それは、ある日の昼休みの事だった。空と弁当を食べている時に「ソレ」はやってきた。
「今日も元気だ弁当と百合が美味いッ!」
「それは良かった、あの二人今日も飛ばしてるみたいだしね」
「うん…本当好き…夫婦だもんあの二人…」
「夫婦ってまた面白い例えだねぇ」
「いや結婚しててもおかしくはない…」
そんな時だった、私の心を切り刻む災厄が訪れたのは。
「デース!」
「ソレ」は、その声と共に視界に入ってきた。特徴的だったのでふとそちらを見た。
「星奈?どうかした?」
「いや…あの二人」
「ソレ」は一つ後輩の生徒の二人組、一人は金髪のショート、一人は黒髪のツインテールだった。
「ああ、暁さんと月読さんだね。一つ後輩で最近入ってきたって言う」
「へぇ…」
「ソレ」は認識した瞬間に、私の心を切り刻んだ。
「やっぱり調の手は冷たいデス!暑くても気持ちいいデス!」
手を繋いでいた、人目をはばからず。楽しそうに。その瞬間に私の語彙力が塵と消えた。
「そう言う切ちゃんの二の腕だって冷たい、程よい気持ち良さ」
「ちょっと、調くすぐったいデス!調もくすぐるデス!」
そう言って暁さんが月読さんに抱きついてくすぐり始めた。私の思考が…消えた。目の前の暴力になすすべなど一つもない、そう悟った。認識がなくなり二人のやりとりが頭に入ってこない。だが最後だけははっきり聞こえた。
「やっぱり調大好きデス!」
「うん…私も切ちゃん大好きだよ…」
…と、それからすぐ意識を取り戻した。
「星奈!?ねぇ大丈夫!?」
「…えっ、あっ…あぁ…どうかした?」
「どうかしたのはこっちだよ、あの二人見るなり固まってうわごと呟いてるんだもん」
「いや…あの…あの二人がヤバすぎて…何…アレ…」
私は言葉を絞り出すのがやっとだった、目の前の「アレ」はなんだったのか。言葉にできない、したくない。したらもう一度あの感覚を味わうのかと思うと…そもそもあの感覚はなんなんだ…?初めて立花さんと小日向さんを見た時だってああはならなかった…
「星奈!?またボーッとしてるよ?」
「ハッ…」
「ホントに大丈夫?」
「大丈夫…どこも痛くないし悪くない、ただあの二人が…ヤバイ」
「教室戻る?」
「うん…」
私は教室に戻った後ひたすらぐでんとしていた。さっきの「アレ」はなんだったのだろうか、何故手を繋いでいたのか、何故全く人目もはばからずイチャイチャしていたのか、何故公衆の面前で「大好き」などと言い合えるのか。何も分からない、それに今は脳が分かることを拒んでいる。そんな気がした。
「空…」
「ん?」
「ちょっと寝るから授業始まったら起こして…」
「うん、分かった」
少しして起こされた後、授業中も上の空だった。立花さんと小日向の絡みも今日は全く頭に入ってこなかった。そして帰り道でも何度か空に呼び掛けられて返事するくらいにはぽやんとしていたらしい。そして家に帰り枕をかぶる。
「なんなんだろ…アレ…」
さっきよりは頭が動く、そうすると「節操がない」と言うワードが出てきた。
「ああ…そうか、節操がないのか…確かに立花さんと小日向さんは多少なり人を弁えてるから…なるほど…」
私は一人で納得した後、疲れ切った頭を癒すようにまたしばしの眠りについた。
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