SF、ファンタジー 私的短編物   作:セビンリア

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 ここは、とある惑星。
宇宙船開発だけは進みに進み、宇宙船を使うのは当たり前になった。
 だが、どうしてだろうか。この星には宇宙人が全くと言って良いほど来ないのだ。
それもその筈、この惑星は宇宙の一番端に在り、且つこの惑星に住んでいる者しか、
ここに惑星が在る事をほぼ把握していない。

 ・・・そんな惑星にここを探し当てた超能力持ちの宇宙人が1人やって来たのだった。




宇宙人A

 

 

「バレてはいないな。しかし、宇宙船、壊れたな。まぁ、良いか。

故郷ではもう死んだのと同じ扱いだしな。この惑星で暮らすか・・・」

自分でそうぼやいた。

 

 その後船体のどこかを見回しスイッチを見つけて押す。

途端に宇宙船が首飾りの宇宙船になる。それを首に掛ける。

 

「さて、どこへ行こうか・・・」

 

 タァン!

 

突如、銃声と悲鳴が聞こえる。急いでその場所に向かう。

 

 

 

 

 その場へ行くと男性が女性に銃を向けていた。

 

「いやっ、いや・・・」

「グッフッフ、さぁ嬢ちゃん大人しくして貰おうか。・・・それとも死んでからして欲しいか?」

「いや・・・」

 

 

 強姦、そう思いサッと男性へ距離を詰める。

 

 

「ん?、うわぁ!?な・・・ゴハッ、ガッ!?」

 

 驚いた男性の顔面へ1発拳を入れた後、鳩尾へ1発入れる。前かがみになった後で

くの字に倒れていき、頭から地面に崩れた。男性を気絶させたようだ。

気絶させた後銃を取り上げ、どこかに弾を持っていないか調べる。・・・無かった。

 

 ・・・それにしても実弾を使うのか。宇宙船開発が進んでいる割には後進的だな。

 

財布を取っておく。ごろつきだろうし、良心が痛まないし、所持金欲しいし・・・。

 

「あ、あの」

「ん?」

 

 女性を助けたのを忘れていた。

 

「有難う御座いました。・・・助かりました」

足を撃たれている。撃たれた所を庇いながら近寄ってきた。

 

「・・・動くな」

「え?」

 

 女性がピタリと止まる。その女性に近寄る。

 

「傷を見せろ」

「は、はい・・・」

 

 女性が傷口を見せたのでそこに手を当てる。軽く念じる。

 

「あ、あれ!?」

女性が素っ頓狂な声を上げる。傷口が塞がっていた。

 

「さ、これで良いだろう。じゃあな」

女性に先ほどの銃を渡して、女性を背にして歩き始める。

 

「あ、あの!。お名前を?」

「名乗るほどの者ではないさ!」

 

そういって、早々にその女性から立ち去った。

好みじゃなかった。この一言に尽きた。

 

 

 

 

 都市がある、と思われる方角へ歩いているとまた悲鳴が聞こえた。

さっきと同じような状況だった。

 

・・・・・・

 

「あ、あれ!?」

女性が素っ頓狂な声を上げる。傷口が塞がっていた。

ここまでは同じ状況だ。ちなみに弾は気絶させた男が持っていたので失敬した。

 

「お嬢さんどこかに宿泊施設などは有りませんか?」

好みだった。出来ればお近づきになりたいが・・・。

 

「あ・・・で、では私の家に泊まりませんか?。貴方が居ると心強いです」

「・・・はい、私で良ければ」

ひとつ返事で良いと言ってしまった。運が良いと思った。

 

 

 

 

 女性の家に案内された。その家に入って椅子に座るように言われた。

 

「先ほどは有難う御座いました。私、ゼットと申します」

食事を振舞われ食べているところで自己紹介をされた。

 

「貴方の腕を見込んでお願いがあります」

なんだかこの女性に引き込まれているような感覚がした。

 

