インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 短編集   作:妖刀

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まず1作目は本編で出した「かげろう」から。



さて、この切り出しから行きますか。

これは航が2年生になり、そんな彼と3年生になった刀奈のお話である。そう、これは怪獣たちの脅威がもしかしたら緩く、そして航に対しての不幸があまりなかったかもしれないお話である。


かげろう

ここは一夏の地元の街。そこで今年も花火大会が行われることとなり、篠ノ之神社ではたくさんの屋台が上がっていた。

そんな神社の境内の下。そこにある鳥居に1組の男女がいた。男の方は黒のTシャツにジーンズを合わせた格好をしており、女は水色をベースに華やかな模様がついた浴衣を着ていた。

2人の名前は篠栗航と更識楯無……いや、更識刀奈。彼らもこの祭りに参加するのであった。

 

「航、また今年も一緒に来れて良かったね」

 

「ああ、そうだな。……それにしても俺、あの書類をよく捌いたな」

 

「あれぐらい出来て当然よ?私が生徒会長の頃は今よりもひどかったんだから」

 

「うげぇ。あれよりもかよ……」

 

思い起こすは生徒会室に山の様に溜まっていた書類の数々。それを航含む、新しい生徒会の面子で必死につぶしていったのだ。そう、すべてはこの日のために。

 

「ふふっ。でもよくできたわね、よしよし」

 

笑みを浮かべた刀奈は彼の頭をなでる。その心地よさに航は目を細め、彼女の手の動きに合わせるように少しだけ頭が左右に揺れる。だけど、周りの視線がこちらに集中してることに気付いたのか、撫でるのを止め、2人は境内に向かう階段を昇っていくのであった。

今現在時刻は午後5時。境内に並ぶ屋台はすでに繁盛しており、浴衣を着た老若男女が沢山いる。その中航たちも混じるが、離れないように航が刀奈の手を握り、あちこち屋台を物色していく。気づけば2人の手には焼きそばやたこ焼き。そして水の入ったヨーヨーとかも持たれている。

途中、弾たちにも会い、二人の仲の良さに弾が血涙を流したりしてたが、IS学園の誰か紹介しようかと刀奈が言い、それでとても喜んだりしていた。

そんな弾とも別れ、2人はまだ花火まで時間があるため、何か景品とかそんなのを狙いに屋台を見ていく。

 

「あ、一夏たちだ」

 

「あらあら」

 

その時、一夏と専用機持ちたち合わせて5人が人混みの中歩いてるのを見つけた。すでに手には様々な景品や食べ物が持たれており、すでに祭りを満喫してるようにも見える。

この時、箒が先にこちらに気付き、何かに気付いた一夏がこちらを向こうとしたが、箒がとっさに彼の頭を前の方に向かせ、軽く会釈してまた人混みの中に消えていく。

 

「何か楽しそうにしてたわね」

 

「ああ、そうだな」

 

「あっ。ねえ航。金魚すくいをしましょ!」

 

彼女が指さすは、たくさんの金魚が入った大きな容器だ。目を輝かせて自分の手を引っ張る姿を見た航は、小さく笑みを浮かべて刀奈に付いて行く。

そして航と刀奈による、金魚すくい勝負の火ぶたが切って落とされた。

 

 

 

 

 

勝負の結果は刀奈が勝ち、あれから2人は花火が良く見える秘密の場所にやって来た。そして備え付けのベンチに腰掛けており、お互いに楽しそうな笑みを浮かべている。

 

「あーあ、負けた負けた。さすがに去年のようにはいかないか」

 

「そりゃ悔しかったんだから、私だって練習するわよ……。婆羅陀魏社にこれで愚痴ったら数日後にそのセットが届いたのは驚いたけど……」

 

「あれはな……そして金魚は付いてなかったし」

 

不意に去年の事を思い出す。いきなり届いた金魚すくいセット。使い道が他に無いか困ってたりしたが、何やかんや航に勝つまでは成長は果たしていた。

そして現在、航の手には他の屋台で獲った景品とか持たれており、刀奈はそのうちの1つ、亀のぬいぐるみを抱きしめていた。

 

「航、やっぱり祭りって良いね。とても楽しいわ」

 

「俺もだ。まあ、来れるとは思わなかったけどさ」

 

「去年もそうだけど、今年も来れてよかったわね」

 

「だよなぁ……」

 

思い返せば、いろいろなことがあった。様々な怪獣の出現。そして航関連の事件。おかげで航の精神が1回壊れるわ、一夏が大きなペットを学園で買い始めるわといろいろ起きた。

それで大丈夫なのかと思ったが、時間という物は、これらをどうにか解決してくれるというのがよく判った。

 

