ありがと。明久にしてはいいセンスね。まあ、明久がくれたものならなんでもいいんだけど……」

「え?ごめん、前半しか聞き取れなかったよ」

「いっ、いいのよ!なんでもない。それより嬉しいわ」

「喜んでくれてよかったよ。じゃあ次ね、えーっと次はこれ。怪獣の人形だよ!!」

「は?なにこれ?」

 

あれ?おかしいな、あんまり喜んでない気がする。そうか、ちゃんと説明しなきゃ優子もわかんないよね。僕ったら忘れてたよ。てへぺろ☆

 

「僕の分と子供の分も買ってあるんだ。全部で三体だよ。これで怪獣ごっこができるね」

 

グッ、と親指を立てる僕。おかしい、説明をしても優子の微妙な表情は変わらない。

 

「そ、そうね。ありがと……」

 

優子は照れてるのかな?そうだ、そうに違いない。だからそんな、天ぷらの中身がハイチュウだったときのような顔をしているんだ。それにしても、ハイチュウの天ぷらはどんな味がするんだろう……

そんなことより、最後のプレゼントを渡す時が来た。これを渡すのは凄く緊張する。こんなの人生で一度きりだろう。まあ、二回目があったらこまるけど……

 

「じゃあ、最後のプレゼントね。最後は……」

 

足が震える。生まれたての子鹿みたいに。でも、僕はこの日を最高の日にしたいから、勇気を振り絞る。

 

「最後は、指輪だよ」

「えっ?」

 

口に手を抑えて驚く優子。その表情は、僕にとってプラスの表情ととっていいのだろうか。僕には分からない。でも、このままいくしかない!

 

「優子。いや、木下優子さん。僕とけっきょんしてくだひゃい!!」

「えっ」

 

やってしまった……最後の最後で噛むなんて。優子の「えっ」は、指輪を渡したときの「えっ」とは訳が違うことぐらいバカな僕にでもわかる…

 

「フフッ、フフフッ……フフッ」

「えっ?」

 

今度は僕の方が「えっ?」と言葉が漏れる。優子が笑いをこらえている。

 

「全く明久らしいわね。でも、ありがとう。嬉しかったわ。だから、よろしくお願いします」

 

優子の目には涙が溜まっていた。これで良かったのだと思う。本当に。

 

「でも、こんなにプレゼント貰っちゃってよかったのかしら?」

「それは大丈夫だよ」

「なんでそんなこと言えるの?」

「だって、優子には赤ちゃんっていう素敵な贈り物を貰ったからね」

「バカ」

 

赤くなった優子の顔を見ているとニヤニヤが止まらなかった。

 

 

〜数時間後〜

 

「久しぶり〜優子、吉井くんも」

「久しぶり愛子、来てくれてありがとう」

「久しぶり、工藤さん」

「二人にプレゼントがあるよ〜」

 

鞄の中から袋を取り出して優子に渡す。んんっ!あれはまさか……

 

「怪獣の人形だよー。子供と遊ぶようにね。二体も用意したんだ」

「あ、ありがとう……」

 

これで五体目だ……

 

 

〜さらに数時間後〜

 

「姉上ー、明久ー、祝いに来たぞい」

「今日の劇団の練習は終わったんだね」

「ウム。これは、二人に祝いじゃ」

「まさか、怪獣じゃないよね?」

「明久、なぜわかったのじゃ」

「いや、ありがとう……」

「二体あるから子供と遊べるぞい、って姉上、関節はそっちには曲がらんのじゃーーー」

 

これで七体……

 

 

〜さらにさらに数時間後〜

 

「よう明久と木下姉、来てやったぞ」

「やあ雄二、わざわざ悪いね」

「まあな、ホレ明久お前にやるよ。祝いだ」

 

ガスッ(スネを蹴る音)

 

「おいっ、なぜ俺の足を蹴る明久」

「雄二こそ、なんで怪獣なのさ!」

「いや、それがいいと思ってな。お前は怪獣で遊ぶのが好きだろ?」

「しかも、子供じゃなくて僕用!?」

 

八体か……これでヒーローの負けは確定した。

 




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