「・・・何でしょうか?」

「銀行にお金を預け入れていたんですが、それが無いと言われてしまいましてね」

通帳を見せてくるが文字が分からない。文字数が多いので、おそらく大金が入っているのだろう。

 

「貴女はそれをどうしようとお考えで?」

「取ってきて欲しいんですよ。力ずくになりますのでお気をつけて」

「地図は有りますか?」

「ええ、地図はここに。・・・今、私たちはここに居ます」

ゼットが地図に印をつけた。

 

「そして銀行がここにあります」

もうひとつ印を付ける。

 

「そして銀行の見取り図がこれです」

 

 銀行の建築時の図面を私に見せた。これも文字は読めない。

ゼットはその中で一番大きな部分を指差した。

 

「一番大きな金庫の中身全てが私の預け入れているお金です。

それの奪取を今回、貴方にやっていただきたいのです」

「分かりました。やってみましょう」

「車を使ってくださいな。運転は出来ますか?」

「勿論です」

「ふふ、頼もしいお方。お願いしますね」

 

 

 

 

 銀行まで来た。人目が無い時を見計らい、自身の能力を込めて銀行の壁に1発弾丸を発射する。

大穴が開いた。見取図の通り、ここが目的地のようだ。

 車を開けた穴に入れて沢山の紙と金属を車に入れていく。この惑星の通貨で良いのだろう。

 

 

 作業が終わったところで、警報音が鳴り響いた。こちらに近づいているようだ。

建造物を壊したのだ。おそらく、私を捕まえる為の者達が来るのだろう、と思い車に戻る。

 

 車を発信させたところで警報音を鳴らす車が前に出てきた。

ぶつかるところをすんでの所で車を宙に浮かせることに成功した。

 

「マジかよ!?」

「あんなの初めて見たわ!?」

 

 最後の声、最初に助けた女性だったような?。・・・まあ良いか。

車を見えないように念じて帰る場所へ向かう。

 

「消えた!?。マジかよ!?」

「あんなの初めて見たわ!?」

 

・・・もう一度言うのか。

 

 

 

 ゼットの周辺まで着いたので着地した後で姿を見せる。少し疲れた。

ゼットが家の前で待っていた。

 

「まあ、やってくれたのね!。ありがとう!」

ゼットが手を握ってきた。嬉しい限りだ、自分の顔が火照っている様に感じる。

 

「どういたしまして」

「寝床は用意してあるわ。今日はゆっくり休んでいってね」

「有難う御座います」

「何ならもっとやって欲しい事があるんだけどぉー?」

顔を近づけながら言って来る。

 

「やりましょう」

「そう言ってくれると助かるわ。でも、今日は貴方の寝室へ案内するわ」

「はい」

 

 ゼットは部屋に案内した後、どこかへ行ってしまった。

・・・期待していたのと違うのだが・・・。

まあ、良いか。昨日の今日で関係を迫るのは早いな。

 

 

 

 ゼットに借金を返さないという男へ金を返して貰って来てくれという依頼を受けた。

・・・あっさりと上手くいった。といっても金庫を銀行の時と同じく破壊して開けただけだ。

金を返さなかった男は、口を塞いで簀巻き状態にしておいた。生きている。

袋に入れた金銭を肩に担いだところで、

 

「待ちなさい!」

「ん?」

ゼットの所へ帰ろうとするところで、ここに来た初日に助けたあの女性に出くわした。

 

「あ!?、・・・貴方だったのね。大人しく捕まりなさい!」

「遠慮するよ。じゃあな!」

 

私は女性から脱兎の如く走り出す。

 

「あ!?。もーぅ!。速過ぎるわよー!」

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 数日後、ゼットから鉱山から宝石を取ってきて欲しいといわれた。

鉱山の入り口が看板で塞がれていたが無視する。

ある程度宝石を拾って帰ろうとすると、

 

「待ちなさい!」

「ん?」

またあの女性だった。崖の上に立っている。

 

「あ!?、・・・また貴方だったのね。大人しく捕まりなさ・・・キャ~!」

前が崖だというのを忘れて一歩踏み出してしまった。女性が落ちていく。

 

