珍しくペースが上がらん。ガルパイベも捌いている所為か?
或いはプリコネの育成か……。
そして、誰かシルヴァリオ・ヴェンデッタの二次をと思う日々。
なんなら戦神館でもよろし(燃えゲー好き)
私にはあのキャラの濃さは書けないのだ……。
と、私の欲望はさておき、原作一巻辺り終。
この後、幕間を二つぐらい挟んだら狼さん編へ。
「もう暫くは働かんぞ俺は」
「それが白昼堂々、
虎穴に入らずんば虎子を得ず―――東京は秋葉原にある
「素晴らしい。何て晴れ晴れしい気分だ。サボりで得る休日ほど甘美なものは無い。そうだろう? 甘粕くん」
「流石は我らが王、民の気持ちに多分な理解が御有りですねェ~」
おぬしも悪よのぅ、いえいえそちら程では、と。今にもあくどい笑いが聞こえてきそうな雰囲気のまま片方は純愛系のクッソ甘ったるい恋愛モノを、もう片方は可愛らしい少女二人が書かれた主に
「と、それはともかく、真面目な話。こんな所にいて宜しいので? 閉塚さんの成績の程はこちらも知っていますが、出欠席の方は姫凪さんが黙っていないでしょう?」
「ん、あいつは色々用があって学校にもウチにも来てないよ。ほら、金沢での事後処理があるだろ? だから今日は沙耶宮の方だ。甘粕が今現在進行形でサボれる理由に繋がっている」
そう。『まつろわぬ神』が出現したことでうやむやになりつつあったが、元々は不穏分子の一掃こそが目的であり、桜花が金沢に出向いた要因だ。事後処理は本来、正史編纂委員会の現地員が行なう予定であったが、不穏分子らの持ち込んだ呪具が原因で『まつろわぬ神』が発生したことから不穏分子の評価が改められ、桜花も参加することとなった。
こと戦闘において『まつろわぬ神』か神殺しでも出現しない限り、桜花は日本最強を名乗れる達人である。特に派閥の縛りもないため動かしやすく、沙耶宮との友好も深いため借り出されていた―――最も切り札は使い切っただろうから桜花に仕事が回ってくるか、果たして疑問だが。
「成る程、そういえば『まつろわぬ神』の一件で完全に忘れられていましたが元々は不穏分子の一掃でしたねえ。一応、組織を代表してそちらに御迷惑をかけたことを……」
「迷惑うんぬんならこっちの方が倍だ。一々謝罪はいらないさ。ああ、でもそれでもするなら九州のご老公たちに言ってくれ。桜花はそっちが元鞘だ」
呪術界を統べる正史編纂委員会とはいえ、全てが全て、正史編纂委員会に属するわけではない。『民』などが正しく代表例だし、あくまで独立した組織としてあり続ける所もある。高千穂峰に住まう山岳信仰を元とする修験道の一派……桜花が所属していたところも正にそれだ。
「古神道よりの修験道、いえ元々は古神道を歩んでいたんでしたね」
「ああ。ほら、霧島山にあった霧島神宮を初めとした霧島六社権現は何度も焼失した影響で場所を変えたろう。桜花の一派は旧大社の場所に残ったものたちで、今は霊峰高千穂峰を中心に組織された修験の一派さ。今の人から見れば修験道にしても旧いに変わらんが、裏の連中から見たら比較的新興の組織だな」
余り歴史的背景や政治事情に興味を持たない衛であるが、流石に身内ごととあって大まかには事情を把握しているらしい。
「あの辺りは昔から霊峰として山岳信仰の中心地でしたからね。天孫降臨の伝承地でもあり、修験道こそが本来の形なのでしょうし、ある意味、今残っている一派が正道と言えないこともありません」
「一応、正史編纂委員会としては現在の霧島六社権現の方が正当なんだろ。ま、向こうもその辺は気にしていないから良いんじゃねえ? 前に檀翁にあった時、「信仰の形は自由なり、その形の真偽など我らが奉ずる、いと高き者らが気に留めることではないでしょう。所詮、形など人が定めたゆえに」なんて言ってたし、祈りの所作こそが真に大事なのだとよ」
「……流石、やれ正道邪道と流派の違いや権益の問題で騒ぎ立てる方々に聞かせてやりたい言葉です」
