「どうぞ上がって」
「お邪魔しまーす」
「誰もいないわよ」
あれから数分が過ぎアタシと吉井君は、家に着いていた。
「え!?じゃあ木下さんと2人きり?」
「そうだけど。嫌かしら?」
「嫌じゃないけど……」
「じゃあシャワー浴びてきていいわよ。洋服濡れちゃってるでしょ」
「先に木下さんが入ってよ。風邪ひいちゃうよ」
じゃあ一緒に入りましょう。なんて言えるはずがない。
「じゃあお先に」
「うん」
またまた数分が過ぎ、アタシはお風呂場から出るはずだった。しかし、ある失敗をおかしてしまっていたことに気付き、身動きが取れなくなってしまっていた。なんと、着替えを持ってくるのを忘れてしまっていたのだ。
どうしよう。裸のまま歩き回るわけにもいかないし、吉井君にとってもらうしか……。
「吉井くーん。アタシの洋服を取って欲しいんだけど」
「どこにあるの?」
「アタシの部屋……」
「へ!?入っていいの」
「別にいいわよ」
吉井君ならね。
「わかったよ」
吉井君が遠くへ行く音が聞こえる。
ん?ていうか吉井君が取ってくるってことは、アタシの下着が見られるんじゃ……。
恥ずかしいけど吉井君ならいいか。なんて考えてる自分が1番恥ずかしい。
そうこうしている内に足音が聞こえてきた。
「木下さん、持ってきたよ。洗面所のドア開けるね」
「ちょっとまって今は……」
吉井君がドアを開ける。
アタシが洗面所に裸でいるにもかかわらず。
「きっ、きき、木下さん?!なんで洗面所に?」
「いいから出て行って!」
吉井君に裸を見られてしまった。恥ずかしいっていうより悲しい?感じだ。
「ごめん木下さん。わざとじゃないんだ」
「別にいいわ。それより、こっちこそごめんなさい。見たくないものを見せてしまって。 」
「そんなことないよ!木下さんの体、すごく綺麗だったよ。って、僕は何を口走ってるんだ!!」
「そう……」
綺麗って、綺麗って言われた。嬉しい。嬉しい過ぎて死にそう。
「それより、アタシは着替え終わったからシャワー浴び来ていいわよ」
「じゃあお言葉に甘えて」
アタシは、吉井君と入れ違いに洗面所を出てリビングへ向かう。
今日は、吉井君といっぱい話しができて疲れてしまったのか、いつの間にか意識が遠のいてしまっていた。
「よし、い君?」
「目が覚めたみたいだね」
アタシの体の上には毛布がある。アタシが風邪をひかないように吉井君が毛布をかけてくれたのだろう。
やっぱり。
「吉井君のこういう所が好き」
「え!?」
やばい、声に出てた!
「いや、今のはついでちゃって」
「でも僕は、木下さんのこと好きだよ」
「本当に?友達としてとかじゃなくて?」
「うん。友達としてとかじゃなくて1人の女の子として好きだよ」
「嬉しい……アタシも吉井君が好き」
吉井君がアタシに腕を回し抱きしめてくる。アタシも吉井君を抱きしめ返す。
「あの……、キスしてもいいですか?」
「いいけど、 アタシ始めてよ」
「僕も始めてだよ」
アタシは、目を閉じる。
吉井君の唇とアタシの唇が重なる。
あんなに大好きだった吉井君が、今はこんなに近くにいて抱きしめてくれる。
なんて幸せなんだろう。
「木下さん。僕と付き合ってください」
「順番がおかしいじゃない。バカね」
フフッ、とアタシが笑い吉井君は苦笑いをする。
そして、アタシは再び吉井君の唇にアタシの唇を重ねる。
「アタシも好きよ」
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