「よっ!、・・・と」

落下地点へ素早く移動して女性を助ける。

 

「ひゃ!。・・・あ、あれ?」

無事に抱きとめることに成功した。

 

「大丈夫か?」

「あ、・・・ありがとう」

顔を赤くしている。

 

「危なかったな」

「・・・」

 

カチャリ、

 

「ん?」

「・・・御用よ。大人しく更生して頂戴」

両手に手錠を掛けられてしまった。

 

「君が、か?」

「え?、・・・えぇ!?」

女性の両手に手錠を移しておいた。自分の手を見て驚いていた。

 

「では、な!」

女性を降ろして早々に立ち去る。

 

「ちょ、ちょっとー!?」

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

「ゼット」

「なあに?」

「なあ、良い事しようや?」

「ふふっ、貴方のことは気に入っているわ。・・・でも、私は身持ち固いわよ?」

「・・・ハハ、まだまだ先になりそうだ!」

「期待してるのー?」

「ああ、期待してるぞ~?」

「やーねぇ!」

 

ゼットに腹を小突かれた。

 

「いて!。アハハハ・・・」

「ウフフ・・・」

 

ゼットとは良い関係になりそうだ。

 

 

 

 

 ある時、ゼット宛に電話が鳴った。

 

「・・・え!?、ちょっと待ってよ!?。・・・分かったわ。今から行くわ」

電話を終えた。

 

「ちょっと出掛けて来るわ。留守番をお願いね?」

「何か問題でも?」

「家族がすぐに来てくれだって・・・行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

 

 

 

 ・・・帰って来たゼットは少し様子が変だった。

 

「・・・」

「大丈夫か?」

「・・・ええ、大丈夫よ。少し寝かせてちょうだい」

「・・・そうか」

 

 

 

 

 今回は燃料を返さない輩から現物を徴収する以来を受けた。

車の荷台に燃料満載の円柱の缶を詰め込んでいく。

満載にしたところで帰ろうとする。

 

「待ちなさい!」

「ん?」

またあの女性だった。今度は燃料缶の上に立っている。ポツンと1個あった缶の上に、だ。

 

 ・・・おつむ、大丈夫だろうか?。何故あの上に立つ必要があるのだろうか、いや無い。

あれか?、馬鹿は宇宙まで飛んで行く、の様なものなのだろうか?

 

「また貴方だったのね~!?。今失礼な事考えてたでしょ!?」

 

 ・・・表情に出てしまったのだろうか?、それとも思考を読めるのか?。

 

「今回こそ、大人しく捕まりなさ・・・キャ~!」

体制を崩して燃料缶を転がしてしまった。

 

「アワ、わ、わ、わ!?。と、止めて~!?」

缶の上に乗って足をばたつかせてそのまま缶と一緒に遠ざかって行く。

 

 転がって行く先に壁がある。あの速度では死んでしまう。

素早く近づき、サッと缶の上から抱っこして離す。

 

 ボウゥ~ン!

 

 缶が壁にぶつかってそんな音が聞こえた。中身の燃料が漏れ出していた。

 

「大丈夫か?」

「あ、・・・ありがとう」

顔を赤くしている。

 

「危なかったな」

「・・・」

 

カチャリ、カチャリ、

 

「ん?」

「・・・御用よ。今度こそ大人しくしてちょ~だい!?」

手錠を私と女性の双方に掛けていた。鼻息を荒くして私の顔を見ている。

 

「君が、か?。変な所に付けるんだな」

「え?、・・・なぁ!?、なんでぇ!?」

私の手に付いていた手錠を、身近にあった柵に移して付けておいた。

 

「では、な!」

女性を降ろして急いで立ち去る。

 

「あーも~ぅ!、待ちなさいよ泥棒ー!」

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

「逃がさないわよ!」

 

それから何度かゼットの依頼を受ける度にあの女性が居た。

 

「あら?、キャ~!」

 

ある時は建築物の骨組みの上から落ち、

 

「キャ~!」

 