「さて、あの人は仙人に近いからな。世捨て人っていう言葉が現代には合うかな? 俺が言っても降りてこないだろうよ……ま、孫娘を口実にすれば或いはだけど」
話題の御仁は
「そういうわけで桜花は不在。俺は晴れて自由の身ってわけさ」
「成る程、後が怖そうですが……まあ頑張ってくださいと。では?」
「ああ、
「ええ」
そういって相変らず趣味に自由なサボり魔二人。昨今、外国人にも注目を浴びているがため、往来に立ち止まる外国人や地方から来たであろう人々を避けつつ、迅速に目的地へと歩く。その間、話題はやはり八人目の王に関するものに変わる。
「ところで東京といえば、こっちはこっちで大変だったみたいだったそうだな?」
「ええ、『まつろわぬアテナ』の影響で停電が。後処理は変電施設のうんぬんとで誤魔化しが効きましたが……って、その話はしましたっけ?」
「サークル経由の情報さ。知っての通り東京にも友人は多いし。FPSやってる最中に電源落ちたと悲鳴が耳に幾らでも入って来たんだよ」
「サークルっていうと『女神の腕』ですか。まさか、コミケの一サークルが世界屈指の魔王に従えられた手先だとは誰も思わないでしょうねェ」
「おいコラ。人が所属するサークルに物騒な曰くをつけんじゃねえ。本当にただのサークルだったんだよ……ただいつの間にかこうなった」
「何をどうしたら
衛を筆頭に集まった
―――まさか、神殺しの旗下、直属の魔術結社モドキとは誰も夢にも思うまい。
「知らねえよ。気付いたらこうなってた。本場の知識を得た
「嫌な伝播ですね……」
日本文化のあんまりな伝わり方に流石の甘粕も顔を顰める。それは衛も同じらしく憮然とした顔で居る。この話題は静かにフェードアウトした。
「まあ身内話は良い。ともかく、八人目だ。率直に言って甘粕はどう見るよ」
「さて……まあ、好青年と」
「ほう……。好青年ね。その割には随分と女関係で爛れている、と資料にはあったようだけど?」
「少なくとも女難の相がある毛は否めませんねェ。早速、武蔵野の巫女……万理谷祐理さんも絆されていたご様子で」
「おいおい、あの夜叉姫が? マジかスゲエな尊敬するぞオイ」
「……そういえば貴方の天敵でしたか」
日本で稀少な『媛』と呼ばれる巫女、万理谷祐理。彼女と衛とは確かに面識を持っていた。主に桜花の繋がりで。まあ他にも最古の神殺しとの一件でも縁がある。そして……相性うんぬんで言うなら猫と鼠の関係であった。勿論、衛が鼠で彼女が猫だ。
「気質を考えるに天敵も天敵ですね」
「ああ、ヒキニートにはキツイ生真面目な娘だ。桜花はアレでなんだかんだ相手を尊重して、信じて動くまで促すだけの見守るタイプだからな。アレだ、包容力がある」
「それ、駄目人間製造機という奴では?」
「そうとも言うかもしれない」
いけしゃあしゃあという
「そうか、あの夜叉姫が……なんだ、夜叉じゃなかったのか」
「人によるでしょうそれは。特に貴方方の友好を詳しく知るわけではないですが彼女が夜叉となるなら十中八九原因が閉塚さんにあるというのは私でも分かりますよ」
「不敬だぞこのやろう。沙耶宮にまたチクろうか?」
「止めてください死んでしまいます」
先日の悪夢が蘇えったのか甘粕は大仰な態度で身を震わせる。どうやら国家公務員も大変なようだ。安月給で過剰労働。可哀想に。
「誰のせいだと思っているんですか、誰の」
「さて、俺は知らん」
「……という話が逸れまくってますね」
「ああ、お互い休みでかなり気が抜けている証拠だな。……ま、いいさ。実のところ八人目がこの国を統べようが正史編纂委員会が向こうを王に迎えようが俺の知ったこっちゃない。動向を聞けって沙耶宮の奴に聞かれてんなら委細任せる好きにしろって伝えて置けよ。俺は面倒はゴメンだし、身内に手が出されなきゃ動くつもりも無いしな」
ひらひらと手を振り興味ないとの態度を取る衛。ただでさえ、政治に興味を持たず加えて放任主義も相まってそういった組織の運用に興味を示さない衛は身内以外に関心を示さない。
