前回の話とは関わりはありません。
僕は、どれだけ待ちわびていただろう。どれほど待ち遠しかっただろう。でも、ついにこの時が来た。
「おぎゃあ。おぎゃあ」
「生まれました。元気な男の子です」
「おつかれ、優子」
「うん。ありがと」
僕らの、僕と優子の子供が生まれた。
「優子もあの子も無事で本当によかったよー」
「ええ、そうね」
まだ、あれから数時間しか経ってないから疲れいるのだろう。いつもより返事が短いし眠たそうだ。今、この話をするべきか迷ったけど、この機会を逃したらもう駄目な気がする。それに前からきめていたんだ、今日こそプロポーズをすると。
「優子、実は大事な話があるんだけど〜、今いいかな?」
「悪いけど短めにお願い。もう疲れちゃって」
「そっか、ならまた別の機会に……」
って僕のバカ!アホ!Fクラス!
ここであきらめてどうする。
「実は、いくつか優子に贈り物があるんだけど、受け取ってくれる?」
「明久がワタシに?それは楽しみね」
よかった。どうやら興味を持ってくれたようだ。このまま計画通りに行けるぞ!
「いくつかあるんだけど…最初はこれね。子供を産むために頑張ってくれたから。はい、お祝いと感謝を込めてネックレス」
「ありがと。明久にしてはいいセンスね。まあ、明久がくれたものならなんでもいいんだけど……」
「え?ごめん、前半しか聞き取れなかったよ」
「いっ、いいのよ!なんでもない。それより嬉しいわ」
「喜んでくれてよかったよ。じゃあ次ね、えーっと次はこれ。怪獣の人形だよ!!」
「は?なにこれ?」
あれ?おかしいな、あんまり喜んでない気がする。そうか、ちゃんと説明しなきゃ優子もわかんないよね。僕ったら忘れてたよ。てへぺろ☆
「僕の分と子供の分も買ってあるんだ。全部で三体だよ。これで怪獣ごっこができるね」
グッ、と親指を立てる僕。おかしい、説明をしても優子の微妙な表情は変わらない。
「そ、そうね。ありがと……」
優子は照れてるのかな?そうだ、そうに違いない。だからそんな、天ぷらの中身がハイチュウだったときのような顔をしているんだ。それにしても、ハイチュウの天ぷらはどんな味がするんだろう……
そんなことより、最後のプレゼントを渡す時が来た。これを渡すのは凄く緊張する。こんなの人生で一度きりだろう。まあ、二回目があったらこまるけど……
「じゃあ、最後のプレゼントね。最後は……」
足が震える。生まれたての子鹿みたいに。でも、僕はこの日を最高の日にしたいから、勇気を振り絞る。
「最後は、指輪だよ」
「えっ?」
口に手を抑えて驚く優子。その表情は、僕にとってプラスの表情ととっていいのだろうか。僕には分からない。でも、このままいくしかない!
「優子。いや、木下優子さん。僕とけっきょんしてくだひゃい!!」
「えっ」
やってしまった……最後の最後で噛むなんて。優子の「えっ」は、指輪を渡したときの「えっ」とは訳が違うことぐらいバカな僕にでもわかる…
「フフッ、フフフッ……フフッ」
「えっ?」
今度は僕の方が「えっ?」と言葉が漏れる。優子が笑いをこらえている。
「全く明久らしいわね。でも、ありがとう。嬉しかったわ。だから、よろしくお願いします」
優子の目には涙が溜まっていた。これで良かったのだと思う。本当に。
「でも、こんなにプレゼント貰っちゃってよかったのかしら?」
「それは大丈夫だよ」
「なんでそんなこと言えるの?」
「だって、優子には赤ちゃんっていう素敵な贈り物を貰ったからね」
「バカ」
赤くなった優子の顔を見ているとニヤニヤが止まらなかった。
〜数時間後〜
「久しぶり〜優子、吉井くんも」
「久しぶり愛子、来てくれてありがとう」
「久しぶり、工藤さん」
「二人にプレゼントがあるよ〜」
鞄の中から袋を取り出して優子に渡す。んんっ!あれはまさか……
「怪獣の人形だよー。子供と遊ぶようにね。二体も用意したんだ」
「あ、ありがとう……」
これで五体目だ……
〜さらに数時間後〜
「姉上ー、明久ー、祝いに来たぞい」
「今日の劇団の練習は終わったんだね」
「ウム。これは、二人に祝いじゃ」
「まさか、怪獣じゃないよね?」
「明久、なぜわかったのじゃ」
「いや、ありがとう……」
「二体あるから子供と遊べるぞい、って姉上、関節はそっちには曲がらんのじゃーーー」
これで七体……
〜さらにさらに数時間後〜
「よう明久と木下姉、来てやったぞ」
「やあ雄二、わざわざ悪いね」
「まあな、ホレ明久お前にやるよ。祝いだ」
ガスッ(スネを蹴る音)
「おいっ、なぜ俺の足を蹴る明久」
「雄二こそ、なんで怪獣なのさ!」
「いや、それがいいと思ってな。お前は怪獣で遊ぶのが好きだろ?」
「しかも、子供じゃなくて僕用!?」
八体か……これでヒーローの負けは確定した。
感想、評価お願いします。