また、ある時は溶鉱炉に落ちそうだったのを助けた。

 

 

 ・・・どれも手錠を掛けられたので彼女に移しておいた。

 

「もーぅ!、何で捕まらないのよー!?」

 

こんなやり取りが何回か続いていた。彼女と出会うのが楽しみにもなっていた。

 

 

 

 

「なあ、ゼット」

「なあに?」

「君は私をどう思っているんだ?」

ある時、ゼットに私への印象を聞いてみた。

 

「・・・内緒」

「教えてくれよぉ~」

「じゃあ、今度の依頼に成功した時、教えてあげるわ」

「約束だぞ?」

「ええ。・・・ふふふ」

 

ゼットの笑みを見ていると元気が出てくる。・・・でも、どこか悲しそうだった。

 

 

 

 

 またゼットに、依頼を受けた。

 いつも通り、車に満載にしていく。

満載にしたところで帰ろうとする。

 

「待ちなさい!。もう逃がさないわよ!?」

「ん?」

また彼女だった。

 

 ギイィィィィ!

 

「え?。あ・・・」

立て掛けてあった金属の板が彼女を襲う。あれでは死んでしまう。

 

「危ない!」

 

素早く彼女を抱えて板の下敷きになる所から逃げる。

 

 ズザァァァ!

 

 ズウゥゥゥン!

 

 間一髪、自分と彼女共に滑り込みで生きていた。

 

「怪我は無いか?」

「あ・・・うん、貴方の方は?」

「ああ、大丈・・・痛ぅ!」

 

滑り込んだ時に足を挫いてしまった様だ。我ながら情けない。

 

「・・・ほら、じっとしていて?」

 

 女性が懐から布を取り出して破る。

そこら辺にあった金属を当て木、ならぬ当て金属として私の足に巻きつける。

 

「あたし、貴方に出会ってから助けられてばかりよね・・・」

「・・・」

「貴方が犯罪者なのが、ホント嘘みたい・・・」

「犯罪者?」

「そうよ。私は犯罪者逮捕の国家公務員よ」

「私が、犯罪者・・・そんな馬鹿な」

「・・・あたしを疑ってるでしょ?」

「勿論だとも」

私は自分を犯罪者だと思っていない。

 

「貴方、最初の方は違かったけど、予告状を出してこういう事をやっているのよ?」

「予告状?。そんなの出していないぞ?」

「え?」

「予告状を出しているから君が来ていると言うのか?」

「え?。ええ、そうよ?」

「何回も失敗しているんだから、君以外にも人員を増やせば良いと思うのだが・・・」

「し、仕方が無いじゃない!?。貴方の事よりも優先度の高い事件があるんだから・・・」

「それが何か言えるか?」

「・・・この国、いいえ、放って置いたらこの星全土が火の海に包まれてしまうかもしれない事」

「そこまでの事なのか?」

「貴方、この国の事知らないの?。本当は外国人?。やけに言葉が達者ねぇ?」

「・・・ああ、外国人だ。ウソジャナイヨ?」

「ふふ・・・、まあ、信じてあげるわ」

 

 彼女の笑顔に思わず見とれてしまった。

顔を赤くする以外にこんな顔をするとは思わなかった。

 

「私が1人で貴方の予告状を受けて捕まえに来るのは、優先度が低い事だからよ。

あたしは貴方以外は既に何人か捕まえてるんだからね。それなりに信用されてるのよ?」

「それにしては、最初の出会いの時は私が助けてこそ・・・の、九死に一生の状態だったな?」

「あ、あれに関しては感謝してるわよ?。あんな手練れを相手にした事無かったんだもの・・・」

「・・・話は戻るが、火の海とは?」

「ああ、この国全土の掌握を狙う武装集団が居るのよ。

その鎮圧の為にほぼ出払っているのが現状なの。

しかも、まだ根城が分かっていなくて皆が躍起になって捜索している最中なのよ」

「そうだったのか。では、当初は君もそれの捜索をしていたのか?」

「そうよ。でも、私じゃ荷が重過ぎるって事で貴方の追っかけをさせられちゃってるのよ」

「私に恋でもしたか?」

「ち、違うわよ!?」

顔を真っ赤にしていた。

 