「では、そのように。それにしても相変らずですねえ」
「そう? 別に権益とか興味ないし、何なら外国の友人ところに身を寄せてもいいしな。アキバから離れることにさえ目を瞑れば衣食住揃った引きこもり環境さえあれば地の中水の中ってね」
引きこもりという単語と『堕落王』の名も加わり、よく不精と称される衛だが、実はフットワークが軽いということを甘粕は知っていた。好きか嫌いか、興味があるかないかという二極端を基本的な行動原理とする衛は環境さえあるならば日本でも外国でも構わないという性格をしている。
ようは細かいことに頓着しないのだ。よく言えば懐が大きく、悪く言えば大雑把。加えて、趣味人……オタクに限らず……一つのことを邁進する者ら、変人らに好かれる妙な人徳がある。本人がどうあれ、基本を庇護者としてあるあり方、何事をも好きか嫌いかで受け入れる気質は、他者から押し付けられることを良しとしない己の道を往く者に好まれるのだろう。
「だから
「それは逆に困るんですが……実際、それを危惧する声もありますしね。特に英国方面との繋がりが強いじゃないですか、閉塚さんは」
「アリス嬢とアレク
さも親しげに衛が呼んだ二つの名前は英国に身を置く『賢人議会』元議長という重鎮アリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールと魔術結社『王立工廠』率いる
「恩人とは?」
「神殺しは成り行きだったからなあ。右も左も分からない頃に出会ったのが丁度、騒ぎに遅れて駆けつけたアレクだったってわけ。その後、なんやかんやあって盟を結んで今の友好へってね。アレク不在時、代理で『まつろわぬ神』の案件を片付ける役目も兼ねてアリス嬢とも」
基本受け身な気質の衛だ。よっぽど相手に問題が無ければ例え神殺しでも問題は起きない。まさにそれを証明したのがアレクと、居合わせたアリスであった。『堕落王』と名を贈ったのも他ならぬこの二人である。
「身内びいきと取られても良いけど、アレクもロクデナシだが、クソ爺と噂に聞くサルバトーレ・ドニよか全然マシだろ。俺、どうにも戦闘狂に好印象は持てないんでね。まだ傍迷惑の方がマシだ」
バルカン半島を統べるかの王と一件あったのは周知の事実だが、顔に明確な嫌悪が浮かんでいる辺り、その相性の悪さが分かる。守りの王である衛と好戦的な王とでは相性もとことん悪いのだろう。態々、口に出す程度には。
「なんで、新たな王に関してはよっぽどじゃない限り放置だ。聞く限り女のために騒動の原因を持ち込んだんだろ? なら俺的には無問題。これが戦いの高揚を得るためとかふざけた理由なら助走つけて殴りに行くけど……」
「それは分かりかねます。ですがまあ取りあえず、どちらも動かないということですか」
「向こうは知らんがこっちは様子見だな。機会があれば顔合わせぐらいはするかもだが……。ま、暫くは有給休暇さ。桜花が戻ってくるまで三日はある、その間、休日をかみ締めさせてもらうさ……ふふ、一体幾つのゲームが捌けるかな?」
「楽しそうですね。ていうか休暇じゃなくてサボりですよねそれ?」
「問題ない。もう直ぐ卒業だし、大学適当に済ましたら俺は晴れて自由の身だ。就活の二文字は俺にはないしな!」
「駄目人間、此処に極まれり。ですか」
その後も、のんびりだらりと互いに言い合う駄目人間たちは秋葉原の街を流離う。似通った趣味を理解するもの同士、会話も盛り上がりながら鬼無き休日を過ごしたのであった。
―――因みに。後日、サボり魔二人は晴れてその罪状が晒され、衛は四時間にも及ぶ説教とご機嫌取りで提案した桜花とのデートに、甘粕はエリカ・ブランデッリによって動きつつある内部情勢、特に『民』に関するものたちへの調査に借り出される嵌めになる。果たして前者が罰なりえるのか甚だ疑問だが。
今回は短め、身内周りを少しと。
まあ短めというかこれぐらいが本来なのですが。
前回が可笑しいのだ……。
では、私は周回に戻るとしよう……(駄作者)