「また来年も来たいね」

 

「そうだな。また来年も……」

 

「航」

 

「ん?んっ……」

 

刀奈に呼ばれ、彼女の方を向くと、その唇が航の唇と触れたのだ。そのままどちらかとなく舌を伸ばし、お互いの舌を絡める。

そして刀奈が顔を離し、2人の口の間に銀色の橋ができ、ぷつりと切れる。頬を赤らめた刀奈の姿はとても扇情的で、航は彼女の肩を掴み、そして鎖骨らへんに顔を近づけて舌を伸ばした。

 

「んっ……」

 

顔を赤らめ、恥ずかしそうにする刀奈。だが抵抗するそぶりは一切見せず、ただ航になされるがままになっていた。体もあちこち触られ、浴衣も少しはだけている。その姿はとても航のナニカを引きずり出すには十分で、刀奈は熱い吐息を漏らす。

そして航の手は、刀奈の浴衣の裾に触れられた。

 

「わ、航。そこは……」

 

裾が少しずつ上げられていく。抵抗しようとしたが、体が言うことを聞かない。そして太ももまであげられようとした時だ。

 

 

ヒュ~……ドォォン!!!

 

 

彼らの頭上を大きな花火が夜空を照らし出した。そう、打ち上げの時間になったのだ。それによって同時に正気に戻ったのか、航は誤魔化すように花火を指さし、刀奈も急いで浴衣を着直す。

 

「は、花火が上がったよ」

 

「え、えぇ。そうね……」

 

2人は空を見上げ、打ち上げ花火を眺める。様々な色や形。大きい物や小さい物多種多様に上がる花火はとても綺麗で、ただ2人はそれに見惚れていた。

そして刀奈は彼の肩に頭を預け、そのまま彼の腕に自分の手を絡める。ドンドンと花火が鳴り響く中、ギュッと彼の手を握りしめた。

 

 

 

 

 

花火も終わり、祭りもその後時間をあまり置かずに終わった。たくさんの人々が帰途に就く中、航たちもIS学園に向けて帰途に就いていた。

 

「ねえ、航。綺麗だったね」

 

「ああ、そうだな。今年もとても良かった……刀奈?」

 

この時、刀奈が頬を膨らまして不機嫌そうに彼を見つめてることに気付き、航は困り顔で首をかしげる。

 

「もう!こういう時は私の方が綺麗だよ、とか言ってよ!」

 

「あ~、そういうことか。あはは、すまんすまん」

 

「も~!」

 

苦笑いで誤る航に頬を膨らましたままの刀奈。その時、何を思ったのか航は両人差し指で刀奈の膨らんだ頬をつつき、彼女の口から空気が漏れる。

いきなりの事で混乱する刀奈。その反応が面白かったのか、航はケラケラと笑う。

 

「な、何するのよー!」

 

「いやー、ついしてみたくなった。とても可愛い反応でホント良かった」

 

「もう、調子がいいんだから……」

 

プイッと顔を逸らす刀奈。でもその口元には小さく笑みが浮かび上がっており、既に先ほどの不機嫌さは消えていた。

そして刀奈は、ふいにあることを聞いてみた。

 

「ねえ航。私と花火、どっちが綺麗?」

 

「うーん、どっちも綺麗だし、それに綺麗の基準が違うから選べないよ」

 

「どうして?」

 

「花火はああやって輝かしくて綺麗だけどさ、一瞬で儚く消えてしまうよな。でも刀奈はそうじゃなくて、今も何も変わらずここにいてくれる。その暖かさとか俺は……好きだな」

 

少し恥ずかしいのか、目をそらして赤い頬を掻く航。そういう刀奈は、照れてる航が愛おしく思ったのか、ギュッと彼の腕に手を絡め、体を密着させる。

 

「刀奈?」

 

そして少しつま先立ちになりながら、刀奈は航の頬にキスをする。航は少し驚いていたが、唇が離れるとそのまま彼より先に進んで、そしてくるっと振り向き、ニコッと笑みを浮かべていた。

 

「私も貴方のこと、好きよ。航」

 

街灯が彼女を照らし、その姿に航は見惚れてしまう。刀奈はそんな航を見てクスクス笑っており、それにつられて航も笑いだす。

 

「さあ、帰りましょ。IS学園へ」

 

「ああ、そうだな」

 

星空が照らす夜。2人の影は重なり、ずっと1つにつながっていた。




実際こうなるか分かりませんが、ただ2人にはずっとつながっていてもらいたいものです。

それにしても打上花火っていい曲ですよね。自分は夏祭りも好きですけど。




さて、次回のお話はどんなのになるのかな・・・。
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