カチャリ、

 

「ん?」

「・・・手当ても終わったし、今回こそ一緒に来てもらうわよ?」

私の両足に手錠が掛けられた。私の顔を満足げに見ている。

 

「・・・どこに掛けているんだ?」

「え?・・・嘘ぉ!?。あたしこんなにお馬鹿だった!?」

手錠を彼女の両足に移して掛けておいた。

 

「手当てありがとな!」

そう言って彼女から急いで立ち去る。

 

 挫いた足が少し痛いが、特に問題無い。後ですぐに治せるし。

 

「あーん、もーぅ!。なんでよぉー!?」

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

「貴方に紹介したい人が居るの」

今回の依頼が終わった後で、ゼットにこう言われた。

 

「誰だい?」

「・・・入って来て」

 

ゼットの声と共に男が入ってくる。

 

「どうも、ゼットの旦那となった、ゼゼルスだ」

「旦那・・・。ゼット!、本当なのか!?」

急な事に信じられず、ゼットに問う。

 

「・・・ええ、本当よ」

「そうか、・・・おめでとう」

「・・・ありがとう」

 

 落胆、この一言に尽きる。今にも膝が地面に着きそうだ。

 

「君、明日ここで私達の結婚式をするんだ。来てくれるな?」

ゼゼルスが地図を見せてきた。ゼットの持っていた地図だ。会場を指差す。

 

「・・・勿論だ」

 

 

 

 

 ゼットの家から出て外の風に当たる。ふらふらと都市の方へ歩き出していた。

 

「あ!?、貴方、何でここに居るのよ!?」

彼女だった。今日はいつも見る服ではない。私服なのだろうか?

 

「ん、君か・・・」

「・・・元気、無いわね?」

「まあ、な・・・」

「恋人にでも振られたの?」

 

 あまりにも直接な問いに、膝と手が地面に着く。

 

「え?、図星・・・だったの?」

「・・・明日、結婚式、だそうだ・・・」

「・・・じゃあ、あたし貴方の奥さんにでもなっちゃおうかな~?」

「・・・」

「何とか言いなさいよ?。言ってて恥ずかしいじゃない?」

 

 私は立ち上がり、彼女を見る。頬が赤い。

 

「・・・その言葉、本気にするぞ?」

「・・・良いわよ」

彼女は赤かった顔を更に赤くしながら言う。

 

 思わず彼女を抱きしめる。

 

「キャ!?」

「・・・」

「・・・ふふっ」

彼女も私の背に腕を回してきた。

 

 

 

シュッ、シュッ、

 

しばらくしてそんな音が聞こえた。

 

「ん?」

「旦那様?、私との生活の前に、牢獄での生活が待ってますよ?。

ちゃんと反省してくださいね?」

私と彼女の腹に縄が括られて繋がっていた。

 

「これぞ、運命の縄!。あたしは貴方を捕らえて離さないからね!?」

 

 言っている最中で彼女の顔がまっ赤っ赤になった。

顔から湯気を出しながら私の目を見つめている。

 

「・・・有難う。・・・だが、また間違えているぞ?」

視線を彼女の腹に向ける。

 

「え?・・・そ、そんなぁ!?。え、いや、えぇ、ちょ!?」

縄を彼女に移しておいた。彼女は自身と私の腹を交互に見ながら狼狽している。

 

「嬉しかったよ。だが、まだ捕まる気は無い。またな!」

そう言って彼女から急いで立ち去る。

 

「もーぅ!。約束よー!?」

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

 ゼゼルスに言われた場所へ行った。

・・・この惑星ではこのような建造物が式場なのだろうか?

 

「・・・来たか」

 

ドアを開けると銃を多方向から向けられた。

 

「何の真似だ?」

「君にはご退場願いたいのだよ。この世からな」

「結婚式とは違うようだな?」

「結婚などしない。彼女達はもう、ひと足先に逝って貰ったよ」

 

 ゼゼルスは床を見る。

 

 

 ・・・ゼットの体が横たわっていた。

体中のあちこちに銃で空けられたであろう穴があるのが見えた。血が床に滴っていた。

 ゼットの他にも数人の体が横たわっている。

 

「自分の家族と君の名を口にしていたよ。好かれていたようだねぇ?」

「・・・貴様ぁー!!」

 

 

 ゼット、・・・好きだったよ。

 

 

「さて、そろそろ死んでもらうと・・・」

「動くな!」

 

 思わず振り向くと彼女が居た。銃を構えている。

 

 パァン!

 

「ぐぅっ!」

彼女に銃弾が当たった。

 

 タァン!

 

「ガァッ!」

彼女が撃ったのが誰かに当たったのだろう。

 

 それよりも彼女だ、私と同じ体の作りならば致命傷だ。

目にも留まらぬ速さで移動し彼女を抱き上げて移動する。

 

「なんて速さだ!。逃がすな、追え、追え~!」

 

 

 

 

 ゼゼルス達から大分遠ざかった。ここまで追って来るには相当時間が掛かるだろう。

 

 移動しながら彼女の治療はしていたが、失血が多かった。

彼女を横たえる。目と目が合う。彼女の目の焦点が合っていない。

 

「・・・」

 

 彼女の唇に口付けをする。

 

「・・・愛してる」

彼女に言った。聞こえているだろうか?

 

「あたし、も・・・」

彼女の言葉が止まり、体から力が抜けていく。

 

 

 - 言葉で、言えなかった・・・な・・・・・・ -

 

 

 彼女の思考がこう語っていた。・・・その思考も止まったようだ。

 

 

 しばらく彼女を抱きしめていた。

 

 

 

 彼女の銃を拾う。所持していた弾も貰っていく。

 

 

「行くのか?」

 

不意に声を掛けられた。男が立っていた。

 

「邪魔立てするならば・・・」

「止めやしないさ。これを持って行け」

「これは?」

「防弾仕様の盾だ。大方、弔い戦へ行くんだろう?」

「そうだ」

「お前がどれ程の奴かは知らんが・・・暴れるだけ暴れてこい」

「・・・勿論だ」

 

 歩き出す。奴等を殺す為に。

 

 

 

「居たぞ・・・!」

 

 タァン!

 

 試し撃ちで第1発見者を撃った。外れそうだったのを軌道修正し当てる。

頭が飛び散った。

 

「敵襲!、敵襲ー!。奴を殺せー!」

壁に隠れているであろう敵が言っている。

 

 タァン!、ドゴォン!

 

念を込めて撃ち建物の壁を一部壊した。あのうるさい奴も一緒に死んだだろう。

 

 

 一斉にワラワラと出てきた。

こちらを撃ってきたので盾で防ぐ、壊れないように盾を硬くする。

 

 先頭近くの地面を撃ち、硬い地面を破片弾にする。

何度かそれをやると直ぐに立っている奴等が少なくなった。

 

「篭城戦に移行しろ!、退け、退避!」

ゼゼルスの声が聞こえた。中に居るようだ。

 

 敵の全員が中へ逃げたので私も中に入る。

・・・いや、入らなくて良いようだ。燃料缶と同じ物が見えた。撃ち抜く。

 

 

 ボウゥゥゥン!、ドオォォォン!

 

 

 爆発する燃料だったようだ。爆発したと同時に弾と燃料が大量に爆発する音も聞こえた。

 

 爆風と同時に煙が来た。爆風はこの盾で防げる距離だったようだ。

・・・だが、爆風が無くなると同時に取っ手だけ残して砕け散った。

 

 

 

 

 ややあって、煙が晴れた。爆発した建物は土台だけになっていた。

・・・何か動いた。ゼゼルスだ。伏せて撃ってきた。

 

 

 ビシュン!

 

 

 光線銃だった。直撃を避ける。弾が頬を掠める。撃ってきた奴へ、狙い定めて1発撃つ。

 

 

 タァン!

 

 

「ガッ!あ・・・」

 

 肩へ当たった。奴の体が力を失い地面へ倒れた。

 

 タァン!

 

 ここからもう1発奴の頭へ撃っておく。ビクンと動いた。

 

 

 ゼゼルスの元へ近づく。

・・・ゼゼルスの体が変化した。この惑星の生命体ではなかったようだ。

 

 タァン!

 

ゼゼルスだった体のど真ん中へもう1発撃ち込む。

 

「ガッ!・・・くそ、お前さえ居なければ、この惑星を・・・」

 

宇宙人は今度こそ事切れた。

 

 

 

 

 警報音が鳴り響いた。

犯罪者逮捕の公務員達だろう。近くで待機していたようで、すぐに来た。

 

「動くな、銃を捨てろ!」

私に向けて銃を向けている。

 

 私の復讐は今さっき終わった。全て終わった。

 

 

 

 

 捕まった時に身体検査を受けた。

 

「遺伝子配列がこの星に住む生物と全く違うな。・・・宇宙人だったんだな?」

「そうだ」

「・・・宇宙船で来たのか?」

「勿論だ」

「何処に在る?」

「ここだ」

首飾りを見せた。

 

「外で突起部分を押して放り投げれば1人乗れる大きさになる。

但し、操縦系統が故障した。動かないぞ?」

「技術者に修理出来るか見せてみよう。・・・おそらくお前は、

これか、別の宇宙船を完全自動操縦にした物でここを立ち去ることになるだろう。

・・・1回限りで壊れる宇宙船で、な」

「・・・そう、か」

 

 

 

 

「明日が裁判の日だ。それまでここに入っていろ。」

 

連れられて来た牢獄の部屋には誰も居なかった。

 

「・・・防音は出来ているか?」

「・・・多少は出来ている」

「そうか」

「・・・迎えに来るから、それまで待ってろよ?」

「勿論だ」

 

 

 ガチャン!

 

 

 ・・・やっと1人になれた。

 

「・・・う、ううぅぁぁぁあああああああーーー・・・・・・!」

 

 泣いた。泣きに泣き叫んだ。

二人を失った悲しみを今、想いの限り、声の限り泣いていた。

 

 

 

 泣き終えたところで扉が開いた。

 

「来い、審判の日だ」

「もう、か?」

「・・・派手に泣いていたな。見張り番が貰い泣きするほどだったんだぞ?」

「そうか」

「・・・まあ良い。行くぞ」

 

 

 

 

「被告を別惑星送りの刑に処す。間接的とはいえ、国家反逆者達の幇助をしていた罪は重い。

着陸した惑星で呼吸が出来る・出来ないを問わないものとする。これにて閉廷!」

 

 呆気無かった。反論など全く言わせないとは思わなかった。

・・・言う事も無いか。

 

 

 

 

 

 あの惑星を出て、今住んでいる惑星で何回季節が巡ったのか分からなくなってきた。

 この惑星の生物達に宇宙人だと知られた時は驚かれたが、

皆はその後も平常通りに接してくれた。良い惑星へ来れたと思う。

 

 今、充実した生活を送っている。・・・彼女達が居ない以外は・・・。

心にトゲとして残ってしまった様だ。忘れる事は無いだろう。

 

 

 

 

 

「見つけたわよ!」

「・・・ん!?」

 

 懐かしい声を聞いた気がした。

 

 生きていた!?。・・・あの時、心臓の鼓動を確認して無かったか・・・。

しかも、探し当てたのか!?。広大な宇宙で私を?。

 

 声の主を探そうとする所で誰かに、胸元に、抱き付かれてしまった。

 

 

 

 

 

「捕まえたわよ。もう、逃がさないわ。・・・ずっと一緒よ?」

「・・・勿論だとも。君に、捕まりました」

「・・・愛してるわ」

 

 

 

 

 

 これからは、彼女との幸せな生活が始まる事を信じよう。

 

 

 

 

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